« 2006年4月 | トップページ | 2006年6月 »

2006年5月

『HUMANITY』(4)

2006.5.28(Sun) 13:00~15:50

本日が観劇6回目。会期も残すところ半分を切り、残りチケットもこの日を含めてあと3枚を残すのみとなりました(まだ行くんか(笑))。
そういえば取ってある大阪の4枚のチケットもどうしよう(そっちも行くんか(笑))。

前回以降も何度か観劇しましたので、ちょっと気軽によしなばなしを。

なお、5月28日は昼・夜ともにWOWOWのカメラが入っていました。「OA日は未定」とのことでしたが、ともあれ何よりです。DVDはどうなるのかなぁ・・・・

以下、ネタバレ御免でございます。知りたくない方は「戻る」ボタン推奨です。

ちなみに今日はかなり趣味に走ります(=ほぼ高橋由美子さんネタで行きます)。

なおその前に今日の一言
「腹筋割れてても女なんだから」
種太郎(唐沢さん)がキジ(蘭香レアさん)を評して曰く。
唐沢さん、あなたって人は(笑)。


●ミヨちゃん
 1幕で由美子さんが演じるOLの役名ですが、『HUMANITY』(2)でも書いたとおり、正直、いまだに自分には違和感があります。
 各所で「さすが元アイドル」と言われていたりするんですが、元々彼女はアイドル当時、あんなにきゃぴきゃぴではなかったんですね。

 本質的には「まな板の上の鯉」みたいな感じで、周囲の大人がアイドルとして持ち上げるのを、ただひたすらクールにこなしてくみたいな感じ。
 その辺りは2年前『真昼のビッチ』で演出をされた長塚圭史氏が「与えられた役を楽しむマゾ的な性格」と言及していたのが一番当たってるかも。

 「アイドルはビジネスです」って断言したこともあり、コアなアイドルファンからは”可愛げなくて隙がなくてイヤ”とまで言われたぐらいの人なので。

 ただ、当時から一貫していたのは、「プロのアイドル」に徹していたところで、昔からファンに媚びることだけはしなかったという(*1)。だからこそ30代になってまで、アレを不自然なく出来るのだなと、感嘆はしてしまうのであります。(*6)

(*1)「プライベートで話しかけるのは止めてほしい。そっとしておいて欲しい」をアイドル当時に言ったのはある意味勇者でした。

(*6)舞台上の若作りの1例。
劇団☆新感線『花の紅天狗』赤巻紙茜役 役者年齢29歳→役年齢18歳(推定)
東宝『モーツァルト』ナンネール役 役者年齢28歳・31歳→役年齢19歳(1幕)~40歳(2幕)

ちなみに彼女は童顔なので、年齢より上の役をやると妙に不自然になります。

 ともあれ、最近あまりいい意味では使われない”アイドル”という言葉が肯定的な感想として使われてるのは、素直に嬉しいデス。

 そういえばアイドル当時に「トランジスタグラマー」とか呼ばれちゃった方向の話(=胸が大きい)でいじられるのは2度目です(*2)

 舞台が終わってカーテンコールになると、戸田恵子さんと2人していきなり背が縮んだようになるのはご愛嬌。
 5月24日昼公演で戸田さんいわく、

「私と由美ちゃんは小さいので見つからなかったらどうしようと不安だった。
でも、幸い私も由美ちゃんも声が大きいので安心しました。」

 と言ってて笑ってしまった。確かに、背の小さい2人が声の大きさで1・2を争ってます。
 何はともあれ、カーテンコールで子供に戻ってる由美子さんのフォローをいつもして頂いて大変恐縮です。>戸田さん

(*2)1度目は『花の紅天狗』(2002)。粟根まことさんが『ラマンチャの男』のオマージュですごい歌を歌ってます。アイドル時代は身長156で3サイズの最初の数字は82でした。

