『(愛おしき)ボクの時代(2)』

2019.12.1(Sun.) 13:00~15:50
DDD青山クロスシアター
C列1桁番台(下手側)

1stプレビュー、2ndプレビューを経て前日(11月30日)が本公演初日。
この日が本公演2日目です。

以前だったらプレビューからの変更点を血眼で(爆)探すように見ていたと思うのですが、今では変更から生まれた空気感の違い方に興味があって(以前ほど記憶力が続かないというのもありますが笑)、実際見てみるとずいぶんと整理された感じ。

特に2幕の収束の仕方がとても滑らかになっていて、物語に軸がしっかり通ったように思いました。天狗から戸越への語りかける歌詞の変化は特にそれを感じました。世代間の想いのキャッチボールという主題をはっきり見せていた感。

それに比べると1幕ラスト前と1幕ラスト曲との飛躍が少しく気にかかりました。

ミュージカルでよく言われる「いきなり歌い出す」という指摘よりもむしろ、「いきなり歌を持って物語が飛躍する」(聞く側がついていけない)方が引っ掛かるところです。

お持ち帰りソングが「これ!」というものが出てきにくいのも弱いところですが、その中でも佳曲はいくつもあって、特にきびだんごガールズ(岡村さやかさん、梅田彩佳さん、四宮吏桜さん)3人のハーモニーが絶品な、M16「愛を教えて」が素晴らしいです。

・・・

この日のアフタートークは、演出・脚本の西川大貴さん、先輩演出家・俳優の吉原光夫さん、出演の梅田彩佳さん。
当初は西川さん&吉原さんペアでしたが、追加で梅田さんの出演が発表され、光夫さんがtwitterで「2人だけじゃダメなのか」とツッコんだからか、むっちゃ怖がってる梅ちゃんという構図(爆笑)。
お3方は去年、この劇場での『Day ZERO』という作品で吉原さん演出で組んだ関係、でもあるそうで、あのツイートはネタ8割ということのようで(笑)

とにかく内容が濃いトークショーで、全部書いたら寝られないぐらい(笑)なので程々にしておきますが、とりわけ光夫さんがいつも以上に気を遣って言葉を選んでいたのが印象的(ご自身もおっしゃってました)。

光夫さんご自身「他の人の意見を聞いて演出するなんて自分じゃ考えられない、それじゃ自分の作品じゃなくなっちゃう」と仰っていて、でも西川さんのことを大事に思っていて、彼のチャレンジに水を差したくない思いを言葉の端々に感じました。

(どういう感じで今回の企画に取り組んでいるか問われて)、西川さん「ゲネやプレビュー初日終わりは本当に色んな意見をもらってキャパ越えちゃったんですが、それを自分の価値観でジャッジし続けた結果、今は色んなことを言われても『あの意見とリンクできるな』とか、ジャッジが早くなった」と。

「意見を聞く」ということに関しては光夫さんはそれこそ「ありえない」という立場で、光夫さんと西川さんが真逆に見えつつも、西川さんのそのスタンスは「アイディアは出して貰いながらも、最後は自分でジャッジすることで自分の価値観で通している」ことに見えて、それが光夫さんのコメントで見えたのが、意味あるトークショーだったかと。

口数はそれほど多くなくても梅田彩佳ちゃんの言葉で印象的だったのが「自分で検索するけど、その意見に一切引きずられないようにしている」と。「大貴のことを尊敬しているから、大貴が選択したもの『だけ』 を確実にやるようにしている」と仰っていたのが流石で。

それを受けて西川さん「演出家は先生ではないので、価値観を一致させるために僕はいる」とおっしゃっていたのが印象的でした。

・・・

光夫さんの言及で興味深かったのが「大人世代でこの作品に接することがどういうことなのか」ということ。
若者よりも長く生きてきて、経験相応の「鼻」(意味合い的には「プライド」的なものに感じました)を持っている人たちが、若者を認めるということがどういうことなのかを考えると、そういう方の「鼻」を折ることができるのは愛する女性なのかも、と仰っていたのが成る程、と感じさせられました。

・・・

本編2幕で出てくる、天狗(大人世代)からの「努力の後には希望が『あった』」という言葉を聞いて、不意に涙が流れて、自分でも自分が分からなくなる瞬間があって。

自分は40代なので、団塊世代の60代と若手世代の20代の間に挟まれる立場ですが、入社して20年を過ぎて、入社したときに目標としたポジションに来れて、でも、これほどまでに大変だとも思ってなかったし、これほどまでに報われないとは思ってなかったので、若手とは違った意味で先が見えないように思えたりしているのですが(苦笑)、自分の感じた、上位世代からの理不尽をなるべく若手に押しつけないようには生きていきたいし、かといって先輩の経験を軽視するような育て方はしたくないし、という意味で日々勉強だな、と思った次第でした(個人的な感想に落ちましたが)。

 

 

 

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『青山郁代4thソロライブ「CARNET」』

2019.11.30(Sat.) 14:00~16:10
2019.11.30(Sat.) 18:30~20:40
下北沢コムカフェ音倉

6年ぶりの青山郁代ちゃんソロライブ。ゲスト出演は何度かありましたが、言われてみるとそんなに開いていたんですね。

まずはセットリストです。
サブタイトルの「昼下がりの情事」(昼公演)と「暗くなるまで待って」(夜公演)はいずれもオードリー・ヘップバーンの映画から。

●セットリスト
1.Vogue/マドンナ
 (和訳:藤倉梓さん)
2.『メリー・ポピンズ』メドレー
 2-1.お砂糖一さじ
 2-2.鳥に餌を
 2-3.どんなことでもできる
 2-4.Supercalifragilistc
   expialidocious
3.昭和メドレー
 3-1.お嫁においで/加山雄三
 3-2.街の明かり/堺正章
 3-3.乾杯/長渕剛
4.出演作メドレー(全16曲)
 4-1.zorro the musical
 4-2.ミス・サイゴン
 4-3.レ・ミゼラブル
 4-4.キューティー・ブロンド
 4-5.パジャマ・ゲーム
 4-6.サムシング・ロッテン
 4-7.ナイツテイル
5.ドリフメドレー
6.夢やぶれて/レ・ミゼラブル

◆ゲストコーナー(昼)
7.やさしさに包まれたなら
  /松任谷由実(青山・新田)
8.Megan's Hero
  /『In Touch』(新田)
9.I Still Believe
 /『ミス・サイゴン』
 (青山キム・新田エレン)

◆ゲストコーナー(夜)
7.All I Ask Of You
 /オペラ座の怪人
 (青山クリスティーヌ、神田ラウル)
8.牢番の娘(リプライズ)
 /ナイツテイル
 (青山フラビーナ、
  神田パラモン)
9.独白/レ・ミゼラブル(神田)
10.Last Night of the world
 /ミス・サイゴン
 (青山キム、神田クリス)

