« 『ミー&マイ・ガール』(2) | トップページ | 『HUMANITY』(7) »

『ミー&マイ・ガール』(3)

2006.6.25(Sun.) 17:00~20:10 帝国劇場(2階S席)

祝千秋楽。と言っても自分が行ったのは前日日曜日ソワレ。
いやはや、怖いぐらいの盛り上がりでした。

本日5回目のミーマイ。
公演が始まってから取った2階S席、よりにもよってこの作品で、帝劇窓口で1階後方席と2階前方席からの選択を迫られて、2階S席で見てしまう自分。

この作品の1幕最後にある「ランベス・ウォーク」で役者さんが客席降りしますが、早い話が2階は何もないわけで、B席ならともかく、S席でそれはどうかなぁと、周囲の口さたない知人が言ってたりするわけで、公演開始前ならともかく、公演開始後で2階S席を取るのは変わりもんだと。

って話をしてみて2階に上がってみると、さすが最後の日曜ソワレ、ほとんど埋まってる。満員御礼まであと一歩という感じで、ちょっと残念かな。
そしてなぜか指揮者の塩田さんが2階でいらっしゃる。なんでも数日前から2階出張らしく、お客さんと妙にフレンドリーなトークを繰り広げてます。
何せこの辺の2階センターときたらリピーター多数。

ちなみに塩ちゃんが聞いた「一番多く見てる人」は「12回」でした。それに対して塩ちゃんは「僕は36回だもん」となぜか拗ねた風に言ってて笑ってしまった。

今回の帝劇の改装で、1階席中央は千鳥配置になりましたが(実は未体験ですが)、2階席中央は実はそのまま。今日は2階席のどセンター(ただし1列目にあらず)で、今日はあいにく座高の高い方が前で、中央部見えず。

※「ミー&マイガール」のパンフレットには帝劇の新座席表が入っていますが、ちゃんと見ると千鳥配置になってるのは確かに1階だけです。

まぁ塩ちゃんが見えないだけという説もありますので、人によってはそれでいいのかもしれませんが。

何せ、ミーマイの売りの一つは塩ちゃんの腰振り指揮ですので(半ば冗談半ば本気ですが)

それにしても音の通りが良くてびっくりします。帝劇は座席の場所で音の通り方が全然違いますが、特に今作ヒロインの笹本さんは比較的直線的な声なので、横に広がりにくい声質で、尚更それを感じるのかもしれません。(最近の東宝女性陣で横に広がるのは新妻聖子さんとかシルビア・グラブさんとか。)

笹本さん、前回のコメントではちょっと厳しめのコメントをしてますが、ブログの感想を見回ってみると、宝塚初演のこの作品で宝塚版見てない人が自分のようなコメントするのは珍しいようです。

でもさすが良くなってました。
純名ジャッキーへの「お里が知れるのはてめーのほーだ」も中々堂に入ってきていい感じで壊れてきてて良。彼女の上手いのはここで気を散らさずにそのまま拗ねるシーンから嬉しがるシーンまでちゃんと繋がってるところ。

笹本さんの自分のイメージは「昨日泣いたカラスがもう笑った」って感じのコロコロ変わる百面相ぶり。見てて嬉しくなってくるので「ミー&マイガール」のとことかこの辺とか、見てて眼福。
別にミーマイ対策ではなかったのですが、今月頭からオペラグラスをちょっと値が張るシロモノに新調したりしてまして、そんなんで彼女の表情見てますと本当に飽きません。

とある人が「下町ド直球ヒロイン」と称してて、言い得て妙だと思いますです。

「スマイル!スマイル!」の時の握りこぶしの似合うことと言ったらないです。

まぁその分、2幕の井上ビル(←なんか実在する建物みたい)が感情を吐露する「街灯の下で」でサリーが白いドレスで踊るところとか、まさにラストのピンク色お嬢様化ドレスはちょっと似合わない感じもするわけですが・・・・

井上君のコンサートで「オペラ座の怪人」のクリスティーヌやったときも、なんだか衣装だけはちょっと浮いていた気がするし。

この作品のサリーはビルとの身分の違いに悩んで、一旦は身を引きますが、その「大人になっていく過程」になんでか脳内で流れるテーマ曲は、「夢見る少女じゃいられない」(Song By 相川七瀬)だったりする(笑)。