●カーテンコールの危険な面々
 この作品、2日目以降しばらくカーテンコールが1回しかなく、公式BBSでさんざ批判された挙げ句、最初の週末からカーテンコールの2回目が新設され、寺脇さん司会で唐沢さん→由美子さん→戸田さんとコメントがあるようになってます。

 唐沢さんといえば「ヘトヘトに疲れて」(本人談)氏らしくなく話がヘロヘロになってることが多いし、由美子さんは相も変わらずトークが超天然でやまなし・おちなし・いみなし状態だし、微妙な空気になって、しまいにゃ寺脇さんが困って「大人の挨拶というものを見せてやってください」と戸田さんに頼む始末。

 最初のうちは戸田さんも普通に締めていたんですが、どうも戸田さんも遊びたくなってきたようで(笑)、けっこう「何言い出すかわからない状態」になりつつあります。

 5月28日マチネ公演の例。

唐沢さん「この人たち(岸谷さん寺脇さんを指差して)人が間違えたらさんざ拾いまくるから全然先進まないんだもん」
 →WOWOW収録日なのにかかわらず、「鬼ケ島に行かなきゃいけないけん」と方言登場。本編で突っ込む突っ込む岸谷・寺脇コンビ。(*3)

由美子さん「みんな汗をかきまくっていて、バケツかぶったみたいに汗だくで、大丈夫か心配です」

寺脇さん「それを言うなら『バケツの水』をかぶった、だけどね(会場内笑)」

戸田さん「『バケツの水』状態の汗は岸谷さんです。あれだけ汗をかいてると、すごい頑張ってるように『見える』んですが(会場内大爆笑。キャスト陣から「頑張ってないみたいじゃん!」と掛け声がかかる)・・・私は年とって代謝悪くなっちゃったんで汗をかいてないんですが、私なりに頑張ってます。
で、『3年のロングランが決まりました』でキャスト陣を驚愕させてすぐ『唐沢君のスケジュールが合わないので6月11日までになりました。また来てください』

 で締めてました。

(*3)ちなみに台詞飛び・間違いは男性陣の専売特許と化してまして、以下の通り。
『なんで?』→『なにで?』(岸谷さん)

『猿も木から落ちるのは、馬鹿は木に登ってはいけないという意味だったんだね』
『猿も木から落ちるのは、猿も木から落ちるってことなんだね』(寺脇さん)

特に後者は寺脇さんが諦めたのか、28日に見たときは台詞自体が総入れ替えで全然違う台詞になってました。

●天候不順直撃
 ここのところ”いきなり雨”が多い東京地方。
 この作品観劇では、雨にぶつかる可能性が非常に高く、6回中開始前と終了後どちらも雨が降ってなかったのは、28日マチネと初日の8日ソワレだけ。
 凄かったのが24日マチネ。この日は14時開演で、その時点では雨の気配はなかったのですが、カーテンコールで寺脇さんいわく、『外は雷雨です』という話で会場内にさざなみのようにどよめきが。

 新宿コマ劇場は最近自分が行った劇場の中では珍しく地下とつながってない劇場。
 帝国劇場、日生劇場、新国立劇場、東京芸術劇場はほぼ地下直結だし、明治座も浜町駅出てすぐ。それからすると新宿コマ劇場の場合、新宿サブナード(地下道)の一番近い出口から3分強かかるし、西武新宿駅も2分強。
 普通の日は別にそれで十分近いうちに入りますが、雨だと話は別。その日は通り雨だったからまだ救われたけれども。

 そういえば新宿コマでもう2つほど気になることが。
 1つはお手洗い。とにかく少ない。女性用は1Fと2Fに1箇所ずつ。男性用は2Fに1箇所。座席数がほぼ同じ帝劇より全体のキャパが少ないのですが、それだけでなくコマは1幕・2幕の間の外出ができない(再入場はできないと立て札があります)ことが致命的。(*4)
 帝劇の場合は入ってるビル(新東京ビル)の反対側にもお手洗いがあるし、ちょっと歩けばビックカメラも使えるし、日生も有楽町ビルとかいくつか借りられる場所があるし、いざとなれば入場券買ってJR有楽町駅入るという手もあるし、なにしろ休憩も30分あるから心の余裕がある。それに比べると「外に出ちゃいけないけど1箇所しかないよ」というのはけっこう拷問に近いもんがあります。

