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『ハゲレット』

『ハゲレット』
2006.3.12(日) 新宿・紀伊國屋ホール 14:00~16:10

2週間ぶりの観劇は、今年初めてのストレートプレイ。
東京・新宿駅東口、紀伊國屋書店の4Fにあるいわゆる「中規模ホール」のこの劇場。自分の仕事柄絶対にこの名前を「国」と表記できなかったりします(知る人はぴんときますかね)

若ハゲに悩む主人公・ハゲレットことハムレットに近藤芳正さん。去年冬の「デモクラシー」で初見以来、気になる役者さん。
ハゲレットもといハムレットの恋人役・オフェーリアにストレート初挑戦の笹本玲奈さん。「ピーターパン」以外全作品を見ています。今回で観劇6作品目。(レ・ミゼラブル、イーストウィックの魔女たち、ミス・サイゴン、CLUB SEVEN、ベガーズ・オペラ)
ハゲレットもとい(しつこいなぁ)・・・の母親が久世星佳さん。「モーツァルト!」初演(2002年)、再演大阪・東京(2005年)でミュージカルでは拝見しているものの、ストレートを見るのは初めて。ストレートでの評価が高い役者さんというお話は存じ上げていたので、結構楽しみにしていました。

こじんまりした劇場ということもあって、安い席(まぁそれでも7千円近くしますがね・・・)なのに視界が開けて結構お得。当日券もあるようですが何せ席数の都合、さっさと売り切れていました。

この作品、前説でけっこう笑えます。引き合いに出すわけじゃないですが、キャラメルボックスから内輪受けはずすとこんな前振りかなーとか思います(記述に悪気はないつもり(苦笑))。

この作品のお題目で、「世に悲劇は多くあれども、これほどの悲劇がありましょうか」という前振りがあるのですが、思いっきり笑えます。若ハゲを活かしてもっとシュールにいくのかと思いきや意外に正攻法で攻めてきます。わざわざ笑わせないように進めるところが、あざとくなくて好き。
若ハゲのハゲレットもいじけつつも、少なくともハゲに関しては深刻なところないし。

オフェーリアを「オフェ」と言って玲奈嬢がぷんすか怒るあたりは結構テンポが好きだったり。

というか先にストーリーが進んでも、ハムレットがハゲである必然性がどこにも感じられません(笑)。ハムレットがハゲでなくても、単純に悲劇じゃん、と。
そりゃ相手はハムレットの頭を見て目をそらしますが、真剣に傷ついている感じもないせいか、皆さん全員気にせず突っ込む。そりゃ最初は言いよどむけれど。

主役のハムレット役の近藤さん。つかこの人の台詞の文字数って何千文字あるんだろう・・・
2時間10分(休憩なし)の時間中、たぶん半分以上この人の喋り。もぉそれだけで尊敬のまなざしだし、脇に食われることなく最後まで主役の座を守り続け、名君として物語を締めくくれるのだけれども。何なんだろうこの「何も残らなさ感」がちと微妙。

相手役のオフィーリア役の笹本さん。だいたい予想通りの立ち振る舞いでした。というか、前半の芝居は2ヶ月前に日生劇場で見たポリー役(ベガーズ・オペラ)そのもの。芝居の引き出し、やっぱりまだ浅めかなーとか思っちゃったり。夢見る夢子ちゃんをいやらしく見せない技術は恐らく一二を争うんだろうけど、もちょっとアピール強いともっといいなー つか、声が意外に通らないことが個人的には気にかかったけれど。(いつもマイク通して聞いていたからかもしれない)
オフィーリアといえば狂気の芝居なんでありますが、ここももう一押し欲しかったー
狂ってるのはわかるんだけど理性が残ってるのが見えちゃうのがちょっと惜しい。少女であることを捨てきれない理性が、狂気の凄みを薄めちゃってる感。

