『綿引さやかライブ』

2018.6.17(Sun.) 18:00~20:10
六本木クラップス

去年12月の品川でのクリスマスライブ以来のびびちゃんソロライブ。

ピアノは前回に引き続き久田菜美さん。意外にも菜美さんはここ六本木クラップスでは初めてとのこと。
確かに前回(去年9月)のここでびびちゃんがソロライブやったときは「綿と木」でピアニストは木原健太郎さんでした。

びびちゃんと菜美さんが組むと恒例になっているのが、
「びびちゃんが菜美さんを紹介し忘れる件」で、この日は何と昼も夜もやったそうで菜美さん苦笑(笑)。

M1後に「ねぇ菜美ちゃん」と言いかけて紹介してないことに気づく…がこのお2人のデフォです(笑)
それだけ相性がいいってこと…にしておきます(笑)。

さて、セットリストです。

●Act1
1.魔法使いと私/Wicked
(昼は「サムホエア/ウェストサイド物語)
2.美女と野獣メドレー
 (Arranged by 菜美さん)
3.ever more/美女と野獣
4.Part of your word(reprise)
 /リトルマーメイド
5.ひかり

●Act2
6.Can't Take My Eyes off you
 /ジャージーボーイズ
7.Happy Day Are Here Again
 /beautiful
(昼は「you've got a friend」)
8.Big show
 /In the House~最後の夜、最初の朝~
9.ぼくの願い/ノートルダムの鐘
10.アヴェマリア

●Enc
E-1.Thanks To You
 /東京ディズニーシー1周年記念

選曲的には特に2幕で攻めまくっているのが特徴で、M7は本編ではソニンちゃん演じるシンシアワイルがぶちかましているハイテンション曲ですが、ソニンちゃんと違った攻撃力で良かった!
そして、この曲を選曲する時点でびびちゃんに「変化」を感じます。昼はこのポジションは今までも歌っていた「you've got a friend」だったそうでなおさら。

そこでびっくりしていたら、まさかの男曲2曲。
M8はITHで岸さん演じるヘンリーが歌っていた野球に賭ける思いを投げつける曲で、普通ならITHなら自身のソロを歌うところがそうじゃなかったのが新鮮です。

極めつけは「夢についての3曲」の3曲目がM9、ノートルダムの男性ソロ。男性曲の迫力がものすごい。

1幕M3の「ever more/美女と野獣」も男性曲ですしね。
「美女と野獣」はびびちゃん大好きな作品で、1人美女と野獣はいつでもできるそうです(笑)。

昼の選曲を聞いたら割合オーソドックスだったと思いますが、夜はかなりチャレンジング。追加公演ということで
変化に挑戦した感じを受けます。

第1部はMC中心で5月下旬に渡米してhollywood bowlに出演した「Beauty And The Beast In Concert」についてたっぷり心情を聞かせていただけたのですが、その話の中で印象的だったのが、向こうに行ってからの変化。

「最初は緊張して付いていくのがやっと。上手くいかなくて、自分が抜かされているんじゃないかと思うことさえあったけど、ある日気づいた。
『自分はできない』と思うことで自分から壁を作って、その壁に怯えていたんじゃないかということを。
それが分かって次の日から積極的に行くようになったら、周りの空気ががらりと変わってソロパートもいただけるようになった。」と。

その一歩を踏み出す「勇気」が、M5で歌われた「ひかり」とリンクして本当に素敵でした。

第2部では「夢」についても語られていて、「叶っても叶わなくても、それがあることで上を目指せるもの」といった趣旨でお話しされていましたが、実際に夢を大きいものから小さいものまで持って、それを叶えるための努力をされているびびちゃんだからこそ、「夢」を語れる姿は輝いていて、「発展途上」と仰る姿はまさに有言実行そのもの。

先日のハピセレコン宇都宮公演でも仙台公演との違いで感じましたが、周囲に気を使うびびちゃんだからこそあった「遠慮」がいい意味で薄れて。
hollywood Bowlで海外の空気に触れて、「前に出ること、勇気を出すこと」の大切さを肌で感じられて、舞台に立つことの責任をより強く感じられるようになったように思いました。

それに加えて曲を豊かにするびびちゃんのハート力。一つ一つ紡ぎ出される悩みや苦しみ、そしてそれをみんなの後押しとともに自分なりに解決していく力。それが歌をより大きく深く感じさせて、とても素敵なライブでした。

ライブのアンコールは現在全国公演中の『Tokyo Disney Resort 35th Happiest Celebration In Concert』でもラストで歌われる、大好きな「Thanks To You」。コンサートでは最初をびびちゃんがソロパートで歌い出す感動的な曲は、この日は「支えてくださる皆さまお一人お一人に感謝の気持ちを込めて」歌われ、その歌詞はしっかりと心に届いたのでした。

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『マウストラップ』

2018.6.16(Sat.) 18:00~20:40
ウェストエンドスタジオ(中野・新井薬師前)

アガサクリスティの戯曲で映像化不可と言われている作品。
ネタバレ禁止!と言われている作品ですが、良い物を見て感想を書かないのはやっぱり悔しいので、自分のネタバレ回避力の限界に挑戦して頑張ります(笑)

とはいえ、ご覧になる予定の方はまっさらでご覧になった方が絶対良いです。
そういった方は回れ右を推奨いたします!




1幕75分、休憩15分、2幕75分の合計2時間40分の作品ですが、その長さを感じさせない濃厚な推理劇。

舞台は、第二次大戦後のロンドン近郊のゲストハウス「マンクスウェル山荘」のオープン初日。
若い夫婦だけで取り仕切るこのゲストハウスに次々やってくるお客様は、いずれ劣らぬ訳ありの面々。

大雪により山荘へのアクセスが出来なくなる中、ロンドンで起きた殺人事件の捜査ということで1人の刑事がスキーでやってくる。殺人事件の現場に、現場とこの山荘の住所が書かれた手帳があったからだそうだ。
そんな中、孤立した山荘で起こる第二の殺人事件。そしてその刑事によれば、第三の殺人事件が起きる可能性が高い、のだという…

孤立したゲストハウスの中、取り残された者同士の疑心暗鬼が生まれていくが、真実はいったいどこにあるのか…という筋書き。

キャスト中、男性客4人はシングルキャストで、女性出演者はダブルキャスト。この回はAキャストの回。
山荘の若夫婦の奥様、モリー・ロールストン役を演じているのが岡村さやかさん。