◆以下、夜は1曲ずつ曲番繰り下げ
10.Danny Boy/平原綾香
11.Happy Holiday
12.ラストダンスは私と

◆アンコール
13.デスペラード

・・・

圧巻なのは「怒涛の出演作メドレー」と銘打たれた、10分超16曲に亘るメドレー。

今までの出演作のスコア譜全部を持ち込んで、小澤先生呼んで「メドレー作って!」と言ったそうでその迫力すごっ(笑)
それにしても、『ミス・サイゴン』のジジの後、間髪おかず『レ・ミゼラブル』のコゼットを歌う、郁代ちゃんの振り幅の凄さよ(笑)

・・・

昼の回は『キューティー・ブロンド』で共演以来の仲良しな、えみつん。

それにつけても郁代ちゃん、えみつんファンにマウントを取るスタイル(笑)

「初めて青山郁代ライブに来られた方?」と挙手を求め、かなりいらっしゃると見て取るや、「えみつんのファンですねー!」と容赦なく追い込む(笑)
※ちなみに、夜も同じで「神田恭兵さんのファンですねー!」と容赦なく追い込む(笑)

でも、もじもじして変な空気になるぐらいなら、先に言っちゃった方が良いですからね。
その辺は久しぶりのソロライブとはいえ、さすが熟練の郁代ちゃんでこそ。

えみつん出てきてからのトークでも
「えみつんめっちゃ可愛いじゃないですか。
 
自分より可愛い人を呼ぶのは怖いじゃないですか(笑)」
「合コンで自分より可愛い人呼ばないような話で(爆笑)」
と飛ばしまくる郁代ちゃん(笑)

GW後に2人で八丈島に行かれた(Instagramなどで既報)とのことでしたが、郁代ちゃん曰く「ファンの方はご存じか分からないですが、えみつんは男っぽいんですよ」にえみつんファンの皆さん、速攻頷く(爆)。

2人ともあまり「女性同士2人で」行動しないという、タイプが共通しているそうで、2人でいると非常に楽だそうです。

「高い山(=八丈富士。伊豆諸島の最高峰、標高854m)に登りたい!」とえみつんが言い出して、「いいねー」と言いながら「雨降りますように」と願ってた郁代ちゃん、さすが黒い(笑)。
まさかそう思ってるとは今まで思ってなかったえみつん、それを受けて、「こういうこと言っちゃう郁ちゃんだから気が楽で(笑)」という返しがさすが漢です笑。

えみつんの、とあるトラブルも華麗になかったことにしようと頑張る郁代ちゃん、その振る舞いも流石は彼女!でした。

まさかのドリフメドレーコーナー用に郁代ちゃんがフリマアプリで購入した「8時だよ、全員集合」法被をアンコールコーナーで着て、サンタ帽子被ったえみつん、正に電器店店頭の電子レンジ売るお姉さんで、チャーミングすぎました(^^)。

・・・

夜の部のゲストは神田恭兵さん。

サイゴンからレミゼ、そして再びサイゴンからのナイツテイルと共演しつつも、郁代ちゃん曰く「つかずつかずな関係」(笑)←くっついたことないから離れることもない

同じカンパニーになることは多いのに、直接絡むことはほとんどない2人。今度のサイゴンではようやくわずかながら絡みがあることに気づいて郁代ちゃん、びっくりしてました。

神田さん、サイゴンは新演出になったときに一度離れたけど、「是非見にきて」と言われて行ったら新演出とっても良くて虜になって…と楽屋で熱弁したお相手が郁代ちゃん、だったそうです。今回のゲストをお願いした時点ではサイゴンで再び共演と思っていなかったので、今となってはびっくりだそうです。

2人のデュエットでとりわけ印象的だったのが、サイゴンの役を変えたデュエット「Last Night of the world」。

この曲、郁代ちゃんが男性ゲストの方に過去、何人にもアレンジを変えたバージョンをお願いしているんだそうです。
トゥイ登場のおどろおどろしいシーンを最初に繋げてからのこの曲への突入というもの。

最初その話を聞いたときには、正直言って笑ってしまったのですが、そのときの郁代ちゃんの表情を見てハッとしました。

トゥイの登場、その不気味な音楽に恐怖するキム、そこからクリスと出会えた時の本当に心から自分を許した表情への変化が、あぁ、キムは不安の中に生きていたからこそクリスと燃え上がったんだな、ということが見えて凄く良かったです。

郁代ちゃんの思いをそう受け止められたのは、郁代ちゃんと神田さんが同じサイゴンの世界で時を過ごしてきたからこそだったのだろうし、だからこそ、2人が歌う歌はお互い絶対になれ合わないのに、絶妙に引きつけ合うのだろうなと思えて。『ナイツテイル』の神田パラモン&郁代フラビーナもとっても素敵で!

ぜひ次は神田恭兵ライブに郁代ちゃんをゲストで呼んでもらいたいものです。
(ピアノの小澤さん、ギターの成尾さん、ベースの森さんは、実は神田恭兵バンドの皆さん)

ちなみに、神田さんも昼のえみつん同様、アンコールの「デスペラード」の時に舞台上手で観劇することになったのですが、同じく「8時だよ、全員集合」法被を羽織った神田さんは、商店街の福引きのお兄さんでしかなかったです(爆)

・・・

郁代ちゃん久しぶりのソロライブは準備万端で、MCが長くなって延びる(笑)以外は完璧でしたが、惜しむらくはインターバルが長い(笑)。
このクオリティで年1回以上の公演をやってもらえれば、公演以外でもファン層を広げられると思うので、是非期待しています。

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『In This House』(6)

2019.11.27(Wed.) 14:30~16:35
荏原ひらつかホール
13列1桁番台(下手側)

同作再演の劇場2カ所目、武蔵小山の荏原ひらつかホール、この回が初日です。

初演では2週間、東京芸術劇場シアターイーストで上演されましたが、再演は六行会ホールで5日間(11月20日~24日)。六行会ホールは今週はミュージカル座さんの『GODSPELL』で使われるために2週間取れないからか、再演後半は荏原ひらつかホールに移しての上演となりました。

3劇場でもっとも広い劇場で、かつ平日の昼間ということもあり正直客席の眺めは淋しいものを感じざるを得ないですが、それでも六行会で確実に築き上げたキャスト4人と、森の妖精さん4人の、演技と歌のハーモニーは劇場が変わっても健在でした。

・・・

この日の終演後トークショーゲストは原田優一さん。トークショーは出演者1人がそれぞれの回でゆかりの方を招くという形でしたが、最初優ちゃんがびびちゃん枠かと思いこんでたら、びびちゃんはマサくん(藤岡正明さん)で、優ちゃんは入絵さんpresentsだったんですね。

