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『HUMANITY』(7)

2006.6.29(thu.) 19:00~22:00 2階A席
2006.6.30(fri.) 13:00~16:00 2階S席
大阪フェスティバルホール(中之島)

舞台での大阪遠征は『花の紅天狗』、『SHIROH』、『MOZART』に続いて4作品目。
3作品とも、梅田(順にシアタードラマシティ、梅田コマ劇場、梅田芸術劇場)だったため、今回は初めて梅田以外の大阪観劇を体験することに。

つか広いっ。座席数2,870席。舞台をやるホールの中では大阪最大(※1)。
広い広いと言っていた東京・新宿コマ劇場をもしのぐ席数。(※2)

※1 梅田芸術劇場はメインホールが1,905席、シアタードラマシティが898席
※2 ちなみにこちらも舞台をやるホールの中では東京最大の2,093席。次点は東京宝塚劇場(2,069席)

東京大阪合わせて10万人動員を目標に、両都市とも名実ともに最大の劇場使って、しかもどうも達成したような状況。大阪は2回見ましたが、前楽・大楽と言うこともあるかもしれませんが、ほとんど満席状態+立ち見が5~60席出ているという状態。
大阪最大の劇場に立ち見入れてどんな作品なんだか、っていう状況です。

2階から見ると規模が分かりにくいのですが、1階を覗きに行くとさすがに広い。
2階席の後方としては新国立の3階とか、梅田芸術の3階より遠く感じて、電光掲示板は上が見切れていました。A席だから仕方ないけれど。

新宿コマのような周り舞台がないので、多少演出が変わっておりまして、一番目立ったのは

「ステレオ会議(+大プレゼンショー)の出し物が中央からではなく上手・下手からちょっとちゃちい台に乗ってでてくる」

でしょうか。
周り舞台というより、要は舞台のど真ん中から上に上げてくる機構がないので、その辺はお買い得感はコマの方があるかも。大阪だけ見たら、「こういうのもありかな」と思えるからそれで良いのでしょうが。

あとは花道がないので、客席からの登場もあり。
岸谷さん(赤鬼)が最初に登場する赤い布のシーンは舞台上までで赤い布が止まってました。
この赤い布、新宿コマでは花道の最後の場所まで持っていっていました(10m強、舞台からはみだしていた)が、コマ千秋楽の日、運良く花道際に座った時、「巻き込まれないよう気をつけてくださいね」とスタッフの方が話をされていました。
すると、私の前の方。女性の方だったのですが、赤い布が広がりすぎて思いっきり巻き込まれて(ふわっと浮いてから布が落ちてきて直撃、脱出しようともがきまくっていた)、「あーあーあーあーだいじょうぶ?」って感じだったので、そんなんよりはいいかも。

大阪でのこの作品を見ての第一印象は、”客のノリが凄く良い”こと。笑いには厳しいはずの大阪で、なんでここまで笑いが起きるのか実はちょっと不思議でしたが、ある意味、演じる方も見る方もどことなく「綺麗な様式美」を求める東京とまた違い、色んな意味で「何でもあり」(ただし評価は厳しい)というところがあるのかもしれません。

演じてる人も東京以上にはっちゃけてる人ばっかりだし。

岸谷五朗さん(赤鬼)、登場シーンが大阪フェスの都合上、新宿コマ以上のインパクトがないのは残念でしたが(※3)、腹使って回るは(※4)勢いついて肘すりむくわ(※5)、突っ走りまくってます。

※3 新宿コマは舞台下まで落ちていきましたが、大阪フェスは舞台上で「はじめまして」ご対面でした
※4 カーテンコールで植木豪さんがネタにしてました 「40になっても人間はお腹で回れるということを今日発見しました。まだまだ(自分も)行けるなと思いました」
※5 本人曰く、「サンダーボルトよりこげてる(赤い)」(笑)

唐沢寿明さん(種太郎)、新宿コマで見たときは、順平役はしっくりきたんですが、実は種太郎役はしっくりきてなかった。何というか、どことなく「40過ぎてこの役やることへの抵抗感(笑)」が役に出てたというのか、どうもちょっと突き抜けきれないような印象がありました。
が、大阪では水を得た魚状態でなんか振り切ったらしくて、リアルに素敵でした。(※6)

※6 でもカーテンコールでは「種太郎のことはきれいさっぱり忘れてください」と言ってるわけですが。

高橋由美子さん。邪鬼は結局最後まで喉がかれることはなかった・・・・大丈夫だとは思っていたけど一抹の不安はあっただけに、「毎日声量上がってます?」みたいな歌声は毎回鳥肌が立つものがありました。

彼女の歌い手としての特性って実は喉を酷使しないところにあって、「腹から声出して、喉はその声を場面で強弱つける」という技術を使ってたりするので、思われるほど喉には負担かけてないんですね。(※7)

その意味では、レアさんと別の意味で、腹筋の強さがあの歌をあの迫力で歌える最大の理由と思われます。(※8)
でも、邪鬼としてのベストは新宿コマの千秋楽かな。

※7 例えば声を嗄らした「アニーよ銃を取れ」(1997年新宿コマ他)はまだ「喉歌い」の気が残ってて、「野獣郎見参」(2001年青山他)あたりまでは「喉歌い」型。
それが「腹歌い」に変わったのは「MOZART!」(2002年日生他)から。
「花の紅天狗」(2003年ル・テアトル銀座他)ではすっかり「腹歌い」型に移行しています。
映像で残ってる「野獣郎見参」→「花の紅天狗」→「SHIROH」と見比べると、その違いが一目瞭然。