ご本人がストレートプレイをやりたい、ということでオーディションを受けられての出演。確かに、歌が絡まないストレートプレイで演じるさやかさんを拝見するのは個人的にもほとんど初めてで新鮮。

役柄的にも若奥様として、山荘で住み込み女中も確保できなかった中、多くのことをやらなければならず、いっぱいいっぱいで、小うるさい女性客になじられまくり、今にも泣きだしそうに必死に堪える姿はいじらしく、それはまたストレートプレイに必死で付いていこうとするさやかさんの様とリンクするところもあったりで。

さやかさんは今回は特に「一筋縄じゃ行かない」ところを漂わせていて、物語を色々な意味でリードしていて、随所に怪しいキーワードと感情をぽんぽん投げ込み、モリ―が事件と無関係でないところを匂わせます。

それ故に、真犯人が誰なのか、狙われるのは誰なのかを実に分かりにくくしていて、けっこう後半まで真犯人を見誤っていた私は、名探偵にはなれないことが確定しております(笑)。

ゲストハウスに集まった人々は、全くの赤の他人たち。それ故、団結力が存在しないことが真犯人の付けこむ隙。唯一赤の他人でない、若夫婦の仲を不自然なほどに裂こうとする人が誰なのか。そう考えていったときに、ようやく推理の本線に追いつけて、なるほど!と思いました。

少佐役の江藤さんのダンディさ、飛び入り客役の佐藤さんのかき回しの巧みさ、刑事役の門戸さんの”真相に迫ろうとする鋭さ”、さやかさん演じる奥様に惚れて話を引っ掻き回している感のある(笑)角川さん。

奥様とどこか壁が出来ているように感じる旦那様役の酒井さんの少し自信なさげなさま。

めっぽう面倒なお客様なボイル夫人役の嶋さんの(役の上での)憎たらしさ。キャリアウーマンなケースウェルのまどかさんはかっこよくて素敵。

ラスト、1人ずつキャストを紹介していきますが、キャスト紹介の口火を切ったうえで、その後、最後に紹介されるのがモリ―役のさやかさん。メインヒロインどころか主役でしたか!な驚きが、ある意味、最大のミステリー(神秘)だったことを付記します(笑)←もちろん嬉しい

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『小南満佑子 First Live~peace begins with music~』

2018.6.15(Fri.) 19:00~20:50
吉祥寺スターパインズカフェ

小南満佑子ちゃんのファーストライブはキャパ130の吉祥寺スターパインズカフェ。
ゲストに原田優一氏、そして実兄(ときどき弟)の小南竜平氏を招かれて賑々しく開催されました。

「あまり緊張しているように見えないんですが、実はむっちゃ緊張しいで、体の中バクバクしてます」な満佑子ちゃん(まゆちゃん)。まずは白いドレスでご登場です。

セットリストから参ります。
休憩なしの90分予定でしたが、原田優一氏ゲストでそれが叶うはずはなく(笑)、期待通りの20分延長です。

●セットリスト
1.The sound of music/サウンド・オブ・ミュージック
2.Someone to watch over me/クレイジー・フォー・ユー
3.SMILE
4.ディズニーメドレー
5.Sun And Moon/ミス・サイゴン
  (小南キム・原田クリス)
6.カフェ・ソング/レ・ミゼラブル(原田)
7.愛せぬならば/美女と野獣(原田)
8.All I ask of you/オペラ座の怪人
  (小南クリスティーヌ・原田ラウル)
9.Think of me/オペラ座の怪人
10.私だけに/エリザベート
  (小南シシィ/小南兄トートダンサー)
11.踊り明かそう/マイ・フェア・レディ
12.Thank you for the music

[Encore]
E-1.A Heart full of love/レ・ミゼラブル
  (小南コゼット・原田マリウス)
E-2.Love
  (小南・原田・小南兄)

前半は実のところかなり緊張されていて、MCも相当ぎこちなかったですが、M3のSMILE(ボサノババージョン、ピアノの河谷さんアレンジ)あたりから徐々に緊張が解けてきて、M4のディズニーメドレーを終えたころにはすっかり平常ペースに。
ベルあり、アリエルあり、アナあり、と多士済々。
個人的には『ムーラン』の「リフレクション」がまゆちゃんだとこういうふうになるんだ、というのが新鮮でした。

そんな緊張が解けたまゆちゃんから、優一氏を迎える直前のMCでこの日最大の名言が。

「原田優一さんと言えば、ミュージカル界の七福神ですから」

…会場内の大爆笑を誘い、壇上と客席の距離を一気に狭めたばかりか、直後に登場した優一氏に、

「七福神のどのポジション?見た目?」

というツッコミの隙を与え

「最近は『肥えた』とかって言われてますからね」

な優一氏自虐ネタにどうしていいか困るまゆちゃん。

まぁ、全編に亘り優一氏のMCは

 「君を困らせた」

以外の何ものでもなかったですが(笑)

とはいえ、

「でも自分をゲストに呼ぶなんていい度胸してます(笑)・・褒めてますよ。これほど扱いにくいゲストいないから、これから怖いものないですよ」と優一氏が言って、まゆちゃん含め会場中が納得(爆)

そういえば優一氏の登場の時の音楽は「情熱大陸」の音楽だったのですが、これはまゆちゃんセレクトで、優一氏曰く「出にくいっ!どう出ていいか分からない!」って仰っていたのですが、アンコールでまゆちゃんがこの曲で出てきたら「優一さんの気持ちが分かりました、出にくい」って(笑)。

2人の共演はまゆちゃんの初舞台の2015年『レ・ミゼラブル』。当時、マリウスを演じていた優一氏は、まゆちゃんからは「雲の上の人(その意味で「七福神」だったらしいw)」。まゆちゃんがコゼットに決まった2017年に、優一氏はマリウスを卒業していたため、この日のアンコールが史上初の2人のマリコゼ。

「レミは受け継いでいくものだし、いずれはやれなくなる時が来る、だからやれるうちはやった方が良い」という優一氏からまゆちゃんへの言葉は、経験者だからこその重みでした。

ディズニー音楽、優一氏との掛け合いですっかりほぐれたまゆちゃん、赤いドレスに装いを変えてからは自身のペースを完全に掴んで、特に高音曲が続いたこともありどれも素晴らしい出来。

