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2005年3月

『相棒』3rd Series最終回

『相棒』3rd Series最終回、「異形の寺」
2005/3/23(水) 21:00~22:24、テレビ朝日系

 このブログで舞台話以外を出すのは初めてですが、まぁいつもと変わらず書きます。

 まず最初に。このドラマ、3rd Seriesなわけですが、筆者自身、この回とその前の回だけしか見てません。
 ですから、『相棒』の世界観をずっと見てきたわけじゃないので、登場人物の人間関係とか、思い入れとか、すっぱりないです。
 ですから、その辺りをかなり無視した感想になりますので、一応念のため。

(以下、役名は「さん」抜きです)
 このドラマ、メイン主役は特命捜査課の右京(水谷豊さん)&亀山(寺脇康文さん)。で、ストーリー上重要な役回り、というか犯人役にゲストを迎えるのが常。(ちなみに右京さんの名字は「杉下」なのですが、こっちの方が通りが良いので)
 今回のゲストは3人。準レギュラー気味の津川雅彦さん、尼寺の主に高橋恵子さん、でストーリーのメイン、尼さん、
というか犯人役に高橋由美子さん。

 亀山が池で発見した死体から作られた復顔写真、その写真に瓜二つの顔をした尼さんを、尼寺で見かけたという瀬戸内(津川さん)。確かにそこにいたのは正にそっくりの顔、雀蓮(高橋由美子さん)。右京&亀山コンビは雀蓮と会話するが、なぜかその話を自ら切り出そうとしない雀蓮に、右京は違和感を持って・・・・・
 というのが導入部。

 まずもって出色なのが水谷さん演じる右京のねちねちとした(でもそんなにイヤミはない)問い詰め方。違和感の正体を明かすべく、雀蓮を問い詰めていく様が絶妙。全てを知っているのに、それでもあえて周囲からじりじり追い詰めていく演技は流石です。
 そしてその右京に追い詰められる雀蓮。右京と雀蓮の「視線」が絡み合い、右京の物言いに、自らの真実を明かしていく雀蓮。全てを分かっている、そして全てを受け入れる人相手だから吐露できる犯人としての告白。
 目で演技するところがすごく好きなんですよね。
 問い詰められて「はっ」とするところ、戸惑うところ。相変わらず芝居が細かいのです。

 見て感じましたが、このドラマの良かったところは「間」を上手く取っていることですね。”大人向けの刑事ドラマ”の尊称は伊達ではないというか、溜めがじっくりあるところは見ていて落ちつきます。
 で、結末をわかって見返すと、あぁ成る程って作りになってます。

 開始50分地点。
 捜査一課の伊丹刑事(川原和久さん)はじめ3人の刑事が雀蓮を追い詰めるところで、
伊丹がぼそっとつぶやく。
「あれで男だったら化けもんだよな」

 伊丹を睨む雀蓮。立ち上がり食って掛かる。

  ----------------------------------------------
  あたしは・・・・化けもんなんかじゃない。
  もう一度言ってみろ
  あたしは女だ文句あるか

  あたしは・・・・化けもんなんかじゃない。
  ----------------------------------------------

 このシーン、前週の予告のシーンでも使われていたのですが。
 高橋由美子さん出演のドラマをここ15年、8割方見ている自分にとっても、あまたある作品をすべて一気に飛び越えてベストシーンにランクイン。
 今回のゲスト出演、実はなんで起用されたのかぼんやりとしか分かっていなかったのですが、あぁこの台詞を言わせたいがためにキャスティングしたんだな、と合点がいってしまったのです。
 あの”腹から吐き出す”、外見から全く想像できない啖呵。
 『SHIROH』で見せたあの”魂の叫び”を、一度としてテレビで見たことはなかったのですが。
 こういう風に呼んでもらえるゲストっていいな、と思った瞬間でありました。(※2)

 あわてふためく川原さんも上手い。もう流石としか言えない。
 いや上手い以外に、由美子さん&川原さんの組み合わせはある意味、吹き出しものだけど・・・・
 この組み合わせはどうしても『花の紅天狗』を思い出してしまう。