何というか、笹本さんが持ってるポップな感じというか、どちらかというと「止まると死んじゃう」みたいな(苦笑)エネルギッシュな感じは、悲劇慣れ(本人談)した役柄で、重厚なミュージカル曲を歌うよりむしろ、ロック的なシャウトの方が活きそうな気が、何となくしていたりします。

そしてこの日ツボだったのが、執事・チャールズを演じた丸山博一さん。
ビルとサリーと初対面になる机の下もぐりこみ見つけシーン。
ここで初対面のサリーとすごーく力入った握手してまして。
サリーがめちゃくちゃ感激して「この人いー人じゃん!」って感動してるのが自分のことのように嬉しくて。

このシーンをきっかけに各シーン見てると、ヘアフォード家でサリーのこと目の敵にしてるのってマリアとジャッキーだけ?
ジャッキーは恋敵だから分からないでもないし、マリアはサリーがヘアフォード家に相応しくないという理由のみで反対してるだけだし(2幕でヒギンズ教授にお嬢様修行受けたサリーのことは喜んで受け入れてるし。ひたすら現金だなぁとは思うけれど)。

執事は上記の通り第一印象でOKサイン出してるし(※1)、ジョンはランベスウォークを教えてもらったのが嬉しかったみたいだし(※2)、パーチェスター(弁護士)に至っては自分の取り分は変わらないなら全然異議もないみたいだし。

※1 ただし執事だから自分の意見で動くことは許されないけれど
※2 もちろんそういう理由ではない(笑)し時系列も違う

一発でヘアフォード家の下働きの皆さんの心をゲットしてしまったサリーの凄さにちょっとびっくりしたり。むしろ、「貴族」に使われる方に慣らされてしまった皆にとって、サリー、そしてビルは羨ましい存在なんじゃないかなと思う。

いきなり「あなたはヘアフォード家の後継ぎです」って言われたことを羨ましがってるんじゃなくて2人のまっすぐな気持ちを羨ましがってるように見える。何せ執事氏いわく「死刑宣告式」(※3)経験者だし。

※3 英語で意訳すると「marrige」です

でその2人。
ビルとサリーはありえないぐらいのラブラブカップルですが、それ故に困った問題が一つ。余りに普通に好き合いすぎてて、「想い合うのが当たり前」すぎて、想いの深さを表現してるシーンがない・・・・

サリーはそれでもビルとの身分の違いを慮って自分から離れようとする想いを、2曲歌にしているから、その気持ちは伝わってくるのだけれど、ビルからサリーへはなんだか軽いというか少ないというか・・・・

2幕で「街灯の下で」の曲に感じるものはあるわけですが、それでも『どうしても俺はサリーじゃなきゃダメなんだ』という言葉が、身を引いたサリーとの対比で、どうもビルが子供じみていて、やっぱり男ってこういうところは幼くできているなぁと思いますね。

でもでも。最後のマリアとのやり取りで
「ヘアフォード伯爵の奥さんになりたい奴は(たくさんいる)
でも俺の奥さんになりたい奴は1人だけなんだ」

ってとこ、見る度にかっこ良くなってた。
気負うでもなく力むでもなく、そう言い切れたビルが凄く良かった。
サリーの成長ばかり見えていたから、ここのシーンで見えたビルの成長が頼もしく思えて、さすがは井上君だと感心。

結局ミーマイは5回見たけど、最後のこの回が一番良かった。
盛り上がっていたのもあるし、音が通る2階センターということもあったけど、芝居としてそれぞれの人の想いがちゃんと収斂していた感じで、ストーリーとしてはじめてかちっとはまった気がしたから。

その分、出し物的にこの作品の公演前半を引っ張っていたマリア役の涼風さんの芝居は、どうにも本筋から外れて見えてきちゃっていて。(※4)
ジョンや執事をはじめとしたヘアフォード家の皆がビルとサリーの幸せを願っている空気と、なんだかずれたように見えてしまった(立場の違いを横に置いても)というのは、もしかすると芝居として「こなれた」ということだったのかもしれません。

※4 余談と称されても、あれがないと間がもたない時期があったのは事実。でもこの日は、普通に「もうそろそろそれいいです」と言えるぐらいに芝居が成立してた気がします。

|

« 『ミー&マイ・ガール』(2) | トップページ | 『HUMANITY』(7) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/10694431

この記事へのトラックバック一覧です: 『ミー&マイ・ガール』(3):

« 『ミー&マイ・ガール』(2) | トップページ | 『HUMANITY』(7) »