『雨と夢のあとに』(2)
『雨と夢のあとに』第3話。
雨(黒川智花さん)が母親と思い込む幽霊・真澄役に、高橋由美子さん。
母親の霊を探しにいく雨がただ一つ手がかりにした指輪。
母親が亡くなったと言われて出向いた病院での出来事。
しっかし幽霊にも力関係があるというのか、
地縛霊同士とはいえ意思の力がすべてを統べるというのか、
由美子さん、幽霊対決に完勝であります(笑)。
地縛霊に襲われた雨を救った霊がしていたその指輪。
雨が母親を探す、唯一の手がかりと同じものがそこにある。
その指輪の存在に気づいた雨は、真澄が母親と思い込む。
その時の雨の安らいだ表情は、あたかも本当の母親を前にしたかのような表情。
雨が「お母さん・・・」と呟いた一言を聞き逃さず、とっさに母親の演技に移行した真澄。
悪霊にガチンコの力勝負で圧勝することも、
雨がここに来た理由さえ、一瞬で見抜いてしまうことも。
すごいやり手の幽霊だ・・・。
そして語り合う雨と真澄、そして父親(朝陽役/沢村一樹さん)ですが・・・・
主役の黒川さん、前回もそうでしたがピュアという言葉がこれほど似合う女優さんも珍しく・・・
どことなく由美子さんが同じ歳のころと、同じ眼の力を感じたりして。
表情も何だか似ていて、娘と母親と言われてもそれほどの違和感がなかったのにちょっとびっくり。
とにかく予想以上に早く真澄がネタバレしたことにびっくり。
母親を演じきろうとした真澄ですが、雨の涙の前にあえなく陥落。
「大丈夫、あなたのお母さんは天国に行ってるから」
・・・あれっ?
完全に空気が止まってました。
ピュアな雨の前に、それなりに良い幽霊の真澄だから、かえって胸が痛んだというか。
ああいう感情の揺れを表現するのは相変わらず上手いなぁ。
「子供に泣かれると、弱い。」
と言ったときの表情は、娘を持ったことのある人の表情だった。
母親役が4回目になる由美子さん。
1回目、ミュージカル『レ・ミゼラブル』ファンテーヌ役(2003/2004年)。
とにかく若い母親だったし、娘への包容力を示すシーン自体が少なかった。
娘・コゼットの面影を死の淵で思い浮かべるシーンに、あとちょっとの「母性」があれば!と思ったことも懐かしい思い出。
2回目、テレビ朝日系『電池が切れるまで』(2004年)。
幼い男の子と泣く泣く別れた離婚した母親役。
この時はすごく母親役が様になってたのを覚えてる。
3回目、ミュージカル『ミス・サイゴン』エレン役(2004年)。
育ての親として子供を引き取る母親役。
この時も幼い男の子相手だったから、物語の最後にひっしと抱きしめる様が、印象的。
で今回。
娘役が15歳の黒川さん。今までの母親役の時の娘・息子より一気に10歳近く歳が進んだのにもかかわらず、それでも、今までで一番しっくりくる母親役を演じていました。
娘の年齢が上がったということは、それだけ母親らしさを出すのが難しいはずですが、無理のない演技がぴったりはまった感じで、相性も良かった感じです。
そして、同じ幽霊、幽霊の先輩だからこそ、朝陽の”目を背けたがった現実”ととことん向かいあわさせたところ。
「現実と向き合わせるのは、厳しさではなく本当の優しさ」だと思う。
全く語られなかったけど、真澄は幽霊として、現世に残った幽霊を上手く導くカウンセラー役なのかな。最後の言葉は、真澄の、何か後悔するような過去が語らせた言葉だったのかも、と思った。
で、ある意味、現世にいる小柳さん(木村多江さん)と方向性が似ていた感じがした。
幽霊が見えるけれど、現世に生きる人としての限界が小柳さんにはあって、そこの隙間を、真澄が上手く埋めた感じがした。
・・・・というシーンをたっぷり堪能した。
雨の前から去る時も、朝陽の前から去る時も、すごく「かっこいい」幽霊だった。
幽霊なりの美学らしきものを感じたかも。
そして自分のことを語りたがらないで、
相手に対してはずばっと容赦なく本質を突くところは、由美子さんの性格そっくりに思えて。
あてがきなのでしょうか、成井さん(笑)。
ところで話が二転三転しますが、小柳さんの発言で気になったところが一つ。
雨ちゃんを引き取って慰めている時、
「一緒に傷ついたんだから。一緒に歩いていけばいい。雨ちゃんと、桜井さんと、2人で。」
って言葉にちょっと違和感。
小柳さんって、てっきり桜井さんにホの字かと思っていたので、この後に
「わたしも、協力するから」
って言うかと思ってた。も、もしかしてこの人も幽霊・・・?
あと何と言っても今回の白眉はやっぱりブラザートムさんに朝陽が自分の死を打ち明ける所だなー
ナイフで自分の身体切って、自分が死んでいることを分からせるってのもかなりの強引な技だ・・・。
そして最後まで見終わって結局解決しなかった疑問。
由美子さん、(友情出演)っていったい誰の友情出演だったのでしょう?
昼間『ショムニ』で共演してた沢村さんか、
すっかり彼女自身観劇常連、キャラメルボックス・成井さん・真柴さんか、
『SHIROH』共演の杏子さんなのか・・・・
『電池が切れるまで』とプロデューサーさんが同じという要因もあったのでしょうが。
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