 雀蓮が男であることを知った川原さんが「お、お、おとこ~~!」
 と叫んでしまいそうで(DVD見ると爆笑します)、本気でデジャブでした。

 でここの高橋恵子さんも上手い台詞回しで絡むんですよ。
 台詞、表情の呼吸が津川さん含めて絶妙。
 このシーンを見て、もしかして、この2人、親子なんだろうかと思ったら、実はそうで。
 高橋さんお2人、TBS系『おかみ三代女の戦い』(1997年)、新国立劇場『新・地獄変』(2000年)で母娘役を2度経験済み。

 芝居のテンポは当時から合っていたのですが、5年経ってもお2人とも、繊細な演技の作りは変わっておらず、それが何より嬉しかったですね。

 で、不自然なごとくまでに「地雷」を踏んだ伊丹刑事。
 人間、真実を突かれると激高するというのを地で行った場面。
 後のストーリー展開からすると、雀蓮がこの言葉に激高した理由がわかりすぎるほどわかります(※1)。


 もう放送が終わってますので結末を書いてしまいますと、

 池で吊り上げられた女性の双子の弟が、雀蓮。
 トランスジェンダー(性同一性障害)である弟が出家した姿。
 姉は弟の存在が故に縁談を断られ、自殺しようとしていたが、それを積極的には止めようとしなかった弟。
 弟は姉の名前を名乗り半年を過ごす。
 しかし良心の呵責に苛まれ出家することに。
 その際、姉の戸籍を操作し、名前を変えています。変えた後の名前が「雀蓮」。

 作品の中盤、45分地点で右京はその仮説を打ち立て、他の刑事から呆れられます。
 残りの45分は、右京の仮説をいかにして雀蓮に認めさせるかに注ぎ込まれます。

 右京と亀山は雀蓮に対し、雀連が発見された女性の”弟”であることを認めさせます。認めただけでその場を去ろうとする雀蓮。
 しかし亀山がそれを止めます。公正証書原本不実記載の罪。
 戸籍を書き換えた罪を自供としたのと同じことになるわけです。

 正直言ってしまうと、このシーンを見た時点では、たまらなく不快でした。
 雀蓮サイドに立って物を見てるからではあるのでしょうが、『まるでだまし討ちですね』という憎しみを込めた雀蓮の言葉、そして睨みつける目線に、心底同感してしまいました。
 誘導尋問だし。
 死体遺棄の時効まであと1週間(3年)。がしかし、公正証書原本不実記載の時効は5年。死体遺棄として裁くのでなければ、誘導尋問をする必要がないわけで、なぜわざわざあんなことをしたのかと。

 でも見進むにつれ、感じてしまったのですね。
 右京が雀蓮を追い詰める、といってもむしろ真実を語らせていく人間としての大きさ、罪を罪として明らかにさせていく流れ。いや弟であればこそ、実の姉の死を、自ら下してはいないものの、それでも背中を押してしまった後悔。
 雀蓮に過去をすべて語らせ、本当の罪の重さを自覚させたからこそ、最後には雀蓮は右京を恨まなかったんじゃないかなと。

 「一度、女として生きてみたかった」

 その言葉は、すごく重かったです。
 外見は男。内面は女。
 「女として生きてみたかった」がゆえに、姉を積極的に救うことはせず、男であること、女であること以前に、「人間として」罪を犯してしまったこと。
 それが何より皮肉じみていて、何か物悲しかった。

 性別として、ではなく人間として許されないことをしてしまったこと。

 それこそが「罪」なのだと自覚できた時、男として女として以前の問題として、”人間”として、新しく人生を踏み出せたのだと。それを明らかにしてくれた右京に、最大限の感謝をもってして。
 そう思わずにはいられませんでした。

 「私、人殺しですかね」雀蓮は呟きます。

 「その答えは、あなたがもう出されているんじゃありませんか?
  だから、出家なさった」右京が言葉を継ぎます。

 「どうです。この際、お姉さんを引き取って、供養してみるというのは。もちろん、1週間たってからということもできますが。・・・・それに、1週間経っても時効にはならないんですよ」

