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2005年7月

『MOZART!』(8)

2005.7.30(土) 12:30~16:00

とうとうやってきました、運命の東京役代わり初日。
片や大阪の実績も耳にして期待いっぱいの香寿男爵夫人、
もう一方は唯一のミュージカル経験が恐ろしいほどの出来で心配いっぱいの木村コンス。
怖い物見たさと、8月の観劇の心の準備に、行って参りました。

あらゆる意味(いい意味以外も含めて)で本日の主役、コンスタンツェ役の木村佳乃さん。
昨日まで西田ひかるさんがやっていたわけですが、演出か演技か、けっこう佇まいが違っています。

◆マトモな一家
登場のシーン、西田コンスは髪の毛いじってましたが、木村コンスは客席に背を向けて寝てます。
西田コンスに比べて木村コンスはコンスがヴォルフに目を付ける瞬間がひたすら早い。一目見て恋に落ちたような感じで、アロイジアにヴォルフをモノにさせようとしてる母親に食って掛かってたりします。

アロイジアが歌を歌おうとするとき、そのタイミングで調理具をこつんと叩いて邪魔するのは同じですが、「邪魔できる方法に気づいたわ」ってアクションして、鍋に盛大に野菜を入れ込み、スカートで煽って鍋の火の勢い強める様子に爆笑。
爆発に最初から気づいて、いとも早く回避姿勢を取る様をみてると、コンスが計算高い女性に見えてきたりしたけど、芝居の作りとしてはけっこう非凡。

4人姉妹のハーモニーもそんなに違和感なく、バランス良。

◆並みの男じゃない
このあたりから微妙になり始める木村コンス。『ミー・マイ・ガール』の時に歌うと客席の人に「手に汗握らせる」と言わしめた彼女の、ありがたくない本領が発揮されてきます。
要するに、この人に歌わせるなと。ソロもダメ、デュエットはもっとダメ。
あっきーもパワーを絞っちゃうし、コンスは邪魔さえしなければいいキャラなのに、色んな意味で本来の場所から余分にはみ出る感じがすごーく煩わしい。

コンスの印象は、それぞれ記号で表現すると、こんな感じ。

 △コンスタンツェ:松たか子さん(初演日生、シアタードラマシティ)
 ◇コンスタンツェ:西田ひかるさん(初演&再演帝劇、再演梅田)
 □コンスタンツェ:木村佳乃さん(再演帝劇)

松さんはとがった感じが三角形。ヒステリックでいつも自分の存在が見えなくて自分にイライラしてる感じ。
西田さんは飛びぬけたところを持たないバランス型の感じがひし形。よく言えば無難、悪く言うと自己主張不足。
木村さんは外側のものにぶつかる感じが四角形。しかも正方形ではなく長方形(笑)。小回りが効かない感じ。

木村コンスは声質に艶がないので、声量でカバーしてる(たしかに声は凄い出てる)。
シーンによっては強くて良かったりするんだけど、初日ということもあって要は周りを見て動けてない。
これがいつまでたってもそのままなのか、それともこの後こなれてくるかかな。

※ちなみに彼女は大分・由布院のドラマロケで、出演者一同で行なわれた大声コンテストで、堂々の1位を獲得されたそうだ(142デシベルだったか)。

◆ダンスはやめられない
帝劇で耳栓を売っていないのは幸か不幸か(笑)。

音階は取れてるけど、歌うより叫ぶって感じ。声がハイトーンではないので、キンキンにはならないけど不快な方向に声が伸びる。メロディーの綺麗さなんてどこかに置き去り、ただガナり立てる様はいい曲もらってる役者のスタンスとしてどうなのかと。

でも演技は面白いところあったりするから困る。

この曲の直前はナンネール&レオポルトの「プリンスは出て行った」ですが、父からナンネールの結婚について聞かされたヴォルフは、一度はお金を送ることにしますが、悪友にそそのかされて結局、そのお金で遊びに行ってしまいます。
がらんとした家に戻ってくるコンス・・・うーむもう少し台詞回し何とかならないのだろうか、この棒読み・・・

ベッドに残された父からの手紙を読んで、西田コンスは早く投げ捨てます。「興味ないわ」みたいな感じで。そんなこともあるから西田コンス&高橋ナンネールでは2人の関係はヴォルフを挟んだライバル関係みたいなところがあるのですが、木村コンスの場合、手紙をじーっくり読んで、やるせなげに投げ捨てます。

ここが何だか、やんちゃでどーしよーもなくて困ったちゃんだけど才能がある男(ヴォルフ)に関わることになってしまった2人(コンス&ナンネール)の奇妙な連帯感みたいなものを感じてしまって、自分自身はこの作りのほうが好き。

なんだか、コンスとナンネールがどこぞの酒場で(妙にリアルですな)
「弟にも困ってるのよ。」
「お気持ちわかりますよ、一緒にいて心が読めないですよね。」

とか語ってそうな感じが笑っちゃう。

レオポルトが亡くなって、その事実をヴォルフに伝えにくるナンネール。
その姿にいち早く気づくのはウェーバーの奥さんですが(ところでこの人、なんでナンネールを見てヴォルフのお姉さんだったということがすぐわかるんだろ。存在を知る機会さえ描かれてませんが)、ヴォルフが気づく前に、コンスが咄嗟にヴォルフを「つんつん」と叩く。
「ヴォルフ、お姉さんよ」って感じで。

この辺は西田コンスはかなり曖昧に作っていたので、木村コンスのナンネールへの非敵対的な役づくりはなんだかちょびっとだけ嬉しい。


そして、本日もう一人の新顔、香寿たつきさん(ヴァルトシュッテンテン男爵夫人)。
『屋根の上のヴァイオリン弾き』(2003年、東京芸術劇場ほか)の長女・ツァイテル役で拝見して以来、2年ぶり。木村さんと違い、帝劇は初登板。

大阪での評判を耳にしていたのですが、お歌が素晴らしい安定感。
「星から降る金」は初演以来、久世さんしか聞いたことがなかったわけですが、香寿さんが歌うこの曲は聞き惚れるという言葉以外に思いつかず。

この曲は、今まではヴォルフ&レオポルト&ナンネールの3人芝居のBGMでしかなかったのですが、初めて歌ってる人に目を奪われたですよ。
歌に余力がある反面、久世さんの持った温かみみたいなものがそれほど感じられなかったのは残念だし、この曲の歌い出しのなんだか微笑ましい掛け合い(男爵夫人&ナンネール)がどこかよそよそしかったのは淋しかったけど。
きっと、この辺はこれから小慣れていくのでしょう。

ただ、圧倒されるような存在感とは縁遠かった印象があって、地味という印象強し。

本日の座席はA席の一番前の下手通路側。音はよく通るし、どんなに前に座高の高い人が座っても絶対に視界が邪魔されない最良の席。(直前が補助席ですが、それさえも前にない。帝劇4列からの通路なので)

それもあってか拍手は今までで一番響いて聞こえました。

カテコはいつものバージョン(2回分)+追い出し音楽の後、中川ヴォルフ&黒沢アマデ登場にて、アマデが本日初顔の2人を呼びに行く。
特に挨拶はありませんでしたが、木村コンスは満面の笑みに堂々とした主役ぶり。香寿男爵夫人は控え目なお辞儀。
何かこの好対照さが全てを語っていたような。
木村さんはもう少し引いて欲しい、香寿さんはもう少し出して欲しい、そんな感想でした。

さてさて、明日は『SHIROH』のゲキ×シネ先行なので、これで寝ます。
初回取れるといいんだけど、新感線先行で簡単になくなったって話だからキツイかもなー。

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『MOZART!』(7)

2005.7.28(木) 12:30~16:00

平日マチネ、CNプレイガイドで発売日に買った3列目どセンター。
平日公演と土日公演の席の埋まり方に落差が大きい今公演、平日マチネの良席の取りやすさは想像以上で、発売日にビックリした記憶があります。

とはいえ、平日マチネで残席がある表示がされていても、それでも8割の入り。そして当たり前のごとく、女性率超高し。8割以上じゃないでしょうか。

このあたりの前席は、『SHIROH』以来半年ぶりですが、オープニングのジューダスから大音量で飛ばしまくっていた同作品に比べると、『MOZART!』は全くもって音は控え目であることを実感。
その印象の違いもあって、音が後にすり抜けていくような感じ。

そりゃぁ2000人レベルの大劇場で、3列目を基準に音響発していたら後ろの方は聞こえませんわな。音響がいまいちといわれる帝国劇場ですが(実感してます)、12・3列目のセンターあたりが一番いいみたいですね。

そんなこともあって、今日は後方席では見逃すさりげない仕草の発見に集中。

◆マトモな一家
松澤重雄さん演じる旦那さん、よく見るとナイフ持って娘を脅してる・・・
けっこういい人だと勘違いしてました(後夫のトーアヴァルトはワルのシーンがあるからなー)。
ウェーバー一家の4姉妹&母さんのハモリはよく聞こえない事が多いのですが、この旦那さんが一度しくじって捕まったことがあるってのが初めて歌詞でわかり、うーむ、テナルディエ風味。(財布横から掠め取ってたりしますもんね)

◆赤いコート
先週土曜ソワレは地震で見れなかったので1週間半ぶり。
前方席というより変化と思われますが、高橋由美子さん演じるナンネール、奇妙にポップになっております。
ヴォルフとレオポルトが話してる時、なんだか落ち着きなさそうに髪をいじりまくってるし、ヴォルフが「さいころ一つ」行った時の「またツイてたのねっ!」でジャンプしてるしっ。
今週の軽井沢でも飛び跳ねてたけど、まだ寒くならないなぁ・・・
わ、若いなぁ(苦笑)
ここしか遊べるシーンないからだんだん容赦なくはじけてますね。