とはいえドレスの似合い方が絶品で立ち姿もきれい。見た目的には、目の保養。

※ちなみに自分が思い出すオフェーリアのイメージは、小学館コミックス「P.A.」(赤石路代先生)の主人公・小早川志緒の最大のライバルとして立ちはだかる少女・十文字花菜(後に整形し両堂沙都香となる)が演じた狂気の役柄。
結構この作品は舞台で見たかったりするけど先にテレビドラマ化されちゃったな(ちなみに主演は榎本加奈子さんでしたが、ライバル役がぜんぜん印象に残ってないな)ー
しかしオフェーリア役、笹本さんでさえ物足りないのなら誰にやってもらえばいいのかぜんぜんわからん。

そして王妃役の久世星佳さん。前述の笹本さんに理性の欠片を見てしまったわけですが久世さんの役は、なんつーか品を捨てて女に生きてます(笑)。悪い意味ではなくて、本音で生きてる感じ。
王妃としての品格はとりあえず(とりあえず程度だけど(苦笑))、しっかり残しながらもはっちゃけてまして、宝塚のいいところを残した女優さんでやっぱり素敵です。この舞台に出てくる登場人物は10人近くいますが、女性2人だけでほぼ男性全員を迎え撃つ、女性強すぎです。

ストーリーは・・・・ネタバレだと面白くなくなるから自粛。
最終1分前まで笑えるとは思いませんでした、というのは予想外。
笑いたい方には、結構お勧めです。

改めてパンフレット(壱千円也)を読むと、「ハゲは本題じゃなくて、喜劇色が強かった頃の、小難しくないハムレット」を目指したもののようで、”ハゲかんけーないじゃん”という感想は、一応演出通りのものだったらしいです。
”人間は考える生き物である”と、ただひたすらに”考える”ことを止めなかった人。
優柔不断といってしまえばそれまで。
でも、あまりに世の中、”考え”なさ過ぎることに対する警鐘なのかな、とは思えました。

なお、DVDが7月21日に出ます。最近はこの手の作品でもDVDが出るのが当たり前になってきて、うれしい悲鳴かも。今回は結構安めで5000円割ってます(税込4935円)

あと個人的には『HUMANITY』の本チラもらえて嬉しかった(戸田恵子さんも高橋由美子さんもさすがに決まってます。カッコいい)。
すっかりチケ取りするのを忘れてたキャラメルボックス「ミス・ダンディライオン」のチラシもあって良かった(何とか土日が取れた・・・・原作読んだとき主人公の鈴谷樹里が絶句するほど格好いい女性だったのですごーく楽しみ。それに何せ岡田さつきさんだし)。

そんなこんなで最近女性の役者さんを見ると、可愛さより格好良さが気にかかるようになってきました。
私も歳かも(笑)。

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コメント

こんにちは。
「ハゲレット」行きたかったのですが、無理です。個人的にマチネしかダメで、日程的にも無理でした。でも、DVDが出るんですね?潔く諦めてDVDを待つことにします。

久世さんは一度だけですが、「OUT」再演で見ました(まだ関西にいたので、近鉄小劇場だったかな?)。とってもかっこよかったです。ストレート向きなのでしょうか。

投稿: ピラフ | 2006/03/17 08:40

コメントありがとうございます。

DVDの話はあまり出てないのですが、チラシが入っていましたので確定だと思います。
すごく面白いのでお楽しみに。
席数から見て当日券も無理なので券増やしは断念してDVD待ちにします。

>久世さんは一度だけですが、「OUT」再演で見ました(まだ関西にいたので、近鉄小劇場だったかな?)。とってもかっこよかったです。ストレート向きなのでしょうか。

久世さんはこの作品で読売演劇対象優秀賞を受賞されていますね。ストレートは水を得た魚という感じで、流石と言う感じでした。(欲望に忠実なあの様が素晴らしいです)

投稿: ひろき | 2006/03/20 03:03

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