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『SHIROH』を語る。(2)

●キャストの魅力から作品を語る。

◆上川隆也/益田四郎時貞役
 若い頃持っていた”奇跡の力”を失って迷い、悩む役。上川氏には
そういった人間の深いところを演じてもらうと絶品の演技を見せてくれます。

 この作品で、初めて「歌った」上川氏ですが、いわば”演技歌”という感情がのった演技で、非常に滑らか。

 そして流石の剣の術。特に、二幕ほぼラストで、ライバル・柳生十兵衛に寿庵を斬り付けられ、激昂して十兵衛を一斬りにする様は壮絶の一言。
 四郎は寿庵の片思いにわざわざ気づかない振りをしているのだけれど、あの斬り筋に、今まで隠してきた愛情の深さを感じさせられた。

 二幕ラスト、死んでしまった寿庵を抱え、もう一度奇跡を起こそうとする四郎の様(さま)は、演技を通り越したとも言えるほどの名演。
 回を経るごとに深くなっていったこのシーン、帝劇最後の方ではもう涙なしでは語れないシーンになっていた。
(途中から最後の四郎の叫びにエコーがかかるようになっていたのが、もう絶品)

◆中川晃教/シロー役
 「神の声をもった少年」という設定まさにそのままの歌声で魅了してくれます。

 二幕中盤、幕府の隠密として潜入していたくの一・お蜜が

 「私はただ、あの子の歌を、もう少し聞いていたかっただけなんです」

と伊豆守に吐露する場面は、彼の歌声の魅力を感じるにぴったりの言葉。

 それだけに、お蜜を殺され、四郎やその仲間との距離を感じてしまった二幕後半からの暴走シーンは彼の(彼の役の)ピュアさともあいまって、悲愴感とやり場のない哀しみが押し寄せます。
 
 「なぜ死に急ぐの」「神はそんなことを望んではいない」
寿庵と四郎の叫びが届かない、やるせなさを体現しきっています。

 彼は役がぴったりはまると、演技している感じがしない。
ミュージカルデビュー作の「MOZART!」(ヴォルフガング・モーツアルト役)でも同じ感想を抱いたことを思い出します。

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