(*4)ちなみに地下・シアターアプルの場合、こちらもお手洗いは少ないのですが、隣の映画館・コマ東宝のお手洗いを開放して急場をしのいでいたりします。

 もう1つは音響。新宿コマで1年前『WE WILL ROCK YOU』をやってロックをガンガンにかけてた時、地下のシアターアプルで舞台やってたキャラメルボックスが大層モメてたんですよね。そのときは地下組でしたが、そんな状況をネタにしつつ、秒単位で開始時間を計ってたりしたもの(特にその時が大音響系ではない『広くて素敵な宇宙じゃないか』だったからなおさら)。(*5)
 そんなことを全然意識してない自分にちょっと呆然としてしまったり。立場変わると人間考えること変わるものだなぁと・・・。

(*5)ちなみにこの件は今春の『あしたあなたあいたい/ミス・ダンディライオン』をコマスタジアムが主催してチケット代500円値下げ(この分はコマスタジアムが補填)で和解しています。

●空耳アワー
 この作品、けっこう歌詞が音に埋もれてまして、よくよく聞いてみると「そんな歌詞なんだ、へぇ~」みたいなところが結構あります。

 自分の力の入れどころ、M18の『HUMANITY』。
 CDで聞いてると、歌詞の間に入る由美子さんの決めの台詞がなくて物足りなかったりするんですが(いまだに2箇所目は「爪を研ぐ」しか覚えていない)、初見から4回目までずっと聞き間違えてた最後の歌詞

「未来へ行こう 後悔するであろう」

と聞こえて「????」が頭の中に点滅。
正解は

「未来永劫後悔するであろう」

なのですが、「みらいへいこう」→「みらいえいごう」で、事実上濁音かそうでないかの違いしかないという。
歌詞をとにかくはっきり発声する由美子さんでさえこれだから・・・
というか、せめてCDに歌詞カードを付けてほしかったなぁ・・・

この邪鬼の歌、迫力で度肝抜きますが(→そのときの写真はシアターガイドの一番上の写真)、由美子さんのイメージは「○○○だったのにこんな歌い方できるんだ」とブログ各所で話題に。

挙がるイメージは多い順に

「ショムニ」→「南くんの恋人」→「魔神英雄伝ワタル」

・・・・知名度ってそういうもんなんですね。
(ちなみに由美子さんのデビュー曲・2曲目が「魔神英雄伝ワタル」の主題歌で、同作品にゲスト出演して声優をやったこともあります)

「レミゼ」「サイゴン」「SHIROH」に触れてる人が少ないというのが、いかにも客層かぶってないのだなぁと。

●かっこいい男の人
 男の俳優さんをきっかけには観劇をしない私ではありますが、由美子さんが出演してる舞台を見ていると、相手役とか共演者にひとりでにかっこいい男性俳優さんも一緒に見れるので、けっこうお得です。

 ”舞台で動員力がある御三家”の皆様とも共演。
 堤真一さん『野獣郎見参』(2001)
 上川隆也さん『SHIROH』(2004-5)
 内野聖陽さん『レ・ミゼラブル』(2003)

 ミュージカルのメインを張る皆さま。
 山口祐一郎さん『MOZART!』(2002/2005)、『レ・ミゼラブル』(2003-4)
 市村正親さん『MOZART!』(2002/2005)『ミス・サイゴン』(2004)
 井上芳雄さん『MOZART!』(2002/2005)『ミス・サイゴン』(2004)『バタフライはフリー』(2001)