今まで見た中で一番声が出てなかった回でしたが、マチネは最初は喉が温まってないせいなのか、1幕「終わりのない音楽」あたりからは普通に戻ってました。

◆どこだ、モーツァルト!
ヴォルフと大司教殿が決裂する最初のシーン。
最初、大司教殿がヴォルフの作る曲を待ちわびる時に、けっこう楽しみにしてるというのを初めて発見。一瞬、微笑んでる。
才能を評価してたのはずっとだけど、礼儀知らずとかってのが表面に出る前は、何気に好印象だったんだなというのを知った。
めちゃくちゃ意外でした。

「お前は才能があるが、お前のことは最初から嫌いで仕方なかったんだ!」と思ってそうな印象だったので、どこかで書かれていた「ヴォルフに対する歪んだ愛情」の一端がちょっと見えた気がする。

◆鹿&ヴォルフ
中川ヴォルフは、妙にシカネーダーのステッキへの執着が凄い。
何でそんなにもの欲しそうにこだわるのだろう(笑)

◆星から降る金
今日(7/29)マチネでこの作品を恐らく卒業される久世星佳さん(フォン・ヴァルトシュッテンテン男爵夫人)、私にとってはこの日の観劇回がラスト。
初演含め13回見て、初めて納得する出来だったかも。あと一音、高い音を出して欲しいのよっ!ってところをきちんと出来ていて、なんで最後の一週間だけこれだけ出来が違うのか、甚だしく謎。

終わり良ければ全て良しとは、さすがに今さら思えないなぁ。
お金取ってるプロなんだから、もう少しプロ根性を早く見せて欲しかったな。
芝居の佇まいは凄くいいし、この曲に入る前のナンネールとのかけあいも微笑ましくて好きだったから、なおさら、歌が辛かった。

◆父親との距離
成功したヴォルフに会いに行くレオポルト。「私ほどお前を愛する者はいない」の2回目のシーン。
「さぞかし誇らしいでしょうね」と男爵夫人に問い掛けられるレオポルトが答える。
「誇らしくはあります。しかし、満足は出来ません」、と。
そりゃ父親の言うこと何も聞かないで成功しちゃ気持ちとしては微妙だろうな、と思ってはいたんですが、ヴォルフが手を差し伸べる時、実は最初は手を出そうとしてるんですね、レオポルト。

ここのシーン、最後はレオポルト自ら自分の気持ちに区切りをつけるかのようにヴォルフを突き放すのですが、そのきっかけがありまして。
ヴォルフがコロレドの名前を出した時にレオポルトの反応が一変してるんですね。

レオポルトは史実でもひたすら中間管理職みたいな平凡な人生を送った人のようですが、この作品でもとにかく世渡りベタで辛酸ばかり舐めた人に見えます。
ヴォルフがコロレドを足蹴にしたことでずいぶん苦労したんだろうな、というのが見えて、小言言わずにはいられないんだな、ということを再認識。

◆コンスタンツェ
男爵夫人@久世星佳さん同様、7/29マチネで西田ひかるさんが楽。

この日(7/28)の井上ヴォルフとの最後の組み合わせでは、井上芳雄さんお得意の”お姫様だっこ”があった模様(『ミス・サイゴン』でも全キムにやってた。全キムとの千秋楽をきちんと把握してる律儀さに”らしさ”を感じたっけ。)。

よって、コンスタンツェの西田さんを見るのもこの日が最後。
芸能活動もそれほど活発にされている方ではないので(何せアメリカ在住)、もしかすると私にとっては見納めなのかもしれません。

自分の『MOZART!』観劇はコンスタンツェを見に行くためではないので(爆)、初演再演含めて12回も見たにもかかわらず、思い入れも淋しさもたった1回しか見てない初演の松たか子さんに遠く及ばないのですが、それでも、帝劇後半に見せてもらえた存在感は、「ようやくたどり着いた終着点」を思わせて、嬉しかったです。

明日(7/30)帝劇に行けば、そこにいるのは芝居はともかく歌に驚かされるであろう木村佳乃さんであることを考えると、きっと西田さんの出来上がった役回りを、淋しがることにはなるのでしょう。
そしてその先に控える中日・博多座の大塚ちひろさんは役と歌にパンチがないことが分かってるだけに、ものすごーく心配。そんな気持ちもあってか、先週発売の中日劇場公演のチケット、いまだに抑える勇気が出ないという(それでも博多はラスト狙って行くけど)。
平日とか、ありえないほど良席がまだ残ってるんですよね。がしかし、なぜか金曜ソワレが少ないのが中日劇場公演の不思議。遠征にも日程がかなり不便で、ちょっと二の足を踏んでしまう>中日劇場公演

そういえば、8月中旬~下旬発売予定の『MOZART!』ハイライト版CD、帝劇で予約受付が始まったため、予約してきました。3,200円プラス送料500円なり。
CDケースは既にサンプル盤が置いてありましたが、何はともあれ中身が楽しみ。
贅沢言っちゃうと、今回のでライブ盤、欲しかったな。特に両ヴォルフのあの何回りも大きくなっている感じは、どこにも音源が残らないんだな、と思って淋しくなったりして。

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『軽井沢ミステリー』

2005.7.26(火) 21:10~23:04 日本テレビ系列

火曜サスペンス劇場のシリーズ作品、第7弾。
同劇場枠は、9月末での放送終了が発表されており、このシリーズも今回が最終回となります。

第1弾が放送されたのがもう4年前(2001年11月13日放送)になるのですが、いつ終わるのかと気を揉みながら、あれよあれよという間に定番シリーズになってしまい、主演の高橋由美子さんが2時間ドラマ主演シリーズとしては最若手という、サスペンス作品としてはどちらかといえば異例の若手中心の作品(第1弾登場当時で、27歳でした。今も31歳ですが)。

第6作まで一度として15%を割っていない、低視聴率で打ち切られる火サスにしては珍しい作品でもあります(前回までの平均は16.3%。野球延長があったとはいえ、今回の11.4%は驚くぐらい低いなー)

このシリーズになる前は、相手役の菊池麻衣子さんが軽井沢のルポライター役で単発物が作られています。(主演は沢口靖子さん、『花嫁の消えた森』。2000年8月8日放送)
主演の由美子さん演じるネイチャーガイドの母親が、軽井沢中央署長を演じる丘みつ子さん。(第1作のときはこの役は野際陽子さんでした)。

いやはやそれにしましても、軽井沢中央署長の娘さんをやってみたり、本池上署長の奥さんをやってみたり、自分自身が婦警さんをやってみたり(森本レオさんが相手役だったフジテレビ系『年の差カップル刑事』)、由美子さんは何気に警察作品にご縁があります。

異色といえば、この作品、昨年の火サス唯一のハイビジョン作品だったりしますが、今回の第7作も、同様にハイビジョン作品。何気に力を入れております。
ロケは4月15日から28日まで。高橋由美子さんの『雨と夢のあとに』撮影直後・『MOZART!』稽古入り直前と、菊池麻衣子さんの舞台『お父さんの恋』終了直後の間に絶妙に割り込ませての撮影です。

この作品の見どころはと言えば一番にあるのが由美子さん・麻衣子さんの漫才コンビ
世の中に相性というもの数あれど、コメディチックなかけあい漫才させたら、恐らくこの2人に敵う人はいなかろうと。お2人とも舞台女優でありますので、舞台でぜひこの2人でかけあい漫才やって欲しいんだけどな。
間の取り方というのか、ボケ&ハイテンション(麻衣子さん)と突っ込み&ローテンション(由美子さん)の組み合わせがまさに絶妙で。肩に力を入れさせないでリラックスさせてもらえて、テンポもあるので見るたびに浮き浮きするのが嬉しい。

菊池さん演じる木の葉は、昔、家庭教師をしてくれた広瀬さん(演じるは坂上忍さん)に「焼けぼっくいに火」状態なんですが、それをお節介おばさんよろしく突っ込む風子。
広瀬さんの運転する車に木の葉を載せてもらう算段をして、送り出したりします(もちろん木の葉はほとんど身体が固まってます)。
その時の由美子さんの台詞回しが、「いってらっしゃい」というたった一言なんですが、「してやったり」って感じの小悪魔っぽさと「頑張ってくるのよ~」みたいなお節介さが絶妙に組み合わさってて、しかも相手が菊池さんということもあって、ホントにいい女友達、って感じで微笑ましくなります。

広瀬さんを励まそうとお菓子作ってる木の葉が鼻歌交じりに歌い上げてたところで、「ミュージカルかよっ」ってわざわざ由美子さんに突っ込ませてる所が、スタッフの遊びで秀逸。

今作は由美子さんと因縁浅からぬ古田新太さんもゲスト出演。舞台では『野獣郎見参』(2001年)でしか共演経験がないお2人、テレビでは初共演。無農薬農園の経営者役、と言えば聞こえはいいですが、ものすごーく長靴が似合ってて笑います。とはいえ何せ飲み友達だから(爆)芝居の呼吸は完璧。

今回のゲストの藤田朋子さんとも何だかふわっとした雰囲気が上手く風景に溶け込み、なかなか素敵。

そんなほわっとしたところもあるのに、決める所はさすがは諭しキャラ。
自殺を図った広瀬さんに対して、ぎょっとするほどの強い目で語りかける由美子さん。

「あなたを大切に思ってる人はどうなるんですか。
あなたが死んだら、悲しむ人がいるんですよ。
その人たちのことも、ちゃんと考えてください。」

父親を亡くしている思いが、風子にしてみれば「死」にはことさら敏感に反応するという面でもあるのでしょうが、
この役に限らず、由美子さんの場合、結局のところ、ものすごく沢山の「死」と作品・役として向かい合いすぎてるからこそ、”言わずにはいられない、問い掛けずにはいられない”という面があるような気がする。
普段はひたすら聞き役、でもここぞというところで出てくる強さは、役柄を大きく見せて、こういうシーンはすごく好き。

広瀬さんが(古田さん演じる明石さんの不倫相手を)車で轢いた、ってのは偽装だろうな、誰かをかばってるんだろうな、とは思ったけど、後半のストーリーの展開の波も平凡にならずに好印象。
いかにも犯人キャラな古田さんを悪者にするのかと思ったら(実際に悪者と勘違いするシーンも入れた上で)、話をひっくり返して超想像外にいい人で(きっと今月に『LAST SHOW』でばりばり悪い人見ちゃってるからいまだに信じられないけど)、実際に轢いた犯人だったのは藤田朋子さん。

