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『LAST SHOW』

2005.7.16(土) 19:00~21:15 渋谷・パルコ劇場

長塚圭史さん演出、パルコプロデュース作品。

観劇といえば最近、有楽町・池袋(たまに新宿)の私にとって、渋谷での観劇は久しぶり。
『バタフライはフリー』(2002年3月)の同じパルコ劇場観劇以来なので、実に3年ぶり(厳密には、青山劇場観劇の『デモクラシー』も渋谷といえば渋谷ですが)。

よって、劇場にたどりつくのに迷いました(爆)。しかも土曜の渋谷は人が多い。素直にバスで入ればよかった。

長塚さんの舞台は『真昼のビッチ』(2004年、シアターアプル)以来2作品目。

出演者も他の舞台でお見かけしたことがある人ばかり。
中山祐一朗さんは高橋由美子&馬渕英里何コンビの『真昼のビッチ』、風間杜夫さんも同じコンビの『居残り左平次』(2001年、明治座)、古田新太さんは『野獣郎見参』(2001年、青山劇場)と拝見しており、永作博美さんは舞台では『TIME☆SLIP黄金丸』(1993年、日比谷野外音楽堂。何気に新感線初体験はこの作品だったりします)以来。
よって、舞台で初見なのは北村有起哉さん、市川しんぺーさんのお2人だけ。

最初、中山さんと北村さんの区別が付かずに、小動物をぶらさげて遊んでる方が中山さんだと思って見たらその通りでした(笑)。

見に行くかどうか最後まで迷ってたけどすごい良かった。そしてすごい笑った。
一部ねたばれになりますのでご注意あれ。

ちなみにストーリーは役者で示すと

 北村さん→夫婦→永作さん
 北村さん→父親→風間さん→虐待→永作さん
 北村さん←仕事仲間→中山さん
  →取材相手→古田さん→元ファン→永作さん

という関係。


今回見に行くのを最終的に決めたのは永作博美さんが出てたから。
この方はご多分に漏れずアイドル時代(1989年に、アイドルコーラスグループ「ribbon」としてデビュー)からずっと見ている女優さんの一人なのですが、役どころの「元子役の女優」ってところがキャラクターにどんぴしゃり。

今年35歳なのですが、童顔なので、全然違和感がない。流石です。
個人的に大笑いしてしまったのが、永作さん演じる女優さんの旦那さん(北村さんが演じてる恐らく才能がないであろう制作会社ディレクター)のお父さん(風間杜夫さん)とのシーン。
風間氏が永作嬢に「俺を好きと言え!」と刃物持ちながら迫るのですが、永作嬢、「あなた私のファンなのね?だからこんなことするのね?」と女優さんらしい勘違いをします。
その直後なのですが、「そんなことしちゃダメじゃない。刃物をよこして」と言うのですが、物凄く、大上段から諭します。女優さんがファンをなだめる風のシーンになってるのですが、完全に上から物を言うわけですよ。

それはそれは、すごいリアリティで(笑)。

永作さんは昔からテレビ・ラジオ始め色んなところで見てますが、完全に姉御キャラでいかにも言いそうなんですわ、これが。
襲い掛かられて泣き叫ぶようなタイプではなくて、隙を見つけて逆襲するようなタイプなので、この物言いは、長塚さん、永作さんのことよくわかってるなーって感じです。
というかキャスティングのベストフィット振りに爆笑。

キャラが似ている贔屓さんでこのシーンを見ることにならなくて、ある意味ほっとしてしまったり。30代になって落ち目呼ばわりとか、身につまされるものもあるし(爆)。
パンフにも某演劇誌ライターさんが書いてるんですが、「永作さんだとそんな言われ方も扱われ方も、はねかえしちゃう感じ」ってのが納得。何言われても「フンッ」って言ってしまえる強さがあるから、痛々しくなくて心から笑える。
ずっと見てた準贔屓の永作さんで見れて、このシーンは心からブラボーでした。

永作嬢演じる女優さんのファンだったという胡散臭い動物愛護家を演じた古田さんもさすがの面白さ。大層悪人だったはずなのに、この人がやるとどんな役も古田色に染まってしまう。この人の演じ方は、何というか楽しんだ方が・持ってかれる方が得って感じです。
で、市川しんぺーさん、全てを持っていきました。
登場シーンは何を言ってもネタバレになるんで自粛。

