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『SHIROH』を語る。(12)

●拍手のないミュージカル

 この作品を最初に見たときに、一番驚いたこと。
 もちろん、1幕の幕が下りるとき、2幕の幕が下りるとき、
そしてカーテンコールで拍手が鳴り止まないのは当たり前ですが、
とにかく曲間に拍手が挟まらないのです。
 「拍手しようにも拍手する間がない」という方がむしろ正しい言い方かもしれません。

 普通、ミュージカルといえば、役者の演技と熱唱の直後に拍手、そして舞台が転換して次の場面へ・・・というのがよくあるパターンなのですが、この『SHIROH』の場合、役者の演技は熱いし、歌も絶品なのに、いわばシーン単独で「歌い上げる」パターンが少なく、ただひたすら場面の進行の中の”贅沢なご馳走”として歌が使われていきます。
 長い長いと言われるこの舞台ですが、複数回見ると長さが気にならなくなるというのも、シーンがぶつぎれでないために、滑らかに次のシーンへ導かれるというのも、要因の一つではないかと思われます。

 というか、作品の持つパワーの前にはいくらジャイアン(;見た方はおわかりかと思いますが、松平伊豆守信綱役の江守徹氏のこと)のリサイタルが間に入っても、
「細かいことにこだわってパワーが落ちるぐらいなら、行けるところまで行ってしまおう」的な開き直りが、すごく清々しいです。

 歌も演技も笑いも、出し惜しみしないところが、この作品の最大の魅力。
 それでいて、題材に容赦がなくて、それでも最後に救いを残す展開の上手さは、何だかんだ言っても、やっぱり新感線の良さだと思います。

1/15追記
 拍手が全くないというわけではなくて、十兵衛&四郎の掛け合い合戦とか、時に「しげちゃん&かっちゃん」とか、伊豆守あたりで拍手があるんですが、決まりごとの拍手ではなくて、「本当に拍手したい時にしてる」感じが嬉しい。
梅コマで見た限り、最後のシーンも暗転してすぐ拍手するのではなく(帝劇最後の方はこの時に拍手が入ることがあった)、改めて明るくなって拍手するのが嬉しい。
 観客とステージが一体になる感じって、素晴らしい。

●CD話、ちょっと追加

 携帯用MP3プレイヤーに入れて聞いてますが、飽きませんねこのCD・・・。

 普通、一般的なCDなら、「この曲は間が空くから飛ばそう」とかいう、言葉は悪いですが”捨て曲”みたいな曲があるのに、こと『SHIROH』のCDに関しては、18曲中、15曲までMP3プレイヤーに入っておりまして、さんざリピートしてます。

 ちなみに入れなかったのは以下の3曲。だいたい同じ感想かと想像。
  M3 「Dance」
  M6 「ROCK’Nイズノカミ」
  M12「板倉重昌A GoGo!」
 M12は劇場で見ると大爆笑ものなのですが、いかんせん歌だけでは。M6も舞台見てるとあのジャイアンボイスも力技の説得力で押し切られるんですが、声だけじゃ、さすがに聞く気にはなれない・・・
 M3は単に長いからカットという理由なんですが、まぁある意味、粟根さんも見てなんぼというか。

 CDで聞いて改めてすごいと思ったのはM8「まるちり~握った拳に神は宿る~」
 あっきーが最初にシャウトする曲ですが、アンサンブルの歌声も揃ってるし、リオの歌声も澄み切っていて、聖霊なのに「生命」の躍動を感じるところがいい。掛け合いもすごくきれい。

 アンサンブルといえば、M15「さらば神よ~神の王国をつくれ」の中にある「最後の審判」という歌詞がすごい迫力。あっきーが叫ぶように歌っている後ろで、こう歌ってたのかと、歌詞カードを見てようやく分かった。劇場では聞き取りにくかった部分だったのですが、今回のCD聞いて、泣く泣く。音が凄くいいから尚更迫力大。歌詞凄すぎるし、さすが今作のアンサンブル。実力派揃いのパワー全開。M15からM18までの怒涛の流れをぶつ切らないでもらえたことには深く感謝。

 前回気づかなかったところ。M10「お蜜と寿庵」、2人の掛け合い(喧嘩)をぼーっと見てるシローに四郎が突っ込みますが、このとき、「ぎゃぁー」という凄い声が聞こえてます。
 この声、誰が出しているのかなぁと思って耳をそばだててみましたが、寿庵(高橋由美子さん)と見ました。引き離されてどっちが動揺するかといえば寿庵だと思うし、ちょっぴりマンガちっくなところが残る余韻が、由美子さんぽい。(秋山さんだとするともう少し声が低いと思われます)
 次見る時にはそれで正しいか確かめてみよう。

1/15追記
 間違いなく寿庵でした。
 十字架をお蜜に取られそうになって抵抗した時ですね。
 CDに残ってるほどきれいな抵抗の仕方してません。CDは奇跡的にすごくいい叫び声です(苦笑)。

 ハイライト盤だから、舞台の場面場面がぶつ切れになっているのは前回も書きましたが、M4「我らの御霊をはらいそに」とM5「ヘイユー四郎」。続けて聞くとじゅねさんのM5の入りに爆笑を禁じえません。
 
 それと、M13「光を我らに」から、一気にM14「砂の城」になだれ込むのが無理ありすぎ。
 2幕の舞台転換が一気に始まる「幕府の犬に断罪を」が入っていないからですが、何せ一揆軍がイケイケドンドンだったのが、いきなり

あっきー泣いてますー絶望してますー何あったの?

って感じであります。

 今回のCD、多分1枚で収めるのが至上命題だったと思われるのですが、思ったより売れているようで、品薄気味のようですね。2枚組にしといたほうが良かったのでは、って今更言っても遅いか。舞台の出来以外の部分ではずいぶんもったいないことしてますね、この作品。(事前宣伝の少なさとか)
 ちなみに収録時間は71分6秒ということで、かなりぎりぎりまで使っていますね。

 ちなみにもっと余談。
 私のMP3プレイヤーのメーカー、「リオ」という名前です。
 何というか、出来過ぎ。(スペルは「Rio」)

●閑話休題。

 大阪公演もあと1桁となり、フィナーレへ向けて大爆走中といったところですが、今週末、大阪に遠征して参ります。15日昼夜、16日昼の3公演。
帝劇で10.5回も見たというのに、まだ見足りないという・・・

 千秋楽が仕事の都合で見れないのが心残りですし、大阪初日で
誕生日カーテンコール(高橋由美子さん、山本カナコさん、豊福美幸さん、江守徹氏)を見れなかったのも痛恨の極みですが(←なんつー贅沢者だ)、この作品にかける費用は全然気にならないんで、何はともあれ見納めの気持ちで行ってまいります。
 とりあえずこのブログも、『SHIROH』の大阪公演が終わるまでは、このまま『SHIROH』オンリーで突っ走ろうかと思ってます。

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