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『デモクラシー』/青山劇場

●とりあえずひとり言
『MOZART!』の大阪先行も始まりだして、もうそんな時期なんだなぁと。
製作発表は両ヴォルフ(井上芳雄さん&中川晃教さん)&演出(小池修一郎さん)だけでしたね。→内容はこちら(スポニチ大阪サイト)

レミゼももう始まるわけですが、前回帝劇で2桁観劇、博多座にまではるばる遠征した熱意はどこへやら、今回は徹底して様子見です。高橋由美子さん出ないしなー
気になってた本田美奈子.さんは降板されてしまったので、あと気になるのは新キャストではシルビア・グラブさん、スペシャルバージョンでは島田歌穂さんだけなんだよなー
あとは笹本玲奈さん&新妻聖子さんの回がそれぞれ見れればいいかなと。

私にとってレミゼはファンテーヌとエポニーヌが基準です、って冗談ですけど・・・・
とりあえず今週末(3月5日)は帝劇最後の窓口前売り(『MOZART!』公演からは、東宝テレザーブでの電話予約&プレイガイド前売のみに切り替わります。ソースはこちら)ですが、どうするかちょっと迷い中。
しっかし、レミゼでここまでナビザーブが外れまくると、今後の公演、本気で不安。

”観劇の谷間の月”に入った2月、前回ちょっと書いていた『TRUTH』、残念ながら流してしまいました。本業が突然前日に突発的な対応が必要で引っ張り出され、あまりに突然だったので何も対処できず。
うぅ悲しい・・・・上川さん見たかった・・・・
チケットがえらい高騰してるのでこれから入手だと大変なんだよなー

と愚痴を言ったところで、もう一つの作品は何とか見れました。本日はそれ。
青山劇場、行くのは実に4年ぶり。新感線『野獣郎見参』以来。あの時も入口に迷った記憶がある(笑)。

●『デモクラシー』/青山劇場
 2005.2.23 ソワレ(19:00~21:30)

いつものごとくネタバレ入ります。お気になられる方、ぜひ回れ右を。

冷戦下のドイツで実際にあった話を下敷きにした、西ドイツ首相ブラント(鹿賀丈史さん)と、首相補佐官ギョーム(市村正親さん)。微妙な権力バランスの中を泳ぐ首相が見せる孤独と苦しみ。その負の部分をもっとも見ていた首相補佐官は、実は東ドイツのスパイであった・・・・という物語。

とにかく徹底哲尾”男の物語”です。女性が舞台上に現れません。女性の声でさえ、首相選出の結果を告げるところぐらい。

この辺りは、パンフレットで鹿賀さん、市村さんが対談で語っておられますが、すごくキャラが立った言及の仕方をされています。
市村さんは「出来ないとか分からないとかいう人がいない」とか言って笑いを取ってるし、鹿賀さんは「女性がいるとつい『いいよ』って言っちゃう。どの自分が言うのかわからないけど」と言ってこっちも笑いを取ってる。その表現の違いに2人のスタンスの違いをちょっと感じる。
表現しにくいんですが、”厳しさ”というものに対する付き合い方が、この2人は似てるようで違うように思うんですよね。
表現がいいかわかりませんが、市村さんが語るのは「役者としての”厳しさ”」、鹿賀さんが語るのは「人間としての”厳しさ”」みたいな。どちらも”厳しい”には違いないんだけど。

今回の作品で一番感じたのは鹿賀さんの存在感のず抜けたところ。実は初見だったのですが、本当に政治家ではないか(!)と疑ってしまうぐらいの立ち姿のはまり方、演説の説得力。ブラントは心に弱さも持っていることを吐露しますが、その時の苦しみ方との落差が痛々しかった。