ご本人曰く、「昔は音痴」だったそうなのですが、そんなことは信じられないほどに高音を自在に操る若干21歳の伸びしろが凄いです。クリスティーヌが絶品で、大人の事情をすっ飛ばして演じてほしいぐらい。芝居先行というよりは歌先行のタイプなので、感情を表に出さない役の方が今は合うような気がします。ご本人としてはコメディタッチの役もやりたいそうですが、長身でドレス姿の映え方も考えると、V!のサラ役は合いそうな気がします(歴代コゼットでは剱持たまきちゃんが似ているかな)。

後半、シシィパートではスケジュールが合って15年ぶりに実現した小南兄妹の共演。

最近、ご自宅の近所でも「お姉さんですか?」って聞かれるらしく、危うく「はい」って答えそうになったとか(笑)。お兄さん曰く、「(妹は)天然を自分から引き継いでいるんですよ」を受けて、妹さん「優柔不断と天然を引き継いでいます(笑)」


今回のバンドメンバーは、ピアノが河谷萌奈美さん。去年12月の『ポストマン』での共演を経て、念願のライブでの共演とのこと。優しく流れるように流れる演奏が印象的です。

ドラムは佐野幹仁さん。まゆちゃんとは兵庫県西宮高校音楽科で3年間同じクラスだった同窓生とのこと。
「かっこいいことが悩み」とパンフレットの原稿に書いて、まゆちゃんに「これは消す、な(関西弁)」と華麗にあしらわれていて笑いました。

ヴァイオリンは大島理紗子さん。佐野さんのご紹介でまゆちゃんとは初めましてだったそうですが、まゆちゃん曰く「演奏している時の楽しそうな表情がとっても素敵」と仰っていましたが演奏も魅力的。情熱大陸のフルバージョンの時のヴァイオリンがとりわけ素晴らしかったです。


ライブ本編ではお客さま、バンドメンバー、ゲスト、スタッフさん、お店の方、皆さんへの感謝の気持ちを仰っていて、ライブを成功に導いたのはそんなまゆちゃんの人間力なんだろうなと感じさせられました。

その上でのカーテンコールでは、まさかのローソク付きケーキが登場!そして優一さんからのお花贈呈も。

まゆちゃん「え、誕生日じゃないよね?(笑)」

優一氏「そう。だから『星に願いを』なBGM(笑)」

というサプライズが、予想外だけに素敵なライブの素敵なエンディングになったのでした。

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『夢の裂け目』

2018.6.14(Thu.) 18:30~21:30
新国立劇場小劇場 D1列1桁番台(下手側)

こまつ座さんの音楽劇、今回で3演目の作品です。

東京裁判を題材に、市井の人々からの心情から「戦争とはどういうものだったのか」を浮かび出す作品。

主人公は段田さん演じる紙芝居師・田中留吉こと天声。戦前につくった創作紙芝居が、あたかも東京裁判を予言していたかのようなことに気づき、公言していくことで占領下のGHQ支配下では危険な存在となっていく。

自らの気づきに浮かれ、集まる人たちに「師匠」とはやし立てられる中で、その実、もっとも冷静なのが、娘の道子ちゃん。唯月ふうかちゃんが演じています。

彼女は高校卒ということで間違いなく学がある才女で、でも、ただ優しいだけの少女じゃない。
父親のことを心から心配し案じる素直さ、だけではなく、父親はじめ大人たちが目を背けようとしていることに鋭く切り込んでいく。

「戦時中の日本人庶民は、自分で国体を変える力をもたなかった。その状況下での(敗戦という結果で)あったのだから、庶民には責任はない」と一幕で元学者である成田氏は語ります。

でも、この言葉にも彼女は疑問を呈するんですね、本当にそうなのかと。

紙芝居師が戦時中を生きてくるためには通らざるを得なかった、政府のプロパガンダ足らざるを得なかったことを、彼女が見てきただろうことと、それは無縁でなかったようにも感じます。

今まで信じてきた価値観が崩れた中で、学ぶことの意味、学ぶことの無意味、それでもなお学ぼうと自分の意思で踏み出す道子ちゃんは輝いていて、それをいまのふうかちゃんが演じたことは、ふうかちゃん自身にも、とても意味があることに思えました。

成田氏を演じた上山竜司さんとの関係性は、どことなく3月博多座公演の『舞妓はレディ』の春子ちゃんと先生との関係とも被って見えて。自分に気づきをくれる方への、淡い恋心を表現させたらふうかちゃんの右に出る女優さんは、なかなかいないかと。

「人間は自分の責任を回避しようとする生き物」とは演出の栗山氏の言葉ですが、それ故、人間は都合の良い「夢」に逃げようとするのではないか、と見ていて思いました。

だけれども、「夢」は完全な世界ではなくて、”逃げようとして”見る夢はどこか不完全で、ふうかちゃんの存在は「夢」に裂け目を入れて「現実と向き合う覚悟」を求めているように感じました。

ふうかちゃんの演じた道子の存在が、「生きていく『道』を作る覚悟を持った少女」に感じられ、この名作での存在感の確かさに感銘を受けたのでした。

登場人物は多士済々ですが、女性陣のキャラの立ち方がびっくりするぐらい。
元芸者役の吉沢梨絵さんはしなやかにしたたか。
高田聖子さんはにぎやか。
そして進駐軍の女性役人役な保坂知寿さんのツンデレさがむっちゃ魅力的!

軽快な音楽に乗せられて、”むずかしいことをやさしく”な井上ひさし先生の作風の魅力いっぱいの作品を拝見する機会が得られたことは、とっても良かったです。

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『東京ディズニーリゾート35周年 ”Happiest Celebration!” イン・コンサート』(3)

2018.6.10(Sun.) 17:00~19:15
宇都宮市文化会館大ホール 1階9列30番台(センターブロック)

東京ディズニーリゾート35周年コンサート、通称「ハピセレコン」、宇都宮公演。
5月の仙台公演以来1か月ぶりに拝見します(その間、静岡清水公演と大阪公演あり)。

仙台公演から1カ月ぶりに綿引さやかさん(びびちゃん)復帰ということで、久しぶりに拝見ということになりました(静岡清水公演と大阪公演は、『Beautiful』で共演していたMARIA-Eちゃんがびびちゃんパートを担当しました)。

JR宇都宮線でのんびり北上、2年ぶりぐらいの宇都宮駅の駅ナカでたっぷり餃子をいただき、ちょうど入り時間が合ったフォロワーさんと駅で合流して関東自動車(バス)で会場へ。交通系電子マネーが使えないのはちょっと意外。まだ専用バスカードが現役なのですね。