 雀蓮は驚くが、亀山が後を継ぎます。

 「死体遺棄の時効は3年ですが、公正証書原本不実記載の時効は5年なんです」

 右京は語ります。
 「死体を棄てることの方が大それたことに聞こえますが、戸籍をいじることの方が、実は重罪なのです」

 雀蓮はすべてを理解するわけです。
 自らしたことの罪深さを。
 自らの最大の理解者だった姉を、救うことをしなかったばかりか、戸籍まで乗っ取ってしまったこと。
 それが姉に対する、どれだけの罪であるか。

 法社会としての「罪」は確かに明文化された罪。
 がしかし、もともと法律は常識とかけ離れた物であるはずはなく。
 常識に則り、社会の秩序を守るために存在するもの。

 その「法律」上の「罪」によって裁かれるのは物事の一面に過ぎず。
 罪を犯した人に本当の罪を自覚させ、その罪を償ってこそ、罪を犯した者は本当の意味で生まれ変われる、そう問い掛けているように感じたのです。

 そして最後のシーン。雀蓮が母親である庵主に問い掛けます。

 「なんで・・・私をちゃんと産んでくれなかったの?・・・わかってる。誰のせいでもないよね。でも、私のせいでも、ないよね。」

 泣けました。

(※1)
「あれで男だったら化けもんだよな」

そう。
姉になりすましているが、自分は男。
自らを「化け物」扱いされたのは、偶然だったかもしれないけど、
一番言われたくない一言だったのでしょう。

自分は姉の戸籍を乗っ取った「仮」の姿だから。
実体が伴わない、ある意味「化け物」であることを、自覚していたから。

・・・そしてその違和感から何らの答えを導き出さないのが、
捜査一課の3人たるゆえんでしょうか。
ここに右京さん・亀山さんがいれば一発でしょうね。

(※2)
由美子さんが起用された理由、『ショムニ』か『SHIROH』か、
と思っていましたが、前者は時期的にどうにもつながらず、
後者はスケジュール的に遅すぎ。
かつ、制作サイドに過去出演作とのつながりもありません。

何となくですが、
『真昼のビッチ』ではないかと思われます。
出演をオファーしたきっかけは。
感情を激する部分、ということでいくとそれが一番、
納得がいきます。


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 閑話休題。
 ここからはストーリーに関係ない余談。

 少し上に書きました、あの啖呵切るシーン。
 TVでは恐らく初登場である、あの類のシーン。
 ああいう決め台詞が合うんで、やり手の探偵とか刑事役とか、鋭く射抜く感じが似合う気がするんだけど、いまだかつてそういう風に使ってもらったことがない。そこが、ちょっと寂しい。

 火曜サスペンス劇場の『軽井沢ミステリー』シリーズはどことなくそういう空気がなくはないのだけれど、ソフトイメージが要求されるので、なんだか消化不良になります。
 後味はいいんだけど、インパクトに欠ける。そこが、彼女がテレビドラマで演じる役の、最大の弱点かなと毎回思っていたりします。

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『レ・ミゼラブル』

●レミゼ5月分発売

 興味ないとか語っておいてわざわざ参戦する私。
 後学のために新キャストと昔キャストは見ておきたかったのと言い訳しておいて当日の戦記。
 
 帝劇の窓口前売り最後の日となった3月5日(土)。前日の行状のために起きられず、結局ネットでの参戦。
 以前はぴあの窓口に並んだりもしたのですが、基本的に1番目か2番目でしかまともに入手できないので(それなら帝劇の前売りの整理券の方がまだよかったので)、最近はネットで入手しようとするわけですが、なかなかそれぞれのプレイガイドの差が見えて興味深いです。

 何せ私のご贔屓はFCがなくなって随分経つので、特にこの辺の公演では当たり前となっている「FC先行予約枠」というものがないので、通常の先行予約か、当日に頑張るしかないという次第で。
 今回は電子チケットぴあが予想以上に難しくて入手できず、テレザーブも当然つながらない。
 結局10時20分にローソンチケットで5月土日の公演1枚、11時ちょうどにイープラスで5月2000回記念公演、平日ながら1枚入手。3月公演1枚を合わせて、今回は3枚で公演観劇に臨みます。

