『夜、ナク、鳥』(1)

2018.2.18(Sun.) 14:00~15:50
2018.2.19(Mon.) 19:30~21:50
吉祥寺シアター 両日ともD列
(日曜は下手側、月曜は上手側)

オフォスコットーネ主催、大竹野正典氏作品の舞台化。
有名な福岡・久留米の看護師による保険金殺人事件という実話を題材にした戯曲の舞台化です。

事件のあらすじを知っている程度で見た初見では、展開に驚きそして惹きつけられ、会場で購入した戯曲を見た後の2回目は、より作品に入りこめて…深く重い作品です。

日曜日は、直前に『ジキル&ハイド』稽古場見学会だったために、2作続けて「人の表と裏」を期せずして感じることになって何だか不思議でした。

人を救うための看護師が、なぜ自らの手で人を殺めたのか。

ネタバレ入りますので、気になる方は回れ右で!




主犯格のヨシダを演じるのはナイロン100C所属の女優、松永玲子さん。
誰のことを信じることもせず、ただ自らの欲だけに生きる様は背筋が寒くなるほど怖い。
「友達」という存在を欠片も信じてもいないのに、その言葉を最大限利用する冷酷な女性を、強い存在感と巧みな駆け引きで見せていました。なお、松永さん演じたヨシダのモデルとなった女性は、実際の事件ではただ一人死刑判決を受け、既に刑は執行されています。

看護学校同期の4人の中でヨシダと最も近い存在として描かれているのが、治験コーディネーターという役どころ、ツツミという女性で、演じるは松本紀保さん。ご存知、松たか子さんのお姉さまでもあり、旦那様は川原和久さん。ツツミはヨシダの暴走に歯止めを掛けようもなく、ヨシダのふと見せる弱さに、しかも自分にしか見せないのではというその弱さに心奪われ、いわば自覚的にヨシダの片棒を担いでいる存在。

次いでヨシダの毒牙に掛かったのが、イケガミ。演じるは安藤玉惠さん、初見です。ヨシダが夫を殺害して得た保険金という「金」の力を使って取り込み、本人でなく「だらしない」夫を取り込んで、ヨシダに対して引け目を負うように仕向けていく。

一人を食い尽くし、自らの手中に抱え込めば、次のターゲットを探す。その次のターゲットが、高橋由美子さんが演じたイシイ。イケガミと同じく、夫に対して返済不要と匂わせて金を貸し、借用書を水増し偽造して保険金殺人を企図せずには解消できないほどの負債をでっち上げ、返済能力がないことを見抜いたうえで、一気に追い込みに掛かる。ヨシダは既に傘下に置いたツツミ、イケガミとともにイシイを追い込みに掛かる。怒鳴り、なだめ、「友達」という言葉を利用して脅していく。

治験コーディネーターのツツミがずっと付いてきたガン患者がいて、新薬を投与するも、しばらくして容態が悪化して、手術の末亡くなってしまう。悲しみに暮れるツツミに向かって、ヨシダは言い放つのですね。

「死ぬものは仕方ない。神の采配なのだ」と。

その言葉を聞き、自らが夫を手に掛けることを強制されようとしているイシイはヨシダに問いかける。

「(旦那のゴウの)命も神の采配なのか」と。

ヨシダはこれに対してヨシダなりの正論を吐き、イシイもその答えに何かを理解したかのように頷く。

ヨシダからイシイへの責めは、月曜日のアフタートークで松永さんも仰っていましたが、完全な一方通行。
ヨシダはただ責めるだけだし、イシイはただ責められるだけ。松永さんは「この関係が逆転する瞬間があっても良かった」と仰っていて、それも思わなくもないのですが、「狂気」と「正気」の対決だからこそ、深くえぐられるものがあったのかと。