宇都宮市文化会館大ホールはキャパ2000。ツアーファイナルの東京国際フォーラムホールA(5,000席)を除けば、各会場だいたい2000ぐらいのホールを使用しており、大阪と大宮が2500、仙台と清水が1500、それ以外は2000といったところで、市川もほぼ同じキャパでした。
ということで、初日の市川と印象が似た感じです。

都内会場よりずっと席に着くのが早いのも特徴で、これは前回の仙台も同じでした。ちょっと慌てて席に着きます(笑)

この日のハプニングと言えば、何といっても「赤い衣装のお姉さん」(つまり、まりゑちゃん)が、「Scene 2:Songs from Seven Themed Lands」の「魅惑のチキルーム」の登場パートで下手から歩いてくるときに、何と下手端のスピーカーに完全にぶつかり、すってんころりん(ご自身談)。心配する舞台上と客席に「大丈夫、だいじょうぶ」と答えつつ、センターにまで辿りついたもののさすがにすぐ立て直すには至らず、狼狽しながらも必死に立て直してました。(tekkanさんがいっとう早くフォローに入りに行くところが流石でした)

余りに綺麗なすってんころりんだったので、初見のフォロワーさんが「演出ですか」と思うぐらい(爆)。
その後は気を取り直していつも以上に盛り上げ隊長・切り込み隊長で回していただきました。

そのインパクトが大きかったので(爆)、色々な記憶が飛んでいますが、全体的に客席が熱くて拍手も今まで拝見した中で一番というぐらい大きい。東京からほど近いだけに、東京からのプチ遠征組と、あまりディズニー系のコンサートが来ない宇都宮への待望のコンサートという面が混じり合っての、「楽しもう!」という空気がとても素敵。

シンガーの皆さんも場数を踏んだためか安定度が増していて、音響も悪くないのでこの2000人クラスのホールに一番合う企画なのかも、と感じました。

そんな中、ハピセレコンは1カ月ぶりになる綿引さやかさん(びびちゃん)。
5月25日・26日(現地時間)にアメリカカリフォルニア・Hollywood Bowlで開催された『Beauty And The Beast In Concert』に出演するために渡米されており、この日が復帰初日ということになったわけですが、正直びっくりしたのが見せ方が全然違う!ということ。明らかに立つ姿勢も変わってる。

この日見た姿と見比べると、市川公演ではまだ遠慮があったということを感じます。

「この場にいていいんだろうか」という思いが、びびちゃんのあの時の立ち姿にはあったということを、この日拝見して初めて分かって。あの時と同じ歌を歌って、同じ踊りを踊っているはずなのに、背筋ははっきり伸びて、明らかに一回り大きい姿で帰ってきていて、それが何より嬉しかったです。

本編ラストの『Thanks To You』の導入ソロはびびちゃんが歌われますが、皆の中央に立ち、優しく強く歌い始めるその姿は、「東京ディズニーリゾート35周年へのゲストさんからの思いを、私、そしてステージ上の皆は今背負っているんだ」ということをはっきり感じさせて、その進化に圧倒され、宇都宮に来て良かった、と思わされたのでした。

ディズニー愛に溢れたびびちゃんが、ハートだけでなく技術の進化も見て取れたこの回。
カーテンコールラストで、男性陣のまとめ役のtekkanさんが「綿引さやか」の名前を呼ぶシーンはいつもうるっときます。

再びスタンダードメンバーに戻って走り出したハピセレコン。
これから後半戦に突入し、札幌(6/22夜)、大宮(6/30夜)と進み、ファイナルは東京国際フォーラムホールA(8/10夜・8/11昼夜)になります。
大宮は完売、東京国際フォーラムはS席が完売です(6月10日現在)。

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『ソレイル』(3)

2018.6.8(Fri.) 19:00~20:45 argoチーム
2018.6.9(Sat.) 13:00~14:15 roseチーム

江戸川橋・絵空箱

「ソレイル~太陽の王様~」、4回目観劇、そして5回目観劇にしてmy楽を迎えました。

当初は2チーム(rose、orange)で合わせて3回観劇を予定していたのですが、作品の魅力に憑りつかれ、かつ「今まで知らなかった方だけで構成される」argoチームで拝見したらこの作品がどう見えるのか興味が高まり、トークショー回の金曜日を追加して、拝見してきました。

明日が楽ということもあり、ネタバレも含みますので、気にされる方は回れ右でお願いします。



3チームを拝見しての印象の違いを言うなら、
roseチームは「マリーの物語」
orangeチームは「王子の物語」
argoチームは「飛行士の物語」に感じました。

roseチームは、清水彩花ちゃんのお姉さん力が物語のあらゆる部分を引っ張っていて。それでいて1人で生きている感じがしなくて。

roseは劇中では「薔薇の花」でかとう唯ちゃんの王子が囁くように歌う様が印象的ですが、「棘がただ一つの自分を守る術、見た目で判断されるけど実は優しい」と、roseチームメンバーみんなに言い聞かせるかのように歌う様が、強く心に残りました。

劇中「自由人ばかりだな」と飛行士(今村洋一さん)が呟きますが、自身も相当な自由人なわけで、そんな個性の違ったタイプの3人が、彩花ちゃんのマリーを軸にしっかりと団結した様がroseチームの本領だったのかと。

役者は3人ですが登場人物が4人なのがこの物語で、飛行士に向かう軸が実は2つあります。かつて自分の元から去った弟は、彼の生きた意味を求めるべく世界中を旅するマリーにとっての”太陽”。そして、あまたの大人に触れて頭や心がぐちゃぐちゃになった王子にとって、今最も会いたかった飛行士。彼は王子にとっての”太陽”。

マリーにとっての”2人の飛行士”が”過去”と”現在”でしっかりつながっていることが見えたのがroseチーム。戦争中に徴集され自分の前から消えてしまった弟との思い出という”過去”。「あなたは飛ぶのね、死ぬまで」って言葉が凄くリンクして聞こえた。

マリーにとって大切なものは今や目には見えなくて、そんな曖昧な言葉で自分の気持ちは救われようがなくて。だからこそ「大切なものは目には見えない」という言葉に対してはっきりと反抗し、必死に”現在”の飛行士を止めようとする。

