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2006年7月

『雨と夢のあとに』舞台版(1)

2005年春クール、テレビ朝日「金曜ナイトドラマ」枠で放送された連続ドラマの舞台化作品。キャラメルボックスサマーツアーとして、テレビ版でも脚本を担当した成井豊氏、真柴あずき氏が舞台版も演出。

テレビ版放送時にどっぷり浸かったこの作品。
その頃の感想はこちら→とぶ

並々ならぬ思い入れがあるので、舞台版はどうかなと、期待半分・不安半分で見に行って来ました。脚本演出は何せドラマ版と一緒のお2人ですので、何も心配してはいないのですが、キャストは当然のことながら総入れ替えとなり、この辺りが幸とでるかそうならないか、そちらに不安が多少なりともあったわけです。

テーマ曲はテレビ版と同じ奥田美和子さんの『雨と夢のあとに』。
この曲聴くとやっぱり空気は雨夢ワールド。一瞬であの空気に戻せるこの曲のパワーは凄いといつも思う。


以下は内容的にネタバレを含みます。ネタバレお嫌いな方は、テレビ版感想のリンクも行かないのが吉かと思います。


何故かと言えば。

要はテレビ版のダイジェスト版といって差し支えないかと思います。
ストーリーが多少はしょられている程度で、ENDまで全て同じ。

ゲスト幽霊が毎回(第8話以外)登場したテレビ版と比べると、今回の舞台版に入っているのは第4話(バンド親子)と第9話(テレビ版は上川隆也さんだったシーン。舞台版は三浦剛さんが演じています)だけで、他のエピソードはありません。
何せテレビ版で10時間かけてやった作品を2時間でやるわけですから、相当なかけ足で、テレビ版が持っていた「ゆったりとした時間進行」はいきおい、なくならざるを得ないわけです。

キャスト別に言いますと、あくまで個人的な好みでどっちかを選ぶとするなら、

テレビ版の方が良かったなと思うのが

雨(黒川智花さん)、朝陽(沢村一樹さん)、暁子(木村多江さん)

舞台版の方が良かったなと思うのが

北斗(畑中智行さん)、マリア(岡田さつきさん)、霧子(楠見薫さん)

どちらもそれぞれいいなと思うのが

早川旦那(テレビ版はブラザートムさん、舞台版は久松信美さん)

という感じかなと思います。

まずは主役の桜井雨役、舞台版は福田麻由子さん。
正真正銘の小学生(6年生、12歳)がここまで出来るのは正直言って凄いです。間違いなく末恐ろしい逸材です。
が。いかんせん声質が硬いのがテレビ版の黒川さんに比べると少しく冷たい印象を受けます。
黒川さんと沢村さんの間のどことなく「暖かい空気」がすごく好きだった自分には、舞台版で福田さんと岡田達也さんが醸し出す関係は、ちょっと距離があるように思えてしまうのです。
あと違うところといえば佇まいに「弱さ」を感じさせて、ストーリーとともに「強さ」を得ていった黒川さんに比べると、福田さんの場合は最初からかなり「強い」空気を纏っています。実年齢は福田さんと黒川さんは4つ違いますが、印象からすると、黒川さんは登場時はすごく心細げで頼りなげで、経験するごとにぐぐっと大人になっていったのに対して、福田さんは最初からかなりの大人びた空気を持っていて、それが最後まで貫き通されたような感じがします。(印象では黒川さんが最終的には年相応に福田さんを追い抜いた感じ)

あえて言うなら、テレビ版は「雨の成長の物語」の側面が垣間見えたのに比べれば、舞台版は時間の短さもあいまって「雨に起きた出来事」の側面が強く見えたように思われます。

一例を挙げるならラスト場面、朝陽が雨に秘密を打ち明けるシーンの雨の返事は、テレビ版では「雨の成長」を表現するカタルシスを持っていたわけですが(最初の頃の黒川さん演じる雨ではあの台詞を言うと嘘になってしまう、成長したから言える台詞だと思う)、最初から強さを持っている福田さん版だと、その辺りがちょっと感動には弱いかな、とか思ってしまう。

