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『SHIROH』を語る。(27)

ゲキ×シネ第3弾『SHIROH』が東京・渋谷シネクイント(パルコpart3 8F)にて開幕(9月9日まで)

作品については、(1)~(26)もご参照。
(ただしネタバレがいっぱいあるので要注意)

舞台公演中にはさんざん書いた作品、また語れるのが嬉しいです。

20日が初日ということで、アクセス解析を拝見すると、昨日の真夜中にレポが上がると思っていただけたようで大変恐縮です。なぜ昨日の真夜中に上がらなかったというと、私の昨日と今日の行状。

8月20日(土)10:45~14:20 『SHIROH』(渋谷シネクイント)
       17:45~21:00 『MOZART!』(帝国劇場)
8月21日(日)15:00~18:25 『SHIROH』(渋谷シネクイント)

・・・・えーと、結果として体力・気力の限界に挑戦しておりました。
『SHIROH』のゲキ×シネが発表される前、帝劇の井上ヴォルフを見れる最終回としてチケット取ってあった20日ソワレの存在がここまできついスケジュールを強いるとは・・・・贅沢な悩みとはいえ、命削って演じられるこの2作品に、どっぷり漬かると、その夜にレポを書く気力は一欠けらも残っていませんでした。

●公演データ
 2005.8.20~9.9 渋谷シネクイント
 パルコpart3(パルコpart1から5Fで連絡通路で連絡)8階
 10:45、15:00、19:15上映(8/31のみ10:45休演)
 1幕1時間38分、休憩10分、2幕1時間37分

●キャストデータ(主要キャスト)
 シロー   (中川晃教)
           :「神の声を持つ男」。声で人の心を操る。
 益田四郎時貞(上川隆也)
         :「神の声を待つ男」。奇跡の力を失ってしばし経つ。
 山田寿庵  (高橋由美子)
         :闇市の主。キリシタン軍の軍師として四郎を支える。
 レシーナお福(杏子)
           :四郎の姉。
 リオ    (大塚ちひろ)
           :シロー・四郎にしか見えない少女。
 柳生十兵衛 (橋本じゅん)
           :剣豪。
 お蜜    (秋山菜津子)
     :くの一。隠密として天草に入るがシローの声に魅せられる。
 松平伊豆守信綱(江守徹)
           :島原天草の乱を鎮圧した実務政治家。


 以下、内容的なネタバレを含んでおります。ご注意ください。

●作品の印象
 舞台をご覧になった方向けに一言で要約してしまいますと、

 帝劇の2階席1列目から全体を俯瞰しつつ
 帝劇の1階席最前列から視力2.0で役者の表情を見つつ
 (ただしこの2者は自動切り替え)
 梅コマの2階席1列目の音響を重ね合わせた作品

 かと。
 
 舞台の勢いを殺ぐことなく、あの空間をしっかりと映像に納めきっているカメラワークと編集技術の高さにまず脱帽。そして役者のアップが場面場面で極めて有効に入ってきて、スケール感に説得力が上乗せになっているのが素晴らしい。

 あえて苦言を呈してしまうとすれば、殺陣シーンに妙にスローモーションを多用してるので、あの四郎と十兵衛の真剣勝負の緊迫感が妙に薄れてしまっているのが残念。(でもじじいが飛び上がるシーンのスローモーションだけはすごくはまっていて爆笑)

 シネクイントは座席が千鳥配置。5列目センター辺りがベストかと思われます。
(2回見た分は、2列目・3列目でしたが、2列目はやや首を上に上げる必要があり、3列目はあまり気にならないとはいえ全体がたまに見にくい。4列目は千鳥配置の結果、どセンターの中線から外れるので、まぁ5列目ぐらいかなと)

●舞台の存在感と映像の存在感
 映像版を見て思ったのが、「お蜜と寿庵とリオって同じ存在感だっけ?」という点。

 映像版ではお蜜さんの存在感が控え目。寿庵も劇場版より更に存在感出した作り(アップとして入り込むのは寿庵が多い)だし、それ以上に何と言ってもリオの目立ち方が舞台版の比でないぐらい大きい。
 でも改めて考えてみると、もしかして最初に作ろうとした『SHIROH』ってこの映像版で出来上がったものじゃなかったのかなと思った。お蜜さんを秋山菜津子さんという稀有な実力の女優が演じたから、舞台では存在感がすごく強く出ていたけど、改めて映像版で見てみると、舞台の上での存在感が、そこまでは表現されていない。

 それは逆の見方もあって、秋山さんが持っている舞台上のオーラというものが、寿庵役の高橋由美子さんとは少しく差があって、リオ役の大塚ちひろさんとは更に差があって、その辺りが後者お2人がパンチに欠けると言われてしまう部分なんだろうな、と思ったりもする。
それでコンスタンツェ、ねぇ・・・・(と、ぼそっとひとり言)