 今回、唐沢寿明さんとも共演でほぼコンプリート、主役級で共演してないのは鹿賀丈史さんぐらい、でしょうか。

 ちなみに女性陣も
 松たか子さん『MOZART!』(2002)、『ミス・サイゴン』(2004)
 秋山菜津子さん『SHIROH』(2004-5年)
 高橋恵子さん、前田美波里さん、一路真輝さん・・・・と有名どころ揃い踏み。

で今回、戸田恵子さん。なんだかもぉ、何が何やら。でも至福。

●次回作。
 先週、由美子さんの次回作がパルコ劇場から発表。
 「GOLF THE MUSICAL」ということで、アメリカ発ミュージカルコメディで、今回が日本初上陸。10月が東京、11月が地方。

 仮パンフこちら→パルコ劇場HP

 けっきょくなんだかんだいいつつ、彼女の舞台作品は5作連続ミュージカルになります(2004年の『ミス・サイゴン』から始まって『SHIROH』、『MOZART!』、『HUMANITY』)

 今年は帝劇連続登板が途切れました。4年連続でしたが(2002年『MOZART!』、2003年『レ・ミゼラブル』、2004年『ミス・サイゴン』、『SHIROH』、2005年『MOZART!』)、東宝さんとも一旦休憩かなと思いきや、この作品はパルコ劇場と東宝芸能の共同制作。

 よくよく考えると、東宝芸能絡みでは2001年『野獣郎見参』(劇団☆新感線との共同制作)もあったので、6年連続東宝と繋がってるわけで、結局切れてないんだなぁと、とりあえず心が落ち着いたりしたのでした。

 落ち着きましたよ、落ち着きましたとも。
 お乳は突きませんが(爆)。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

『HUMANITY』(3)

2006.5.15(Sun.) 13:00~15:50
2006.5.20(Sat.) 18:00~20:50

新宿コマ、通っております(苦笑)。
今月どころが1週間で3回。西武新宿駅が便利で嬉しい。伊藤園のバナナ豆乳があって嬉しい(けっこう好き。)

前回はネタバレ全開で恐縮でしたが、今回はネタバレに触れないように行きます。

初回・2回目と見て「これはもう楽しんじゃった方がいいんだろうな」と割り切った後はすごく気楽に見てます。なんか『出し物』って感じがする。

笑い声も最初に比べて自然に客席から上がってるし、特に寺脇さんのキレが初日に比べて凄くいい。「今回は遊ぶ役」ってご本人が明言してるけど、遊び度合いがハメ外しすぎない程度で素敵。

ストーリー的には繰り返し語るにはホンが弱いような気がしますので、今回はちょっと別の視点からこの作品を語ってみようかなと思います。

この作品は「HUMANITY the MUSICAL」ということで「ミュージカル」をタイトルに掲げています。(2)でも書きましたが、「ミュージカルとして捉えるよりは、『ショー』と言うべき作品」という印象は、初見以降変わっていません。
ミュージカルとして見てしまえば、歌でストーリーが進行しないことを筆頭に、いくつも気になる部分は見つかります。

が、あえて言ってしまうなら、今回の作品、それもありかなと思うのです。
個人的には「ミュージカル」と名乗るものであれ、「ストレート」として名乗るものであれ、『舞台(生)ならではのカタルシスを得られる』ものであれば、お金を出して劇場に行くことを厭うつもりはなくて、ミュージカルに傾斜した深い思い入れって実はあまりなかったりします。

今回の作品にも出てるうちのご贔屓さん・高橋由美子嬢は「ミュージカルだからといってもいつもと変わらない」と常に話しているのですが、見てるほうもほぼ同じ感覚で、”ミュージカルだと喉が枯れないのか気になる”程度、大した変わりはなかったりします。

話はちょっと横に逸れますが、今回の作品の感想を各ブログで巡回していると、圧倒的にyahooブログが多いことに気づきます。次いで楽天がそこそこあり、逆にこのページが属してるココログ@niftyは圧倒的に少ないことに気づきます。
で、東宝作品を中心としたミュージカルの場合、見る限りこれがまったく正反対で、ココログが多くてyahooブログが圧倒的に少ないのです。