マリーの中で”飛行士”の存在が混じり合って、今のマリーの取る行動の説得力をはっきりと見せていたからこそ、「マリーの物語」として見えたのかなと、そう思います。

my楽となったroseチーム前楽(土曜マチネ)の彩花マリーの「砂の聲」はいつもよりずっと抑えて歌われていて、でも、だからこそ強い意思と強い心を感じて、頬から流れ落ちる一筋の涙が、ただただ綺麗でした。ハートだけじゃない、技術だけじゃない、その両方を兼ね備えている今の彩花ちゃんにぴったりの役で拝見できたことが幸せでした。

orangeチームは、小此木まりちゃんの王子力がエネルギー源。「星の王子さま」の原作寄りというか、王子の意向が物語に反映していた感じ。roseチームでは彩花ちゃんのマリーのことを唯ちゃんの王子がリスペクトしてる感じがあったけど、orangeチームは逆にスワンちゃん(白鳥さん)のマリーがまりちゃんの王子をリスぺクトしてる感じ。

劇中で「オレンジ」は「お互いの片割れ」という表現をされています(男性と女性が出逢い”生涯愛する人”のことを指すと言われます)が、orangeチームはたしかに「この3人が出逢った」ことの自然さを感じたかと。個性派が揃って団結して行った(と思われる)roseに比べると、自然に団結して行ったような雰囲気を感じました。

まりちゃんの王子がエネルギー源になったことで、マリーが王子によって変わった様が印象的。自身が自分だけの観点に捉われていたマリーが視野を広げている様が、まりちゃん王子とスワンちゃんマリーの関係に感じました。

「星」に対するこの作品の見せ方も面白くて、意外にこの作品では「星」をネガティブな意味で解しているんですよね。作品後半、王子は飛行士に対して「君は自分の星に帰るんだよね」という言葉をかけるけれども、マリーの叫びと組み合わさると、実は「星=自分が閉じこもる対象」だと言うことが見えてきます。飛行士は飛んでいれば自分の世界で生きていられる。でもそれはある意味逃げでしかない。王子にしても理解できない大人と接するぐらいなら、自分の星にい続ければ、自分の概念だけで生きられる。マリーの言葉の「星が好き、色々な人を星を通じて見られるから」ということでさえ、”マリーが自分の殻に閉じこもっている”象徴に感じて。

スワンちゃんのマリーは彩花ちゃんマリーよりも、試行錯誤の度合いが強くて、生きる様に少し迷いを感じました。彩花ちゃんが悟りまくりだったこともあるのだと思いますが(爆)。

argoチームはイッツフォーリーズの同期3名によるチーム。
チーム名の由来となったアルゴ船からしても、「最初からの信頼関係」で強く結びついているように見えました。もっと若く見えるのかと思ったのですが、意外に落ち着いていて、roseチームの方が若く感じましたし、もっと言うとorangeチームはさらに若く感じたりしました(笑)。

その意味で、物語を丁寧になぞるように見られたことは幸いで、実のところやらかし祭りだったという話でした(もちろん気づいてました笑。)

argoチームの印象は「飛行士の物語」。1人2役にあたる飛行士が物語の中心になって、そこに王子とマリーがぶら下がっていた印象。王子とマリー、それぞれの”太陽”が「飛行士」という存在でリンクした感じで、”太陽”を強く感じました。

「人には水が必要。水がないと生きてはいけない」というのが本編中にありますが、「人には太陽が必要で、太陽がないと生きていけない」ことを強く感じて、argoチームも拝見できて良かったなと思いました。

この日はトークショーということで、僭越ながら質問させていただいたのですが、作品中の好きな台詞のパートで、お3方(大川さん、宮田さん、加藤木さん)が3人とも私の好きなシーンを挙げてくださって嬉しかったです。
(大川さんマリーは「大切なものは目に見えない」の次の言葉、宮田さん王子は「薔薇の歌」、加藤木さん飛行士は飛行士が自分の生き様を再認識するシーン)

金曜日のトークショーは原作・演出の藤倉さんと演奏の小澤さんも出られていたので、音楽的な話も出たのですが、小澤さんに「藤倉さんの曲と小澤さんの曲の共通点は」という質問があり「難しくない曲、分かりやすい曲を作るという共通点はあるかも」な答えがあって納得。

…何となく、特に藤倉さんの場合は歌詞でかなり工夫されることが多いので、曲的には分かりやすくしているのかなと、個人的には感じました。

ちなみに演奏的には藤倉さん曰く「あえて曲のデコレーションを薄くして小澤さんに渡した。そうしたら小澤さんは色んな風にアレンジしてくれて狙い通り。一人ニンマリしています(笑)」のことで、笑っちゃいました。

小澤さんは自身の曲作りについて「(普段はミュージカルを見ない自分の)親が気に入るような曲、を意識している。だからといって親が来ない公演はいっぱいあるし、あえて聞いてはもらわないけど(笑)」と仰っていて、相変わらずのMC小澤さん節で楽しかったです。

期せずして5回観劇になった『ソレイル』。

作品の魅力は「思い」が形になっていたことかと思います。

マリーの弟への思い、王子の飛行士への思い。

そして登場する人物、音楽、すべてが他者への包容力に満ちている。

自分と違うものを拒絶するのではなく、受け入れてお互いを認め合う、そんな温かい空気。

ただふわっと流れていくのではなく、あえて考えさせるように引っ掛かりを作る構成が、「心に残る物語」となっていて、何度拝見しても新鮮に観られたのかなと思います。

小劇場とはいえ2週間という長丁場というチャレンジに拍手を送るとともに、関わられた皆さんのこれからにとってこの作品が素敵な記憶となり素敵な礎となることを願い、そしてまたこの作品が拝見できる日が来ることを待っています。

公演は今日10日まで。12時がargoチーム、16時がroseチームです。

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『ソレイル』(2)

2018.6.3(Sun.) 12:00~13:15 Orangeチーム
2018.6.3(Sun.) 16:00~17:15 Roseチーム
江戸川橋・絵空箱

3チーム制の当作品、この日は2チーム観劇のマチソワです。
当初は先週金曜日のチケットは入れていなかった(トークショー開催で追加)なので、この日の2回で最初で最後、の予定でした。が、作品の魅力ゆえ、この後に追加もしてしまう次第(笑)

2チームを1日で続けてみて、チームの違いも感じられた今日。

Orangeチームはマリーが白鳥光夏ちゃん、王子が小此木まりちゃん、飛行士が松原剛志さん。
Roseチームはマリーが清水彩花ちゃん、王子がかとう唯ちゃん、飛行士が今村洋一さん。