理路整然と狂っているヨシダと、ぎりぎりで人としての限界にとどまろうとしているイシイ。
ゴウとのただ一つの思い出の指輪を嵌めなおした上で、その場に向かおうとする、由美子さん演じるイシイの姿は、人としての踏み外せない崖っぷちでもがく様のようで、ヨシダ曰く「無様」であろうとも、人としての正道を最後まで貫こうとした姿を見られたことは、自分にとっては救いでした。

実際の事件でも、発覚のきっかけはイシイが警察に自首したことからですし。

舞台後半、怒涛のように襲い来る、松永さんと由美子さんの直接対決は、舞台上の由美子さんでは久方ぶりに見る命を賭けた対決で、一瞬たりとも目が離せない様を拝見できたことが何より嬉しかったです。

公演は今週土曜日、24日まで。

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『夜、ナク、鳥』(1)

2018.2.18(Sun.) 14:00~15:50
2018.2.19(Mon.) 19:30~21:50
吉祥寺シアター 両日ともD列
(日曜は下手側、月曜は上手側)

オフォスコットーネ主催、大竹野正典氏作品の舞台化。
有名な福岡・久留米の看護師による保険金殺人事件という実話を題材にした戯曲の舞台化です。

事件のあらすじを知っている程度で見た初見では、展開に驚きそして惹きつけられ、会場で購入した戯曲を見た後の2回目は、より作品に入りこめて…深く重い作品です。

日曜日は、直前に『ジキル&ハイド』稽古場見学会だったために、2作続けて「人の表と裏」を期せずして感じることになって何だか不思議でした。

人を救うための看護師が、なぜ自らの手で人を殺めたのか。

ネタバレ入りますので、気になる方は回れ右で!




主犯格のヨシダを演じるのはナイロン100C所属の女優、松永玲子さん。
誰のことを信じることもせず、ただ自らの欲だけに生きる様は背筋が寒くなるほど怖い。
「友達」という存在を欠片も信じてもいないのに、その言葉を最大限利用する冷酷な女性を、強い存在感と巧みな駆け引きで見せていました。なお、松永さん演じたヨシダのモデルとなった女性は、実際の事件ではただ一人死刑判決を受け、既に刑は執行されています。

看護学校同期の4人の中でヨシダと最も近い存在として描かれているのが、治験コーディネーターという役どころ、ツツミという女性で、演じるは松本紀保さん。ご存知、松たか子さんのお姉さまでもあり、旦那様は川原和久さん。ツツミはヨシダの暴走に歯止めを掛けようもなく、ヨシダのふと見せる弱さに、しかも自分にしか見せないのではというその弱さに心奪われ、いわば自覚的にヨシダの片棒を担いでいる存在。

次いでヨシダの毒牙に掛かったのが、イケガミ。演じるは安藤玉惠さん、初見です。ヨシダが夫を殺害して得た保険金という「金」の力を使って取り込み、本人でなく「だらしない」夫を取り込んで、ヨシダに対して引け目を負うように仕向けていく。

一人を食い尽くし、自らの手中に抱え込めば、次のターゲットを探す。
その次のターゲットが、高橋由美子さんが演じたイシイ。イケガミと同じく、夫に対して返済不要と匂わせて金を貸し、借用書を水増し偽造して保険金殺人を企図せずには解消できないほどの負債をでっち上げ、返済能力がないことを見抜いたうえで、一気に追い込みに掛かる。ヨシダは既に傘下に置いたツツミ、イケガミとともにイシイを追い込みに掛かる。怒鳴り、なだめ、「友達」という言葉を利用して脅していく。

治験コーディネーターのツツミがずっと付いてきたガン患者がいて、新薬を投与するも、しばらくして容態が悪化して、手術の末亡くなってしまう。悲しみに暮れるツツミに向かって、ヨシダは言い放つのですね。