この辺はブログの特徴とユーザの特徴がリンクしてたりするのですが、ココログはあえていうなら無駄に本格派仕様のようなところがあって(しかもそれで高負荷でシステムが安定してなかったりして)、ある意味敷居が高いところがあると思うのですね。比してyahooブログは最近本格的に増加しているということもあるのでしょうが、yahoo掲示板以降の流れで、初心者にも使いやすい、敷居が低いところがあると思われます。

その辺りのところと考え合わせると、今回の『HUMANITY』、圧倒的に「舞台初心者」方面からの感想が多いということを感じるのです。あえて言うなら、「ミュージカル」にそれほどまでに慣れていない方々が見ていると。
でおおむね作品の感想を見ている限りは、かなり好意的に今回の作品を捉えてるように見えます。

でふと思ってしまうのは、「ミュージカル」としての完成度の微妙さ(あくまで個人的な見解ですので念のため)と、この好意的な捉え方のずれは何なのだろうと、そこに今の「ミュージカル」が抱える問題があるような気がするのですね。

「ミュージカル」という世界が持つ芸術性とか、作品としての完成度を否定するものではもちろんないのですが、今回の作品の受け止められ方を見るにつけ、「お客さんを楽しませる」エンタテイメント性が、今はいかに必要かということを、痛感させられるわけです。

どうしてもそういう話になると比較してしまう東宝作品(帝国劇場・日生劇場)なわけですが、客層にしてもリピート率が極めて高くて、キャスト重視の志向も強くて、基本的に非オリジナル(輸入物)。その劇場で”風穴を開けた”と言われた『SHIROH』が日本オリジナル物でかつ、エンタテイメント性を持っていたということも、何やら共通点を感じてしまいます。

芸術性を志向するあまり、敷居が高くなってしまっている「ミュージカル」と言うものに対して、普段ミュージカルを見ない人をどうやって劇場に連れてくるか、それは今後重要な課題になってくると思います。
その点において、普段ミュージカルを見ている人から多少不評であっても、エンタテイメントの基本線を追求しつつ、「ミュージカル」というものの一面を見せてもらえるのは、ミュージカルの裾野を広げるのに、決して悪いことではないと思うのです。

ミュージカルに対していい印象で帰ってもらえれば、また見てもらえることもあるかもしれない、って意味での興行に意味はあることと思うし、そういう意味では次の公演がチラシで挟めれば、本当はもっと良いんですけどね(今回のメイン4人で舞台次回作のチラシがある人は誰もいなかったりします)。

・・・そんなこと言いつつ、来月から『ミー・マイガール』『ダンス・オブ・ヴァンパイア』の観劇が控えてたりしますが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『HUMANITY』(2)

2006.5.8(Mon) 20:10~21:50
2006.5.9(Tue) 19:00~21:50
(上演時間は公式には19:00~20:15/20:35~21:40ですが、5/9現在、2幕の開始は10分以上押しています)

両日とも開演は19時なのですが、初日は遅刻。1部途中からの観劇のため、レポはまとめて今日投下です。

物語は現代の日本の会社員「新商品開発部」での苦悩といきなりパラレルワールドに吹っ飛ばされて鬼が島で鬼退治の桃太郎(劇中では「種太郎」)。
1部は2つの世界を行ったり来たり、2部はほとんどが後者の世界で、最後で前者の世界に戻ります。

ストーリーこれで終わっちゃいますが(苦笑)、逆に言うとそれほど奇抜なストーリーとも思えない分、どうやって話を繋ぐんだろうというのが初見前の感想。

あと先に予想してはいたのですが、「ミュージカル」と銘打ってはいますが、いわゆる「ミュージカル」好きという人は、受け付けない可能性が高い気がします。
帝劇あたりと客層が完全に違います。ちなみになんか修学旅行の選択コースに入っているらしく、初日・2日目ともに制服姿の高校生を何人か見かけました。