チーム毎の空気感で言うと、Orangeチームはまりちゃん王子を中心に回っている感じ。
まりちゃんの男の子力がハンパなくて(笑)、どこからどう見ても王子な様が凄い。無邪気だけど、大人の色々を知ってしまって、もやもやとした中に生きている感じが伝わって、その重層的なところが素敵です。

まりちゃんの王子の自由さが、マリーのスワンちゃん(白鳥さん)を翻弄している感じがして。スワンちゃん、今年の『A Class Act』のモナ役で初見なのでついついモナちゃんと呼んでしまうのですが、全く違い役どころでも光っていました。素敵な大人(スワンちゃんマリー)に出逢えた、そんな喜びがまりちゃん王子から伝わってきます。

松原さんは年齢的に上になることもあり、マリーから弟というにはちょっと辛い面もありはしつつ、物語後半で見せる意思の強さが印象的で、むしろマリーからは「弟だけど、精神的には大人」という意味で、マリーが弟に対して憧憬の感情も感じたりする、不思議な関係性でした。

Roseチームは彩花ちゃんマリーを中心に回っている感じ。
彩花ちゃんのお姉さん力がハンパない(笑)。どこからどう見てもお姉さん以外の何者でもない。彩花ちゃんのマリーは茶目っ気も、真摯さも、子供っぽさも、大人っぽさもすべて持っていて、弟から見たら「あんなお姉ちゃんがいたらいいな」を全部持ってる。

そして「大人は嫌い」な王子にとっても、「素敵な大人」の象徴としてマリーを見てる。唯ちゃん王子が彩花ちゃんマリーを見つめる視線は、「憧れの大人」を見るかのよう。今村さん演じる飛行士から彩花ちゃんへも「弟」を意識して若く(ある意味”青く”)見せていたりして。そんなそれぞれの距離が近いのがRoseチームの魅力。

*ちなみに彩花ちゃんマリーの一番好きな台詞は「枯れてるんじゃねーよ(+ぱんち)」です(大笑)

この作品の『ソレイル』のように、魅力を言葉にすることが難しいけど、いい作品で、見てもらいたい作品を、どう文章にするかはいつも迷うところ。初見の驚きは大事にしたいから、核心部分には触れるべきではないと思うし、それでも、この作品のように”完全な正解がない”テーマに対して、その時の自分なりに受け取った感情を記しておくのは意味のあることだと思っていて、表現を工夫しながら書いていたりして、それが楽しかったりもします。何しろ、自分の感想さえ永続じゃないので、後で振り返ったら自分の感想さえ、未来から見ると他人の感想だったりするので。

そんなこんなありつつ、ここからは内容的なネタバレにも入っていきますので、初見の方は回避を推奨しますです。(前回と記載内容が少し被っていますがご容赦くださいませ。)




『ソレイル』を初見で見てから、『星の王子さま』の原作を読んでみました。当たり前ですが『星の王子さま』をモチーフにしただけあって、随所に共通点は出てきます。有名すぎる言葉「大切なものは目には見えない」の後の言葉を意識的に除いているのは、今回の『ソレイル』の作風故なのでしょうね。

金曜日のトークショーの時、藤倉さんが仰っていたのが「タイトルを『ソレイユ』でなく『ソレイル』にしたのは、「尖ったひっかかりみたいなものを大事にしたかったから」と仰っていました。(どちらもフランス語では『太陽』の意)

自分にとっての『ひっかかり』は『星の王子さま』のその「大切なものは目には見えない」の言葉そのものにあって、一言で言ってしまうと、「それを言ったら物語終わっちゃう」ってことなんですよね。そこで思考が止まってしまう。でも、この『ソレイル』で自分が好きなのが、その言葉に対してマリーが反論しているところなんです。

大切なものを探し続けて世界を旅し続けるマリーにとって、大切なものが目に見えないと言われたって納得できない。大切なものは見えていないと意味がない。大切なものを繋ぎとめたくて縫った針は、もう1本縫っていたら、過去は変わっていただろうか…そう自問し続けても答えは得られない、そんなマリーの姿は痛々しくもリアルで。

そのマリーさえ、1人では世界は広げられなくて、ただ歩いてきた先にあった沙漠で一人命の危機を迎えるけれども、沙漠で出会った王子と飛行士との出会いで、自分1人では見つけられない視野の広さを知って、仲間の存在から旅への思いを新たにする。その展開に心救われます。

藤倉さんの音楽はキャッチ―からシリアスまで空気を作り出し、そして演奏の小澤さんもいつもと違う演奏で、「優しい」作品の空気感をアシストされていました。

物語最初と最後に流れる「砂」も印象的。

沙漠と掛けているのでしょうが、砂を受け止めようとするマリーの姿は、「大事なものを掴めないさま」を表現しているかのようで。そして、マリーの手から流れる砂は、「大事なものが手からこぼれ落ちる儚さ」を表現しているかのようで、無表情なマリーを見て、胸に迫るものがありました。

・・・

『星の王子さま』の原作者、サン=テグジュペリは自身も飛行士であり、1944年に飛行中に消息を絶ったことも、2005年に機体が発見されたことも史実(当作中では「何十年も後に発見され」といった形で王子の台詞となっている)なため、『ソレイル』の”飛行士”もそれになぞらえた役と思われますが、マリーと(弟である)飛行士の関係性は『ソレイル』でのオリジナルとして追加されています。マリーにとっての過去、そして「1944年」というキーワードで繋がることで発生されるマリーからの言葉は、時代を越えて凄くて。

これもトークショーで藤倉さんが言われていましたが、ポスターの飛行機、形はサン=テグジュペリのものですが、色は後者の意味が入っているそうです。

後者を説明する単語は最大級のネタバレに属しますのでここでは書きませんが、続きは是非劇場で。
6月9日(土)13時(Roseチーム)のみ完売で、以外は残席ありです(6月3日現在)。

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『ソレイル』(1)

2018.6.1(Fri.) 19:00~20:50
江戸川橋・絵空箱 舞台上手側

IFYプロジェクトミュージカル『ソレイル~太陽の王様~』
3チーム制のこの作品、この日はローズチームの2回目。

「星の王子さま」をモチーフにした3人ミュージカルで、登場人物はマリー(清水彩花ちゃん)、王子さま(かとう唯ちゃん)、飛行士(今村洋一さん)の3人。
飛行士の服装に何だか時代じみたものを感じましたが、その直感は劇中後半部で見事に的中することになったのでした。

