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2006年2月

『HUMANITY』(1)

公演が始まってない段階で書くのは初めてではありますが、まぁ今年前半の個人的メインで、チケット発売日も過ぎてしまったことだし、とりあえずエピローグ編。

岸谷五朗さん・寺脇康文さん率いる企画ユニット・地球ゴージャスの第8回公演『HUMANITY the Musical』。5月8日から6月11日まで新宿コマ劇場、6月21日から30日まで大阪フェスティバルホールで上演。

ちなみに作品公式

メインキャストに唐沢寿明さん、戸田恵子さん、そして高橋由美子さんが入っているため当然のごとく観劇対象に入り込んだこの作品。

地球ゴージャスの舞台自体が初めてなのと、前作『クラウディア』がミュージカル方面の客層から仲々お目にかかれないほどの評判(とりあえず横で聞いていた限り、あまりいい評判でなかった)ゆえに、チケット獲りは思いっきり賭けでこざいました。

メイン3人の売りを「唐沢さんの悪ふさげ、戸田さんの演技、高橋さんの歌」と評している(岸谷さんいわく)以上、ミュージカルとあってはさんざ由美子さんに歌わせるのは自明の理なわけで、賭けとは言っても個人的にはあまり心配していない賭け。

新宿コマ劇場といえば今まで一度しか行ったことがなく、9年前(1997年)の由美子さん主演『アニーよ銃を取れ』以来。とはいえ、2年前(2004年)に地下1階のシアターアプルで『真昼のビッチ』に通い、去年は演劇集団キャラメルボックス『僕のポケットは星でいっぱい』『広くて素敵な宇宙じゃないか』を見ているので、それなりに空気は分かってる劇場。

自分の観劇歴は東宝作品にかなり偏っているので、今回のこの『HUMANITY』はけっこうカルチャーショックを受けることが多いのですが、印象的なのはプロモーションの仕方。
東宝作品がなんだかんだ言っても観劇の玄人の囲い込みのような方向を志向する(広義で言えば宝塚も似たような印象)のに比べ、かなり一般層への訴求をメインにしている印象を受けます。舞台とかミュージカルというより、アミューズメントというか、「観劇」よりも「娯楽」的な要素が強いような気がします。

そう言ってしまうと新感線がかなり近い印象を受けますが、それともまたちょっと違う感じ。地球ゴージャスファンがコメントしていた、「お祭り」「イベント」的な空気を感じます。
これは色んな意味を含んでいて、まず単純な話として宣伝への力の入れ方。地球ゴージャスといってもアミューズが入っていて、新宿コマ劇場はアミューズと業務提携(去年3月)したのだから当たり前と言えば当たり前なのですが、各媒体へのプロモーションにけっこう意欲的なのが、正直意外でした。
その上、主催が日本テレビだし。

新宿コマ劇場は東京で事実上座席数が一番多い劇場(2092席。ちなみに帝劇は1917席)なので、そうでもしないと席が埋まらないと言うのも一面ではあるのでしょうが、演歌公演の趣が強い同劇場だけに、公演ラインナップの多様化が謳われているようで、去年の『We Will Rock You』に続き実験的な公演とも言えそうです。(制作発表でも話が出ていたのですが、以前は『ピーターパン』もここだった(現在は東京国際フォーラム)し、『アニーよ銃を取れ』も初演からここ)
今回は地下1階に音漏れしないといいなぁ・・・・

キャスト陣、メイン7人のうち舞台で見たことある人は由美子さんだけなのですが、演技巧者の戸田恵子さんは『ショムニ』で見てたし安心感ある姉御殿。年始には由美子さんの自宅で新年会をする間柄。唐沢さんとは上川さん通じて飲み仲間、一緒にカラオケ行く関係だそうで毎度毎度飲み仲間何人いるんだか(笑)。

唐沢さんは地球ゴージャス初登場、戸田さんは2度目。
由美子さんは初めてですが、きっかけは昨年3月に放送された寺脇さん出演の『相棒』第3期シリーズ最終回(由美子さんはトランスジェンダー役の2役を演じ、高橋恵子さんと3度目(※)の母娘役でもありました)に出演を口説いたそうで、だいたい予想通りではありました。