最初からこの台詞言えそうだよとか
ほっくん尻に敷かれてるよほっくん(笑)とか

初見ならストーリーが早く進みすぎると思うし、テレビ版を見ている自分にしてみれば雨と朝陽の関係は物足りなげに感じてしまうのです。

朝陽はキャラメルの劇団員でやるなら確かに岡田達也さんしかいないだろうし、相手役の福田さんを12歳と思わないで相手しているのは、そりゃもう凄い光景なんですが、何だろう、前作の『ミス・ダンディライオン』の相手役を思い入れ入れすぎて見てしまったからか、なんだか「どこを見て演じていいか戸惑って」いるように見えてしまう。

その時岡田達也さんの相手役だったのは何しろ相性抜群の岡田さつきさんだったからなのですが、彼女は今回は雨の実の母親になるマリア役。テレビ版では杏子さんが演じていました。

テレビ版の杏子さんは嫌いとまでは言えなかったけど、無理にヒステリックな感じが痛々しすぎて正直自分は苦手でした。ところが舞台版はキャラメル役者中一番推しの岡田さつきさん。

杏子さん同様けっこうひどいこと言って雨を追い詰めて(るように見え)るのに、なんだかマリアの肩持ちそうになってる自分が怖い(苦笑)。役者で芝居を見すぎるのも良し悪しだなぁと思うけれど、マリアの言い分をただのエゴイストとして見せていないところに、さつきさんの巧さがあるように思えます。

雨を支える隣人・小柳暁子役は、舞台版では岡内美喜子さん。何度か拝見していますが、ファンの方には申し訳ないのですが、正直、私は苦手な役者さん。
(振り返るとDVDで『SKIP』、生で『クロノス』『TRUTH』『ミス・ダンディライオン』『広くて素敵な宇宙じゃないか』と全部で6作も見ているのにびっくり。つか『広くて素敵な宇宙じゃないか』はDVD出たのね。こちら 次回買おう。)

何というのか、役としてのエネルギーが上手く昇華されて伝わってこないというのか、やっぱりなんだかんだいっても自分にとってのキャラメルボックスの良さは押し寄せてくるエネルギーの強さだと思うので、キャラメルであえて彼女の演技を見なくても、という気持ちが、正直、してしまいます。

そんな気持ちとはいえ、今回はなかなかいい存在感を出せていたように思います。が、この役はテレビ版の木村多江さんがあまりにハマり役でしたから、比べられるのが可哀想なんですよね・・・・

役者さん一人一人を全員書いてると凄まじい長さになりそうなので、あとは短めコメント。

久松さん、早川の熱さを上手く演じられていて素敵です。

篠田さん&青山さん、朝陽が実家で頭を下げるシーンは、テレビ版同様泣かせていただきました。息子を思う気持ちを暖かく掬い上げていたシーンは、すごく感動でした。
一番良かったのは舞台版もテレビ版もここのシーンかな。
父親に朝陽の姿が見えてるのが(いい意味で)ショックで泣ける。

全般的な印象としては、
テレビ版の気持ちを引きずりまくってはしまったけれど、締まるところは締まって、分かりやすくまとまってはいるように思います。
あとは笑いが分かりやすくていいです。テレビ版はシリアスホームドラマ風でしたが、舞台版はシリアスギャグドラマ風かも。特に畑中氏演じるほっくん(北斗)と他の人たちの絡み(特に篠田さんの突っ込み)最高です。

あと2回見るので、特に雨役の福田さんが演じるごとにどう変わっていくか、感受性の豊かな彼女の成長に期待。

そしてこの日の翌日は休演日。ご挨拶の岡内さんに「麻由ちゃん、明日は何をするの?」って問われて元気良く「宿題!」と答えていました(会場内大拍手でした。さすがだわ)。