で。

ネタバレありですので、観劇前の方はご注意あれ。

------------------------------------------------------------------------
ここからねたばれ

1部はちょっと散漫な印象。新商品開発部のプレゼンで笑いを取ろうとしてるんだけど、プランの水準が高くない気がしてあまり面白くない。
テンポも無理して盛り上げようとするところがあって、正直、周囲が笑っているほどには笑えませんでした。たまにツボ突かれてびっくりするけれど、まぁその辺は周囲の笑いとツボが違うんだろう、と取りあえず納得しておきました。(ハトヤとか<見てる人にしか分からんですね)

全体的に言える話かもしれませんが、「ミュージカル」と銘打っているこの作品ですが、ショー的な要素が強いところが特徴かなと。
メッセージ性も組み込まれているんだけど、ショーに重きを置いているように見える分、展開がぶつ切れに感じるところはちょっと残念。(ある意味「そういうもの」だと予め納得していたので、まぁ予想の範囲内でしたが。)
というか、ホンは語れるほど深くないので、せっかくここまでキャストを揃えておきながら、不十分な調理で、最後はキャストの力技で何とか形にしてる感じ。
付け加えるなら、アンサンブルさんのダンスは凄いものがあります。

2部はキャストの妙という意味で面白かったかな。
鬼が島へ鬼退治に行く面々、桃太郎(種太郎)が唐沢寿明さんで犬が寺脇康文さん、猿が植木豪さんでキジが蘭香レアさん、で残り1人は鬼(笑)で戸田恵子さん。ちなみに岸谷五朗さんはなぜか同行してる鬼。

普通の作りならキジに高橋由美子さんを持ってきて、も1人で蘭香さんが入ってきて、というところになるはずなんだけど、ラスボスを戸田さんにせずに由美子さんにしたところにちょっと冒険心ありで、このあたりは岸谷さんの選球眼にGJ。

戸田さんだとある意味空気がすぐ想像つくから成る程と膝を付くんだけど、当たり前すぎて面白くないという意味もあるのかも。
何しろ由美子さんがいわば”悪役”の立場になるのは舞台ではおそらく初めて、テレビを含めても数えるほどしかありません(今年3月のテレビ朝日系『愛と死をみつめて』と、1991年フジテレビ系『獄門島』ぐらいしか記憶にありません)

彼女が演じるラスボスは邪鬼と言いますが、初日に見たとき劇団★新感線『野獣郎見参』再演版(2001年)で前田美波里さん演じた妖怪・荊鬼(いばらぎ)が脳裏に浮かんで、今でもイメージがぶつかりまくってます。
キャラクターは全然違うのですが、悪役としての筋の通し方とか何か妙に合っているというか。

とはいえ、自分の贔屓さんが悪役として倒されそうになる側に回ったのは初めてだったのでちと心の準備に時間がかかり。一瞬、会場全体が敵になったかと思いました(笑)。

鬼を倒しに来る面々を前に「鬼としての筋」をぶつけて、マイク音量最大とはいえ歌声の迫力であそこまで反撃できるあたり、キャスティングしていただいただけのことはあって、その点は良かったかなと(ちなみに今回の起用は戸田さんご推薦、寺脇さん実務アポとのこと)。
歌声で負けちゃえば「ラスボスがこんな弱くていいの?」って感じになるわけだし。

”喉つぶしたことない”とコメントしたことがある彼女ですが(※)、実際はこの新宿コマで9年前、『アニーよ銃を取れ』で喉つぶし寸前まで行ったことがあるので、この「Humanity」の曲(CDでは18曲目に入っています)、とにかく迫力出さないと作品自体の説得力に致命的な影響を与えるので、喉は大事にしてほしいと願ってます。

