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『HUMANITY』(2)

2006.5.8(Mon) 20:10~21:50
2006.5.9(Tue) 19:00~21:50
(上演時間は公式には19:00~20:15/20:35~21:40ですが、5/9現在、2幕の開始は10分以上押しています)

両日とも開演は19時なのですが、初日は遅刻。1部途中からの観劇のため、レポはまとめて今日投下です。

物語は現代の日本の会社員「新商品開発部」での苦悩といきなりパラレルワールドに吹っ飛ばされて鬼が島で鬼退治の桃太郎(劇中では「種太郎」)。
1部は2つの世界を行ったり来たり、2部はほとんどが後者の世界で、最後で前者の世界に戻ります。

ストーリーこれで終わっちゃいますが(苦笑)、逆に言うとそれほど奇抜なストーリーとも思えない分、どうやって話を繋ぐんだろうというのが初見前の感想。

あと先に予想してはいたのですが、「ミュージカル」と銘打ってはいますが、いわゆる「ミュージカル」好きという人は、受け付けない可能性が高い気がします。
帝劇あたりと客層が完全に違います。ちなみになんか修学旅行の選択コースに入っているらしく、初日・2日目ともに制服姿の高校生を何人か見かけました。


で。

ネタバレありですので、観劇前の方はご注意あれ。

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ここからねたばれ

1部はちょっと散漫な印象。新商品開発部のプレゼンで笑いを取ろうとしてるんだけど、プランの水準が高くない気がしてあまり面白くない。
テンポも無理して盛り上げようとするところがあって、正直、周囲が笑っているほどには笑えませんでした。たまにツボ突かれてびっくりするけれど、まぁその辺は周囲の笑いとツボが違うんだろう、と取りあえず納得しておきました。(ハトヤとか<見てる人にしか分からんですね)

全体的に言える話かもしれませんが、「ミュージカル」と銘打っているこの作品ですが、ショー的な要素が強いところが特徴かなと。
メッセージ性も組み込まれているんだけど、ショーに重きを置いているように見える分、展開がぶつ切れに感じるところはちょっと残念。(ある意味「そういうもの」だと予め納得していたので、まぁ予想の範囲内でしたが。)
というか、ホンは語れるほど深くないので、せっかくここまでキャストを揃えておきながら、不十分な調理で、最後はキャストの力技で何とか形にしてる感じ。
付け加えるなら、アンサンブルさんのダンスは凄いものがあります。

2部はキャストの妙という意味で面白かったかな。
鬼が島へ鬼退治に行く面々、桃太郎(種太郎)が唐沢寿明さんで犬が寺脇康文さん、猿が植木豪さんでキジが蘭香レアさん、で残り1人は鬼(笑)で戸田恵子さん。ちなみに岸谷五朗さんはなぜか同行してる鬼。

普通の作りならキジに高橋由美子さんを持ってきて、も1人で蘭香さんが入ってきて、というところになるはずなんだけど、ラスボスを戸田さんにせずに由美子さんにしたところにちょっと冒険心ありで、このあたりは岸谷さんの選球眼にGJ。

戸田さんだとある意味空気がすぐ想像つくから成る程と膝を付くんだけど、当たり前すぎて面白くないという意味もあるのかも。
何しろ由美子さんがいわば”悪役”の立場になるのは舞台ではおそらく初めて、テレビを含めても数えるほどしかありません(今年3月のテレビ朝日系『愛と死をみつめて』と、1991年フジテレビ系『獄門島』ぐらいしか記憶にありません)

彼女が演じるラスボスは邪鬼と言いますが、初日に見たとき劇団★新感線『野獣郎見参』再演版(2001年)で前田美波里さん演じた妖怪・荊鬼(いばらぎ)が脳裏に浮かんで、今でもイメージがぶつかりまくってます。
キャラクターは全然違うのですが、悪役としての筋の通し方とか何か妙に合っているというか。

とはいえ、自分の贔屓さんが悪役として倒されそうになる側に回ったのは初めてだったのでちと心の準備に時間がかかり。一瞬、会場全体が敵になったかと思いました(笑)。

鬼を倒しに来る面々を前に「鬼としての筋」をぶつけて、マイク音量最大とはいえ歌声の迫力であそこまで反撃できるあたり、キャスティングしていただいただけのことはあって、その点は良かったかなと(ちなみに今回の起用は戸田さんご推薦、寺脇さん実務アポとのこと)。
歌声で負けちゃえば「ラスボスがこんな弱くていいの?」って感じになるわけだし。