彼女の宿題が劇中通り、7月中に終わりますことを。家庭教師いっぱいいますしねー(@制作の加藤氏の前説で噴き出してしまった)

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『ダンス・オブ・ヴァンパイア』(1)

2006.7.2(Sun.) 17:00~20:15 泉見&剱持
2006.7.8(Sat.) 17:00~20:00 浦井&剱持
2006.7.9(Sun.) 17:00~20:00 浦井&大塚

帝国劇場、夏の2ヶ月公演。『ヴァンパイアの舞踏』と訳されていたウィーンミュージカルの日本初演。公演初日、そして役代わりで合計3回、観劇してきました。

見た初日に書かなかったところに思い入れの地味さが現れてますが、何はともあれWキャストのアルフとサラをさらっと3回でざっと見。

全般的に言うと、帝劇前月の『ミー&マイガール』に引き続き、「楽しんじゃったもん勝ち」が別の方向性で続いている感じ。
一応コメディーらしいのですが、あんまりその感じがしないのは演出故なのか・・・

ただ正直、前月の「楽しんじゃったもん勝ち」の作品が、1幕・2幕それぞれにお楽しみ箇所があったのに比べると、ラスト10分でこの作品の楽しみの9割方があるとしか思えない今回の作品は、お買い得感は薄いかも。

何しろ、私も男のはしくれなもので、ヒロインに感情移入できない作品は見てて辛いのですね・・・

確かに、市村正親さんの考え尽くされた小芝居のおかしみとか、吉野圭吾さんのスーパーパフォーマンスに度肝抜かれて大笑いさせられたり、山口祐一郎さんの美声に身体の隅まで酔いしれてはいるんですが、それでもやっぱり、男性の美技に酔いしれるのには限界があるわけで。

Wキャストのサラは剱持たまきさんと大塚ちひろさん。

剱持さんは『レ・ミゼラブル』コゼット役に『屋根の上のヴァイオリン弾き』ホーデル役を見て、拝見するのは今回3役目。ソプラノが音域ですので、1幕はすごく綺麗な歌声を聞かせてくれるのですが、2幕に入って地声モードの曲が続くとさすがに声が細いのがどうしても伯爵役の山口さんとはバランス良くなくて。悪くはないけどもうちょっと、迫力が欲しいなぁと思うのです。
「私もう18」と言っている人が実は三十路直前というのは、あえて触れないことにいたしましょう(苦笑)。
や、「悪くないね」(アルフ風に)。

大塚さんは『SHIROH』リオ役に『MOZART』コンスタンツェ役を見て、こちらも今回3役目。
剱持さんとは真逆で、ソプラノが突き抜けない代わりに地声は迫力有り。
でも、リオ&コンスタンツェを見た自分から言ってしまうと、声が汚くなったなぁというのが正直な感想。もっとクリアーな音が出せるはずだと思っていただけに、実はちょっとショックでした。前の2役はかなり音響効果を弄っていたというのは分かってはいるんですが、迫力があれば声質や音階がどうだっていいとは正直自分は思えない・・・

唯一良かったのは、2幕最後の方の、

ネタバレ反転↓

伯爵にかまれてヴァンパイアになった後

豹変してからの表情がヤンキー入ってたところ(笑)。ここは剱持さんは綺麗に作りすぎて、”お嬢様”抜けきってなかったのですが、さすがヤンキーコンス(※1)経験者、そこは絶句するほど怖かった。

(※1)昨年11月に個人的に命名済

ただ実は。
この作品で一番惹かれてしまった女性はといえばサラではなく、いわゆる「影武者役」のダンサーサラを演じた加賀谷香さん。経歴を見ると正にトップクラスの技能を持った方ですが、その経歴はダテじゃなく、素晴らしいダンスを見せてもらいました。
一流の人の技ってこういうものなのね、ということを実感。