市川さんいわく、このシーンで笑えるかどうかで、見ている人の人生が上手く回ってるかどうかがわかるそうです。
良かった笑えて(笑)。

舞台からの消え方が想像がついたけど、あまりにすっきり行ったので会場中が大拍手。あのシーンでそう感じるのはおかしいかもしれないけど、「感動」してしまいました。
・・・・と、舞台の本線と違う部分でチケット分楽しんでしまった私。

父親から息子への、執拗なほどの狂気とか、それにしがみついて自分が見えなくなってた父親の侘しさとか、「愛していれば食えるじゃん、それが愛情じゃん」とか叫ぶ自称動物愛護家さんとか、まっすぐから25度ぐらいずれてるような人間模様が、「生」の人間のカタルシスって感じで好きでした。

まっすぐから25度ずれてるって、『真昼のビッチ』でも同じこと感じたんですけどね。
2人以上の人間がいて、感情というものが複数あって、それらが、なんだか少しずつずれてて、分かり合おうとする行為がなくて、それぞれがある意味狂ったまま収束させないで終わるテイストに既視感。

それに、あまりに普通にアブノーマルなことやるから、だんだんそれが当たり前に思えてくるのが怖い。
見ちゃいられないほど残酷なことを見てるはずなのに、それを「傍観者」になって、何も言わないのが、日常に見えてしまうのが、どことなく「現代」的でそら寒い。

その人なりの生き方とか価値観とか、それが発展すると狂気って呼ばれるのかもしれないけど、特に古田さんが力説してるのを見ると、「もしかしてそれもある意味正しいのかも」とか騙されかける(笑)自分に危うさ感じて。

「マヨネーズかけられたんだよ、私!」って叫んでる永作さん、かっこ良かった(そして大笑いした)。

「マヨネーズかけないと食べられないって言われたようで悔しい」

って言葉は、30代・下り坂女優という設定だからリアリティありまくり。
子役出身でちやほやされた時代から流れてきていれば、自分の年齢に限界を感じながらも、それでもやっぱりプライドは人並み以上にあるわけで。
しかも女優として以前に、「女として」。

閉じ込められたクローゼットを前に、「絶対中から空くようにしないとダメ」と力説してるそばから、風間さん演じる父親を気絶させて、そのクローゼットに押し込むシーン。
「一つ一つ解決しないとダメだってば」とのたまう彼女、すさまじくかかぁ天下で面白すぎです。

一部展開が読めちゃうところもあったけど(風間さんが永作さん蹴り飛ばす所とかね)、長塚さんテイストを把握しちゃったのが良くないんだろうか。
展開読めても面白いは面白いんだけど。

パルコプロデュースだからDVDも出ると思うのですごーく楽しみ。
風間さんを大上段から諭す永作さんをまた見てみたい。
パンフも内容が濃く、大満足でした。

以上、世間の「LAST SHOW」レビューとは似ても似つかぬ、軽い感想。
自分にとって、あえて掘り下げたくないテーマだったらしく、永作さん演じた妻よろしく、途中から思考停止に陥ってしまったかも。

「子供は親を選べない」って言葉を、北村さん-風間さんの”ゆがんだ関係”と、永作さん-市川さんの”ピュアな関係”との間で重層的に見せたのは上手いなぁと思う。
市川さんのああいう役があって心底ほっとしたよ。
どっから狂気でどっから普通なのか分かんなくなってたんで。

で音楽は岡崎司さんだったのですか・・・・手術入院から復帰お帰りなさいませ。


閑話休題。
この夏は有楽町通いに明け暮れますが、ここに来て渋谷通いもほぼ決定。

7/31 パルコ劇場 音楽座『21C マドモアゼル・モーツァルト』(元エポニーヌ&キムにつられて)
8/13 新国立劇場 『星の王子さま』(某マリウスにつられて)

で、8/20~『SHIROH』のゲキ×シネが、パルコ劇場向かいのパルコpart3(パルコ劇場のビルの5Fから連絡通路でつながってます)の渋谷シネクイントで放映、と立て続けに続きます。
渋谷に慣れないとダメかな。

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