自分の負い目(=子供が埋めない身体である)のために別れたがっている彼女と、自分の思いにピリオドを打ちかけている古田さんにアドバイスをしたのは、ここでまた由美子さん。

二匹で一つの巣を作る鳥の話になぞらえて、明石夫妻に15年間の生活の大きさを語りかける様は、わざとらしくなく、それでいてすごく親身で、幸せな気持ちになれて。

このシリーズでは、今までは主演なのにもかかわらず、存在感やらストーリーの都合やらで、いまいち微妙な位置付けが多かったのですが、今回に関しては、「全てを見ていたからこそ、最後にこの2人を再び結び付けられるメッセージを渡せたんだろうな。」というのが非常に分かりやすくて良かった。(前作も良かったので、前作から担当してる監督の森さんが肌に合うのだと思う)
登場人物みんなが、どろどろし過ぎてなくて、少しずつ本当のことを言えなくて。それでも、最後はわかりあえて。無駄に過激にならずに、丁寧に作られたストーリーはこの作品の最後にふさわしいエンディングだったと思う。

本当のことを言うなら、まだまだ進化しそうなシリーズなだけに、ここで終わってしまうのはもったいない気もしますが、ほんの少しの奇跡が起こることだけ祈って。

それにしてもさすがハイビジョン、噴火が小康状態ということもあり、浅間山の山麓への線が、綺麗に映っていたことがとても印象的でした。

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『MOZART』(6)&『SHIROH』

観劇3回。

2005.7.18(Mon) 12:30~15:45(中川晃教ヴォルフ)
2005.7.18(Mon) 17:45~21:00(井上芳雄ヴォルフ)
2005.7.23(Sat) 17:45~21:00(中川晃教ヴォルフ)

●揺れました。
7月23日午後4時35分、千葉県北東部を震源とする大規模な地震。
ちょうど、自宅を出たところで激しい揺れに遭遇。
家が大きく揺れてるのにビックリする(笑)。

体調悪くて観劇を止めようかと思ってたけど、帰宅してみたらいろんなものが上から落ちていて、寝てたら下敷きになってたと思われます(爆)。
これ書き終わったら、片付けしないと寝る場所がありません(笑)。

地震を甘く見てました。JR各線ほぼ運休、地下鉄も全線運休。
普段は帝劇へは有楽町線1本で行けるのですが、ちょうどこの日は体調も悪く、頭も上手く回らず。
急がば回れ、みたいなルートを取ってしまいました。
池袋から有楽町へ。

池袋(埼京線=JRではこれだけ動いていた)新宿→新宿駅西口(都バス)江戸川橋(タクシー)帝劇
池袋から東京ドームシティ行きの都バスの方が楽だったことに、後で気づきましたが・・・

※ちょっとおまけで追記--------------------
報道を総合すると、鉄道関係で復旧が早かったのは、私鉄各線(JR以外)と、都営地下鉄。
遅かったのは、東京メトロと、JR。
新宿から帝劇は、新宿(都営新宿線)九段下(都営三田線)日比谷
のルートを使えば、実は1幕開演に間に合った模様。
都営地下鉄は盲点だったなー(地震15分後には、徐行運転で再開されたとのこと。
路線が多い会社ほど、安全確認に時間がかかったらしい)
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帝劇にたどり着いたのは、1幕終了10分前。
ナンネール(高橋由美子さん)&レオポルト(市村正親さん)のデュエット、「終わりのない音楽」がちょうど始まるところ。

観劇遅刻がそれほど多くない私ですが、去年秋の『ミス・サイゴン』で唯一1回遅刻した時も、タクシーでかけつけてエレン(高橋由美子さん)&キム(松たか子さん)の「今も信じてるわ」直前だったっけ。

とりあえず、頑張っただけのご褒美はもらえました。
タクシーも全然つかまらないし、バスはすし詰めだし。

その時と同じく、帝劇1Fロビーで流れている映像で観劇。
この日は交通機関がことごとく止まったため、開演自体も15分繰り下げ(18時開演)。
だからこそお目当てのシーンに間に合ったわけですが。

子役・アマデが21時までの出演となるための制約も、非常事態ということもあって至仕方なしといったところでしょう。

で、ようやく舞台の話。

●役の相性。
ずいぶん回数を見た今の段階になっても、中川ヴォルフ&西田コンスの組み合わせだけは全然慣れません。
18日ソワレの井上ヴォルフ&西田コンスは初めて2人の間に「愛情」の組み合わさったストーリーを感じたのだけれど、何か、西田さんは中川君に対して壁を作ってるというか、どうしてもままごとにしか見えないというか。

井上君は『ミス・サイゴン』でも最若手の笹本玲奈さんからベテランの松たか子さんに至るまで、誰が相手でもそつなくこなした、ラブシーンの名手(こらこら)だから、比べるのが気の毒といえばそうなのですが。

中川君といえば年上と合わないのかなぁと思ったけど、『SHIROH』の秋山菜津子さんとのあの組み合わせのベストフィットさからすればそれも考えにくいし。

某所で、井上君は自分が合わせる、中川君は周囲が合わせる、とタイプの違いが語られていて、思わず膝を叩いてしまったのですが、井上君とだとしっくりくる西田さんが、中川君とだと妙に浮いてる(あえて言ってしまうとトウが立って見える)のは、”合わせない”からなんだなぁとしみじみ。

井上君と市村さん、中川君と山口祐一郎さんって妙に印象がかぶる。
前者が「芝居歌」、後者が「歌芝居」。
井上君と市村さんの演技対決は、「まだまだ俺には及ばんな」と市村さんが後輩を叱咤激励してるように見えるし、
中川君と山口さんの歌唱対決は、「俺に向かってこようとは十年早いっ」て山口さんが後輩をひれ伏させようとしてるように思えるし、どっちもど迫力、エンジン全開。

逆に言うと、井上君と山口さんは最初からぶつかる気がない対決に見えることがあるし、中川君と市村さんは最初から気持ちがすれ違ってるように見えることがある。
その辺りはその日の気持ちの乗り方次第なのかなぁと思う。(特に中川君はこの作品に限らず、公演ごとのぶれが非常に激しい役者さんなので、なおさらそう思う。)

●キャラが立ってる人々
何度も見ると、濃い人ばっかりのアンサンブルさんにずいぶん目が行く。順不同で。

碓井マキさん:「野菜市場」の「スペインの胡椒!」の男前さはいっつも爆笑します。
 ナンネールに素敵にスルーされてる所も笑っちゃう。

砂川直人さん:ウェーバー家の後夫、トーアヴァルト役。シカネーダー始めヴォルフを取り巻く人々はけっこう「悪友」ばっかりですが、この人だけは筋金入りの「ワル」。
 あの「サツを呼べっ!」はいつも心臓縮み上がります。あれが迫力なかったらヴォルフも署名しようとは思わなかっただろうなぁ。
 プラター公園での熊の着ぐるみが毎回和みます。ごろごろ下手へ捌けていく、お遊びキャラがこの後に「サツを呼べっ!」だもんなぁー
 「謎解きゲーム」でヴォルフがしがみつきに行ってるところを容赦なく叩き落してたのは、前からなのかな。けっこう印象的。

森田浩平さん:ナンネールの夫、ベルヒトルト役。「ウィーンからの手紙」の”冷え切った家庭”にはますます磨きがかかり、夫婦ともども「関心ごとは別々のところにある」空気をうまーく作り上げてます。
 この作品、ミュージカルというより芝居として見に行ってるので、表情から台詞から、微妙な空気を無理なく作り出してるこのシーン、けっこう好き。
 ナンネールが実はお花畑キャラだというのは、「野菜市場」で証明済みだったりするのですが、結局そこから抜け出さなかった、抜け出せなかったんだなー、とこのシーンを見るたびに思ったりするのです。

あと、松澤重雄さん(ウェーバー家の前夫。何気にこの人がいたらヴォルフはあそこまで食い物にされなかったのでは、とか思う)、KENTAROさん(市村レオポルトの物真似させたら日本一)、徳垣友子さん(ウェーバー家の末娘・ゾフィー役。ノー天気なお馬鹿キャラぶりが秀逸)などなど。

キャラが立ってくると、まとまりが身上の『MOZART!』アンサンブル勢も重層的に見えてきて、面白いものです。

●ラストの場面
中川ヴォルフと川綱アマデは個人的ベストコンビですが(7/23ソワレ)、最後にヴォルフが死ぬ時の表情が壮絶な覚悟を思わせていい。で演出だとは思うけど、アマデは最後まで自分が死ぬことをかけらも思ってない。だからこそ、あの場面は印象的なのだろうな。

川綱アマデは特に強いアマデで、ヴォルフが混乱した時に首締めた後、スキップしてっちゃう程(爆)、精神的に強いわけですが、だからこそ、アマデにしてみりゃ、「お前に自分が殺せるのかい? 自分が死ねば俺も死ぬって? 出来もしないこと言ってるなよ」みたいなことを、せせら笑いながら言いそうなんですよ(笑)。

で、川綱アマデと中川ヴォルフの絶妙なところは、そんなせせら笑うようなアマデの更に上を行くんですねヴォルフが。中川ヴォルフがいっちゃってる時のここのシーンはもう凄いです。

アマデ・ヴォルフが死んだ後、人でなしウェーバ家の奥さんがレオポルトから(謎)のお金を掠め取ってった後に、ナンネールが近づいていきます。

このシーンが、先週辺りからちょっと凄くて。
梅田あたりだと、ただ呆然として、箱を開けるだけだったナンネールなんですが、
ここのところ、

呆然とする
 ↓
箱に触れていいかもためらう
 ↓
それでも、才能から解放してあげられるのは、私しかいないんだと覚悟する
(・・・そして、それは「永遠の別れ」をすることも意味する)
 ↓
箱を開ける
 ↓
音楽が流れ出す
 ↓
再び呆然と虚空を見つめる
 ↓
「影を逃れて」を泣きそうな表情で搾り出すように歌う