だからサラももう少し、声が綺麗で地声も出せる人を、何とか探してもらえはしなかったのだろうか、とちょっと思ってしまうのです。
お風呂シーンもさんざ「セミヌード」とか脅かされてた割に、あれだとフツーとしか思えない(役者さんが「脱ぎたくない」なんて言うようなものには思えない)。
前月がミーマイじゃなけりゃ笹本さん、ぴったりだったのになー

この作品が日本上陸が噂され出した頃、サラ役に噂が上がってたのはその時期日本初演をやっていた同じウィーンミュージカル『MOZART』のヒロイン・松たか子さんとサブヒロイン・高橋由美子さん(※3)。
でも今回の作品を見終わった感想としては、正直この2人がやるには役不足(※2)な役だなぁという。サラってこんなに小さな役だったっけ、というのが正直な感想でした。

(※2)「もったいない使い方」という意味です、念のため。
ちなみに結果論から言うと2人とも6月まで別の舞台に出てたので今回のスケジュールでは無理でした。

(※3)とりあえず先月の新宿コマを見る限り、18歳の役も大丈夫(笑)

自分は今までヒロインを選んで舞台を見てきたんだなぁということを、痛感させられてしまう次第。
何だか変な話ですが。

2幕最初の螺旋階段で歌われる歌(「愛のデュエット」)の海外版動画を見たことがあるんですが、ものすごいド迫力で、少なくとも現サラの2人にこれ歌わせたら1日で喉つぶれそうな感じでしたので、どうするのかと思ってましたが、なんだかソフトなささやきデュエットになってて、やっぱりちょっと淋しかった。
祐一郎氏の歌は絶品なんですが、ボリュームがどうしても抑え目になってるのが寂しい。ちひろ嬢はけっこう張り上げ系でパワフルではあるのですが、前述の通りに声が綺麗じゃないのが聞いてて辛い・・・

祐一郎氏の歌は『MOZART』のコロレドが実は一番好きな私。
つか相手が井上君に中川君だから、リミッター外して歌いまくってるわけで、相手に合わせた歌はわざわざ祐一郎氏で聞きたいとは、実は思わなかったり。

閑話休題。
この作品、実はコメディーなのですが、初見で自分が一番笑ったのはサラの

ネタバレ反転↓

「お風呂にも入れるのねー」

でした。そういや、サラってお馬鹿キャラの超天然だったなーってことを思い出したのでした。

アルフは個人的な好みは浦井君。『ミス・サイゴン』『SHIROH』に続き3作品目だった泉見君よりも自分的には好きな演技構成でした。何というのか、純粋なアルフの感情が、自然に表情に乗ってた感じが自分は好きでした。

ほか、女性陣では宿屋の女将さんを演じた阿知波さん。この方の必要十分な芝居は『MOZART』でも拝見させていただいておりましたが、とにかく余分なものをすべて殺ぎ落とした磨きぬかれた演技が素晴らしいです。2007年レミゼでテナルディエ妻に復帰されますが、この方は絶対見たいです。

と2007レミゼキャストの話になったところで、とりあえず個人的に気になるキャストは

橋本バルジャン、禅ジャベール、山崎ファンテーヌ、辛島コゼット、阿知波テナ妻

辛島さんは経歴見る限り、とにかく歌のコゼットそうなので一度は。

とりあえずネタのために見ておきたいのは

神戸エポニーヌ、菊地コゼット

菊地美香嬢に関してはデカレンジャーも舞乙Himeも見てた自分(爆)。
とにかく器用な人なので期待してます。

そういえば2階B席は常連のみなさまのリピート席。
「アンサンブルがほとんど変わってる!20周年のSP公演から始まるってのに、素人同様のアンサンブルの前でやってもらうのってどうなのよ~」と幕間に叫んでいた女性がいました。

・・・・気持ちはすごーくわかります。

それと知念エポニーヌだけは見ないで通したい・・・・
舞台降板して子供作りに入ったときに見放した人なので、それを1年足らずで戻す東宝という会社がまったく信用できません。
子供作るの悪いというんじゃなくて、人に迷惑をかけるのはプロとしてどうなのと。