●映像版オススメシーンの羅列

M1「約束の地」:寿庵の声で始まる幕開けシーン。大阪では抑え気味になったので、この映像版で帝劇バージョンが残ったのは嬉しい。

M8「ヘイユー四郎」:甚兵衛のジャンプシーン(前述)。笑えます。

M9「なぜに奪われし光」:四郎とリオの表情が左右に来るシーンがうるうるポイント。

M12「かっちゃん&しげちゃん」:寿庵の登場シーンは何度見ても「野獣郎見参」の晴明塚しか思い出さない。

M13「ROCK’Nイズノカミ」:映像版、音が凄いのは良いんだけど、江守氏の歌だけはキツイ・・・・劇場では何とか聞き流せる範囲だったけど、映像版は本気で耳栓欲しい・・・

M17「さんじゅあんの闇市」:シロー&ゼンザがキリシタン目付・津屋崎主水(池田成志さん)に捕らえられる場面。なぜか、ゲキ×シネ公式チラシには「柳生十兵衛に捕らえられ、役人の詰め所に連れて行かれる」と書いてあったりする(笑)。

M18「さんじゅあんの闇市(リプライズ)」:CDに入らなかったのが今でも謎。四郎と寿庵のデュエットはタッパの差(ほぼ20cm差)を物ともせずに成立しております。

M21「キリシタン目付に国境はない」:キリシタン目付2人が戯れてる間、なぜあなたはそんなにつまらなそうなんですか(笑)>ゼンザ殿(泉見洋平さん)さすがにあくびまでしてたのは大笑いでした。

M22「まるちり」:ここはリオが唯一微笑む(シローに対して)ところが好き。ちひろ嬢のアップはすごく綺麗。さすが若さだと思う。中川君とちひろ嬢、あまり背の差がないのは今後に向けて朗報なのかも。

M28「お蜜と寿庵」:お蜜さん、寿庵の胸の十字架を取り上げようとして、CDでは寿庵の「ぎゃー」という声だけ残ってますが(笑)、映像版ではどう見ても胸を鷲掴みにしてるようにしか見えません(苦笑)。
(※ハイライト版CDとDVDの収録日は同じです。CDもDVDも昼・夜の混成ですが)
寿庵の啖呵にギョッとする四郎様の表情が秀逸。
お蜜と寿庵のど派手な喧嘩にまったく手を出せず、両手をひらひらさせてるシロー。
あっきー、何なんだその変なリアクションは(笑)。

M33「板倉重昌A GoGo!」:松倉勝家殿(右近健一さん)がここの映像にバリバリ入ってくるのはどうなのかなぁ・・・・
ここは板倉重昌最後の見せ場なんだし、吉野圭吾さんオンステージで良かったと思うけどな。
予告版にも出てるけど、なぜか妙にピンぼけしてるし。

M35「主よ、なぜ彼なのですか」:ここの直前でシローと四郎が話すところ。四郎様の「リオをリオと名付けた理由」のシーンは壮絶で見ていていつも胸が詰まる。中川君もここのシーンの上川さんとの対峙について、「圧倒されるほどの迫力」と表現してた意味がよくわかる。これだけの人と当たってる中川君、幸せな人だよね(帝劇でも当たってる相手は山口祐一郎さんに市村正親さんだもんなぁ)。

M38「幕府の犬に断罪を」:ここも大好きなシーン。大好きと言えば変な話だけど、真剣勝負のバチバチ感が壮絶。M28と対になって、疑惑が確信に変わったお蜜に対する詰問、そして一人蚊帳の外に置かれたシローの暴走のきっかけになるシーン。どんな集団も内部分裂から崩壊が始まるんだな、と思わせてしまうシーン。

M39「お蜜の真実」:伊豆守の剣で貫かれ、「女・・・・ですか」と呟いて倒れるお蜜。M15「忍法・水鏡」で妹のお紅(高田聖子さん)と一緒に伊豆守に接してるのに、お紅は手で払われてたのに反して、お蜜は伊豆守のお気に入りぽかったっけ。
伊豆守はお蜜を愛していたのかも。くの一としか見てもらえなかったお蜜が、伊豆守の手により散る、その時に女として認められ、最後は自分を女に戻してくれたシローの腕の中でキリシタンとして洗礼されて息絶える。
お蜜さんは死の寸前に涙流して息絶える、それもすごく感動。
お蜜は、任務に生きたお紅に「あんたにはわかんないよ」と言い残し、人間の心を取り戻して神に召されたのかもしれない、とか思える。
最後のM46「はらいそ」でお蜜がキリシタンの服を着て十字架を握り締めながら神に召されていく姿は、ある意味究極の幸せなのかもしれない。

M42「最後の談判」:「ここは我らの死に場所でない!」@寿庵 の一番いいパターンが収録されているだけでもう何も言う気がありません。あの鳥肌がこれからいつでも立てられるかと思うと、それだけで嬉しい。