まぁ、どちらの回もゲストが喋り倒すってとこで変わりはなかったんですけど(笑)

優ちゃんは初演も見ているということで「初演と最後の印象がずいぶん変わった」と仰っていましたが、板さん(演出の板垣さん)曰く「全く変えてない」と。あえて要因を言うなら「ヘンリーとルイーサ、特にルイーサは60代ということをはっきりさせている」と仰っていました。

そこで面白かったのが入絵さん発言「ミュージカルの人ってみんな歌ってるとキラキラしちゃう。私もキラキラしたい(笑)。でも私(ルイーサ)は、板さんから「キラキラすっきり禁止令」が出ているのだそうです(笑)。

それに比べると、若手カップルは板さんの中では裏設定がありはするものの(ネタバレなので略)、そこにこだわらないで普通に演じてもらうように言っている、というのがなるほどなと。

入絵さん曰く「板さんのことはこれ以上ないほど心酔してて、カウンセラーじゃないかと思っている」に応えて、「最後まで(相談されたことに)責任持ちますよ」と仰ってたのが印象的でした。

板さんと優ちゃんは接点ありありのお2人ですが、優ちゃん曰く「頭おかしい82年組」(笑)と言われてる「藤岡くん、中川くん、ソニンちゃん、俺」と言ったら、板さん曰く「全員と仕事してる(笑)」と言ってて笑えました。

かと思えば、優ちゃんは年末の明治座で演出をされますが、実はこのお仕事、去年までは板さんが演出。
板さんから「俺の仕事取ったんだよ」と言われた優ちゃん、「他の仕事あるじゃないですか」と即答してて笑えました。

入絵さん曰く、劇中でルイーサとジョニーが火をつけるシーンがあるのですが、マッチが中々つかない(湿気っているし、そもそもヘンリーとルイーサは現世の人ではない)ところでマッチつけるのにうるさくなりすぎて「もう少し静かにして」な板さんチェックが入ったそう。

その話の流れから板さん&優ちゃんでやった『ファクトリーガール』の時の優ちゃんの役(工場長)、優ちゃん曰く「(自分の)引き出しを開けていったら、どれも板さん笑ってくれるから、どんどん広げていったら、最後の方で板さん「ちょっとやり過ぎだから半分ぐらいで(笑)」とツッコミ入った話もあって「でしょうね(笑)」と。

板さんに対してのリスペクトに溢れ、やりすぎなほど自分を出したくなるけれど、板さんは上手く調整してくれる、その信頼に共通点を感じる、そんな入絵さん&優ちゃんのペアでした。

・・・

『In This House』再演のラストは日が変わって今日、11月29日(金)14時30分から。当日券もあるそうですので、お時間がおありの方、是非に。

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『ダンス・オブ・ヴァンパイア』(3)

2019.11.10(Sun.) 13:30~16:15
 2階補助席1桁番台(下手側)
2019.11.19(Tue.) 18:30~21:15
 2階L列20番台(センターブロック)
2019.11.21(Thu.) 18:30~21:15
 1階S列10番台(下手側)※2幕から
2019.11.25(Mon.) 18:30~21:15
 2階B列10番台(下手側)

帝国劇場(帝国劇城)

あっという間に東京千秋楽も迎えてしまいましたが(笑)、出遅れた感たっぷりありつつ。

今回、初演サラのちーちゃん(大塚千弘ちゃん)がマグダに役代わりということで楽しみにしていたのですが、初日(11月5日ソワレ)が平日ソワレで、仕事上の障害で、結局2幕から行くことさえできずに玉砕。

初日に見られないと自分のテンションはなかなか上がっていかないというか、我ながらスタートダッシュ型の観客なんだなぁと思うわけですが(笑)、ともあれ、数日後にようやく見られたちーちゃんマグダは最高すぎました。

元々ちーちゃんにカッコいい役をやらせたら天下一品なのは、経験則でわかってる(例「鉄道捜査官」の女性刑事役の立ち回り)わけですが、サラをいつまでもやっていられるわけではないし、このタイミングでのマグダへの役代わりは願ってもなく、かつ実際見ても期待以上の存在感でした。

シャガールの居酒屋で男たちのアイドルとして、色気濃いめで振る舞いながらも、決して許さない立ち振る舞いの巧みさ(笑)。

男性のいい息抜きになっているからなのか、レベッカ始め女性陣からも、なぜだか安心の目で見られてる、そんなちーちゃんマグダが安定安心のセクシーブランドで吹きます。

かと思えば、翌朝の朝仕事でシャガール、レベッカとマグダ、3人のトリで出てきたとこで「気分いいよね、外の仕事♪」と言いながら「後ろ足で」扉閉める辺りが、絶妙なあばずれ感(笑)。

とはいえ、ちーちゃんマグダを見てると品がいいなぁと。決して下品にならないところが良くて。最後に「上品ぶってどうする」って言ってますが、「上品ぶらない」と「下品じゃない」って両立するんですよね。

以前サラをやってたときも思いましたが、アルフを誘惑するときも小悪魔になりきらない、ギリギリのところで止めるのは無茶苦茶上手でしたし。

あえて言っちゃうと、今期2期目のさーやサラは小悪魔が楽しくなっちゃってる風があるし(笑)、玲香サラはちょっと品をかなぐり捨ててると見えかねない(爆)ところがちょっと自分的には違和感…というのは、それだけちーちゃんサラが感覚的に染み着いてるんだろうな、と思います。

あ、でも玲香サラは今年のレベッカでちーちゃんと同役の「わたし」を演じたこともあってか、特に噛まれたときの表情とか、当時のちーサラそっくりです。

あと、ちーちゃんでスゴいと思うのが、どんな人とも合うこと。

ラストシーンでヘルベルトと歌い(ヘルベルトを籠絡して、サラと組んで城を支配すべく暗躍するぐらいお手の物に見える(爆))、アルフレートとも踊り、シャガールとも踊り、それでいて宿屋では教授に粉かけてて、それがどれもイヤらしくないあたり、やっぱり流石だなぁと思いましたです。

・・・

サラは今期は2人ともちょっとしっくり来ない部分が強かったかな。

さーやサラは出来上がりすぎて様式美というか、演技に余白が見えなくなって(サラとして)完璧すぎるところがちょっと苦手だったし(まぁ元々中の方がそういうキャラですが)、玲香サラは歌は安定してて良かったし、キャラクター的には初演当時のちーちゃんを彷彿とさせて良かったけど、なんというかラストのかなぐり捨ててる感じが正直苦手で…。余りに勢い良すぎて片牙飛んじゃった時にはちょっと引いてしまった(笑)けど、バランス感覚はいい人だと思うので、勢いが調整されればいいなぁと思っていたりします。

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『In This House』(5)