って流れが壮絶で。

ここの場面を中川君とセットで見ると、どうしても『SHIROH』のシロー&寿庵の関係とだぶって。
中川君の才能というものを取り巻く魔物のようなもの存在を、知ってはいながらも、どうにもできなかった、そんな悲しみみたいなものが見えて出て。

由美子さんもある意味中川君の人生を動かしてる一人だけど、ここのシーンは妙に役と役者がシンクロしすぎて、ちょっと見てて胸に詰まる。
中川君、演じることに全神経を傾けすぎるから、いつも心配。役に引っ張られすぎる役者は、精神的に持たないように思えて。

それが中川君の味だということは十二分に理解した上で、もう少し役柄に遊びがあると、きっと違うものも見えてくるんじゃないかな、と最近思う。
いっちゃってる中川君の凄さは何度か体験してるけど、中途半端にいっちゃってるとき、すごく息苦しくなる時があるんですよね。
苦しんでる彼を、理解できない苦しみみたいなものが、その日の舞台の印象を中途半端にしちゃう、ような。

さてさて、話題は変わります。

●『SHIROH』DVD発売日決定。
とうとう発売日が決定しました。
昨年12月・今年1月公演の新感線&東宝 ロックミュージカル『SHIROH』。発売日は10月6日です。
予約はイーオシバイサイトにて8月2日のお昼12時から。

なお、きちんと公表されていませんが、帝国劇場売店でも、8月2日から予約受付開始となります。(1階売店・2階売店ともに張り紙がありました)

私自身は梅田芸術劇場の『MOZART!』観劇時に入ってたチラシを見て予約済みでしたが、メールマガジンと同時に予約された方へのお知らせメールが入ってて、隙のない仕事振りに頭が下がります。

それによれば、送金を持って予約確定なので、FC関係で購入する方とか(ちなみに上川隆也さんのところはFC特典つきらしい)は送金しないようにと。
帝劇&梅田パンフ付限定セット(1200セット)購入の方は、別途申し込むようにと。

疑問はこのメールで全部氷解。けっこう仕事が出来る人が揃ってると見た>イーオシバイ。

どことは言わないけど、メールで日付間違えて書いてみたり、貸切公演申し込めるように書いてみたり、申し込み手順が書いてなかったりみたいなところに慣れちゃってるので。(←ゼンブオナジトコ)

公演パンフとのセットは何気にお奨め。しかし1200部も残しておいたとは。
まぁ帝劇・梅田ともに1回分のキャパシティにも及ばない数だから、席数からすれば普通の残り方なのかな。

中川君への小池先生からのコメントは流石にウィットに富んでて面白いし、由美子さんへの井上君からのコメントは色んな意味で物議を醸したものだし(井上君のファンはあまり見ていないんだろうし)。
あれをあと1200部もばらまくのも、ある意味チャレンジャーだなぁ。

さて、ようやく書き終わったので風邪が悪化しないうちに寝ます。
観劇中に咳込むこともほとんどなくて、ほっとしました。
2FB席上手、値段にしては見やすい席でしたが、前も後もいなかったのは、やっぱり地震の影響なんだろうな。

次(7月28日マチネ)は西田コンス&久世男爵夫人のラストで前方席だから、体調整えなきゃ。

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『LAST SHOW』

2005.7.16(土) 19:00~21:15 渋谷・パルコ劇場

長塚圭史さん演出、パルコプロデュース作品。

観劇といえば最近、有楽町・池袋(たまに新宿)の私にとって、渋谷での観劇は久しぶり。
『バタフライはフリー』(2002年3月)の同じパルコ劇場観劇以来なので、実に3年ぶり(厳密には、青山劇場観劇の『デモクラシー』も渋谷といえば渋谷ですが)。

よって、劇場にたどりつくのに迷いました(爆)。しかも土曜の渋谷は人が多い。素直にバスで入ればよかった。

長塚さんの舞台は『真昼のビッチ』(2004年、シアターアプル)以来2作品目。

出演者も他の舞台でお見かけしたことがある人ばかり。
中山祐一朗さんは高橋由美子&馬渕英里何コンビの『真昼のビッチ』、風間杜夫さんも同じコンビの『居残り左平次』(2001年、明治座)、古田新太さんは『野獣郎見参』(2001年、青山劇場)と拝見しており、永作博美さんは舞台では『TIME☆SLIP黄金丸』(1993年、日比谷野外音楽堂。何気に新感線初体験はこの作品だったりします)以来。
よって、舞台で初見なのは北村有起哉さん、市川しんぺーさんのお2人だけ。

最初、中山さんと北村さんの区別が付かずに、小動物をぶらさげて遊んでる方が中山さんだと思って見たらその通りでした(笑)。

見に行くかどうか最後まで迷ってたけどすごい良かった。そしてすごい笑った。
一部ねたばれになりますのでご注意あれ。

ちなみにストーリーは役者で示すと

 北村さん→夫婦→永作さん
 北村さん→父親→風間さん→虐待→永作さん
 北村さん←仕事仲間→中山さん
  →取材相手→古田さん→元ファン→永作さん

という関係。


今回見に行くのを最終的に決めたのは永作博美さんが出てたから。
この方はご多分に漏れずアイドル時代(1989年に、アイドルコーラスグループ「ribbon」としてデビュー)からずっと見ている女優さんの一人なのですが、役どころの「元子役の女優」ってところがキャラクターにどんぴしゃり。

今年35歳なのですが、童顔なので、全然違和感がない。流石です。
個人的に大笑いしてしまったのが、永作さん演じる女優さんの旦那さん(北村さんが演じてる恐らく才能がないであろう制作会社ディレクター)のお父さん(風間杜夫さん)とのシーン。
風間氏が永作嬢に「俺を好きと言え!」と刃物持ちながら迫るのですが、永作嬢、「あなた私のファンなのね?だからこんなことするのね?」と女優さんらしい勘違いをします。
その直後なのですが、「そんなことしちゃダメじゃない。刃物をよこして」と言うのですが、物凄く、大上段から諭します。女優さんがファンをなだめる風のシーンになってるのですが、完全に上から物を言うわけですよ。

それはそれは、すごいリアリティで(笑)。

永作さんは昔からテレビ・ラジオ始め色んなところで見てますが、完全に姉御キャラでいかにも言いそうなんですわ、これが。
襲い掛かられて泣き叫ぶようなタイプではなくて、隙を見つけて逆襲するようなタイプなので、この物言いは、長塚さん、永作さんのことよくわかってるなーって感じです。
というかキャスティングのベストフィット振りに爆笑。

キャラが似ている贔屓さんでこのシーンを見ることにならなくて、ある意味ほっとしてしまったり。30代になって落ち目呼ばわりとか、身につまされるものもあるし(爆)。
パンフにも某演劇誌ライターさんが書いてるんですが、「永作さんだとそんな言われ方も扱われ方も、はねかえしちゃう感じ」ってのが納得。何言われても「フンッ」って言ってしまえる強さがあるから、痛々しくなくて心から笑える。
ずっと見てた準贔屓の永作さんで見れて、このシーンは心からブラボーでした。

永作嬢演じる女優さんのファンだったという胡散臭い動物愛護家を演じた古田さんもさすがの面白さ。大層悪人だったはずなのに、この人がやるとどんな役も古田色に染まってしまう。この人の演じ方は、何というか楽しんだ方が・持ってかれる方が得って感じです。
で、市川しんぺーさん、全てを持っていきました。
登場シーンは何を言ってもネタバレになるんで自粛。

市川さんいわく、このシーンで笑えるかどうかで、見ている人の人生が上手く回ってるかどうかがわかるそうです。
良かった笑えて(笑)。

舞台からの消え方が想像がついたけど、あまりにすっきり行ったので会場中が大拍手。あのシーンでそう感じるのはおかしいかもしれないけど、「感動」してしまいました。
・・・・と、舞台の本線と違う部分でチケット分楽しんでしまった私。

父親から息子への、執拗なほどの狂気とか、それにしがみついて自分が見えなくなってた父親の侘しさとか、「愛していれば食えるじゃん、それが愛情じゃん」とか叫ぶ自称動物愛護家さんとか、まっすぐから25度ぐらいずれてるような人間模様が、「生」の人間のカタルシスって感じで好きでした。

まっすぐから25度ずれてるって、『真昼のビッチ』でも同じこと感じたんですけどね。
2人以上の人間がいて、感情というものが複数あって、それらが、なんだか少しずつずれてて、分かり合おうとする行為がなくて、それぞれがある意味狂ったまま収束させないで終わるテイストに既視感。

それに、あまりに普通にアブノーマルなことやるから、だんだんそれが当たり前に思えてくるのが怖い。
見ちゃいられないほど残酷なことを見てるはずなのに、それを「傍観者」になって、何も言わないのが、日常に見えてしまうのが、どことなく「現代」的でそら寒い。

その人なりの生き方とか価値観とか、それが発展すると狂気って呼ばれるのかもしれないけど、特に古田さんが力説してるのを見ると、「もしかしてそれもある意味正しいのかも」とか騙されかける(笑)自分に危うさ感じて。

「マヨネーズかけられたんだよ、私!」って叫んでる永作さん、かっこ良かった(そして大笑いした)。

「マヨネーズかけないと食べられないって言われたようで悔しい」

って言葉は、30代・下り坂女優という設定だからリアリティありまくり。
子役出身でちやほやされた時代から流れてきていれば、自分の年齢に限界を感じながらも、それでもやっぱりプライドは人並み以上にあるわけで。
しかも女優として以前に、「女として」。

閉じ込められたクローゼットを前に、「絶対中から空くようにしないとダメ」と力説してるそばから、風間さん演じる父親を気絶させて、そのクローゼットに押し込むシーン。
「一つ一つ解決しないとダメだってば」とのたまう彼女、すさまじくかかぁ天下で面白すぎです。

一部展開が読めちゃうところもあったけど(風間さんが永作さん蹴り飛ばす所とかね)、長塚さんテイストを把握しちゃったのが良くないんだろうか。
展開読めても面白いは面白いんだけど。