 イープラスはつながりにくいことで有名なのですが、10時台前半に記念公演全部売り切れと聞いて半ば諦め気分でその時間に覗いてみると、なぜか「発売中」の表示が1日だけあって、なぜか購入できてしまいました。
 ここは購入前に席番の確認ができるのですが、その時点で席を抑えてしまうので、仮にキャンセル(申し込みボタンを押さない)とか、回線切断(いきなりブラウザ落としてしまう)とかなった場合に、少しの時差をもって席が戻ってくるようです。
 他の所は席数管理なので、最後の申込み時に席番・申込みともに確定ですから、ぴあにしろローソンチケットにしろ、最後の確定まで取れたかどうかわからないのです。その意味でちょっと意外でした。

 『MOZART!』の大阪一般発売日(3月19日)はぴあで1枚入手して、先行の2枚と合わせて入手完了。何とか3公演取れたので6/11~12遠征とあいなりました。
 ところで、『MOZART!』の帝劇一般発売は既に販売方法が変わることが告知されていますが、現在公演中の『レ・ミゼラブル』パンフレットによると、

 7月分発売 4月23日(土)プレイガイド、電話予約開始
       4月30日(土)帝国劇場窓口販売開始
 8月分発売 5月28日(土)プレイガイド、電話予約開始
       6月 4日(土)帝国劇場窓口販売開始

 と窓口販売開始が1週間後にずれるのだそうです。
 もしかすると、初日電話予約の戻り+電話予約の余りが窓口販売に回る感じなのかも。

●『レ・ミゼラブル』
 3月21日(祝) マチネ 帝国劇場(12:00~15:10)

 実はレミゼの複数キャストってあまり賛成ではない私。
 ダブルキャストぐらいならいいんだけど、トリプルだのクアトロだの言われると、そんな中でまともに演技&歌をこなすキャストってどういう精神力なのかちょっと想像できない。
 数をこなして良くなっていくはずのところが、あらゆる意味で中途半端になってしまっている感じがして、もったいない気がする。
 そして何より見ているほうが辛い(苦笑)。
 比較対象が過去のキャストならまだいいのだけれど、現在進行形でいろいろ雑音を耳にすると、聞き流せないのが悪いとか思いつつも、やっぱり意識してしまう。
 だから公演中は精神的にあまり落ち着かない私。
 横綱相撲ならいいのだけど、若干、張り出し大関気味だからなぁ>ご贔屓さん

 サイゴンも全く同じ理由で落ち着かなかったから、MOZART!は久しぶりに東宝系で落ち着いた作品作りを体感できそうで正直ほっとしてます。

 話は戻ってレミゼ本公演の話。
 2005年シリーズは3回観劇の予定で、今日と5月22日マチネ、5月26日マチネの3回。
 今回見(れ)ないキャストは続投組では山祐バルジャン、今ジャベール、ANZA&坂本エポニーヌ、井料ファンテーヌ、瀬戸内テナルディエ妻の6人。
 新キャストでは藤岡マリウス、コング&徳井テナルディエ、岸&小鈴アンジョルラスの5人。

 何せ総勢のべ36人(ジャベール&アンジョルラスの岡さんだけダブルカウント)だから、うち31人見てる(2003年シリーズ含めて)だけでもういいやって感じだし、2003年シリーズで全キャスト見るために2桁観劇したら、ある意味キャストの個性とか、自分の好みとか分かってきますし。

 今日はそんな中で自分的にベストのキャストとして選んだ日。
 病気で降板された本田ファンテーヌの回で、それだけが心残り。
 『ミス・サイゴン』キム役と『レ・ミゼラブル』エポニーヌ役の両方を演じた役者さんの組み合わせは、本田美奈子.さんと笹本玲奈さん、新妻聖子さん。が、この組み合わせがすこぶる少なく、笹本さんとが2回、新妻さんとに至っては1回しかなかった(本田さんが3月だけの予定だったことも影響してます)。
 その辺りを考えに考えたこの日の公演ですが、ご存知の通りの降板でファンテーヌはマルシアさんに変更。
 心の片隅に少しばかりの戸惑いと残念さを感じつつ、今年初めての帝劇へ。
 去年は帝劇に通い詰めだったから(数えたら28回行ってた)、なんだかずいぶんと久しぶりな感じ。