市村さんは念願かなっての骨太の役、とどこでもおっしゃってますが、正直言ってしまうと、合っているようで合っていない感じがしてます。こんなに滑舌で苦しんでいるのを見たことなかったし、奇妙に言葉が通らないのがちょっと残念。なんだか女性とやっている時の方が映えるのかも。
でも、鹿賀さん演じるブラントに自らがスパイであることをチクチク刺される”対決”の場面は流石にど迫力。

ギョームに感じたのは”男の筋の通し方”ですね。スパイでありながら敵方の首相に仕え、首相の心の闇を明かされるまでの信頼関係を築きながら、最後は石持て追われるかのごとく、弁解する暇もなく手錠をかけられる。
自らの立場が白日のもとに晒されるのを予期してか休暇をとるギョーム。西ドイツ警察が国境までぴたりと張り付いてくる。国境を越え警備はフランス警察に引き継がれるが、逃げようとすれば逃げられないわけではない・・・・

この最後の一日に、”逃げる”という選択肢がギョームになかったことが、最後の”男のプライド”だったんだろうなぁと思う。

ありていな言葉で語ってしまえば、

逃げることは簡単だった。
しかしあの時逃げることは、自分の過去から逃げることだ。
それは自分自身の人生に誓って、恥ずべきことだ。
過去から逃げる人間は、生きていても既に屍だ。
自らの人生が片や裏切りの人生だったとしても、
自分なりに信じてきた哲学を、自ら捨てることは自分にはできない。
自分を裏切ったら自分がばらばらになってしまいそうだった。
自分が自分でなくなってしまうことは、この世で一番怖いことだ。

・・・・みたいな。

そのあたりは男性特有の感情というか、やっぱり”男は筋を通してこそ生きていける”みたいな思いがあるのかなと思うのです。人生の岐路とか、そこまで大げさでなくても日々の生き方とか、もっと細かければどのような言葉を話すのかに至るまで、自ら納得して行なうことこそ男のなすべきことだ、みたいな美学ってそこかしこに持っているような気がして。
そういう微妙な思いをチクチクと刺してくるこういう作品、やっぱり男の役者はやりたいだろうなぁ、と横から見てても思うのです。

ただその分、役者の熱意が突っ走り気味で、観客として座りが悪いという点があるのをちょっと感じました。けど、これだけいい役者揃えての舞台、全部が理解できなくとも心情に訴えかけてくる部分が確かにあったりする。

これは私の読み取り力不足なんでしょうが、なぜこの舞台が『デモクラシー』と名乗っているのかが一寸わかりにくかった。テーマは政治にかかわる人の泥々とした陰謀渦巻く空間だし、人間と人間のぶつかり合いで起こる、誰も想像できない”うねり”のようなものは感じる。
民主主義に対するアンチテーゼのようなものは感じずにはいられないけれど、何が正しいのかそうでないのかを、結論を出していないところにこの作品の良さがあるような気がするし。

最大の味方は、実は最大の敵である という逆説はある意味真実なのかも。
頼り切った後の裏切りは実は、最初からそこに味方としていなかった以上のダメージを受ける。
だから、それをわかってあえて近づけたというところが、なるほどあり得るなぁと思うわけです。
ただねぇ、ちょっと唐突。すごーく唐突。
泳がせといて政敵に一番キツイタイミングでダメージを与えるって戦略はわかる。
それがクライマックスにくるにしては、なんかちょっと中途半端。

皆さんいい役者さんだったのですが、特にいいなと思ったのは東ドイツのエージェント役の今井朋彦さん、党の黒幕、藤木孝さんの陰謀の空気がたまらないです。

ちなみにこの作品、会社帰りに観劇したのですが、すごく『会社帰りの背広姿』の観劇が向いてる気がしました(でも見たところ8割方、観客は女性)。
偏見を恐れず言ってしまうと、『SHIROH』は日曜日向け、キャラメルは土曜日向けかなぁとか思う(何のことやら)。

でも何だかお芝居に消化不良で帰りに渋谷の回転寿司屋でやけ食いしたのは秘密(謎)

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