2019.11.23(Sat.) 12:30~14:30
2019.11.24(Sun.) 16:30~18:05
六行会ホール(新馬場)
23日:G列6番台(センターブロック下手側)
24日:B列10番台(センターブロック中央)

再演のこの作品の前半もこれで終了。
初演の東京芸術劇場シアターイーストとセットも劇場も変わり、そしていつもの六行会らしくない使われ方で新鮮です。

好きな作品を内容に触れずに薦めるのって本当に難しくて、毎回苦心をするわけですが、再演も折り返しということで、ネタバレ含みの感想参ります。

気にされる方は回れ右でお願いします。






それでは、参ります。

今回の再演で印象が一番強かったのは、アニーにとってジョニーを必要とする理由が感じられたこと。

アニーはトリアージナースとして世界中を駆け回り、「自分のことを考えるより、どれだけ多くの人を救えるかを考えている」女性。

そのアニーが2年前のちょうどこの日、自らのスピード違反で出逢った警官・ジョニーとの出会いは、恐らくアニーの人生にとって想像していなかった出会い。

アニーにとってジョニーに愛されていることに「疑いはない」のは、初演・再演どちらのジョニーに対してもそう感じるのですが、「ただあなたのものになりたいと思ってもいる自分がいる」ことに疑問が薄いのは、川原ジョニーだからこそかと。

ジョニーはアニーが考える「伝統的な価値観」で育ってきた男性で、アニーより見てきている世界は明らかに狭い。別にそのことをアニーが誇っているわけでも蔑んでいるわけでも決してないですが、「伝統的な価値観の中でジョニーは苦しんでいる」点が見えるのが、川原ジョニーはとても大きいのではと思うのです。

入絵ルイーサが呟く「愛している人に『そこまでしちゃいけない』と思うことは辛いことよ」という言葉は、再演でこそ深く印象的だった言葉。

アニーが、自分のことを思ってくれているとはいえ、ジョニーの父親や母親からの「プレゼント」を素直に受け入れられるかといえば、アニーでさえ、もしくはアニーだからこそ有り得ない。

この「外堀埋める攻撃」へのびびちゃんアニーの反応は、初演では激烈だったのに比べると、再演は少しマイルドに。

「ここまで思ってくれてることを無にしちゃいけない」という感覚が再演のびびちゃんアニーには感じて、その円熟さが、同じく円熟味を増した入絵ルイーサとはっきりシンクロして見えました。

片やその言葉に気づいた岸ヘンリーには「自分たちのことじゃない」と形の上では言うものの、実のところ「自分が妊娠したことでヘンリーの夢(野球選手として大成すること)を諦めたこと」と、「そこまでしちゃいけない」と思った過去が、今まで気持ちを通じ合えない理由の一つになったことと繋がっているのですね。

・・・

もう一つ再演で浮かび上がったもう一つのシーンは、「その」家に住むことをアニーに拒絶されたジョニーが途方に暮れる中に放った一言「2人を繋いでいたものが分からなくなりました、最初からなかったのかもしれないけど」という言葉。

それに対してヘンリーが答える「そう思いたくなる気持ちは痛いほどわかるよ」という言葉は、決して小器用に生きてきたわけではないヘンリーだからこその愛情に溢れていて。

そこで自分の思いをぶつけても何も変わらないように思うけれども、相手の立場を尊重した上で自分の思いをぶつけないと結局は後悔する、いや、今でもしている。そう、ヘンリーの優しい言葉は語っているように感じました。

・・・

初演から再演へ台詞の変化はほぼありませんが、印象的な変更が1つ。

ヘンリーから「子供はいないのか」と問われて答えるアニーの反応が変わっているんです。

初演「いない。いない。」
再演「いません。」

同じことを言っているように見えても、受ける印象は全く違います。

初演ではあたかもアニーに子供を作れない事情があるのでは、とさえ思えるのに、再演はその要素はほとんど感じない。

舞台後半でジョニーに「子供を作りたい」と言われて、「あなたが(子供を)欲しいという理由『だけ』で子供は作れない」というアニーの言葉は初演と再演まったく同じなのに、全く違って聞こえる。

初演は極論「子供完全NG」に感じたのに、再演は「子供を作ることについても理由をしっかり話し合いたい」という文脈にちゃんととれて、それは再演でアニーが「トリアージナース」であることを前面に出したこととしっかり繋がって見えて。

正に戦場であるかのような現場で、一つでも多くの命を救うべく生き、それでも救えない命があることを目の当たりにせざるを得ない現実の前に、いくら愛する人相手とはいえ、逆に愛する人相手だからこそ、「『命』を産み出すことに慎重」にならざるを得ないアニーの思いが、しっかりと繋がって感じました。

・・・

大切な人を守るために壁を作り始めたけど、壁があれば守れるわけじゃない、壁があれば家になるわけじゃない、でも歩み寄ろうとする気持ちがあれば、いつかは家を作れる日が作れるかもしれない、と思える再演のラストが素敵でした。

・・・

さて、ここからは23日昼公演終演後にびびちゃんpresentsで藤岡正明さんを招いて行われた、演出家板垣さん&びびちゃん&藤岡さんのトークショーレポです。

板垣さん「では藤岡さん、綿引さん登場です」
綿引さん「デニムですね、意識してます?」
藤岡さん「ジョニーの衣装で意識しました。いっそ一馬の役取っちゃおうかと(笑)」

・・というフリから始まり、

板垣さん「お2人の馴れ初めは」
2人「(笑)」
綿引さん「スタッフさんからも同じ聞き方されて(笑)」
2人「『ジャージー・ボーイズ』ですね」
板垣さん「レミゼ劇団ってわけでもないのね」
2人「劇団(笑)」
綿引さん「同じ時期では出てなかったです」

・・・という雰囲気でスタート。

藤岡さんは春の『いつか』で板垣さん演出を経験されているので、初っ端の演出から「板さんらしい」と思ったそう。「2人はもう亡くなってるんだろうな」と思ったという藤岡さんの発言に「はやっ!」と驚くびびちゃん。

板さん演出の特徴としては「ミュージカルらしくない」と藤岡さん談。それを受けて板さん「私はストレートの人なので、演劇とか芝居という方向になります」と。

六行会は初演に比べてシンプルなセットで「それだけに役者としては緊張感がある」とびびちゃん。六行会としては上手袖・下手袖にある幕を取っ払って演奏スペースにしたのだそうです。

板さん曰く「演奏も出演者」ということで、演奏されている4名の女性は『森の妖精』役なのだそうです。

この作品の特徴としてはデュエットが少なく、曲で物語が中々進まないところ、と板さん談。

登場人物の人生という「芝居」を見ているのか自分の人生を見ているのか、そこはお任せしていると板さんが仰り、藤岡さんも『いつか』の時に「そういった芝居づくりの方向性が似ていると思っていたので念入りな打ち合わせなくできた」と仰っていました。