 結果として全プリンシパルが2003年からの続投となる初の公演となったこの日のマチネ。
 色んな意味で無難な仕上げだった気がする。
 上手いんだけど、なんだかエネルギーが突き抜けてこないというのか。
 でも「ワン・デイ・モア」は凄かった。岡ジャベール、坂元アンジョルラス、笹本エポニーヌという各役の声量1,2を争うキャストが揃っただけに、そのまとまり方が尋常でなく、期待通りで何より。
 エポニーヌは新妻さんの方が声量があると思うけど、この曲に関しては笹本エポニーヌの高音気味の声の響きが一番好き。エポニーヌ絡みでは苦手意識がありそうな「オン・マイ・オウン」が丁寧で好感。慣れてくると走りすぎるきらいがあるから、この辺りの調子を維持して欲しいかも。

 全幕通して別所バルジャンの繊細かつ大胆な演技が絶品。バルジャンとして一本筋が通っている感じが頼もしくて、前回に増して大きく見えた。
 司教に家に入るように促される所で、バルジャンが仮釈放証を見せて「そんなものはいらないです」と手で払う司教も良かった。
 対する岡ジャベールも冷徹そうな雰囲気を残しながら、しなやかな演技を絡めていて、いい意味で人間的になっていて良かった。

 笹本エポニーヌと泉見マリウスの組み合わせは半年前の『ミス・サイゴン』を思い出して何か変な感じになったり。片思いのベクトルが完全に逆だからなぁ。

 各所にそういった良い所はあるのだけれど、”無難”を感じたのは、色んな意味でミュージカル過ぎたところかも。

 いやもちろん『レ・ミゼラブル』はミュージカルなのだけれど、どちらかといえば『歌芝居』が好きな自分にとって、『芝居』色が薄くなったこの作品は、ちょっと感情移入しにくい。
 今回卒業した2003年キャストは、内野聖陽さん、高嶋政宏さん、山本耕史さん、吉野圭吾さん、高橋由美子さんの5人なわけですが、揃いも揃ってストレートプレイもされる方々ばかり。残った方々が歌メインばかりというのも、芸がなくて正直つまらない。
 だから、ちゃんと演技を形作っていた別所バルジャンと岡ジャベールが引き立って見えたのかも。

 他の方も悪いというつもりはなくて、むしろ悪いと言えない出来だからなおさら困るというか、色んな意味でこじんまりしてしまっている感じがどうも違和感。
 マイクの音もアンサンブルさん含めて小さい気がするし、圧倒的なエネルギーで迫ってくるレミゼらしさが、ちょっと薄かったのが気になる。
 故に一番楽しみなのは『デモクラシー』で思いっきり不意打ちかましてくれた鹿賀丈史さんのジャベール(2000回達成記念スペシャルバージョン)だったりするわけです。
 あ、平日だなぁ。仕事休めるかしらん。

 しっかし贔屓さんが外れた後の同役を見るのは複雑な気分。
 マルシアさん、2003年の時も見たけど良くなってたと思う。
 とはいえその背後にありし日の光景を思い浮かべてしまうのも悪い癖。
 工場のシーンで、W高橋コンビの”女の対決”(ファンテーヌ役の
高橋由美子さんと、ファクトリーガール役の高橋真記子さん)が見るたびに迫力あって好きだったのですが、あそこまで容赦ないのに慣れてたことを思い出すと、このシーンはこの日は物足りなかったなぁ。

 ところで、今回の公演、山バルでさえ土日公演が残ってるのにはびっくり。
 『MOZART!』を控えて、買い控えが起きているような印象を感じてしまいます。
 イベントが大量に行なわれている今回のレミゼ、2003年に比べてリピート感に乏しい感じが気がかり。