パルコプロデュースだからDVDも出ると思うのですごーく楽しみ。
風間さんを大上段から諭す永作さんをまた見てみたい。
パンフも内容が濃く、大満足でした。

以上、世間の「LAST SHOW」レビューとは似ても似つかぬ、軽い感想。
自分にとって、あえて掘り下げたくないテーマだったらしく、永作さん演じた妻よろしく、途中から思考停止に陥ってしまったかも。

「子供は親を選べない」って言葉を、北村さん-風間さんの”ゆがんだ関係”と、永作さん-市川さんの”ピュアな関係”との間で重層的に見せたのは上手いなぁと思う。
市川さんのああいう役があって心底ほっとしたよ。
どっから狂気でどっから普通なのか分かんなくなってたんで。

で音楽は岡崎司さんだったのですか・・・・手術入院から復帰お帰りなさいませ。


閑話休題。
この夏は有楽町通いに明け暮れますが、ここに来て渋谷通いもほぼ決定。

7/31 パルコ劇場 音楽座『21C マドモアゼル・モーツァルト』(元エポニーヌ&キムにつられて)
8/13 新国立劇場 『星の王子さま』(某マリウスにつられて)

で、8/20~『SHIROH』のゲキ×シネが、パルコ劇場向かいのパルコpart3(パルコ劇場のビルの5Fから連絡通路でつながってます)の渋谷シネクイントで放映、と立て続けに続きます。
渋谷に慣れないとダメかな。

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『SHIROH』&『ミー&マイ・ガール』

●『SHIROH』ゲキ×シネ決定。
『MOZART!』一色になってた所に来ました、待望のお知らせ。
噂に上がってたゲキ×シネ(=演劇を映画館で公開するプロジェクト)第3弾は、予想通り『SHIROH』でした。
秋にDVD化が決まっている同作品の、DVD前の公開にぎりぎり間に合わせた今回のタイミング、ひとまずは東京のみが発表されています。

8月20日(土)~9月9日(金)で、1日3回(10:45、15:00、19:15。いずれも3時間30分、8月31日(水)のみ10:45がなし)の上映(全62回)。

公式サイトもオープンしてます。
予告編も公開されてます(Quick Time必要です)。

劇場は渋谷・シネクイント、パルコPart3の8Fにある劇場だそうです。
座席数が227席で、けっこう小さめの劇場という印象。何せ、完全満席になっても帝劇6回分なわけで、帝劇って大きいんだなぁと改めて痛感。

舞台挨拶がないので(その席数でやったら間違いなくチケットがプラチナ化しますね)初日に見なくてもいいのですが、やっぱりあれだけ通って好きだった作品、できることなら初日に見たい。

ゲキ×シネはこの時期に来る心の準備はしていたけれど、再演『MOZART!』の18回目(爆)の観劇を8月20日の夕方に入れてあって、そうなるとこの日は初回しか選択できない。
しかも発売は平日(8月5日(金))。
素直に諦めて翌日の1回目を見るか、迷うことにします。

●『ミー&マイ・ガール』帝劇再演発表。
今週水曜日に読売新聞夕刊に発表、公式サイトもパンフだけですがオープンしてます。

公式サイト

発表記事

井上芳雄さんと笹本玲奈さんといえば、『ミス・サイゴン』で相性ぴったりのクリス&キムを演じたコンビ。ありえない位のラブラブカップル(死語だ・・・)でベトナムにはフィットしてなかったけれど。
周囲が目に入らない暴走ぶりは凄いものがありました。

「ミュージカルのプリンスとプリンセス」とのキャッチコピーが付いていますが、井上君と現在、「プリンスとプリンセス」として共演中の方(※)がご贔屓の私でも、井上&笹本カップルには敵わないなぁ、と思います、はい。

キャスト決まった途端に行く気になりました。楽しみだなー
笹本さん、エポニーヌ→キムと「無理して悲劇の役」をやってる印象があったので、陽性の役がようやく見られて嬉しい。

チャヴァ役(『屋根の上のヴァイオリン弾き』2003年、東京芸術劇場ほか)、ジェニファー役(『イーストウィックの魔女たち』2003年、帝国劇場/2005年、博多座)の2役は楽しいシーンも多少はあるけどあまり個性活かした役じゃなかったし。

若いんだから小さくまとまるよりも、今暫く弾ける方向で行ってほしい。

(※)ヴォルフガング役(井上芳雄さん)&ナンネール役(高橋由美子さん)。
笹本さん、昔の由美子さんとキャラクターがかぶるので、何気に気になる女優さんです。
『アニーよ銃を取れ』のアニー・オークリー役を次にやるとしたら、笹本さんがぴったりだと思う。島田歌穂さんもやってる役だし。

由美子さんは井上君とはカップル役(バタフライはフリー)→姉弟役(MOZART!)→夫婦役(ミス・サイゴン)とやったから、あとは親子役ができてコンプリートできればいいや、
とかつぶやいてみたりして。
若さには勝てないよなぁ(苦笑)。

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『MOZART!』(5)

2005.7.12 ソワレ(ヴォルフガング:井上芳雄さん)
2005.7.14 ソワレ(ヴォルフガング:中川晃教さん)

今週は7/10に続いて週3回。我ながら回数見てます(笑)
中川ヴォルフのベストActが7/10ソワレなら、井上ヴォルフのベストActは7/12ソワレ。

いやはや、仕事帰りの平日ソワレはキツイです。
当日の仕事を終わらせるためにスピードアップしてる分、疲れが身体に来てるし、この舞台、音楽も心地よいので時々意識が飛びそうになります・・・・

17時45分の開演に間に合うには17時25分に車に飛び乗る必要があるのですが、この2日間は開演5分前のチャイムちょうどの時間に帝劇入り。
8月にもこんな綱渡りが2回あるのですが、やっぱり最初から見たいしね。

今回は趣向変えて、気になったところをつまみ食いで。

●十字架
「墓には十字架はありませんよ」
「せめて、墓石を置くべきだ!マダム・モーツァルト!」

1幕1場、プロローグでのコンスタンツェ(西田ひかるさん)登場の場面。

なぜ十字架がないのだろうと、考えてふと気づいた場面。

「才能を潰すクルス(=十字架)を絶とう」
と叫ぶヴォルフガング(1幕4場「私ほどお前を愛するものはいない」)。

死んでまで才能に縛られることのないよう、十字架は立てなかった。
それを決めたのはコンスタンツェかナンネール(高橋由美子さん)か。
何はともあれ、死ぬことによって自らの才能から解放されたヴォルフガングにとっては、何より救われたのかもしれないなと。

そして十字架に縁がありすぎの中川さん。『SHIROH』では十字架磔でしたからねー

●コンスタンツェとナンネール
このお2人、同時に出てくるのは2幕10場の「パパが亡くなったわ」だけですが、2つほどシーンが連続して登場するシーンがあります。

1幕13場「このままのあなた」(コンスタンツェ)
 →14場「終わりのない音楽」(ナンネール)
2幕2場「愛していれば分かり合える」(コンスタンツェ)
 →3場「プリンスは出て行った」(ナンネール)

コンスタンツェがヴォルフガングと分かり合えて幸せの絶頂、の直後が、ナンネールがレオポルトと共にヴォルフガングを案じる不安と苦悩を表現するシーン。
この落差がなんとも泣けるといいますか、感情表現が深くていつも染み入ります。

最後の最後に、ヴォルフガングが死んだ後、コンスタンツェはヴォルフの死体を見るそぶりもなく、お金目当てに墓を掘り出してたりしてる。
(14日ソワレは実質の2列目の最下手でしたが、頭蓋骨がはっきり見えた・・・)

「パパが亡くなったわ」のシーンで、ナンネールはただ一度だけ、ヴォルフに対して厳しい言葉で糾弾してますが、それでもヴォルフの死体に近づき、最後を見守るのはナンネールの方。

弟の成功をひたすら願い、父も失い、母も失い、弟も失い、そして自分も最愛の人と結婚できずに、音楽家としての道も進めなかったナンネールが、それでもまだ救われたように思えるのは、「弟を最後まで看取れた」からのように思えて。最後までヴォルフと繋がっていられたということは、心の支えなんじゃないかなと思う。

コンスタンツェが悲しいなぁと思うのは、かりそめの幸せのシーンはあっても、最後はヴォルフが自分にとって何の人だったのかがわからず(自分が頼りになれたかどうかもわからず)、心に空白として残ってしまうところ。
心にぽっかり空いてしまった穴を埋めることが出来ない女性、そういう見方をしてしまうと、報われないにも程があるなぁと思う。

●パパが亡くなったわ
このシーン、いまだにコンス始めウェーバー一家の歌が判別不能です(苦笑)。
というかナンネールの歌声しか聞き取れない(初演ではそれも無理だった)ので、そっち中心に聞いちゃってますが、
「なぜパパを傷つけたの 全て与えてくれたのに パパを裏切って 私を裏切った 決して許さない」という歌詞。

ここで「私(ナンネール)を裏切った」とヴォルフを糾弾するところで、井上ヴォルフは激しく動揺します。
いつも笑って見守ってくれた姉に、初めて言われた”罵倒”。
父の死を看取れなかったこともショックなわけですが、いくら否定しても家族を捨てた事実を思い知らされるわけです。
その後、「家族を引き裂いた!」とアマデを罵倒し、絶望に沈んでいきます。
そこに降り注ぐ男爵夫人の「星から降る金(リプライズ)」の温かみのある声につながっていく流れが、すごく好き。
生の感情、叫びに癒しの声、うまくストーリーが動いていく好きなシーンです。

●星から降る金の下の風景
井上ヴォルフ限定のツボポイント一つ。
男爵夫人がヴォルフをウィーンに連れて行こうとレオポルトを説得しに来るシーン。
(実はナンネールも男爵夫人が来るまでは、ヴォルフが家を出ることに反対してるっぽいんですが・・・というか一緒に行きたいだけか・・・)