(※)『おかみ三代女の戦い』(TBS系、1995年)、『新・地獄変』(新国立劇場、2000年)

地球ゴージャスの歌姫といえば2年前の『クラウディア』の本田美奈子さん(昨年逝去)の印象が強いところでしょうが、今回の高橋由美子さんがどこまで迫るかといったところ。
アイドル出身のミュージカル女優にしてついぞ同役をやることがなかった2人(※)が、同じような立ち位置(歌中心のヒロイン)で存在することになるという意味でも、出来が気になるところではあります。

(※)本田さんは由美子さんの演じた『レ・ミゼラブル』ファンテーヌ役をキャスト決定後に降板。由美子さんは本田さんの演じた『レ・ミゼラブル』エポニーヌ役、『ミス・サイゴン』キム役はいずれも演じずに別役で出演(後者はエレン役)していたため

由美子さんがエポニーヌとキムを演じれば同役になるんだけど、東宝さん的には絶対ありえないし・・・
もうファンテーヌとエレンやっちゃったからなぁ・・・

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『屋根の上のヴァイオリン弾き』

2006.2.5 日生劇場 17:00~20:20
2階F列34番(B席センター、e+先行)

昨日から始まった同作品の東京公演。さっそくいそいそと見に行って参りました。
2004年版(東京芸術劇場)で1度見たことがあり、今回が2度目。
とにかく女性陣が毎回キャスト総変わりなのが特徴で、市村正親さん演じる父親・テヴィエの娘5人、妻合わせて6人、全員変わってしまいました。

娘5人のうち、上から3人の位置付けがあまりにメインなので、5人姉妹であることを今回初めて気づく始末(苦笑)。

主役・四代目テヴィエとなる市村正親さん。2004年版から登板し、昨日の東京初日で100回目。市村さんの演技を見るのはこの作品が5作品目なのですが、たまに氏の演技は理屈が観客に押し寄せてくるようで、すごく疲れることがあるのですね(それを一番感じたのは去年の『デモクラシー』だったかと。『MOZART!』でさえたまにそれを感じたぐらい)。
この作品での市村さんは遊べるシーンがあまた一杯あるせいか、軽やかさと重厚さを上手く使い分け、会場を市村ワールドに惹き込んでいきます。何というか、この作品ほど「クスクス」という微妙な笑いがあるもの見たことない・・・・
市村さんの作品の中で一番好きな作品というところは、今回も変わらなかったのが良かったな。とりあえず、氏がそこに存在すればそれで成立する舞台。じゃぁ、それを相手する共演陣はというと。

今回に関しては男性陣の存在感が目立ちます。

何といっても駒田一さん(仕立て屋・モーテル役)。気の弱さをとてつもなくコミカライズして演じる動きは、どことなく市村さんの「くねくね演技」を彷彿とさせるものがあります(この作品で市村さんの動きは、軟体動物みたいにちょっと変です(笑)。まぁそういうキャラだけど)。いつも上手いなぁと思うのはそこまでコミカライズしても、わざとらしくないというか、邪魔にならずに憎めないのが最強。

あとは復帰組の吉野圭吾さん(学生・パーチック役)。小生意気に論説を説く、どこか赤方面の革命学生風。「可愛げはないけど悪気はない」ってところを実に巧みにすくい上げてます。歌は・・・・まぁ普通かな。

何気に鶴田忍さん(肉屋・ラザール役)の立ち位置も前回見て以降ツボ。テヴィエとお互い相容れないところもあり、かつ、婚約解消といういざこざもあったり(ラザールはテヴィエの長女・ツァイテルを見初め、結婚を申し込みます。が、ツァイテルはモーテルとの愛を貫くことになります)、まぁいろいろあるわけですが、それでも、最後のテヴィエとの別れのシーンは何だかちょっとじーんと来てしまいます。

「お互いぶつかったりもしたけど、お互い幸せに生きていこうな」って感じが、男の友情ぽくって、ベタだけど好きなシーン。

さて翻って女性陣。

今回、女性陣で個人的なツボ1位は、なぜかイエンテ(笑)。
村で一番のお節介焼き、縁談持ち込みの後家さんなわけですが、大層キャラが立っております。この人も、「うるさいんだけどうざくない」というまた絶妙なバランスの上に成立してる素敵キャラ。なんでこのキャラに惹かれるんだか分からないんですが、とりあえず一番印象には残りました。