”喉つぶしたことない”とコメントしたことがある彼女ですが(※)、実際はこの新宿コマで9年前、『アニーよ銃を取れ』で喉つぶし寸前まで行ったことがあるので、この「Humanity」の曲(CDでは18曲目に入っています)、とにかく迫力出さないと作品自体の説得力に致命的な影響を与えるので、喉は大事にしてほしいと願ってます。

(※)月刊『ミュージカル』誌2003年7月号、「レ・ミゼラブル」ファンテーヌ役の時のインタビュー。

公式HPのBBSあたりを見ると彼女は1幕の17歳OLモード(ミヨちゃん)の方が評判いいらしいんですが・・・・いくら若く見える由美子さんでも実年齢-10未満の役(ちなみに現在で言うと22歳未満になります)は積極的に見たいと思わないなぁ。もう十分見ちゃった気がするし、ただキャピキャピするだけならわざわざ彼女がやる必要はないと思うし(役によっては別。寿庵とか、ありえるならエポニーヌとか。コゼットはもういいわ)。

それでもちゃんとシーンとして成立してたのは流石ではありますが(2・3年ぐらい前なら寒くて見てられなかったと思うから、すごく上達したと思う)、その辺は2役の豹変ぶりでインパクト出そうとする演出だから仕方ないのかな。

ちなみに「17歳」の方は岸谷さんいわく「昔の性格」にあてがきだそうで、本人も苦笑していたんですが、昔の性格にあてがきとか言うなら「邪鬼」の方が、しかも、性格上「天邪鬼」って方が当たってるような気がする(アイドル時代の彼女のインタビューは必ずといっていいほどインタビュアーへの否定から始まっていた(苦笑)。何でも自分の言葉で答えないと気がすまない人でした)

さてここらで他のキャストの皆様へ。

戸田恵子さん。本妻役ですね。この作品最後を飾る「朝子の夜の唄」が絶品に素晴らしいです。あぁやっぱり巧者が全てを持ってくのねと、背景に浮かぶ星空とともにうっとりさせられ、そういえばこの作品はミュージカルだったんだっけと思い出したりします(ずっとショーのつもりで見てたんで、”ミュージカル”であることを感じたのはラス前の前述「Humanity」とこの曲だけだったり)。
出番が実はそれほど多くないのに、それでもおいしいところは必ずもって行く演技巧者ぶりに乾杯。

唐沢寿明さん。格好良いです。ミヨちゃんが惚れる気の弱いとこ(1幕)も格好いいし、パラレルワールドから戻ってきて心根入れ替えるところも格好いいんですが、ホンの弱さを一番かぶっちゃった感じで損しちゃっているというか。
パラレルワールドとの対比としてその人間性を語らせてるのは唐沢さんに限らず、後述の寺脇さんも植木さんも蘭香さんもそうなんですが、むしろパラレルワールドをまったく表現してない3人-「向こうの世界でも全然変わらない」戸田さん、「現実世界をまったく描写してない」岸谷さん、「現実世界とパラレルワールドの間の関係が何もない」由美子さん-のお3方の方が人物造形的に鮮明になってるのは不思議。

俳優としての格好良さが、ストーリーの中での格好良さに微妙に繋がってないのが、ちょっと残念なところ。

寺脇康文さん。とにかく器用な役者さんだということを痛感。器用すぎて遊びすぎてストーリーからはメインじゃなくなっているけど、パンフ見てると今回はそういうこと覚悟の上みたいなので他人が心配するようなことでもなさそう。
笑いのテンポというところでは岸谷さんとはもちろん、唐沢さんとの3人で妙な空間を作ってて仲々面白いです。番宣番組「地球ゴージャスの夜」(日本テレビ、よみうりテレビで放送済)のノリそのまんまですね・・・・

岸谷五朗さん。作から演出から出演までこなしているわけですが、唐沢さんのところでちょっと触れましたが、ホンが弱いのはちょっと残念。伝えたいメッセージと着眼点は”なるほど”と思ったりするんですが、そこに至るプロセスは別の人の力を借りた方が良くなる気がする。ショー的な要素の凄さはいいなと思うけれど、舞台作品として各シーンを詰め込むだけ詰め込んで交通整理できてない感じがするので、不要なシーン削って、もっときっちり結びつけた方が説得力が増すと思う。

・・・・と、語らないつもりなのにこんなに書いてしまったけれど、全体的には女性陣がしっかりしてるので男性陣がその枠内で存分に遊べている感じですかね。

それとエンタテイメントに特化している印象があるので、見る人を選ぶ感じはあるかもしれません。

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End ^) See you

投稿: Bill | 2007/08/21 23:10

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