直前までヴォルフは女の子とよろしくやってるのですが、井上ヴォルフの場合、シャツをわざわざちょっと出して出てくるのです。
男爵夫人が来た所でナンネールがヴォルフを見ると・・・・みっともない光景が見えちゃうわけです(笑)
「何やってんのよ、まったくっ」って感じで直してる高橋ナンネールはまさに姉御です。中川ヴォルフはこの小技がないからちょっとつまんなかったりする。

ナンネール&ヴォルフの掛け合いは「赤いコート」以降はここしかないので、毎回けっこう楽しみ。

●アマデ違い観察
帝劇アマデは4人いるわけで、大阪含めると全員見ましたが、一押しは中川ヴォルフと組む、川綱アマデ。
本気で怖いです。このアマデ。
ヴォルフの首締めて突き飛ばすのを平然とやっちゃうところが凄くて。

12日ソワレで笑ったのが、カーテンコール最終回。
この作品の場合、全員お辞儀2回→追い出し音楽演奏に拍手→ヴォルフ&アマデ登場なのですが、川綱アマデ、なかなか出てこない中川ヴォルフに業を煮やして、手で「巻き」の合図してます(笑)。

7月帝劇の西野さんの指揮は演奏がゆっくりだから、定時より3分ぐらい後にずれる。8月帝劇は、博多から戻ってくる塩田さんが指揮するはずなので、定時通りに終わるでしょう・・・
きっと、舞台進行が、塩田さんのあの速い指揮に合わせると時間通りなのでしょう。
ダンシング・マエストロ(=塩田さん)はけっこう好きですが、なんだか話が変な気が。

●握りこぶし
男爵夫人が握りこぶしをしてるシーンがあるとは思わなかった・・・。
ちなみに2幕16場「音楽の泉」内の一幕。
前方席だとものすごいものが見られたりしますねぇ。


・気づいたところあったらまた追加します。次は18日、マチソワ。
 マチネは母親と妹を招待してあって、初見の感想が楽しみだし(レミゼは見せたことがある)、ソワレは貸切なので(得チケも出てたけどね)挨拶があると思うので楽しみ。

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『MOZART!』(4)

7月10日(日)ソワレ観劇。
再演版帝劇2回目、中川ヴォルフは再演帝劇では初めて観劇。

●ヴォルフガング・モーツァルト役/中川晃教さん
 正直、今日は油断してました。大阪でも帝劇初日でも、再演版では井上芳雄ヴォルフガングの方が肌に合うような印象があって、過度な期待をせずに行ったら、いい意味でありえないヴォルフガングを見せてもらいました。
 精神的にフラットな状態というのか、ヴォルフであろうとすることを、無理してやっていない感じがして、生の感情が押し寄せてきた印象。
 本音を言っちゃえば、1幕は「調子悪いのかな」(ちなみにこの日は、公演前に灼熱の銀座でライブやってた)と思ってたが、2幕は
「目をそらしちゃいけないんじゃないか」と思わせる迫力がありました。
 ヴォルフガングの生の感情に対峙して、自分は何ができるのだろうか、そんな思いを抱かせてもらうに十分でした。
 魂かけたかのようなこの日の舞台、
 中川君はいろんなところのインタビュー見ても、役柄とか自分の立場とかにすごく敏感な方と思われるので、ヴォルフガング同様に、命削って魂賭けて演じてるんじゃないかと心配になることがある。
 井上君はどんなに凄みを出してもレールの上から外れない安心感があるけど、中川君はレールを作って宇宙に伸ばしていっちゃいそうな怖さがある(笑)。

●レオポルト役/市村正親さん
 厳格にひたすら息子を縛る父親を今日も丁寧に演じておられました。フォルトシュッテンテン男爵夫人が来る直前、「お金が入ったら借金を返すよ」とヴォルフが言ったのに返事する時に、借金のメモを見て「うわーっ」と叫んでたのがmyツボ。
 市村さんのこういう遊びって大好き。今作、無理して厳格に厳密にやってたような気がするので、こういう意外性のある演技って、話壊さない程度に今後も期待してます。

 レオポルトの歌詞で印象的なのが、1幕「赤いコート」での
「私を狂わせたいのか」という歌詞。
「私を怒らせたいのか」じゃないところがレオポルトの立ち位置を上手く表現してるように思う。
「愛情をもって」接している、と市村さん本人が初演パンフで語られていますが、それだけにヴォルフにとってはただ重荷だったんだろうな、とは思った。

●ナンネール役/高橋由美子さん
 1幕「終わりのない音楽」がもう少し丁寧だったら良かったのですが、ちょっと疲れが見え始めてる感。
 というか、こういう細かい所まで気づく自分を斬りたいですな
((C)橋本じゅん)
初見だと全然気づかないぐらいなので、出来は高値安定ということでもあります。
 2幕「プリンスは出て行った」は絶品で、いいもの聞かせてもらってます、いつも。
 声がいつもより出てた感じがするけれども、彼女はお疲れの際に地声を張り上げる癖がなかなか抜けないので、それも良し悪しといったところ。

 今日印象的だったのは、男爵夫人の「星から降る金」が聞こえる間、ヴォルフ・レオポルト・ナンネールのお3方が揃ってる家族のシーン。
 ヴォルフガングって、井上さんの場合、満面の笑みをたたえてる。中川さんの場合、少なくとも笑ってない、父親の手前ちょっと迷ってるみたいなところがある。
 ナンネールがヴォルフガングを励ますシーンも、井上ヴォルフは軽く背中を押しただけでOK、中川ヴォルフはどーんと背中を押してあげないとだめ、みたいな違いがあって面白い。

 後のシーン見てくと、ナンネールのヴォルフガングへの心配って、
  井上ヴォルフへは←思い上がるのが心配
  中川ヴォルフへは←思い詰めるのが心配
 って風に取れたりする。

 あくまで役での感想なので石投げないでね(笑)。

●アマデ役/川綱治加来くん
 大阪の出演がなかったので、帝劇からのご登場。
 エリザを観てないので、いまだにパンフ見ないと下の名前が書けません・・・

 個人的にインパクトがあったのが、「魔笛」の作曲をシカネーダーからヴォルフが受けた時に、渡された台本を持って、「にこっ」と満面の笑みをしたところ。
 なんだか、ついに「やりたいことにたどりついたぞ」みたいな満足感を表情から感じて、素敵だなと思った。
 この作品ではヴォルフとアマデは別人格に見せてるけど、そもそもはアマデはヴォルフの「才能」の部分なわけで、「才能」が求めた仕事でもあったわけですね。

●コンスタンツェ役/西田ひかるさん
 見れば見るほどわからなくなっていく役です・・・・
 というか思った以上に難しい役だと思って最近見てます。西田さんはやっぱりこの役の「軸」を作りきれていない印象に戻ってしまってます。
 帝劇初日でいいなと思った部分も、なんだか今日は
”中途半端”に逆戻りしちゃった感じ。
 何を求めて何を得たのだろう、そして何を支えに今を生きているのだろう、そこの表現が感じられないので、ただヴォルフの周りにいただけの女性になってしまってる。
 上手いんだけど、なんだか演技にメッセージ性がないのが松さんとの違いなのかも。そつなくこなすところはさすがなんですが、どうもそこで止まっちゃうところが。
 梅田でも感じたんですが、本質的に中川ヴォルフと合わないと思う。
 なんだか、目線を1cmずつずらして向かい合ってる気がするんですよ(笑)。井上ヴォルフとは合うと思うんですが。

●その他の出演者もろもろ
 シカネーダー(吉野圭吾さん)はいつもいつもあの胡散臭さとエンターテイナーのバランスがすごく良くて、見てて楽しい。あの役、下手な人がやるとすごく場がしらける難しいシーンばかりなのに、適材適所って大事だよね、ってこの役見るたびに思う。

 コロレド大司教(山口祐一郎さん)、歌い上げ系の帝王。おトイレのお笑いシーンが抑え目になってて好印象。ちょっとやり過ぎな気がしてたんで、普通に戻って何より。

 アンサンブルから碓井マキさん。初演は高橋真記子さんとして出演されてましたが(ちなみにこちらが芸名)、今回はっきりと出番を確認。
 「人は忘れる」の直前と、「野菜市場」の2シーンで、高橋由美子さんと並ぶアングル。
 まぁこのお2人は『レ・ミゼラブル』2003年版のファンテーヌ&ファクトリーガールの取っ組み合いの喧嘩の方がインパクト強大なので、印象が上書きされてしまってるのですが。凄まじく気の強い同士に見えたなぁ(笑)。

●ちょっぴりおつむに・・・・
 そういえば本日の観劇。
 超「非」人的にマナーの悪い人が隣に座ってました。
 観劇のマナーは自分がいいかどうかなんてわからないけど、観劇の途中に足は組まないぞ・・・・。
 腕を両手で組んだだけで失礼だと思って崩すなぁ
(こっちは何度かやりそうになってあわてて崩した)。

 眠くなるシーンとかあるのはわかるけど、足を組むのはなかろうと思う。
 もっと凄かったのは、天下の帝国劇場で足組んだまま靴脱いで靴下を人に向けてたってこと。
 観劇中じゃなければ本気でどやしつけたろうかと思った。
 当然靴下がこっちに見えてるわけですよ。最初目を疑いましたよ。
 あーびっくりした。

 世の中広いなぁ、いろんな人がいるなぁ。
 でも二度と隣になんか座りたくないわ。
 とりあえず自分の贔屓さんのファンではなかったようなので、それだけはちょっとほっとした。(見せ所でオペラグラス使ってなかったから)

今週は12日ソワレ(井上ヴォルフ)、14日ソワレ(中川ヴォルフ)と続きます。
明日は頑張って仕事進めとこ。

●おまけ 帝劇チケット情報
 7月9日現在、B席に戻りが出てます。
 現在、B席に空きがあるのは以下のとおり。(★は井上ヴォルフ、◆は中川ヴォルフ)
  7/12夜★、7/14夜◆、7/19夜★、7/25夜★、7/26昼★
  7/26夜◆、7/31昼◆、8/2夜◆、8/3昼★、8/4昼◆
  8/4夜★、8/5昼★、8/8夜★、8/9昼◆、8/9夜★
  8/11昼★、8/12昼★、8/15夜◆、8/16夜★