M45「四郎の懺悔」:四郎様の慟哭、寿庵殿の表情、あの帝劇・梅コマの迫力そのままで素晴らしい。寿庵を失いそうになって初めてわかる気持ちは、もう少し前に気づいて欲しかったけれど、それでも最後に思いを告げて逝けたのだから、寿庵も幸せだったと思う。
その寿庵を生き返らせるというのは何というのか四郎様も残酷というか何というか・・・
ここはいつ見ても悲しくなるシーンだけど、以前も書いたけど、あそこで一人生き残るとしたらやっぱり寿庵になるんだとは思う。
表情変化から見届ける感情の起伏がしかもここまでどアップで来られると、思いっきり魂揺さぶられます。

M46「はらいそ」:四郎が寿庵に口付けし(※)、その瞬間に寿庵が目を開けて四郎が倒れこむ。四郎が立ち上がるとほぼ同時に寿庵が立ち上がって、虚空を彷徨うような目線、何かを探すような視線から、すべてを理解した視線、そして泣き叫ぶ寸前で全てを覚悟する表情。もう絶品です。
改めて映像版で見て好きになったのはその後の、伊豆守と対峙した直後、四郎様に訴えかけるような歌のシーン。

愛しげに、優しく歌いかける。涙は振り切ったけど、思い出は色褪せない。
あなたという人がいたことを、あなたが残してくれた思い出を、いつまでも忘れない。
仲間が残してくれた大切な役目をこれからも果たしていけるように、生きていく。

そんな力強さは、映像版でもより表現されていて、素敵でした。
ここ、いつも寿庵しか見てなかったので、登って行く四郎を迎えるシローが、手を伸ばしているのが初めてわかりました。

(※)口付けしているかどうかが公演当時、議論百出でしたが、お2方とも舞台上で回避するような方ではないと思っていたら・・・・予想通りでございました。個人的には上川さんほどの方なら幸せでございます。

●昼は寿庵、夜はナンネール
 前述のようなとんでもスケジュールを組んでしまった結果、ゲキ×シネ初日は何の因果かこんな変な体験をしてしまいました。片や映像作品とはいえ、同一人物(この役は高橋由美子さん)の2役を1日で見るようなことは、今後も恐らくないことでしょう。
 このスケジュールではもうお一人、吉野圭吾さん(昼は板倉重昌、夜はシカネーダー)もそうでした。
 『MOZART!』側がマチネだと、中川晃教さんもそれに当たる(シロー&ヴォルフガング)ことになります。(8月後半に5回だけチャンスがあります。もう『MOZART!』のチケットは全売り切れですが)

 3人とも当たり役で堂々と演じております。さすがです。

●その他もろもろ
その1・お手洗いが少ない
 男性用は8F、4F、B1F。
 女性用は8F、5F、4F、2F、B1F、B2F。
 但し、3回目上映は下階のお手洗いは使用不可と思われます。
 何せ休憩が10分間しかありません。
 しかも、エレベーターとお手洗いは反対側です(エレベーターを降りて左側をひたすら奥に突き進んだ一番奥です)。4Fを例に取ると、劇場最前列から上手くいって3分かかると思って下さい。つまるところ、2幕最初の「さんちゃご」を見逃す覚悟が必要です。これは辛い。
 それ故に、ドリンクホルダーが座席横にあるのですが、飲み物を飲む気がしません。
 ほぼ、帝劇仕様で臨んでいます(ほんの少しの食事しか開演前に入れず、幕間は何も取らず、終わった後に普通の食事をする)。

その2・予告編をパルコで流してる
 公園通りからパルコpart3に入る通りの、パルコpart1の壁に「パルコメディアインフォメーション」というTV画面があるのですが、そこで「SHIROH」の予告編を流しています。何分間隔かは不明。

その3・カーテンコールがない
 素晴らしい演技をした後は役者に拍手を送りたくなるもの。
 ありません(笑)。
 当たり前ではありますが、その分アンケートを書くことにしましょう・・・
 なお、次回への入れ替え時間が長い(45分)関係で、終わってから席でアンケートが書けます。で実は、その間、映像なしで「SHIROH」の本編が音声だけ流れてます(ロビーでも聞けます)。
 1幕最初ぐらいなら普通に聞けるので、アンケート書きながら再び「SHIROH」の世界に浸れます。なかなかいい趣向です。

その4・役者がとちる心配がない
 言わずもがなですね。
 寿庵殿の「食料の調達ぐらいやってくれるツテはあります」(←実際言ってみるとすごくいいづらい台詞です)に毎回心配してたクチなので、その点はすごく精神的に楽ですね(こらこら)。

●最後まで見ましょう
 e.oshibaiのマークが映るまでが本編ですが、その後も30秒だけ席に座っていましょう。きっといいことがあるでしょう。かつ、苦笑いか笑うことができるでしょう。
 私ですか・・・・「らしいなぁ」、とまさにそういう感想でした。

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帝国劇場で上演されていた「SHIROH(シロー)」が、映画館で上映されているので、観にいってきました。劇団☆新感線による初のロックミュージカルだそうで、公演されていた時も観てみたいな〜とは思っていましたが、結局観ずに終わってしまいました。 今回上映されて..... [続きを読む]

受信: 2005/08/29 01:57

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