元の声が強いのではなく声を強く出すための技術を身に付けている人なので、中音域より下の音域でないと利用しにくいため、高音が苦手ではあります。

※8 彼女の腹筋の強さは「SHIROH」副音声で話が出てます。上川隆也さん演じる四郎が由美子さん演じる寿庵を抱きかかえる時、手を伸ばしている上川さんが支えているように見えて、実は由美子さんが自分の腹筋で支えていたと。そして本人それで歌っていたと。あれだけきつい体勢で歌うこと考えたら、今回の役は普通なんだろうなぁ。

あ、ミヨちゃんが化けてた(笑)。新宿コマ最初の頃はなんか遠慮があったんですが、ここへ来てもう容赦なく遊んでます。順平を力いっぱい振り飛ばして会場内の笑いを誘ってたし、ちょっとした間にステップ踏んでるし。

何気にすごいなーと思うのが「ぞぞぞの唄」の最初のところで戸田恵子さんが歌ってる間にひよこのポーズで静止するのが10秒ぐらいあるんですが、まったく微動だにしない(※9)のは凄いものがあります。あれを見たときに由美子さんの全ての根幹は実は「腹筋」にあるんだなと納得してしまいました。やってみると分かりますが(爆)あのポーズを10秒間維持するのはとてつもなく難しいです。植木豪さんが猿踊りのシーンで軸をまっすぐ保って機械人形のように踊るシーンの次ぐらいに難しいと思います。

※9 オペラグラスで凝視してるので間違いないです

しかしこんなにまでゴージャスにしっくり来るとは。初出演で外様だったはずなのにいつのまにかマスコットキャラ。東宝ミュージカル、新感線、野田舞台に阿佐ヶ谷スパイダース、何に出てもフィットしちゃうのは不思議。

蘭香レアさん。元宝塚というのは何度も聞いて知っていたのですが、元男役だったことを大阪千秋楽後に知って驚愕しました(※10)。だからあんなに立ち姿が流麗なのね。足の先までぶれずに踊るのはなかなかできる人いないと思う。

※10 香寿たつきさんの2番手役をやったことがあるという話に、凄く納得。個人的に好きな方向性だったり。

ちなみにレアさんといえばそれこそ「腹筋」ですが、千秋楽のカーテンコールで本人曰く、「公演始まる時6つに割れてたのが、今は8つに割れてます」だそうです(笑)。

その腹筋のことを「メロンパン」と称した戸田恵子さんのセンスも凄いものがありますが(29日夜公演のカーテンコール)。

そして戸田恵子さん。出演者中最年長の言葉通り、まさに精神的な核。戸田さんのソロで締める関係上、邪鬼→シークレットヘッド→ソロがところどころストーリー切れ切れみたいなところもありましたが、まぁそれは脚本故ということで、上手い人の上手い演技を肌で体験できたのは、凄く貴重な体験でした。

千秋楽のカーテンコールはいつもキャストコメントがあったこの作品だけに、特別な空気はむしろあまりなく、「そういえば今日で終わりだったねぇ」みたいな肩肘の張らない感じ。

唐沢さんは本人自身「数年ぶりに真面目に話した」と言ってたほどのシリアスVer。

何度か始まる前にご本人が話されていました(しパンフにも載ってます)が、岸谷さん&寺脇さんが「40も過ぎて真面目にエンタテインメントをやろうとしている姿の、力になりたい」という言葉を、形を変えて話されていました。

そんな唐沢さんもまさか種太郎とはという気持ちだったそうですが(笑)。
前述の通り「きれいさっぱり忘れてください」と言っていたのですが、実はその引き金を引いたのは前に挨拶した戸田さん。
「この歳の年になって鬼の役をやるとは思わなかった。ピンクのことはきれいさっぱり忘れてください」でした。

東京楽でお客さんと握手してた由美子さん、大阪の楽コメント

「(頭にネクタイ付けられて)私のイメージは皆さんからはこんな感じらしいです。
理由はいっぱいお酒飲むかららしいのですが。
あんまり飲まないんだけどなぁ。(※11)

千秋楽を迎えられて嬉しいです。その気持ちを身体で表現したいと思います。」

下手側から上手側に走っていって前転、両手上げてポーズ。要は”ダメルシアンポーズ”(見てる人にしか分からないと思います)をやって会場内から拍手を浴びておりました。

※11 会場で何人突っ込んだことか・・・何せ前日の挨拶が「残り1日になりました。明日のために飲んで頑張ります」だったんですよ(笑)。
舞台女優の中では量の永作博美嬢、回数の高橋由美子嬢ってのは有名な話だと思ってましたが(笑)(半ば冗談半ば本気)。

いやはや、何はともあれ十分楽しませてもらいました。「SHIROH」の千秋楽の時に「まだまだ見ていたい」と思ったのと逆で、今回の千秋楽は「有終の美を飾って欲しい」という思いが凄く強くありました。
語り継がれる物語の作品とは、趣が違うとは思いますけれど、それでも肩の力を抜いて見られる、期間限定だからこそいい、そんな作品のように思えました。

9月にはWOWOWでの放送も決定したとのことですので、その日が早く来てくれますことを。

●ちょっと余談
今回の大阪遠征でもう一つの目的は梅田・HEP HALLの「劇団新感線祭り」。実は日程の都合はつかずに鑑賞は叶わなかったのですが、蔵出しCD「野獣郎見参」のサントラCD買いに行って来ました。公演当時買わ(え)なかったので、買えて嬉しかった。

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