« 『SHIROH』を語る。(4) | トップページ | 『SHIROH』を語る。(6) »

『SHIROH』を語る。(5)

ストーリー編その2。

●「花の紅天狗」との共通点
 今回の作品は新感線初のロックミュージカル、と銘打っていますが、

 演出のいのうえひでのりさんいわくの「なんちゃってミュージカル」の集大成、今作品にも相当の影響を与えていると思われるのが、再演版『花の紅天狗』(2003年、ル・テアトル銀座、シアタードラマシティ、メルパルクホールFUKUOKA。 e.oshibaiからDVD発売中)。

 ヒロイン役の赤巻紙茜に、今回『SHIROH』にも出演している高橋由美子さんが出ているので、雰囲気は元々似ているのだけれど、

 この作品、2幕最初の劇中劇「ヴォルフガングとアマデウス」(※)の中で彼女が

「音楽が神の言葉を伝えるなんて ずいぶん思い上がってるな」
と言う台詞を歌ってる。

 『SHIROH』初見後、改めてDVDを見たとき、

ヴォルフガングがシローに苦言呈してるよぉ。

とか思ったりした(苦笑)
(「音楽」と「声」でちょっと違うけど・・・・)

 シローが歯止めを失い、暴走を始めた時にいつも思い出す、この言葉。
 しかも、この言葉はシローを演じた中川さんが演じたヴォルフガングの姿で出てきていた言葉
(贋ヴォルフだが、高橋ヴォルフは中川ヴォルフそっくり(笑))。

 「神の声を持つ少年」を中心に物語を動かしながら、その危うさにどうブレーキをかけるかに、上川さん(=四郎の苦悩)と、高橋さん(=寿庵の現実主義)が、うまく組み合わさっていると思う。

 何となくだけれど、「音楽が人の心を動かす」とか「神の声が人の心を動かす」というところに、「危うさ」を感じているようなものを、この2作品の共通点から感じる。

 『SHIROH』で描きたかったのは、「神の声をもつ少年」が動かす狂気が、押しとどめようにも押しとどめられない、怖さかなと。
 四郎はその怖さを知っていたゆえに、”天の御子”として立ち上がれなかった、気がする。

 それは集団心理によるものかもしれないし、飢えゆえの、思い詰めたものかもしれないし、宗教を絡ませた信仰そのものによるものなのかもしれない。

 思っても、思う通りには未来は来ない。だからこそ、生き残った者は死んだ者の分まで、未来に対して責任を持つ必要があるんだ、というメッセージなのではないかと思ってる。

 狂気のうねりを止めようとするところに、期せずして(何となく意識してる気がする)同じ役者が絡むというのも、ちょっと興味深い。
(実際には『花の紅天狗』でのヴォルフガング役は最終的に才能を利用されて絶望していくから、シロー的な側面もあるのだけれど)

※簡単に言うと「MOZART!」(ウィーン)と「レ・ミゼラブル」(パリ)をくっつけて、「エリザベート」を間に組み込んだ感じ(いいのかそんな感じにまとめて)。
表のモーツアルト(ヴォルフガング)に高橋由美子さん
裏のモーツアルト(アマデウス)に宝塚元娘役トップの森奈みはるさんが扮している。
ほか、ロペスピエール&トート役に、池田成志さんが扮する。
ヴォルフ&トートの「タッパの差ありすぎat宝塚バージョン」は必見です。

 ちなみに、『花の紅天狗』ではその後のヴォルフガングの台詞が”深い”です。
 完全ネタバレなので、ぜひDVDで見てみて欲しいです。

  『花の紅天狗』と『SHIROH』で描きたかったものって、実は同じようなものなんではないかと。
 最後にメッセージ性を強く残したか、そうでないかの違いだけで・・・・

 今回の『SHIROH』の実現を暗に予言していた、『花の紅天狗』のパンフレット。
 高橋由美子さん&中川晃教さん&いのうえひでのりさんの対談。

 「今回の作品(花の紅天狗)で伝えたいのは、「魂」。そして「人間って面白い」ということ」

 いのうえさんが語ったこの言葉、今になって改めて響くものがあります。

1/20追記
 今、DVDを見ていたら、月影先生@木野花さんが

 「迷うことは恥ずかしくない。迷った分だけ足腰が強くなる」

 と語っていた。うん、通じるものがありますな、『SHIROH』の特に四郎に。

2/13追記
 『花の紅天狗』のパンフレットには何と上川隆也さんも載ってます。
 しかもしかも、キリシタン目付(粟根まことさん)への応援メッセージ。
 共演経験ありとはいえ、ありえん(笑)。


●ハイライト版ライブ盤CD
 1月下旬に発売予定。帝劇限定で予約受付をしていましたが、梅コマでも恐らく予約受付をするでしょう。
今回、制作に東宝と新感線が噛み合わさった初めてのパターンなので、販路自体が未定とのこと。
 ちなみに、収録日は12月21日(火)のマチネ&ソワレ。この日はカメラも入っており、DVD発売の可能性がありそう。

 1/11追記:梅田コマは1/8の初日から発売。帝劇予約者には1/8発送で、1/9以降に到着。

|

« 『SHIROH』を語る。(4) | トップページ | 『SHIROH』を語る。(6) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74093/2470445

この記事へのトラックバック一覧です: 『SHIROH』を語る。(5):

« 『SHIROH』を語る。(4) | トップページ | 『SHIROH』を語る。(6) »