知念嬢がなんでそこまで優遇されなきゃいけないのか全然納得できない・・・

話戻って『ダンス・オブ・ヴァンパイア』、実はあと4回分(たまきサラ1回、ちひろサラ3回)B席を持っているのですが、正直、たまきサラ1回を残して止めちゃおうかな・・・という気分になってます。

祐一郎氏の美声はまた聞きたいんですけど、出番少ないし。
あの哀愁を漂わせた独特の空気、伯爵の孤独さを上手く表現してて流石と思うんですよね。
ダンサーも凄いし、各所各所には「おおっ」と思うところあるんですけど、作品全体としてはどうも消化不良気味。

なんか、年末の『MA』の方が外さないような気がしてきて、そっちに傾こうかなと。

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『HUMANITY』(7)

2006.6.29(thu.) 19:00~22:00 2階A席
2006.6.30(fri.) 13:00~16:00 2階S席
大阪フェスティバルホール(中之島)

舞台での大阪遠征は『花の紅天狗』、『SHIROH』、『MOZART』に続いて4作品目。
3作品とも、梅田(順にシアタードラマシティ、梅田コマ劇場、梅田芸術劇場)だったため、今回は初めて梅田以外の大阪観劇を体験することに。

つか広いっ。座席数2,870席。舞台をやるホールの中では大阪最大(※1)。
広い広いと言っていた東京・新宿コマ劇場をもしのぐ席数。(※2)

※1 梅田芸術劇場はメインホールが1,905席、シアタードラマシティが898席
※2 ちなみにこちらも舞台をやるホールの中では東京最大の2,093席。次点は東京宝塚劇場(2,069席)

東京大阪合わせて10万人動員を目標に、両都市とも名実ともに最大の劇場使って、しかもどうも達成したような状況。大阪は2回見ましたが、前楽・大楽と言うこともあるかもしれませんが、ほとんど満席状態+立ち見が5~60席出ているという状態。
大阪最大の劇場に立ち見入れてどんな作品なんだか、っていう状況です。

2階から見ると規模が分かりにくいのですが、1階を覗きに行くとさすがに広い。
2階席の後方としては新国立の3階とか、梅田芸術の3階より遠く感じて、電光掲示板は上が見切れていました。A席だから仕方ないけれど。

新宿コマのような周り舞台がないので、多少演出が変わっておりまして、一番目立ったのは

「ステレオ会議(+大プレゼンショー)の出し物が中央からではなく上手・下手からちょっとちゃちい台に乗ってでてくる」

でしょうか。
周り舞台というより、要は舞台のど真ん中から上に上げてくる機構がないので、その辺はお買い得感はコマの方があるかも。大阪だけ見たら、「こういうのもありかな」と思えるからそれで良いのでしょうが。

あとは花道がないので、客席からの登場もあり。
岸谷さん(赤鬼)が最初に登場する赤い布のシーンは舞台上までで赤い布が止まってました。
この赤い布、新宿コマでは花道の最後の場所まで持っていっていました(10m強、舞台からはみだしていた)が、コマ千秋楽の日、運良く花道際に座った時、「巻き込まれないよう気をつけてくださいね」とスタッフの方が話をされていました。
すると、私の前の方。女性の方だったのですが、赤い布が広がりすぎて思いっきり巻き込まれて(ふわっと浮いてから布が落ちてきて直撃、脱出しようともがきまくっていた)、「あーあーあーあーだいじょうぶ?」って感じだったので、そんなんよりはいいかも。

大阪でのこの作品を見ての第一印象は、”客のノリが凄く良い”こと。笑いには厳しいはずの大阪で、なんでここまで笑いが起きるのか実はちょっと不思議でしたが、ある意味、演じる方も見る方もどことなく「綺麗な様式美」を求める東京とまた違い、色んな意味で「何でもあり」(ただし評価は厳しい)というところがあるのかもしれません。