(※)月刊『ミュージカル』誌2003年7月号、「レ・ミゼラブル」ファンテーヌ役の時のインタビュー。

公式HPのBBSあたりを見ると彼女は1幕の17歳OLモード(ミヨちゃん)の方が評判いいらしいんですが・・・・いくら若く見える由美子さんでも実年齢-10未満の役(ちなみに現在で言うと22歳未満になります)は積極的に見たいと思わないなぁ。もう十分見ちゃった気がするし、ただキャピキャピするだけならわざわざ彼女がやる必要はないと思うし(役によっては別。寿庵とか、ありえるならエポニーヌとか。コゼットはもういいわ)。

それでもちゃんとシーンとして成立してたのは流石ではありますが(2・3年ぐらい前なら寒くて見てられなかったと思うから、すごく上達したと思う)、その辺は2役の豹変ぶりでインパクト出そうとする演出だから仕方ないのかな。

ちなみに「17歳」の方は岸谷さんいわく「昔の性格」にあてがきだそうで、本人も苦笑していたんですが、昔の性格にあてがきとか言うなら「邪鬼」の方が、しかも、性格上「天邪鬼」って方が当たってるような気がする(アイドル時代の彼女のインタビューは必ずといっていいほどインタビュアーへの否定から始まっていた(苦笑)。何でも自分の言葉で答えないと気がすまない人でした)

さてここらで他のキャストの皆様へ。

戸田恵子さん。本妻役ですね。この作品最後を飾る「朝子の夜の唄」が絶品に素晴らしいです。あぁやっぱり巧者が全てを持ってくのねと、背景に浮かぶ星空とともにうっとりさせられ、そういえばこの作品はミュージカルだったんだっけと思い出したりします(ずっとショーのつもりで見てたんで、”ミュージカル”であることを感じたのはラス前の前述「Humanity」とこの曲だけだったり)。
出番が実はそれほど多くないのに、それでもおいしいところは必ずもって行く演技巧者ぶりに乾杯。

唐沢寿明さん。格好良いです。ミヨちゃんが惚れる気の弱いとこ(1幕)も格好いいし、パラレルワールドから戻ってきて心根入れ替えるところも格好いいんですが、ホンの弱さを一番かぶっちゃった感じで損しちゃっているというか。
パラレルワールドとの対比としてその人間性を語らせてるのは唐沢さんに限らず、後述の寺脇さんも植木さんも蘭香さんもそうなんですが、むしろパラレルワールドをまったく表現してない3人-「向こうの世界でも全然変わらない」戸田さん、「現実世界をまったく描写してない」岸谷さん、「現実世界とパラレルワールドの間の関係が何もない」由美子さん-のお3方の方が人物造形的に鮮明になってるのは不思議。

俳優としての格好良さが、ストーリーの中での格好良さに微妙に繋がってないのが、ちょっと残念なところ。

寺脇康文さん。とにかく器用な役者さんだということを痛感。器用すぎて遊びすぎてストーリーからはメインじゃなくなっているけど、パンフ見てると今回はそういうこと覚悟の上みたいなので他人が心配するようなことでもなさそう。
笑いのテンポというところでは岸谷さんとはもちろん、唐沢さんとの3人で妙な空間を作ってて仲々面白いです。番宣番組「地球ゴージャスの夜」(日本テレビ、よみうりテレビで放送済)のノリそのまんまですね・・・・

岸谷五朗さん。作から演出から出演までこなしているわけですが、唐沢さんのところでちょっと触れましたが、ホンが弱いのはちょっと残念。伝えたいメッセージと着眼点は”なるほど”と思ったりするんですが、そこに至るプロセスは別の人の力を借りた方が良くなる気がする。ショー的な要素の凄さはいいなと思うけれど、舞台作品として各シーンを詰め込むだけ詰め込んで交通整理できてない感じがするので、不要なシーン削って、もっときっちり結びつけた方が説得力が増すと思う。

・・・・と、語らないつもりなのにこんなに書いてしまったけれど、全体的には女性陣がしっかりしてるので男性陣がその枠内で存分に遊べている感じですかね。

それとエンタテイメントに特化している印象があるので、見る人を選ぶ感じはあるかもしれません。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

« 2006年4月 | トップページ | 2006年6月 »