それを受けてびびちゃん、「この物語の台本には『余白』が多くて、沢山の選択肢がある。お客様からも色んな視点で感想をいただくのが楽しい」と仰っていました。

ヘンリーとルイーサは実は昔の人、という話で、実はソファーがちょっと傾いてる(朽ちている)だったり、セットにも工夫がされているとのことでした。

2人が既に亡くなっている(AP通信もできていないし、ヘンリーのいた球団は100年前に5年間だけあった球団だし)と、なぜ若カップル2人が話せたのか…その提起はとっても興味深かったです。
(私は初演ではアニーだけが死の淵にあって、だから子供を作れないと思ったときがありました。捉え方は本当にいろいろ)

・・・

六行会ホール公演楽はオールスタンディングWアンコールで急遽岸さんのご挨拶。

岸さん「ご来場いただきありがとうございました。この後、ひらつかホール公演で再開しますので、ぜひお知り合いの方にお伝えいただいたり、DVDを予約していただいたり、『良かったよ』と呟いたりしていただければ、再再演にも繋がるかもしれませんので!(会場拍手)。その時は僕じゃないかもしれないけど(←皆から「なんでよ!?」と突っ込まれる)、え、(ルイーサ、)なんで笑ってるの?」

入絵さん「いや、頑張ってるなぁと(キャスト&客席爆笑)」

というやり取りが、まさにヘンリー&ルイーサであったことをお伝えします(笑)

・・・

再演の六行会ホール公演は24日夜で終了。2日開いて27日~29日に武蔵小山の「ひらつかホール」にて。

武蔵小山は日比谷から都営三田線~東急目黒線で20分+徒歩10分強。永田町からメトロ南北線~東急目黒線で同じぐらいの時間(急行で目黒の隣駅)。都心からもそれほど遠くないので是非。
※神奈川県の平塚(JR東海道本線)ではないのでご注意を!

 

 

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『In This House』(4)

2019.11.20(Wed.) 19:00~20:30
六行会ホール
D列1桁番台(センターブロック)

昨年2018年4月に初演されたミュージカルドラマ、この日が再演初日です。

初演は池袋の東京芸術劇場シアターイーストでしたが、再演の前半は品川区(新馬場)の六行会ホール。
後半は同ホールをミュージカル座さん(『GODSPELL』)が使われることもあってか、同じ品川区のひらつかホールでの上演です。

・・・

劇場が変わってセットも変わり、演奏の女性陣4名も上手と下手に2人ずつ。

大晦日の夜、老夫婦・ヘンリーとルイーサの前に若いカップル・ジョニーとアニーがやってくる。

翌日が新年、その「大晦日」に4人が「出会った」ことで語られる過去と、向き合う未来の物語。

4人ミュージカルで、3人までが初演から引き続きの出演。

ヘンリーの岸祐二さんは実直で素朴で、ルイーサの入絵加奈子さんは利発で鋭敏で、アニーの綿引さやかさんは優しく強くて。既に初演で演じてきている3人の完成度は流石で、そこに再演から入ったジョニーの川原(一馬)さんがすっと入り込んで、初演の描いた風景が深く濃くなっていました。

世界中を飛び回るトリアージナースのアニーは、目の前で苦しんでいる人を見るとほっておけなくて、自分の未来・将来を考えることもできなくて、でも愛するジョニーの前で、1日でいいから安らぎたい。
それが川原ジョニーに対してだと、その気持ちになる様に、より納得がいって。

何というのか「自分にないものを持っていて惹かれる」様のバランスがとても良かった。

公演前に演出の板垣さんからびびちゃんが薦められたという、トリアージナースの方の著書(白川優子さん著『紛争地の看護師』)を読んでから行ったこともあって、トリアージナースの心は誰がトリアージしてくれるんだろう、と思いながら見ていて、きっとアニーにこのジョニーなら、分かってくれようとする希望を感じさせられて嬉しかったです。

再演でより強く見えたのは、ヘンリーとルイーサの歩みを見たからこそ、アニーも自分の間違っていた部分を正して、逃げていた部分と向き合おうと一歩進み出したのだと。

まだ再演初日を迎えたばかりなので台詞のネタバレは(初演と同じといえども)回避しますが、ルイーサがふと呟いた言葉が、驚くほどアニーの中にはっきりと写し出されたシーンがあって、これぞ再演の醍醐味と、感動しました。

逆にルイーサが苦しむ様をギュッと抱きしめるアニーの様も印象的で、他者を慮んばかる優しさを持つ4人だからこそ、ひと時は傷つけあっても、相手を支え、相手とともに歩み出せるのだと思った、素敵な再演初日でした。

この日20日から24日までは六行会ホール(新馬場)。27日・28日とひらつかホールで上演されます。
良質のミュージカルドラマ、音楽もとても素敵です。是非に。

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『(愛おしき)ボクの時代』(1)

2019.11.16(Sat.) 17:30~19:45

DDD青山クロスシアター

D列10番台(センターブロック上手側)

トライアウト的要素を取り入れた企画のプレビュー1期2日目の夜公演。

今回の企画は西川大貴さんが脚本・演出、スーパーバイザーに前期『ミス・サイゴン』の演出補ダレン・ヤップ氏を迎えて、プレビューを経て作品をブラッシュアップしていく、ということで公演前から興味をもって見ていました。

オリジナル作品で、若者たちの感情を描くということでしたが、若者たちと若者以外の世代との対比のバランス感を掴みかけていて、色々考えさせられる作品、というのが初見の感想。

主人公は広告代理店の若手リーダー格で、伊豆のとある街の町おこしを映画祭で行なう企画を持ちかけられるも全く気乗りせず、メンバーも色々思う気持ちはありそうだけれども、リーダーの前では押し黙る。
なぜなら、主人公の父親が社長で何を言っても無駄だと思っているのですね。

まずは町を見なくては、と向かった先でパラレルワールドに巻き込まれ、メンバー含めるとまるで桃太郎のようなグループに…という流れどっかで見ましたな(地球ゴージャス『HUMANITY』にそっくりです)。

若い彼(戸越)が「自分は何者にもなれない」と焦りもがく様が、「ボクの時代」を作るためのプロセス。

私見では「30歳直前になって未来に焦る」という点でTiptapの『Count Down My Life』に似た空気感を感じました。

その物語の中で存在感が大きかったのが、上田亜希子さんと岡村さやかさん。このカンパニーの女性陣でキャリアが飛び抜けたお2方が、説得力抜群の存在感で魅せていました。

上田亜希子さんは主人公の母親役ほか1役ですが、いずれも主人公を「叱咤激励」する役どころで、本当の愛情を役ごとに変えたベクトルで注いでいて印象強かったです。歌のど迫力も流石です。