演じてる人も東京以上にはっちゃけてる人ばっかりだし。

岸谷五朗さん(赤鬼)、登場シーンが大阪フェスの都合上、新宿コマ以上のインパクトがないのは残念でしたが(※3)、腹使って回るは(※4)勢いついて肘すりむくわ(※5)、突っ走りまくってます。

※3 新宿コマは舞台下まで落ちていきましたが、大阪フェスは舞台上で「はじめまして」ご対面でした
※4 カーテンコールで植木豪さんがネタにしてました 「40になっても人間はお腹で回れるということを今日発見しました。まだまだ(自分も)行けるなと思いました」
※5 本人曰く、「サンダーボルトよりこげてる(赤い)」(笑)

唐沢寿明さん(種太郎)、新宿コマで見たときは、順平役はしっくりきたんですが、実は種太郎役はしっくりきてなかった。何というか、どことなく「40過ぎてこの役やることへの抵抗感(笑)」が役に出てたというのか、どうもちょっと突き抜けきれないような印象がありました。
が、大阪では水を得た魚状態でなんか振り切ったらしくて、リアルに素敵でした。(※6)

※6 でもカーテンコールでは「種太郎のことはきれいさっぱり忘れてください」と言ってるわけですが。

高橋由美子さん。邪鬼は結局最後まで喉がかれることはなかった・・・・大丈夫だとは思っていたけど一抹の不安はあっただけに、「毎日声量上がってます?」みたいな歌声は毎回鳥肌が立つものがありました。

彼女の歌い手としての特性って実は喉を酷使しないところにあって、「腹から声出して、喉はその声を場面で強弱つける」という技術を使ってたりするので、思われるほど喉には負担かけてないんですね。(※7)

その意味では、レアさんと別の意味で、腹筋の強さがあの歌をあの迫力で歌える最大の理由と思われます。(※8)
でも、邪鬼としてのベストは新宿コマの千秋楽かな。

※7 例えば声を嗄らした「アニーよ銃を取れ」(1997年新宿コマ他)はまだ「喉歌い」の気が残ってて、「野獣郎見参」(2001年青山他)あたりまでは「喉歌い」型。
それが「腹歌い」に変わったのは「MOZART!」(2002年日生他)から。
「花の紅天狗」(2003年ル・テアトル銀座他)ではすっかり「腹歌い」型に移行しています。
映像で残ってる「野獣郎見参」→「花の紅天狗」→「SHIROH」と見比べると、その違いが一目瞭然。

元の声が強いのではなく声を強く出すための技術を身に付けている人なので、中音域より下の音域でないと利用しにくいため、高音が苦手ではあります。

※8 彼女の腹筋の強さは「SHIROH」副音声で話が出てます。上川隆也さん演じる四郎が由美子さん演じる寿庵を抱きかかえる時、手を伸ばしている上川さんが支えているように見えて、実は由美子さんが自分の腹筋で支えていたと。そして本人それで歌っていたと。あれだけきつい体勢で歌うこと考えたら、今回の役は普通なんだろうなぁ。

あ、ミヨちゃんが化けてた(笑)。新宿コマ最初の頃はなんか遠慮があったんですが、ここへ来てもう容赦なく遊んでます。順平を力いっぱい振り飛ばして会場内の笑いを誘ってたし、ちょっとした間にステップ踏んでるし。

何気にすごいなーと思うのが「ぞぞぞの唄」の最初のところで戸田恵子さんが歌ってる間にひよこのポーズで静止するのが10秒ぐらいあるんですが、まったく微動だにしない(※9)のは凄いものがあります。あれを見たときに由美子さんの全ての根幹は実は「腹筋」にあるんだなと納得してしまいました。やってみると分かりますが(爆)あのポーズを10秒間維持するのはとてつもなく難しいです。植木豪さんが猿踊りのシーンで軸をまっすぐ保って機械人形のように踊るシーンの次ぐらいに難しいと思います。