7/12追記---------------------------------
 7/11現在の空き、東宝HPと帝劇配布分で異なります。
 帝劇配布分(7/11現在)でB席に空きがあるのは以下のとおり。
  7/14夜◆、7/19夜★、7/25夜★
  7/26夜◆、8/4夜★、8/5昼★、8/8夜★、8/9夜★
  8/11昼★、8/12昼★、8/15夜◆、8/16夜★

 「良席ご用意できます」は颯爽と消えました。
 順調に、席は減りつつあります。

 今日ソワレはG列センターブロック、早出して頑張って仕事終わらせよっと。

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『MOZART!』(3)

帝劇初日、2幕目です。

●第2幕・第2場(愛していればわかりあえる)
 このシーンのスタート、ヴォルフが「あぁ・・・・」と呟くシーン、井上ヴォルフ限定なのですが、彼らしい言い回しがツボ。
 どう言ったらいいのか、「けだるいあくび」って表現でわかってもらえるかどうか・・・・いかにもやる気なさげな(褒め言葉のつもり)台詞回しが絶妙。帝劇初日は残念ながら、普通のリアクションだったので、個人的にはちょっと残念。

第2幕・第3場(プリンスは出て行った)
 ナンネール・レオポルトのデュエットではありますが、ナンネールのソロパートの方が長い曲。ここでの由美子さんの艶やかな声は個人的には一番の聞きポイントです。
初演ではたまにやり過ぎと思えるほどオーバーヒートしてた(ほとんど「怨みます」状態だった)ことに比べると、この日はすっきりシンプルに感情に訴えかけてきていて、かつ滑らかな歌唱が健在で何より。

 しっかし、愛した男に捨てられたり、他の女性の育ての母親になってみたり、最愛の人に逝かれて一人ぼっちで生き残ってみたり、
高橋由美子さん、つくづく夢やぶれる役ばっかりであります。

●第2幕・第4場(友だち甲斐・ダンスは止められない)
 ナンネール派の私としては、ここで結婚祝い金を送っておけば、多少はヴォルフに同情の念も持てたところですが、友だちを選んでくださったので、さすがに罵倒したくもなります(笑)。
ヴォルフは単に生きたいように生きただけではあるのですが、その下には無数の犠牲があって。
それに、ここではお金を送ってもらうという即物的なところよりも、ナンネールにしてみれば「自分を忘れないでいてくれた」という思いの方が必要なわけで、それさえも恐らくなかっただろう状況というのも、後々「私を裏切った」と言われるだけの原因はあるということなのでしょう。

 で、「ダンスはやめられない」。
 この曲、初演と再演では、個人的に立ち位置が全く違ってる曲です。

 観劇生活でという意味でですが。

 えと、『花の紅天狗』って作品を見てしまっておりまして、この曲のオマージュがあったりする(ありていに言っちゃえば「ぱくり」ですが)ので。
 そちらの作品でのシーンがあまりに強烈過ぎて、この曲が暗めの音階で流れる時は、もうそれしか浮かばない(苦笑)。

 ピンクの衣装で踊りまくる森奈みはるさんに、黒づくめで踊りまくる川崎悦子さん。
 「MOZART!」公演中に見るにはあまりに困ったDVDかも。

 フルで流れる後半部分ではそんなこともないのですが、気にしすぎかなぁ。

 先日帝劇に見に行った「ラマンチャの男」で不覚にも噴き出しそうになったよりはマシだとは思うけど(爆)。


●第2幕・第5場(神よ、何故許される)
 コロレド大司教(山口祐一郎さん)、歌い上げシーン。最後の決めの直前に、静寂を挟むのですが、とにかく長い(ざっと7秒ほど)。まさに会場全体が、息を飲む様は流石です。
 願わくば、このシーンに携帯を鳴らすような人がいないことを祈ってます。とりあえず今日は問題なくクリア。

●第2幕・第6場(ウィーンからの手紙)
 この作品で群を抜いて長台詞になるシーン。ウィーンに行ったレオポルト(市村正親さん)から送られた手紙を読むナンネール。揺れてる馬がなんだか微笑ましい(笑)。んで、馬の横にある輪投げのフープがなんだか暇な時の遊び道具みたいでちょっと寂しい(普通に息子の遊び道具ではあるのだろうけど)。
 由美子さん、お世辞にも滑舌がいい方とは言えないのに、この作品でもまたもや最長の長台詞を任せられているのがなんとも皮肉。「SHIROH」の時もストーリーテラーとして長台詞と対峙してましたが、何より声が通るから話がわかりやすくなるのはありがたい。
 かつ、声色に演技を付けるタイプなので、「(ウェーバー一家について)善良な一家を誤解していたらしい」というところを、疑問符付けつつ読むあたりの上手さは流石だと思う。

●第2幕・第7場(何故愛せないの?)
 レオポルトの言うことに反発してきたように見えるヴォルフガング(井上芳雄さん)ですが、この曲を聴いてると、父親の不器用な愛しかたと、愛されることに不器用なヴォルフのすれ違いだったのかな、とちょっと思えた。

●第2幕・第8場(乾杯!ヴォルフガング)
 心が離れたと思うコンスタンツェ(西田ひかるさん)がつぶやくように歌う1番に、途中から入ってくるヴォルフの声。何度聞いてもいいシーンだな、と思う。何となく、ヴォルフとコンスの心の通い合った唯一のシーンに思えたりする。実際には1幕にも愛し合うシーンがあるわけですが、なんだかままごとみたいでピンと来ないので。

ヴォルフの”才能”の部分を具現化したアマデは、ヴォルフをプラスに導く人と、マイナスに導く人に敏感で、たとえば女遊びしたり酒場出歩いたりしようとする時に袖引っ張ったりするわけですが、ここでは、コンスタンツェとヴォルフの関係を、見守るように動きます。
ヴォルフがコンスタンツェを求め、それがヴォルフにとって良かれと思ったからこそ、アマデは邪魔をしなくなった。ベッドのシーンで顔を隠す辺り、アマデはなかなか人間が出来てます(笑)。

●第2幕・第10場(パパが亡くなったわ)
ウェーバー一家に食い物にされてる時に現れる、ナンネールの姿はある意味好対照と言えます。「嘘をつくのは嫌だ、利用されるのももうしない」と叫んだヴォルフに叩き付けられる現実。
父が亡くなり、父とわかりあえる機会がもう訪れないことがショックだったのか、
常に自分を理解し応援してくれた姉に「自分を裏切った、決して許さない」と言われたことがショックだったのか、後に続く曲では前者しか描かれてないわけですが、個人的には後者も痛すぎるぐらい痛い。

●第2幕・第11場(モーツァルトの混乱/星から降る金/コンスタンツェ慟哭)
第1幕で歌われる「星から降る金」の久世星佳さん版は苦手な自分ですが、モーツァルトが絶望に沈むシーンで歌われる、この曲のリプライズは凄く好き。厳しさと癒しのないまぜになった歌声というのか、このシーンに求められる全てを余す事なく表現する様にうっとり浸ってしまいます。
まぁ、単に第1幕はあまりに大ナンバーすぎていっぱいいっぱいな感じが醒めちゃうと言ってしまえばぶっちゃけすぎですか・・・・(独り言)。

●第2幕・第12場(フランス革命)
 大人には父親はいらない、と断言してるヴォルフガングが、なんだか物悲しくなったりします。

●第2幕・第16場(音楽の泉/影を逃れて)
 ヴォルフガングが自殺した後に、この作品最大の静寂時間が訪れます。
 ヴォルフガングの変わり果てた姿に絶望するナンネールが、机の上に置かれた小箱を開けるまでの時間、どんどん長くなっている感じ。
 ヴォルフがどんどん壊れていった2幕なので、同じ曲でも1幕のカタルシスだけのとまた違った気持ちがするエンディング。
 再演で何度も見ていくと、また感情も違ってくるのかも。

 長々延々と書いてしまいました帝劇初日感想、ようやくENDです。
 初演当時は、今ほど頻繁に観劇するような状態ではなかったので、記憶も曖昧、CD聞いて思い出す、という面が多かったこの作品、この2ヶ月はどっぷり漬からせてもらおうと思っております。

 平日ソワレの良席が異常なほど取りやすかったこの作品、開演時間(17時45分)に間に合うように会社を抜け出すのはどうしたらいいか、これから頑張って考えます(笑)。

 そういえば、ちょっと余談。
 この日は帝劇最後列どセンタ-(B席)の観劇だったのですが、個人的にショックだったことを1つ。
 観劇の際にいつも使ってる双眼鏡があるのですが(確か、2000円ぐらいで購入)、
ふと、某100円ショップで買ったオペラグラスも持っていって見比べたら、圧倒的に100円オペラグラスの方が見やすかったです。

 2000円双眼鏡の立場、ないなぁ・・・・

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『MOZART!』(2)

7月4日ソワレ(夜)、東京・帝国劇場初日、観劇してきました。

●データ編
 2005.7.4(月)17:45~21:10(カーテンコール込み、休憩25分)

 ヴォルフガング・モーツァルト:井上芳雄
 レオポルト(モーツァルトの父):市村正親
 ナンネール(モーツァルトの姉):高橋由美子
 コンスタンツェ(モーツァルトの妻):西田ひかる
 コロレド大司教(ザルツブルグの領主):山口祐一郎
 ヴァルトシュテッテン男爵夫人:久世星佳
 アマデ(子役):黒沢ともよ

 パンフレット帝劇版 1,600円
  梅田芸術劇場公演の写真あり
  ヴォルフガング(井上・中川)のインタビューあり

今回は初日ということもあるので、大阪のレポと趣向を変えて、舞台の流れに沿って書いてみます。後ろで初演版CDをかけながら(シーンをすぐに思い出せない自分が頼りない・・・・)。コンスは松さんだったりしますが。