そしてテヴィエ家の人々。
まずは妻のゴールデ(浅茅陽子さん)。前回は夏木マリさんが演じられていました。ちょっと1幕のテヴィエの尻敷き具合が弱いかなってのが気になったかも。テヴィエは恐妻家なわけですが、「あの奥さんに尻に敷かれるの?」って疑問が浮かんじゃったのは残念。とはいえ、2幕、テヴィエ一家がアナテフカを追われることが決まってからのゴールデの変貌振りに目を見張ります。「お家の一大事に私こそが夫のテヴィエを支え、娘たちを守っていくんだ」という決意が見えて、凄くかっこ良かった。

長女・ツァイテル(匠ひびきさん)。前回は香寿たつきさんが演じられ、最近は宝塚出身者の定番枠となった役。前回の香寿さんが凄くお気に入りの演技だったので、ちょっと心配していたのですが、匠さん、仲々上手くこなしてくれます。相手役が駒田さんってこともあって、巧みにバランス取ってるアシスト故でもあるけど、長女ぽいしっかりしたところも見せ、1幕のヒロインとしての振る舞いも堂に入ってます。前回の香寿さんのイメージからすると、もちょっと天然ぽいところが入ってると良かったんですが、まぁそれは個人の好みというものなのでしょう。

次女・ホーデル(剣持たまきさん)。前回は知念里奈さんが演じた役。知念さんが結婚で空いた東宝ヒロイン枠は、この作品+夏の「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で立て続けにたまき嬢がゲット(もう30近いので東宝ヒロインにしては年行ってるんですけどね)。澄み切った声楽系ソプラノが最大の売り。

で、結構期待しすぎたのかな。意外にそれほど目立ってなかった。3人姉妹の中ではソロでは一番格上になってる「愛する我が家をはなれて」があるだけに、メインヒロインという言われ方もするこの役(かつては本田美奈子さんも演じていました)。音階が合ってないのと、声楽系ということもあり歌で感情を感じさせにくいところがちょっと弱い。
(歌声は綺麗なんだけど、見ていて気持ちを乗せるのが難しい人なんですよね)

逆に、演技はけっこう自然で相手役の吉野さんとのバランスも良。レミゼのコゼット役での「どことなく冷たげなお嬢さん」のイメージを裏切ってもらえて、そこは良かったな。

三女・チャヴァ(安倍麻美さん)。前回は笹本玲奈さんが演じた役。いまや帝劇ヒロインを演じる人が前任で、今回は初舞台だもんなぁ。さすがに落差ありすぎてちょっと・・・
笹本さんは今でもすぐホーデルできそうなレベルだからなおさらそう感じてしまう。
笹本さんじゃ役者として勿体無すぎる役だけど、安倍さんじゃ役者として無理すぎる役。
まぁ普通に演じれば普通の脇役に見えてしまうだけだけれども、2幕最初のヒロインがホーデルなのに対し、最後のヒロインはチャヴァなので、このレベルだと舞台が締まらないのがちと辛い。

とりあえずキンキン声に感情が乗らない台詞回しはこれも仕様だろうなと思って見てましたが、それでももう少し可愛ければ、とか思ってしまったりするけれども(失礼)。

作品の全体として見ると再演とはいっても内容はほとんど変わっていないため、キャストのフィット具合で見ざるを得ない作品ではあります。熱狂的にリピートするほどではないけれど、たまに見るにはちょうどいいかなという印象。
そんなことを言いつつ、あと1回(2月18日ソワレ)は見ますが。

ちなみに、パンフレットのたまき嬢から市村さんへのコメント面白すぎ。
ねたばれ

姉妹の中で一番背が高くなってしまったこと
手も首も長くなってしまったことをお許しください
口も達者ですいません

・・・・何が面白いってこれが一番噴き出しました
どうして東宝系の舞台に出る女優さんはこう天然が多いんだかw

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