※9 オペラグラスで凝視してるので間違いないです

しかしこんなにまでゴージャスにしっくり来るとは。初出演で外様だったはずなのにいつのまにかマスコットキャラ。東宝ミュージカル、新感線、野田舞台に阿佐ヶ谷スパイダース、何に出てもフィットしちゃうのは不思議。

蘭香レアさん。元宝塚というのは何度も聞いて知っていたのですが、元男役だったことを大阪千秋楽後に知って驚愕しました(※10)。だからあんなに立ち姿が流麗なのね。足の先までぶれずに踊るのはなかなかできる人いないと思う。

※10 香寿たつきさんの2番手役をやったことがあるという話に、凄く納得。個人的に好きな方向性だったり。

ちなみにレアさんといえばそれこそ「腹筋」ですが、千秋楽のカーテンコールで本人曰く、「公演始まる時6つに割れてたのが、今は8つに割れてます」だそうです(笑)。

その腹筋のことを「メロンパン」と称した戸田恵子さんのセンスも凄いものがありますが(29日夜公演のカーテンコール)。

そして戸田恵子さん。出演者中最年長の言葉通り、まさに精神的な核。戸田さんのソロで締める関係上、邪鬼→シークレットヘッド→ソロがところどころストーリー切れ切れみたいなところもありましたが、まぁそれは脚本故ということで、上手い人の上手い演技を肌で体験できたのは、凄く貴重な体験でした。

千秋楽のカーテンコールはいつもキャストコメントがあったこの作品だけに、特別な空気はむしろあまりなく、「そういえば今日で終わりだったねぇ」みたいな肩肘の張らない感じ。

唐沢さんは本人自身「数年ぶりに真面目に話した」と言ってたほどのシリアスVer。

何度か始まる前にご本人が話されていました(しパンフにも載ってます)が、岸谷さん&寺脇さんが「40も過ぎて真面目にエンタテインメントをやろうとしている姿の、力になりたい」という言葉を、形を変えて話されていました。

そんな唐沢さんもまさか種太郎とはという気持ちだったそうですが(笑)。
前述の通り「きれいさっぱり忘れてください」と言っていたのですが、実はその引き金を引いたのは前に挨拶した戸田さん。
「この歳の年になって鬼の役をやるとは思わなかった。ピンクのことはきれいさっぱり忘れてください」でした。

東京楽でお客さんと握手してた由美子さん、大阪の楽コメント

「(頭にネクタイ付けられて)私のイメージは皆さんからはこんな感じらしいです。
理由はいっぱいお酒飲むかららしいのですが。
あんまり飲まないんだけどなぁ。(※11)

千秋楽を迎えられて嬉しいです。その気持ちを身体で表現したいと思います。」

下手側から上手側に走っていって前転、両手上げてポーズ。要は”ダメルシアンポーズ”(見てる人にしか分からないと思います)をやって会場内から拍手を浴びておりました。

※11 会場で何人突っ込んだことか・・・何せ前日の挨拶が「残り1日になりました。明日のために飲んで頑張ります」だったんですよ(笑)。
舞台女優の中では量の永作博美嬢、回数の高橋由美子嬢ってのは有名な話だと思ってましたが(笑)(半ば冗談半ば本気)。

いやはや、何はともあれ十分楽しませてもらいました。「SHIROH」の千秋楽の時に「まだまだ見ていたい」と思ったのと逆で、今回の千秋楽は「有終の美を飾って欲しい」という思いが凄く強くありました。
語り継がれる物語の作品とは、趣が違うとは思いますけれど、それでも肩の力を抜いて見られる、期間限定だからこそいい、そんな作品のように思えました。

9月にはWOWOWでの放送も決定したとのことですので、その日が早く来てくれますことを。

●ちょっと余談
今回の大阪遠征でもう一つの目的は梅田・HEP HALLの「劇団新感線祭り」。実は日程の都合はつかずに鑑賞は叶わなかったのですが、蔵出しCD「野獣郎見参」のサントラCD買いに行って来ました。公演当時買わ(え)なかったので、買えて嬉しかった。

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