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井上芳雄コンサート

2005.9.18(日) 14:00~16:30 天王洲・アートスフィア

前売りを入手し損ねて、公演開始を迎えてしまったこの公演。
当日券に男一人で並ぶのは大層恥ずかしかったのですが(苦笑)、評判もなかなか良かったのと、曲目がツボに入ったのでちょっぴり躊躇いを感じつつも行ってきました。

アートスフィアに行くのは初めてで、りんかい線(東京臨海高速鉄道線)の天王洲アイル駅から入ったのですが、予想したより遠く、危うく迷うかと思いました。

当日券は1時間前からの発売でしたが、並んでた約30人のお客さん(ちなみに男性は私を含めて2人しかいませんでした)はほぼ購入できたようです。
当日券もかなり席が限定されていて、残念ながら一部見切れがある3階席だったのですが、歌を聞くのがメインだし、その辺は割り切って見ることにします。

曲目も出てくるので、一応ネタバレ注意。

井上芳雄氏は『MOZART!』『ミス・サイゴン』『バタフライはフリー』と3作でお目にかかってる役者さんですが、コンサートの場で拝見するのは初めて。

ミュージカル曲とそれ以外の曲の混在の構成ですが、やっぱりミュージカル曲の方が3割増しの存在感を醸し出しています。あとは英語歌詞の歌はちょっと聞くのが辛いというか、悪くはないと思うのですが(第2部の「If We Hold On Together」は仲々良いです)、あえて英語歌詞は積極的に聞きたいとは思わないかなぁと。

彼のソロ曲で一番良かったのは第1部の「星から降る金」(『MOZART!』)。
本来なら彼が舞台上で男爵夫人が歌ってるのを聞いてる立場なのに、この公演では立場ひっくり返して自分で歌っているのですが、上手いんですねこれが。
まぁ難易度超Aランクのヴォルフガングの曲をあそこまで歌えるようになった訳なので、これだけ歌えても不思議なわけでもないのですが、曲の空気にただ浸って流すわけでもなく、技術に凝りすぎることもなく、スマートに歌いきった様が流石です。

「Stars」(『レ・ミゼラブル』)、ご存知ジャベールのソロ曲ですが、彼のキャラクターは明らかにマリウス系なわけでいささかキャラ違いな面が否めません。単独で歌っている様子だけ聞けば、それなりにサマになってるのですが、まぁその辺りはいずれやる(であろう)役を先行してやる訳にいかないという大人の事情故なのでしょう。

ミュージカル以外の曲では「雪の華」は好きな曲だし聞けて良かった。

全体的に若いだけあって情感まで求めるのはきついのかなぁと思えど、あのテノールの語尾伸ばし歌いは心地よく聞けます。その分、後半のゆっくり目の曲は睡眠不足の人間にはそれはそれは大変ですが。

ただ、やっぱり『MOZART!』帝劇公演終了後、明日までの公演の直後に『エリザベート』を控え、余裕のなさは正直否めないところ。MCも自虐的な発言も多かった気が。前日にエリザベートのプロデューサーが見にきて「あのダンスで息上がってて、ルドルフは大丈夫なのか」と言われたとか(笑)。
まぁそのあたりは、わざわざ口に出してプレッシャーを軽減しようとするタイプと見てるので、あまり心配をするわけでもないのですが。

そしてそんな彼を結果的にフォローすることになってるゲスト役の笹本玲奈さん。
ご推察の通り、男一人で井上氏のソロだけなら、さすがにわざわざアートスフィアまではるばる行かないわけで、結局最終的に行くのを決めたのは彼女の存在。

彼女の出演作は『レ・ミゼラブル』『イーストウィックの魔女たち』『ミス・サイゴン』『屋根の上のヴァイオリン弾き』の東宝4作はコンプリート状態。
若さの勢いで井上氏をそこかしこでリードしてまして、2人でダンスする第2部「スチーム・ハート」では彼女は全然息が上がってないという。
結構激しいダンスだったのに、さすが本人自ら「ダンスは一通りやりました」と断言するだけのことはあります。
来月に『CLUB SEVEN』に登場ですが、踊りは全然心配なさそうです。

2人のデュエットは「TONIGHT」(ウェスト・サイド・ストーリー)と「真夏のシリウス」(書き下ろし)に「オペラ座の怪人」、そして「世界の終わる夜のように」(ミス・サイゴン)に上記「スチーム・ハート」を加えた5曲。

特筆されるのが2人の初共演になったサイゴンの曲。
正直言ってしまえば、この曲が歌われると聞いたから行ったのですが、帝劇で初めてこの組み合わせでこの曲を聴いたときの衝撃は忘れられません。「相性」って言葉はこの2人の、しかもこの役の為にあるだろうというぐらいどハマリで凄かったです。

井上クリスのどこか世の中甘く見てるようなキャラクター作りに、笹本キムの無邪気な特攻モードが「キムとクリスの間の”若い恋”を燃え上がらせてしまう」という場面を全開で表現しきってたから、また見れてすごく嬉しかった。

もう1曲楽しみだったのが「オペラ座の怪人」。今年1月に同作品の映画試写会イベントで披露された井上ファントム&笹本クリスティーヌのど迫力デュエット。抽選で外れて後日動画で拝見しましたが、これもビックリする位の凄みで、かつビジュアルも極めて妥当な組み合わせ、生で見れて眼福。

・・・・とすっかり誰のコンサートに行ったのか分からなくなってますが(苦笑)、9月のこれだけ厳しい時期にコンサートを入れるのにあたっては、ゲストに力量と相性を兼ね備えた彼女を入れたのは、井上氏にとってもかなり負担の軽減になったような気がします。
ソロコンサートに比べてしまえば、ずいぶんとおいしいところ持っていかれている気がするのは痛し痒しかもしれませんが。

2人のMCはなんだかとっちらかったまったりムードでしたが、一つ印象的だったのが、井上君・笹本さんともに、「日本語の役名をもらったことがない」というコメント。
井上君はヴォルフガングにルドルフ、マットetc、笹本さんがエポニーヌにチャバ、キムにピーターパンetc。厳密には井上君は蜷川さんのところで日本語の役名をもらってる気がするけど、それはともかく、ミュージカル俳優・女優として生きてると、外国のキャラクターを演じることになる、というのが現実なのだなぁ、と2人の売れっ子を前にしてさえちょっと複雑な思い。
作品の層の薄さってものはどうしてもあるのかもしれません。

DVDが12月16日に発売されますが、権利の関係で全曲の収録は無理とのことで、とりあえず曲目わかるまで保留。サイゴンとオペラ座の怪人のどっちかが入ったら即買いのつもりだけれど、どっちも厳しそうだなぁ。

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