●第1幕・第1場(奇跡の子/人は忘れる)
 初っ端からアンサンブルの出来の凄さに圧倒されます。いくつか東宝系の作品見てるけど、アンサンブルはこの「MOZART!」と「イーストウィックの魔女たち」(7月3日から博多座で公演中)と「SHIROH」(2004年12月~2005年1月)が個人的に3強。

 「人は忘れる」はこの作品の久世さんの曲では一番好き。男爵夫人は今のところ久世さんしか見ていないのですが、ヴォルフガングをどことなく突き放す(大人として扱う)ところと、この曲の空気が合っている気がする。この曲をハイライトCDで聞けるのは嬉しい。

●第1幕・第2場(赤いコート/僕こそミュージック)
 ヴォルフガングとナンネール、弟と姉がじゃれあう唯一の曲になる「赤いコート」。初演版の井上さんCDで音を派手に外しちゃってる由美子さんですが、再演は梅芸で何の苦もなくすりぬけてることを確認済みなので、かなり安心。

 ここでヴォルフガングがふざけてるところで、ナンネールが「ヴォルフガング~」って言うところの言い方が何とも言えず好き。特に井上ヴォルフ相手だとやんちゃぶりに呆れつつも、しょうがないなぁと思ってる感じが声に出てて凄く上手いなーと思う。

 赤いコートを「さいころ一つ」(つまり博打ですな)で儲けたお金で買ったというヴォルフに「またツイてたのね」といたずらっぽく言う所もツボ。
 この日は井上ヴォルフとですが、中川ヴォルフとはまた別の空気が流れてたりする。
 ナンネール推しとしては珍しい楽しいシーンなので、かなり浮きうきします。

 「僕こそ音楽(ミュージック)」。歌詞聞いてると、井上ヴォルフと中川ヴォルフの違いが鮮明に見えるというか、中川ヴォルフが1番(「役者じゃない 芝居は出来ない」あたり)、井上ヴォルフが2番(「バカ騒ぎが大好きさ」あたりw)って感じがする。

 ”ありのままを愛してほしい”という言葉が、この時点だとまだ切迫した感じがないので、2幕見終わってこの曲聞くと、ヴォルフは最初から最後まで、自分自身を分かってほしいと思いつづけて、ついにそれが果たされなかったのかなと感じる。

●第1幕・第3場(何処だ、モーツァルト!)
 歌い上げ第1シーンになるここ。コロレド大司教の傍若無人さが歌ってる山口祐一郎氏に凄まじくハマってる。モーツァルトメインに見ると嫌われ者なのかもしれないけど、何せ歌の力が並じゃないから、敵役としての存在感十分。

●第1幕・第4場(私ほどお前を愛するものはいない)
 この作品、あてがきじゃないかと思うほど、キャストと役がぴったりきてるとつくづく感じますが、それを顕著に感じるのがこの曲。

 「芸術家は自らに厳しくあるべきだ」と言うはレオポルト役の市村正親さん。
 「芸術家は自由であるべきだ」と言うはヴォルフ役の井上芳雄さん。

 なんだか、2人の役者の立ち位置にあててある気がして、見る度にすごく複雑な気持ちになったりします。

●第1幕・第5場(まぁ、モーツァルトの娘さん!)
 ナンネール楽しいシーンその2、ここが終わるとひたすら苦悩するシーンに突入です。
 このシーンもアルコ伯爵の余計なチャチャが入ったりするので、楽しいばかりじゃないのですが、「夢見る少女」のいっちゃってるぶりが堂に入ってます、由美子さん。
 道を歩いてる人が指差してさらし者にするぐらいに。
 自分の世界に入るのはショムニ以来の彼女の特技だしなー

●第1幕・第6場(心を鉄に閉じ込めて)
 レオポルトのソロ。この曲を聞いてると、レオポルトも随分人にだまされた経験を持ってるようで、世渡りの下手さを吐露してるような気さえしてきます。
 これはむしろ褒め言葉みたいなもので、この作品の役って、ある意味、世渡りが下手な人ばかりが集結してるような気がするので、その不器用さが、不完全で人間らしいところに見えて好感。
 人生なんてそんな思うように行くものではないし。

●第1幕・第7場(マトモな家庭)
 ごめんなさい、1幕で一番眠いシーンです(爆)。今日も拍手が一番小さかったシーンだと思う・・・
 ウェーバー家の長女・アロイジアの歌声が絶品(宝塚出身の秋園美緒さん)で、それだけを楽しみにしていたりします。
 コンスもダメダメっぷりが意外でも何でもなくて正直、長くてダレてしまう。

●第1幕・第9場(母の死/残酷な人生)
 モーツァルトに付き添った母がパリで亡くなるシーンが入っています。
 この死に姿が由美子さんにそっくり。そりゃ娘と母じゃ似てて当たり前なのですが、『レ・ミゼラブル』の2003年版パンフに載ってる工場での帽子かぶった姿にものすごく似てるので、他人に全然見えなかったりします。(ちなみに実際に演じてるのは、北林優香さん)

 ヴォルフが最初に魂の叫びを発するのがここ「残酷な人生」。
 母の死を目の当たりにして、最初に狂いだすこのシーンが、特に井上ヴォルフのこの3年の成長を一番わかりやすく表現してる感。初演だと歌詞をなんとか乗っけるのが限界みたいなところがあったのに、再演では余裕で叫んでる。軽々と”ヴォルフを乗っ取ってるんだ”ってのが見えて実に頼もしい。

●第1幕・第10場(チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに)
 この作品、一番はっちゃけてるシーンは多分誰に聞いてもここと言うと思われます。
 吉野圭吾さん演じる興行師・エマニュエル・シカネーダーは「ハマリ役」という言葉以外で表現しようがないインパクト。初演でも絶賛されてたけど、こういう道下的な役どころ(褒めてます)は、吉野さん、抜群に上手い。
 役に酔っちゃうところがないから、見ていて「エンターテイメントに徹してるよなぁ」って感心できる。

●第1幕・第11場(星から降る金/私ほどお前を愛するものはいない)
 「MOZART!」を代表するソロナンバーがここに入ってきます。ヴァルトシュッテッテン男爵夫人が歌うこの曲、正直、久世さんの声質とスタンスとは、上手く合わない曲だと思う。
 大阪前半のように風邪をひいてはいなかったので、今日は今までで一番良く聞けたけど、やっぱりちょっと無理してる感があり。

 男爵夫人が現れる直前に、ちょっと女遊びしてたヴォルフを、「何やってのよ、もぉ」って感じで服装直してるナンネール姉さん、芸が細かい(笑)。

 このシーン、男爵夫人の歌詞を聞いてニコニコしてるヴォルフと、困ってるレオポルト(男爵夫人の申し出をいきなり撥ね付けるわけにもいかないんで)と、どっちの気持ちも分かるのでどっち向いていいかわからないナンネールと、3者の家族関係がすごく濃い(帝劇パンフにもいい写真が載ってます)。
 
 その直後に「私ほどお前を愛するものはいない」に突入するからなおさら。3人の立場が上手くシンクロするこのシーンで、いつも物足りないのは、由美子さん。贔屓にしてるけどここだけは・・・・。
 高音のしかも裏声が苦手なのは承知してますが、ヴォルフとレオポルトに挟まれると、どうしても埋もれちゃうんですよね。再演でようやく歌詞が分かるようになったけど。

●第1幕・第13場(並みの男じゃない)
 このシーンはヴォルフとコンスタンツェのシーンですが、今まで見た範囲ではなんだかバランスが良くなくて。
 初演の松×井上、松×中川は、松さんの存在が大きく見えすぎたし、初演の西田×井上、西田×中川はシーンが作れていないように見えた。
 先月見た再演の西田×井上、西田×中川は、今度はヴォルフ側が成長しすぎて、西田コンスの呼びかけがなんか浮いてた。

 それからすると、再演の帝劇まで来てようやくすっきり形になった気がする。
 西田コンス、コンスを累計2ヶ月(初演の帝劇と、再演の梅芸)やって、ようやく役がつかめてきたように見えた。

●第1幕・第14場(終わりのない音楽)
 曲に入る前、ナンネールが言う「あのマンハイムにいたウェーバー一家・・・・」とつぶやくシーンが、再演では明確に怒気を含んでます。初演は「ウェーバー一家がどうかしたの?」という疑問形だったのが、今回は「敵視」した声色に変わっていたのが、印象深かったですね。

 ナンネールとレオポルトのデュエット。
 由美子さんの声量が上がって、とてもお得なハーモニーになってます。
 1番は初演当時の滑らかにメロディに乗せる様子から、一言一言感情を込める感じに変わってた(個人的には滑らかな方が好きなんだけど)。
 2番を力強さで押し込んでいくところは変わっていなかったけど。
 帝劇初日は、梅芸とさえ歌い方が変わってた気がする。
 まぁこれからいっぱい見るし(爆)、追い追い確かめてくことにします。

 ナンネールが落としたステッキを、拾い上げ、最後に返すレオポルト。
 「才能」の象徴に見えて、うるっと来てしまいます。

 この曲は東宝公式HPにて、中川ヴォルフが「好きな曲」に挙げてくれてます。なんだか、凄く嬉しかったりして。

●第1幕・第16場(影を逃れて)
 ここは何度聞いても鳥肌が立つシーン。最強のアンサンブルに最強のプリンシパルが合体した最大音量の音の波が、怒涛のように押し寄せてきます。
 ヴォルフの魂の叫びが導入部になって、各キャストが同じテーマに向かって、それぞれの生き様をぶつけてくエネルギーが凄くて、魂が毎回持っていかれます。

 私的ポイントとしては、ヴォルフの背後にいるキャストが、90度右回転(客席から見て)する場面。本当にぴったり90度、同タイミングでキャストが一気に動く。
そのあまりの整然さに、意志の強さを感じて素敵。

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1時間40分地点、ここで第1幕終了。
CDをほぼノンストップでかけているので、この文章自体も書くのに1時間40分要してます(笑)。
第2幕は力尽きて今日中には上がらないかも・・・・

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