物語は3人が沙漠で出会うところから始まります。沙漠に迷い込み、空から流れ落ちる砂を見つめるマリーの様は、どことなくただことでなさそう。他の惑星から来たようでどこかテンションが変な王子さま。そして沙漠に不時着して困る飛行士。

いきなり出会った3人が、戸惑いながらも共通点を見出しながら、少しずつ心が通じ合っていくさまが微笑ましい。漢前でお姉さま担当なマリーは、彩花ちゃんの個性にぴったり。サバサバしていながらも、どことなく足りないピースを探し続けるような感じ。繊細で男の子担当な王子さまは浮世離れした様を感じさせつつ、人懐こさが弟キャラ的にチャーミング。そして飛行士はただひたすらにエネルギッシュでありながら、向こう見ずで少しばかりの危うさを見せたりする。

水のない沙漠で皆で井戸を掘りあてて、願い続けた水を得たことでの団結感は素敵。
強気キャラだけど弱気になったマリーを、王子が励ます瞬間もあったり、その逆もあったり。

・・・以下ネタバレ少し入りますのでご注意ください・・・

・・・

・・・

永遠に続くと思っていた3人の時間が、水を得たことで飛行機の離陸が可能になったことで、終わりを告げることになり、最後の夜を共にする。そのとき夢の中で、発されるマリーの過去の傷が衝撃的。

この作品は「星の王子さま」ということでサン・テグジュペリをモチーフにしていて、有名な「大切なものは目には見えない」というキーワードが王子から発せられます。

てっきり、その方向で物語が紡がれ続けるのかと思ったら実は違って、マリーが持つ過去の傷故に、王子が言うその言葉に対する言葉として「大切なものは見てなければ、見えなければ仕方ない」という言葉が出てきて、とても心に残りました。

突然出てくる「1944年」というキーワード。そして「片道しか積まれていない燃料」。
この日のトークショーでも触れられていましたが、フライヤーの絵に描かれた飛行機は、サン・テグジュペリの飛行機の外観でありながら、色合いは別の意味を加味してミキシングされているということ。

彩花ちゃん演じるマリーの感情の吐露と歌声は、大切な人を求め続けるマリーの旅の果てしなさを象徴するかのようで、それは彩花ちゃんだからこそ出せる強さに思えて、心が震えました。

この日のトークショーでこの作品の作られるきっかけとして、プロデューサー(普段は俳優さん)の大塚(庸介)さんと、演出・構成・作曲の藤倉さんとの出会いの話が『Ordinary Days』だったという話をしていて(ローズチームの飛行士・今村さんもOD出演キャスト)。ふと思ったのが、「大事な人を失った方の思い」ということで2つの作品は繋がっているのかな、と感じました。(ちなみにそのことを質問したら、藤倉さんから「それは考えてなかった、設定がありふれてるってことですね」って言われましたが笑、大塚さんから「こうは言ってますけどむっちゃ喜んでますよ」ってフォローしてもらって嬉しかったです笑)

・・・

「考えるより感じろ」
という体感系ミュージカル、と銘打たれているこの作品。
実は初めてお邪魔した絵空箱は、とってもこじんまりした、でも素敵な空間。

トークショーで今村さんが「至近距離ミュージカル」という新ジャンルだと申されていましたが(笑)、客席との距離がとても近く、その時の空気で物語がまたぐんと変わりそうな作品。
小澤先生のピアノもとっても優しくしなやかで、小劇場ミュージカルの可能性とワクワク感を抱かせてくれる素敵な作品でした。

公演は10日まで。

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『モーツァルト!』(32)

2018.5.31(Thu.) 17:45~20:55
帝国劇場 1階補助席中列40番台(上手側)

2018年版M!、この日が初日です。
今回、M!はチケット確保でもずいぶん遅れを取っておりまして、結果、今段階で3回の予定です。
今回はヴォルフも変わったためか、びっくりするぐらいチケット難で初日時点で全日程完売というのがびっくりです。

我がミュージカル観劇履歴の中でも回数でベスト3に入るこの作品。ざっと数えたら50回越えのレミ、40回越えのサイゴンに次いで、このM!が30回台。初演の2002年以来500回以上の上演を数える作品をずっと見続けてきましたが、セット的には今回がいちばんの変化と言えます。

舞台セットを全面的に入れ替え、舞台上全部をピアノに見立てたセットは意表を突かれます。今までのセットに比べて場面展開が早くできるせいか、曲が1曲増えた(『魔笛』の前にヴォルフガングとコロレドの対決ソングが増えています)のに関らず、従来は21時ぎりぎりだった終演がこの日はトリプルカーテンコールの後でさえ20時55分でしたので、全体的に10分弱は短くなっているように思えます。

舞台セットだけでなく演出も色々変わっていて、私見では正直しっくりこない感じを受けます。この作品は以前から玄人好みというか、万人受けしない感じがして、実のところ私はそういうところが好きだったのですが、今回の変更は全体的に「万人受けしよう」と頑張っている感じがして、自分にとっては違和感を感じました。何度か見たら印象は変わるのかもしれませんが。

そして何といっても自分にとってこの作品の軸はナンネールなので、彼女の感情の動きをもってして物語を一緒に生きる感じに慣れてしまっているので、たっちんナンネは物足りないものを感じました。もちろん歌えるのは分かっていますし、実際そうなのですが、この役に関してばかりは、歌えるから伝わるものでもないことを(贔屓目が入っていることは自覚していますが)感じます。というのも、人物像が一貫して伝わってこないように思えて。天才の弟を持った姉が、自ら芸術家としての道を歩めなかった悲愴とか、それ故のもやもやとした感情とか、弟の成功を祝うようで、それにすがってしか生きていけない様とか、そういう狂ったところが見えればよかったなと思います。

そんな思いはありつつも、この日最大の収穫は綾コンスタンツェ。もうびっくりしました。歴代コンスを全員見ていますが、myベストコンスのちーちゃんに匹敵するぐらいのベストな存在感。自分を認めてもらえないことに悲鳴を上げすぎず、自身の素直な思いとしてヴォルフガングを支えるかいがいしさ。それでいて愛するのに、というより愛するからこそ通じ合えない不器用さ、そのどれもがとってもコンスタンツェ

今回の演出変更ではっきり見えた風もありますが、ウェーバー家で完全に孤立しているコンスタンツェだからこそ、実はモーツァルト家で孤立しているヴォルフガングと通じ合う部分があることも見て取れたし。

