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『雨と夢のあとに』(1)

テレビ朝日系、金曜ナイトドラマ、今回が2回目。公式HP
演劇集団キャラメルボックスの成井さん、真柴さんが脚本を担当されていることもあって、開始前から気になっておりまして、ついつい見ております。
(この作品を知った理由は実は別の理由ではあるのですが)

父と娘、2人きりの生活をしていた父親好きの娘を演じるのが、桜井雨役の黒川智花さん
父親は蝶の魅力に魅せられ、”幻の蝶”を探しに行った台湾で事故死。
ところが、娘を守りたい一心か、幽霊としてこの世に残り、娘からは何も変わりなく普通に見える。
そんな父親・桜井朝陽役を演じるは沢村一樹さん
家系的にか霊感を持つ隣人、父親をフォローする役に
木村多江さん

深夜らしい作りといえばそうなのですが、ホラーとファンタジーを行き来している作りがすごく上手い。言葉の一つ一つが丁寧なのは、さすがキャラメル風だと思ったりしてみたり。

(成井さんが公式HPで、「お客さんを怖がらせることより、感動してもらうことを最優先に考えています。」と書かれています。これはキャラメルの作品の方の解説ですが、読売新聞のインタビューで、”ホラーとファンタジーは表裏一体の関係。感動を与えられればそれはファンタジー。そういうものを作りたい”って語っていたことがあります)

主演の黒川智花さん。若手女優でこれから伸びるかどうか、というところでいきなり主役を任されています(メインどころが研音所属の俳優ばかりなので、実質上”研音挙げての黒川さん売り出し作品”ではあるのですが)。
が、この枠はいわゆる”只野枠”なので、深夜のあっち方面の演出もあるわけで。男性に襲われそうになるシーンもあるわけで。正直言ってしまうとかなり気の毒。
そういうシーン使うのって演出の手抜きとしか思えなかったりする。

雰囲気的には5年前の榎本加奈子さんとスタンスがぴったり一緒。

ステレオタイプというのか、女子高生を描くのにわざわざ万引きだの援助交際だのを持ち出さないと表現できない(2話)というのも、いささか芸がないというか、数字狙いとはいええげつないというか。
いい演技をしているだけに、もうちょっと大事にされて欲しいんだけどな。

このドラマ、1回ごとにゲスト役で「幽霊」が登場します。
1話の警官役(平田満さん)は雨をストーカーして朝陽に叩きのめされます。
「俺は死んでも雨を守る」という朝陽の言葉は、使い古された言葉でありますが、涙を誘います。
死んでるんだよなぁ・・・・って。
2話の地縛霊・百合子役(通山愛里さん)は母親に愛されていないと思い込み、朝陽の愛情を注ぎ込まれる雨が羨ましく、意地悪をし、万引きだの援助交際だのをさせます。
ここまで容赦なくいじめ役やってもらうと、主役の良いコ具合が嫌味なく見えてきます。
というか通山さんも、いじめ役めちゃくちゃ上手い。
黒川さんのことを「大事にされてない」と表現したけど、逆の意味でおいしいところもらっているということでもあるんですけどね。

隣人役の木村多江さんがいい味出しています。
どう見ても朝陽にホの字なだけですが、あちらこちらで引っ張りだこの理由が分かる気がします。ストーリーを上手く運んでいってるし、余分な力みもない。
ただ、2話を見て思うのですが、何を目的に構うのかなぁというのがちょっと分かりにくいかも。「隣人としての親切」にしては度が過ぎてるし、好意というだけでは図れないし。

朝陽役の沢村一樹さんが奇妙に力みが入ってるだけにその対比でもなかなかの存在感です。
あとキャラメルボックスといえばベテランの西川浩幸さんが雨の担任役。
ドラマから何だか浮いている独特の空気が笑えてしまう。2話は寝癖にちょっと噴き出してしまった。

2話は、その百合子が朝陽にも隣人にも、そして雨にも見えてしまうという、「幽霊が見れる人」大安売りの回。
「幽霊がこの世にとどまるのは、思い残りがあるから。」という仮説をそのままなぞっている2話。
百合子の思い残りは「母親に会いたい、愛されていたかどうか知りたい」ということ。
雨がお膳立てをした母親との出会いは、それなのに母親には彼女が見えない。
親切がかえって残酷にも見える。このシーンだけで終わったら。

最後、母親を心から信じられたことで、母親にも見えて、心残りなく成仏できたという話は、あまりに出来すぎているんだけど、でも、特に今回の2話後半、秀逸な演出に上手な台詞、繊細な演技に上質のカメラワークから繰り出される流れは、とても素晴らしかった。

「信じている人にしか、見えないんだよ」という言葉は、このストーリーには重過ぎる。
母親に百合子が見えない、それは百合子が母親を信じてあげていないからだ。
そう語る朝陽は、いまや幽霊になっている帳本人。
雨に朝陽が見えるのは、「信じている」からだと、そう言っていることが、切なかった。

2話のエンディング、雨が語った言葉。
若い頃に亡くなった母親が、自分にも見えるのか朝陽に語りかけるシーン。3話につながっていく振りではあるのですが、この辺の作りがいちいち上手いです。

今週末の3話には、雨が母親と「思い込む」幽霊役として、
高橋由美子さんがゲスト。
当初、キャラメルつながりの推薦かと思っていたのですが、昨年同じテレビ朝日系『電池が切れるまで』にゲスト出演した時と同じく、プロデューサーが中込さんなので、こちらのラインみたいですね
(ちなみに、今回主演の黒川さんの抜擢のきっかけも同番組での黒川さんの演技だそうです)。
由美子嬢、『電池が切れるまで』では、離婚し泣く泣く息子を手放した、母親役を好演しました。
今回は3話の時点では雨が母親と「思い込む」役どころを演じます。

放送開始前に、3話のゲスト出演が発表されたのですが、1話・2話といい物を見せてもらったので、3話もたいそう期待しております。
最初に書いた「この作品を知ったきっかけ」は、これだったりしました。


そういえば書き忘れましたが、
主題歌『雨と夢のあとに』(奥田美和子さん)。とにかくドラマとベストマッチした柔らかさが絶妙。歌詞がどことなくこの先のストーリーを暗示しているところも。

「きっとあなたはいる 声は聞こえなくても
 きっとあなたはいる 姿は見えなくても」

何となく

「もし夢が終わったら あなたに会えますか」
「もし命を落としても わたしはあなたを待っています」

というフレーズから見るに、このストーリー自体が

『雨”の”夢のあとに』

のような気がしていて・・・
朝陽の死を信じられない少女に、朝陽の「心残り」が残したわずかな慰めのような気がしてしまいます・・・。
すべては夢の中の出来事だと・・・・

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 死んだ父親が娘のもとに幽霊として帰ってきた。父親が幽霊とは知らない娘と、幽霊であることを隠しながら、娘を守ろうとする父親のファンタジックホラー第2話。東海地方では、通常の金曜夜ではなく、土曜深夜に放送している。  キャストは以下の通り。末尾の○/×は、幽霊の朝晴が見える&朝晴と喋れるかどうかを示してみた。  幽霊となった父親・桜井朝晴(沢村一樹)  けなげな父親思いの娘・桜井雨(黒川智花) ○  霊感の強いマンションの隣人・... [続きを読む]

受信: 2005/04/26 07:48

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