 あ、それと、来年1月日生劇場『ベガーズ・オペラ』の仮チラシが置かれていました>帝劇

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キャラメルボックス『TRUTH』

演劇集団キャラメルボックス、創立20周年記念公演第1弾、『TRUTH』@サンシャイン劇場。
見に行って参りました。(3/13マチネ)

前説で話が出ていたのですが、サンシャイン劇場につながる地上のサンシャイン通り。池袋駅東口から地下道を通るのではなく、年がら年中人であふれる地上のこの通りを通ると、現在、外套から吊るされる「キャラメルボックス20周年記念 TRUTH」の垂れ幕。何気に結構目立ってます。
「10周年は自分達で盛り上がってたけど、20周年は自分達はクールで、かえって周囲が盛り上がっててびっくり」とは制作総指揮の加藤氏。

チケットを入手しながらどうしても行けなかった2週間前の悔しさを晴らせて嬉しいです。
正直見て良かった。すごく心地よい観劇でした。

しっかしサンシャイン劇場823人、ほぼ満席のこの日。
男1人で見に行っている人間って超少数派なんだろうなぁ。

キャラメルボックスは以前から気になっていた劇団で、昨年の『SKIP』を迷いに迷った末に行かなかった前歴があるのですが(あの頃は『ミス・サイゴン』にどっぷり漬かった後で、切り替えが上手くいっていなかった)、『SHIROH』で拝見した上川隆也さんも出演されるし、ということで早くから行こうと決めていました。
よりにもよってチケ獲り困難なキャラメルの、しかも上川さんが出る作品を初見にすることはなかろうとは思いながらも。

というわけで初演は見てません。一応その立場だけ書いておかないとわけわからなくなりそうなので。

いつものごとく内容はネタバレです。内容見られたくない方、ここからは見ずに回れ右お願いします。


鏡吾というか上川さん面白すぎ。噂には聞いてたけどこんな面白いキャラクターだとは想像以上(前半限定)。笑いネタでも真剣シーンでも一人突き抜けてて大きすぎる存在感。

あの血反吐吐くような上川さんの台詞回し、つくづく鳥肌が立ちます。
本当に慟哭の似合う役者さん。
「うぬぼれるな。お前らなんかどうでもいい」
とかもう。

上川さんが予想通り頭抜けていたので、それに対応しきれていたのは弦次郎を演じた岡田達也さんと客演で帆平役を演じた川原和久さんぐらい(私感)。英之助役の大内厚雄さんも悪いわけじゃないんですが、役柄のせいか、内側に篭る方向性ゆえに目立っていなかったというか。
他の方は正直、役者の違いを感じてしまいます。
そしてさすがすぎる殺陣。アクションクラブのジャージをもらっただけのことはあります>上川さん(※)
でもなんだか抑え気味な感じはしました。
本気で斬ったら、全員なで斬りにしてしまいそうだし。

(※)新感線の舞台では殺陣を”よくできましたで賞”の方にアクションクラブから名前入りのジャージを贈呈するのが習わしになっています。

ストーリーもざっとしか予習していかなくて、鏡吾が裏切ることだけ頭に入ってたせいもあってか、隙あれば裏をかこうとしてる鏡吾と、それに全然気づかない鈍いお方たちの落差が役者の大きさの違いとシンクロして、リアリティと言えなくもなく。。
ただ弦次郎は敏感だから、気づいていたんじゃないかなぁ。
鋭い頭の切れに加えて、事故で聴力を失ったことで感覚はより鋭敏になっているわけだし。
鏡吾に対して「同士とはいえ、100%さらけ出していない」感覚を持っていたような気がした。
いつかは直接鏡吾と対峙して、自らの手で決着をつける日がくるという思いはあったろうし。

「お前だけにはバレると思ってたよ」って鏡吾が弦次郎に語っていそうな気がして。
弦次郎は英之助を斬ってしまった時に、鏡吾の目的の全てを知るのだろうけれど、何というのか「パズルの最後のピースがはまった瞬間」を感じてしまった。