岡村さやかさんは、1幕板付きで、さやかさんの歌声から舞台が始まりますが、そのままセンターで皆でダンスするので、舞台作品としては初めてといっていいほどのダンスが新鮮です(ダンス公演で踊ったことはありますが)。

2幕後半、とある人物を見初める眼力と、彼に対して黒さを隠さない”いなし”方がさやかさんらしくて(笑)、流石です。

お2人ただ者じゃない上手さを見せるのは正に「経験」の賜物で、お2人の説得力あってこそ、若い役者の皆さんも全力を出し切れたように思えて。

ともすれば、若ければ経験を軽視しがちだし、年をとれば経験を無視する若手を嫌悪しがちだけれども、厳然として、経験でしか出せないものというのは確かに存在するもの。

偉い人がすべて正しいわけじゃないし、若いから何をやってもいいわけじゃない。

個人的な感覚ですが、今の若い世代の感性って鋭いと思っていて、「何となく良い」「何となく悪い」という感覚って、そうそう正解から、ずれていないのではと感じています。

ただ、言語化して説明する力は弱いのかなと感じていて、この主人公をはじめとした若手が「どう感じて考えているかを言葉で表現することができない」というのは分かる気がします。

そんな若手の人たちが、パラレルワールドでの経験を通じて自分で考え、自分の言葉で自分の思いを発信して、自らが囚われていた(と思いこんでいた)糸から抜け出そうとする様は頼もしくて。

日本でのミュージカルはどうしても輸入物がメインで、契約時点でできることがそもそも限られていたりして、だからこそ日本発のミュージカルで作り上げていくということには賛同しますし、劇中で語られる「制約」はそこともリンクしているようにも感じられました。

演出の西川さんとスーパーバイザーのダレン氏への印象だと、それぞれの演者さんにやってもらって、いいものを採用していくイメージがあって(ダレン氏は元々サイゴンのトゥイを演じていた役者出身の方で、玲奈ちゃんも尊敬する演出家さんの筆頭に挙げられています)、それがこの作品の何ともいえないエネルギーの強さに繋がっているように感じます。

何となく、ある程度の年齢に達するとこの作品に対して負の感想を持つ人もいるのかなと感じましたが、経験の中で残していくべきものと、若さから取り入れるべきものとを、より分ける眼力は西川さんは持っていると信じています。

そして、できない言い訳をするより、できるように努力することの方が生産的と信じていますので、若いカンパニーの皆さんが自身の「正しい『と思う』道」に向かって邁進され、皆さんの力と観客からの視点で、この作品が更にブラッシュアップされることを願っています。

この後、プレビュー2期と本公演でそれぞれ1回拝見する予定です。

どんな感じに変化するか、楽しみです。

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『WEST SIDE STORY』(2)

2019.11.8(Fri.) 13:30~16:15
IHIステージアラウンド東京
3列10番台(下手側)

笹本玲奈マリア初日。
…のはずで取ったチケットでしたが、マリアWキャストの北乃きいさんが体調不良のため、玲奈ちゃんが公演初日を代演することになり、玲奈ちゃん曰くこの日は「第2の初日」

この日はアニータが三森(みもり)さんということで、四季でもアニータを演じた樋口さんと玲奈ちゃんの組み合わせを見たくて、翌日の9日マチネも取っていたのですが、実はどっちの初日も6日ソワレに取って代わられるという、予想外の展開になりました。

北乃さんは製作発表でも「喉の調子が芳しくない」とのことで歌唱披露をスキップされていたこともあり、製作発表って暗示するのかなと思わざるを得ない部分と、先日のTBS系「イロイロ超会議」で”玲奈ちゃんと比べられるのがキツい”(要約)と仰っていたのである程度は予測してはいましたが…。

現段階で代演を含めると11月15日(金)まで玲奈ちゃんが連投することが決まっており、5日のゲネプロ(これも2日繰り上がり)から数えて(休演日1日を除いて)10日間13公演の連投というあり得ないスケジュール。しかもマチソワ3回が含まれています。

玲奈ちゃんの連投は過去、2017年1月の梅芸サイゴンでの9日連続が最高で、当然マチソワはなかったので、それに匹敵するか上回る非常事態。
玲奈ちゃんが完全にSeason1の生命線になっている事態に、ファンとして憤りを感じずにいられませんし、この非常事態を回避する術が講じられることを強く願うものです。
(北乃さんの体調不良が問題なのではなく、Wキャストで片方が欠けた場合の対策が全く取られておらず、出演し続けるキャストに過大な負担をかける、主催者側の問題と認識しています。)

そんな心配をしながら製作発表以来のステアラヘ。
そこには、心配を吹き飛ばす笹本玲奈マリアがいました。

可愛くて、強くて、優しくて、説得力を持った舞台の軸。

2幕最初の「I Feel Pretty」の可愛さときたら、もうその、ちょっと「変な子」チックな、ネジの緩み方が玲奈ちゃん史上最高にかーわーいーいー(笑)

蒼井トニーとのバランスもお姉さまマリアに見せないヒロイン力は流石です。

年齢設定からすれば、玲奈ちゃんが演じるのはもっと前だったんじゃないかというこの役、むしろ発表されたときに「この役を演じるのは(いい意味で)サプライズ」だったのですが、今までの経験をフルに活かして、出すことにより生まれる魅力と、強く出さないことによって生まれる魅力のバランスが凄くいい。

マリアって聖母の位置付けもされる分、聖人君子に見られがちですが、実はそういうところばかりではなく、我を通すからこそ、マリアはマリアたりえる部分があって、その押し引きがとっても魅力的。

トニーを試すかのような部分も、決して「自我」でだけ言ってるわけではなく、対立する2つの関係に終止符を打つべくトニーを動かしていて、それが決して我が儘に見えないところがマリアをヒロイン以上の存在に見せている。

玲奈マリアがそういるからこそ、思いを寄せ、頼る対象の蒼井トニーの格好良さも際だって良かったです。

この日、予想以上に良かったのはアニータ役の三森(みもり)すずこさん。
マリアの親友として、自分も苦しんだ上でマリアの理解者になって自ら行動する、その大人な格好良さに痺れますし、何より玲奈ちゃんとの歌と芝居の相性がぴったり。

(三森)すずこさんは今や人気声優さんですが、かつてはミュージカルに出演されていた女優さん(当時は黒川鈴子さん名義)で、玲奈ちゃんとは今回が3度目の共演。

いずれも玲奈ちゃんがヒロイン役だった舞台『ミー・アンド・マイガール』『ルドルフ・ザ・ラストキス』で共演していて、ルドルフに至っては玲奈ちゃん演じたマリー・ヴェッツェラ男爵令嬢の妹を演じた近しい関係だけに、玲奈ちゃんとの気持ちの通じ合いが感じられて、とても素敵でした。