婚約させておいて連れ去ることで契約違反とさせて年金だけ掠め取る、そんな策に簡単にひっかかり何も得られなかったヴォルフガングの元に戻ってきて、紙なんかでなく、心で通じ合いたいと願うコンスタンツェ。だからこそヴォルフガングの行為が裏切りに感じる…そんな激情さえ率直に納得させられるような、そんなコンスタンツェでした。こんなコンスタンツェだからこそ、アマデも一時はモーツァルトに対する「近づけたくないリスト」からは外して、「モーツァルトに必要な人物」として認められていたんだよね、と感じられる、素敵なコンスタンツェでした。プラター公園の衣装もむっちゃアイドルで可愛い!
コンスタンツェ競演になるレベッカ(ちーちゃんと同役)がとっても楽しみです。

そして絶品中の絶品なのが、たーたんのヴァルトシュテッテン男爵夫人。貴族でありながら純粋にヴォルフガングの才能に惚れる、理想的なパトロン。常に彼の成長を見守り、まるで母親のように振る舞う。ナンネの存在感が薄かったのは、母親的な側面を男爵夫人がになったからということもあるのかなと。星金を最初から見下ろして歌うのではなく、同じ目線で歌い出していく様は素敵でした。歌声に温かさと優しさを纏う様が本当に素敵。それでいて彼が成功してからレオポルトに言う「親は子離れしなくては」の思いは、ヴォルフガングにも向けられて。「息子は親から離れなくてはならない」というヴォルフへの言葉は、「(才能を認めた)親(男爵夫人)が、息子(ヴォルフガング)を手放さなければならない」という風にも感じられ、厳しさの中にある孤独を感じたりもしたかと。

アンサンブルさんもずいぶん層替わりしましたが、やんさん(池谷祐子さん)がウェーバー家の一員・ヨゼファなのが見てて楽しい楽しい(笑)。本領発揮過ぎな存在感が素敵でしたが、何といっても夜の女王が当然やんさんなわけですよね。改めて見てみるととても新鮮でした。

・・・

今までと同じ思いで見続けるわけにはいかなくても、それでもやはり惹きつけられるものがある作品。
どんな形でこれから見ていくのか、少し様子眺めしながら2018のM!を見ていきたいです。

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『四月の永い夢』

2018.5.20(Sun.) 14:25~16:00
新宿武蔵野館 D列1桁番台

先週から公開になった作品、本当は初日に行くはずだったのですが、急遽仙台遠征を決めたのと、それ以降は尋常ならざる忙しさでこの日まで引っ張ってしまいました。

前日の土曜日は池袋のサンシャイン劇場で演劇集団キャラメルボックスの『無伴奏ソナタ』を見て、この日が『4月の永い夢』。どちらの作品も劇場を出た後の東京の街中の喧騒が、同じ今だと思えないぐらいに、落ち着いた、素敵な空気感でした。

物語に多少のネタバレは入りますので、お気になる方は回れ右をお願いします。

主人公は28歳の女性、初海(はつみ)。かつては中学の音楽教師だったが、3年前に音楽教師を辞め、街中の蕎麦屋でアルバイトとして働いている。演じるは朝倉あきさん。彼女ってイメージ的にはもう少し若い役者さんのイメージがあったのですが、一度一年ぐらい女優さんから離れていらした時期もあるからか、思っていたより少し大人な存在感。

PVで彼女が召している喪服、それは彼女にとって大事な方を亡くしたときのもの。その時から彼女は永い夢に引き込まれていたかのよう。

彼女がアルバイトとして勤める蕎麦屋の娘さん(実質的に女将さん)・忍を(高橋)由美子さんが演じていますが、初海のことを心から心配している様が印象的。友達のような距離感でありながら、自店の閉店を告げ、初海に対して自分の道をきちんと探すよう諭すときの一言が重く突き刺さります。あの、厳しさと温かさを同時に出せる方ってそうそういないと思うので勿体ない。

職探しとして与えられた時間に、本気になれない初海の前に現れた、2人の女性も好対照。

1人はかつての自分の教え子・楓。以前は物静かだったはずなのに今やジャズシンガー。夢に向かって歩く姿は眩しくて、でも実は交際相手にDVを受けており、初海は身体を張って楓を救いに走り、それを成し遂げる。偶然なチョンボを結果的に大金星につなげるあたりの脚本の自然さが素晴らしい。

もう一人は友人にしてかつての同僚・朋子。彼女が産休に入るにあたり、後任の非常勤として初海を紹介するのですが、彼女にとって今の初海は煮え切らず、仕事に対してもアマチュアな感じしか見えない。初海に対して、本当はもっと言いたいのに、でもそれをぐっと堪えて「また連絡ちょうだい」で終わらせる。

この作品にたゆたう空気は、「ホームの黄色い線の少し手前」
初海のことを心配して、みんな初海のことを思うけれど、踏み込み過ぎはしない。忍も楓も朋子も、それぞれの形で初海のことを叱咤するけれど、みなまでは言わない。そこは、見ていて、実は少しだけもどかしさを感じはするけど、過去の彼からの手紙をようやく見られるようになり、彼の実家をようやく訪ねようと、「初海が」思うようになれることが大事なのだということ。

自分を家族のようにに思ってくれた、彼の母親に、今まで言えなかった秘密を打ち明けることができたとき、彼女は「四月の永い夢」から覚めて、周囲の支えてくれた人たちに胸を張れるような一歩を歩きだせたのかと思うと、胸が温かくなります。

彼の実家からの帰り、列車のトラブルで30分待ちとなった駅に降り立ち、その時ラジオから聞こえてきた大好きな音楽と大好きな声、そして大好きになるだろう方からの言葉を聞いた時、その時の初海の表情は本当に魅力的で。それでいて実のところあと20分、30分かけられそうなストーリーをバッサリ切ってあそこで終わらせる中川龍太郎監督の勇気が凄い。

それはこの作品の魅力の最大のところだと思うのですが、「語り過ぎず、語らせすぎず、演出しすぎない」ぎりぎりのところを分かっていて、見た後の余白を観客に委ねてくださる。客席から拝見して、「あとは皆さんで余白を埋めてください」と言って下さるかのようなエンディングが、この作品をより素敵なものにしているように感じられました。

現在は新宿武蔵野館を中心に数館のみの上映ですが、来月から順次全国で上映されます。
素敵な作品です。是非。

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