弦次郎はパンフでも「キャラメル史上最も辛い役」と書かれているけれど、さもありなんというか。
なまじ真面目なだけに、自分の取ってしまった行動が、例え鏡吾の策略の結果であっても、それを受容する、せざるを得ない性格なのだろうし。
別に弦次郎に限った話ではないけれど、性格が自らの行動を制約することはあるかなとは思う。
人間の根幹はそれぞれの人で違うとはいえ、自らが”譲れないもの”を持っていて、それが長所とすることもできるし、それに苦しめられることもある。
自らの”譲れないもの”とどう向き合い、どう答えを出していくか、その人生における”譲れないもの”が「TRUTH」なのかなと思う。

2週間前に観た『デモクラシー』でも同じようなことを書いたけれど、「これを否定したら、自分が自分でなくなる気がした」と吐露する自らの根幹の部分。

弦次郎が鏡吾を憎んだとしても、”憎みきれない”部分はあったのだと思うし、それ故に、全員にことさらに鏡吾の行為を暴き立てることはしなかった、というかできなかった。
それが弦次郎にとっての「TRUTH」だったのかなとちょっと思った。
語らない、語れないところに真実があるという印象。

最後に弦次郎が手紙を書いたのも、全員に向けてではなかったわけだし、愛する女性(初音)にだけは真実を知っておいて欲しい、ということだと思うし。

この作品、痛感したのは、女性キャストの存在感の弱さ。
『SHIROH』と比べちゃいけないのはわかっちゃいるけど、初見なだけになおさらその念が強く。
キャラクターがきっちり確立してたのはふじ役の岡田さつきさんだけかも。
男性の念、特にメイン3人の念が凄すぎるので、女性3人の関わり方が全然噛み合えてなくて。
幕末だから女性は男性に何も言えなかったの?とか聞きたくなってしまうぐらい薄い。

それでも『SHIROH』も江戸時代中期の話だから、男性をあそこまで動かせる女性というのはそれだけでそうとうありえない設定だと今にして思うけど、やっぱり女性だから男性を支えられる部分ってあると思うし、あの時代だからあの時代なりの、女性としての関わり方ってあると思うし。
姉さん女房のふじのキャラが立ってたのは、全然偶然ではないと思う。
どういう形で男性を立てるのかが、あの時代の時代背景を含めて、きちんとはまっていたように感じた。

女性が男性に対してできること、それがそれぞれの役に消化されていなかった感じが惜しかったかな。
ばりばり男性が主役とはいえ、それを支える女性がはなっから”私はお役に立てないのですね”を地で行ってはまずかろうと。
女性なりの存在の仕方、支え方が欲しかった。


さて閑話休題。
本編終了後のカーテンコールが本編以上にツボ。
日替わりカーテンコール挨拶の初音役、小川江利子さんは天然入ってる感じでゆえに、上川さんの光速のツッコミ全開モードを引き出して面白すぎ。
「ゲストを紹介します」でいきなり一歩踏み出す上川さんも笑えたし。

でも何より面白かったの、この掛け合い。最後、上川さん&岡田さん2人で出てきてのトーク。
上川さん「もうこの男も37になりましたし」
岡田さん「あなたこそ39じゃないですか」
上川さん「歳の話はいいんですよ(会場笑)」
岡田さん「あなたがしたんじゃないですか(再び会場笑)」

上川さん「客席の方々、あなたがたがあと一つだけできることがあります。
     ・・・・帰んなさい
    「一本締めで参りたいと思います」(会場大いに沸く)
    「そんなに喜ぶならやらない(なぜか拗ねたように)」
    「それでは不本意ながら一本締めで」(再び会場笑)

・・・・てな具合。面白かった。


余分な余談
1.「光速の突っ込み」はNiftyシアターフォーラムの動画での製作発表で観ていたので心の余裕がありました。てか、楽しみでしたが
期待通り(笑)

2.現在発売中の『シアターガイド』4月号はキャラメルボックス創立20周年特集が巻頭に。製作総指揮・加藤氏いわく、「初めて」のことだそうです。
 推薦人として『SHIROH』で上川さんの相手役を務めて、
何気に上川さんともキャラメルボックスの劇団員とも飲み友達っぽいお方(=高橋由美子さん)がコメントを寄せられております。
 「キャラメルボックス」の文字に惹かれて雑誌を手に取って
書店でのけぞりました(笑)。