カーテンコールでは三森さん自ら玲奈ちゃんに駆け寄って、2人がひしっと抱き合う姿に、時空を越えた感動を覚えました。

回る回るよ客席が回る、なステアラ。
この日が2度目の体験でしたがさほどの違和感は感じませんでした。

むしろ普通の劇場では舞台側が転回するところを座席側を動かすことで代替している感じもあり。特殊な機構で予想以上に高さもあるので、特に部屋が2階のマリアはよく怖くないなぁと驚くことしきりです。

・・・

公演は始まったばかりではあるものの、玲奈マリアがシングルの状態は心配でしかなく、一刻も早く実効性のある対策が打たれることを願うとともに、アクションが多いこの作品、他にない劇場機構だけに、カンパニーの皆さんに怪我がなきよう願っています。

11/16追記
11/16昼公演から北乃きいちゃんが復帰。
玲奈ちゃんの連投は休演日はさんで10日間、14公演(ゲネプロ2公演含む)で終了となりました。
玲奈ちゃん、本当にお疲れさまでした。

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『らららクラシックコンサート』

2019.10.26(Sat.) 18:45~20:50
サントリーホール
1階13列30番台(上手側)

NHK-Eテレ(旧教育テレビ)で放送されている『らららクラシック』のコンサートver、今回はミュージカル特集。

この日は昼と夜の2回公演。
が、昼の部の幕間あたりの情報がツイートされ出すと何か空気が変。
出演されている新妻さん関係で何かあったことが伺われましたが、極力気にしないようにして久しぶりのサントリーホールへ。

昼公演を観劇されていた知人とも会いますが、あえて話を出されないのが有り難いと、終演してみて感じました。

まずはセットリストです。

●セットリスト
<Act1>
1.Overture
2.~マスカレード~/オペラ座の怪人
 (別所・海宝・新妻・咲妃)
3.メモリー/キャッツ(咲妃)
4.世界が終わる夜のように
 /ミス・サイゴン(新妻・海宝)
5.I Still Believe(新妻・咲妃)
6.君の瞳に恋してる
 /ジャージー・ボーイズ(海宝)
7.Dream Girls/ドリームガールズ
 (マリーシャ・咲妃・サラ)
8.And I am telling you I'm not going
 /ドリームガールズ
 (マリーシャ)
9.somewhere/ウェストサイド物語
 (別所・咲妃)
10.エーデルワイス
 /サウンド・オブ・ミュージック
 (別所)
11.I could have danced all night
 /マイ・フェア・レディ
 (サラ)

●Act2
12.A Whole New World/アラジン
 (海宝・マリーシャ)
13.陽ざしの中へ/ノートルダムの鐘
 (海宝)
14.Can you feel the love tonight
 /ライオン・キング
 (別所・マリーシャ)
15.Defying Gravity/ウィキッド
 (咲妃)
16.I will always love you
 /ボディガード
 (マリーシャ)
17.Never Enough
 /ザ・グレイテスト・ショーマン
 (サラ)
18.彼を帰して/レ・ミゼラブル
 (別所)

●Encore
E-1.民衆の歌~People's song
 /レ・ミゼラブル(全員)

というわけで、構成が小林香さんということもあり、大満足のセットリストだったわけですが。

M4、新妻キム&海宝クリスの夢の組み合わせ、聖子さんがいつもより声抑えめだなぁと思ってはいたものの、素敵なデュエットで、海宝クリスがとっても大人に感じてうっとり。

続くM5は新妻キム&咲妃エレンという、年齢逆転を全く感じさせない、ガチンコなぶつかり合いで、こちらも見応え聞き応えたっぷり。
いつもの通り、歌い終わるとキムの世界から帰ってくるのに時間がかかる聖子さんに、気を配っていただく咲妃さんに好印象。

そしてここで司会の高橋克典さんから「新妻聖子さんからお客様へ」と紹介されて聖子さんが出した第一声に、会場中から驚愕の声が。

さっきまでキムとして歌唱していた聖子さんの話す声はガラガラ声。
喋るのも精一杯といった風で、「今週頭から喉を痛めてしまい、お医者様からも止められておりまして、何とか2曲はと歌わせていただきましたが、この後は友人でもあるサラオレインさんに後を託させていただきたいと思います。この後も皆さまお楽しみいただければと思います」と仰られ、会場からの(熱唱への)拍手を受けられ、退場されました。

聖子さんが公の場でここまでの苦しい姿を見せられたのは恐らくデビュー以来16年で初めて。
過去一度も休演をされたことのない聖子さんだけに、苦しい決断ではあったと思いますが、何よりキム10年の経験と気力があれだけの歌唱を産み出したのだと思いますし、海宝さんの暖かい支え、咲妃さんが全力でぶつかってくれたからこそそれ以上の力でぶつかり返せた(役柄上)ことにただただ感謝です。

そしてこれ以降、全部で5曲あったであろう聖子さんのパートを引き受けていただいた、サラオレインさん。
今年結成された『LA DIVA』で聖子さんとご一緒されていますが、英語曲中心ということもあり、オーストラリア出身のサラさんは適任ど真ん中。
スケジュールが合った幸運も重なり、聖子さんのピンチを救っていただいたことに感謝しかありません。

ラストでは再び「民衆の歌」で登場し、後半の英語パートでは来日ゲストのマリーシャ・ウォーレスさん、そしてサラさん、咲妃さんとともに聖子さんも英語歌詞を歌い上げておられ、少しだけ安堵しました。

最後のご挨拶
聖子さん「暖かいお客様と共演の皆さま、オーケストラの皆さまの支えられて歌うことができました。またチャンスをいただけるなら、皆さまに私の歌声を聞いていただければと願っております。ありがとうございました。」

サラオレインさん「リスペクトする聖子のおかげで、こんな素敵な皆さまとと共演でき、オーケストラの皆さまの演奏で歌えて感謝しています。(聖子)本人が一番悔しいと思いますので、まずはしっかりと(喉を)治して欲しいと思っています」

・・・サラさんの言葉が優しくて泣けてきます。

ほかの皆さまでは何と言っても来日ゲストのマリーシャツ・ウォーレスさんの声量のパワフルさに脱帽。持ち役でもある『ドリームガールズ』での存在感が流石でした。

そして歌を聴くのは実は初めて、な前任の宝塚雪組トップ娘役、咲妃みゆさん。DGのパワフルさが明るい前向きさに溢れてて素晴らしいです。WSSのマリアもぴったりで、娘役さん出身の方の活躍の場が広がる様を実感した、素敵なひとときになりました。