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『SHIROH』を語る。(26)

実に1ヶ月ぶりのこのシリーズ。
本日は、『演劇ぶっく』演ぶチャート2004発表記念速報編。

というわけで、まずは

作品チャート1位 『SHIROH』
俳優チャート1位 上川隆也さん

おめでとうございます。

いやめでたひ。
先週発表された『ぴあテン』でも演劇部門の作品部門1位を獲得した『SHIROH』、年末押し詰まっての公演で印象に残っていた可能性が高いとはいえ、いずれもぶっちぎりの強さ、さすがであります。

上川さんは4年連続の俳優部門1位、パワー健在であります。

『SHIROH』といえば、去年、前売り初日に帝劇に並んだら、整理券をもらう列が1階席がS列までも埋まらなくて(確か3桁台だったと思う。先日のレミゼ5月分発売は3000人以上行ったのに)。

販売時間が遅かったので家に帰って東宝テレザーブに電話したら、開始10分後の9時40分につながって、土日2列目どセンターというとんでもないチケを入手したことも、いまや遠き彼岸の話。

再演があったとしても、そして他の作品でも、絶対にもうそんなことはありえないだろうなぁ。

さてさて改めて。
『SHIROH』出演者で役者チャート上位50位以内を振り返ってみます。

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1位(男優1位):上川隆也さん  (月ミュ:男優15位)
6位(男優6位):中川晃教さん  (月ミュ:男優2位)
8位(男優8位):橋本じゅんさん
10位(女優1位):秋山菜津子さん (月ミュ:女優8位)
11位(男優10位):粟根まことさん
12位(男優11位):池田成志さん
13位(女優2位):高橋由美子さん (月ミュ:女優17位)
21位(男優17位):植本潤さん   (月ミュ:男優33位)
35位(女優7位):高田聖子さん
36位(男優29位):右近健一さん
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・・・・えーと。
50人中10人までが『SHIROH』出演組。
もともと新感線が強い読者投票ランキングだけはありますが、月ミュと比較すると母集団の違いはあれ、特徴が窺えてけっこう興味深いものがあります。
上川さんがとてつもなく強い以外は、おおむね傾向は同じとは言えそうですね。

演ぶの役者チャート、上位50人中女性は11人だけ。それなのにちゃんと3人入っています。
ストレート系と新感線が強いところに持ってきて、今回は『SHIROH』組が怒涛の参戦といった按配でしょうか。

ちなみに作品部門、ベスト10に新感線が3作品(1位『SHIROH』、2位『アカドクロ』、5位『アオドクロ』)が入っているのが目立ちます。
役者チャート2位の古田新太さん出演作が3作品(2位『アカドクロ』、6位『走れメルス』、7位『鈍獣』)、上川隆也さんは8位『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』もランクイン。

去年見た作品はご贔屓(高橋由美子さん)がらみで5作品。
1位『SHIROH』、14位『ミス・サイゴン』、22位『透明人間の蒸気』、29位『真昼のビッチ』、42位『レ・ミゼラブル』とすべて50位以内にランクインで、ずいぶん効率良く良作を見せていただいた一年と改めて実感。

しっかしサイゴン出演組では松さんも市村さんも抑えて、レミでも内野さんも山口さんも抑えていずれも1番手って、この雑誌しか絶対ありえないなぁ。
ただ、あれだけ東宝舞台に出ながら、どちらかというと別の2作品(『SHIROH』と『真昼のビッチ』)で票を拾っているように見える状況に苦笑。
何となく外国人演出家が合わないような気がするんですけどね
>由美子さん

『真昼のビッチ』の評価が意外に良かったのが嬉しかった。
(阿佐ヶ谷スパイダース、去年はあの『はたらくおとこ』が評判的には頭抜けてたからなぁ)

これで去年のランキング関係はすべて終わり。
あとは『SHIROH』が映像で見れる日を待つだけ・・・・。

>編集部殿
松たか子さん(役者チャート31位)は『レ・ミゼラブル』には出ていませんぞな・・・・。
『ミス・サイゴン』が正解。

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