・・・

何はともあれ、聖子さんの喉が気がかり。しばらく生の出演はないので、ゆっくりと確実に快復されますように。
そしていつか、またサントリーホールで全力の聖子さんの歌声が聞ける日が来ることを願っています。

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『ボクが死んだ日はハレ』(3)

2019.10.27(Thu.) 16:00~17:40
 1階6列10番台(下手側)
2019.10.27(Thu.) 19:30~21:30
 1階3列20番台(上手側)
東京キネマ倶楽部(鶯谷)

『ボクが死んだ日はハレ』略して「ボクハレ」、10月8日に終了した再演のロスからの回復芳しくない方たち(キャスト・お客様)の「軽減措置」(笑)で企画された当ライブ。

当初は夜公演だけを入れていたのですが、仕事で行けなくなると一生の後悔になりかねなかったので、念のため午後休を入れ、トラブルあったものの午後2時には上がれて昼の当日券を追加。

このライブハウスは来るのは初めてですが、とにかく横が広いのが印象的で、座席50番近くまでありますが、正直端は見切れが厳しすぎていささかどうかと。

実のところ昼は6列1番(最下手)が当日券でアサインされたのですがとにかくステージまで遠く、見かねた係の方から開演後にお声掛けいただき、移動した先はかなり見やすく聞きやすくなりました。

さて、まずはセットリストです。
昼夜共通です。

●セットリスト
(★印はボクハレ以外の曲)
1.ハレバレハレルヤ
 (浦嶋・小野・綿引)
2.あなたと歌を歌いたい(全員)
3.僕のラブソング(上野)
4.ダイナミック琉球★(百名)
5.あなたをまもりたい
 (上野・百名)
6.ボヘミアンラプソディ★(小野)
7.果敢なきは世の栄華
 (浦嶋・小野・綿引)

8-10.『レ・ミゼラブル』コーナー★
8.宿屋の主人の歌★
 (浦嶋・上野・綿引)
9.恵みの雨★
 (綿引・森)
10.民衆の歌★
 (浦嶋・上野・綿引・百名)

11.こどもの世界(綿引)
12.Never Let Me Go(全員)
13.Over The Rainbow(彩吹)
14.鎮魂歌
 (浦嶋・小野・彩吹・綿引)
15.A Bar Named Heaven
 (彩吹・綿引・上野)
16.終わりのファンキーララバイ
 ~ハレバレハレルヤ(全員)

[Encore]
E-1. ハレバレハレルヤ(全員)

ボクハレの曲をメインに、ガンガン進めるライブ。客席もほぼほぼボクハレ経験者ということもあって、特に夜は最初から大盛り上がり。

3人ユニット「ハレバレハレルヤ」は浦嶋さん・小野さんが服装を黒でまとめる中、びびちゃん(綿引さやかさん)は一人白のドレスでひときわ目を惹きます。
この日のMCで浦嶋さんから振られたときに、昼夜ともに仰っていたのが「演出の石丸(さち子)さんが、『客席にお客様が入って完成する』と仰っていたのを初日に本当に実感」と仰っていて、その上夜では「『ボクハレ』という作品が自分にとって本当に大切な作品になった」と仰っていたのが強く印象に残りました。

この作品の全曲の作曲を担当した森大輔さんが、びびちゃん演じた歌織を称して「本当は色々な情熱を秘めているのに、他者との関係を意識して自分を抑圧してしまう」と言われていましたが、それはいみじくもびびちゃんにも言える気がして。

この日のびびちゃんは歌織として、ハレバレハレルヤの一員であることに全身で喜びを感じていて、いつも以上に伸びやかな歌声を聞かせてくれて、それはこの作品の持つあたたかさ、びびちゃん自身がこの作品の一員であることを自信を持っていられたからなのだろうなと思えて。同じく再演からカンパニー入りされた彩吹さんもカンパニーのあたたかさへ感謝の気持ちに言及されていました。

物語的には九死に一生を得た、彩吹さん演じるプロデューサーの通称「昔の男の歌」(正式名称は「A Bar Named Heaven」)があるが故に、「笑って生きたい、進みたい」と思う『仲間』を欲して集めた3人でハレバレハレルヤを作りたかったんだろうなということを改めて感じて。

主人公ミミにとって大事な息子であるひかるの「死」をみんなで共有して、しかもそれを「ミミにとっての大事な生きた意味」であることを共有したからこそ、「死」を前向きに捉えて(あえて「乗り越えて」とは書きません)心を重ねて晴れ晴れとした気持ちでハレバレハレルヤが演じられたんだろうなと思えて。

きっと技術だけでも気持ちだけでも成り立たなかった作品だったであろうことがわかって、再演を経てこのライブにたどり着いたことで、「なんだか色々嬉しい」「なんだか色々あたたかい」なステージ上と客席が同じ温度で高みに昇る様は、本当に素敵でした。

ボクハレパート以外で注目は、何と言っても『レ・ミゼラブル』パート。

浦嶋さん、上野さん、びびちゃんがレミゼ経験者ということでテナインからスタート。
上手側で上野さんとびびちゃんがこしょこしょ(笑)小芝居してて面白い。テナインはびびちゃん、鳩で入ってきてぐるっと一周する印象しかないから新鮮でした。

次いでは久しぶりのびびちゃんエポニーヌ「恵みの雨」。マリウスがいないため、なんと作曲の森さんをマリウスに見立て(後ほど「森さんマリウス、モリウス」と呼ばれてました笑)、1人エポニーヌとして上手から下手に進んでいきますが、ピアノから離れられないモリウスに対して、「こっち来て来て!」と必死なびびちゃんエポニーヌを見ている客席から笑いが起こるという(笑)。さらに「ここここ!」と招くびびちゃんエポニーヌ、再び笑いが(笑)。最後息絶えたびびちゃんエポニーヌを素っ気なく覗くモリウスがヒドすぎて再び笑い(笑)

…という、レミゼ経験3桁乗りかねない自分でも初めて見た”「恵みの雨」で笑いが起きる”、ではありましたが、茶化している訳では当然なく、「エポニーヌの必死さにつれないマリウス」の一つの見せ方だったのかと。もちろんびびちゃんエポニーヌ、歌声・佇まい素晴らしかったです。

実はここの前、びびちゃんの衣装は黒のドレスで「綺麗なお姉さん」になってたのですが、カーキ色のコートを纏っただけで一瞬でエポニーヌに見えるようになるのが素晴らしい。

かと思えば、すっくと生き返ってすぐ「民衆の歌」に参戦するという(爆)。
そして、上野フイイの高音、素敵でした。



再演をできたのもライブをできたのもお客様のおかげ、再再演をいつできるかわからないけど遅くなると老けちゃう(笑)、とりんこさん流の滑らかな煽りも取り混ぜながら、無事打ち上げライブ終了。

またこのメンバーでの再会、心から願っています。

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