「死ぬものは仕方ない。神の采配なのだ」と。

その言葉を聞き、自らが夫を手に掛けることを強制されようとしているイシイはヨシダに問いかける。

「(旦那のゴウの)命も神の采配なのか」と。

ヨシダはこれに対してヨシダなりの正論を吐き、イシイもその答えに何かを理解したかのように頷く。

ヨシダからイシイへの責めは、月曜日のアフタートークで松永さんも仰っていましたが、完全な一方通行。
ヨシダはただ責めるだけだし、イシイはただ責められるだけ。松永さんは「この関係が逆転する瞬間があっても良かった」と仰っていて、それも思わなくもないのですが、「狂気」と「正気」の対決だからこそ、深くえぐられるものがあったのかと。

理路整然と狂っているヨシダと、ぎりぎりで人としての限界にとどまろうとしているイシイ。

ゴウとのただ一つの思い出の指輪を嵌めなおした上で、その場に向かおうとする、由美子さん演じるイシイの姿は、人としての踏み外せない崖っぷちでもがく様のようで、ヨシダ曰く「無様」であろうとも、人としての正道を最後まで貫こうとした姿を見られたことは、自分にとっては救いでした。

実際の事件でも、発覚のきっかけはイシイが警察に自首したことからですし。

舞台後半、怒涛のように襲い来る、松永さんと由美子さんの直接対決は、舞台上の由美子さんでは久方ぶりに見る、「命を賭けた対決」で、一瞬たりとも目が離せない様を拝見できたことも嬉しかったです。

公演は今週土曜日、24日まで。

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『ジキル&ハイド』(6)

2018.2.18(Sun.) 12:00~12:50
都内某所

ホリプロオンラインさんで募集されていた、ジキハイ稽古場見学会(50名)に当選し、都内某所の稽古場見学会に参加してきました。

当初40分間の予定が少し延びて50分。長くいられるのは楽しいは楽しいのですが、個人的には次の観劇を控えていたので、この時間で仕上げていただいてホリプロさんのタイムキープに感謝です。

見学会の流れは、演出家山田さんからの作品説明・状況説明が前半。後半は曲3曲をご披露、ラストのパートがトークコーナー。

ちょうど先週末に一通り最後まで通せた状態とのことで、(田代)万里生くん曰く「少しほっとした状態でお見せできる」状態。今日からオーケストラが入るそうです。
この稽古場は比較的広い稽古場とのことで、本番セットをそのまま置ける場所。とはいえ、さすがに2階部分までは入れられないということで、「嘘の仮面」でエマとルーシーが橋上に上がるシーンは、特にルーシーの玲奈ちゃんは首をかがめて見下ろしていました(そのけだるく見下す様がとってもルーシー)

どの曲も流石の完成度で、初日までにどれだけ伸びるかも凄く楽しみ。この日はマイクがなかったので、マイクがあると印象が変わるキャストも多いんでしょうね。

3曲は動画で既に上がっていますがこちら、石丸さん以外全員登場する「嘘の仮面」(1幕2場)と、病院執行部シーン「理事会」(1幕3場)と、「狂気」からの「その目に」(2幕)です。

「嘘の仮面」は製作発表ではコンサートバージョンだったそうですが、この日は本番バージョン。マイクなしといえ、至近の見学席にダイレクトに伝わる、石丸さん以外全メンバー参加のこの曲は圧巻のひと言。
そう、ルーシーとエマも実は登場しています。ルーシーは上手側で(舞台上の)お客さんをあしらっております。今までの玲奈ちゃんにはなかなかないシーンです。

「理事会」シーンはずいぶんメンバーが変わりましたよね。一番大きいのはエマのパパがが中嶋しゅうさんから福井貴一さんに変わってかなり印象が変わっています。

「狂気」からの「その目に」が新キャスト2人でのデュエット。玲奈ちゃんが2016年バージョンのエマからルーシーに変わり、エマはエマちゃん(宮澤エマちゃん)。

玲奈ちゃんのルーシーは、艶っぽいけどウェットじゃないところが特徴かな。娼婦という立場に対して恬淡としているというか、生きるためにスイッチを切り替えている感じ。娼婦フラグON、自分フラグON、みたいな。どちらにしても今までの玲奈ちゃんにもない役でもあり、また今までのルーシーにもあまりない感じがしました。

玲奈ちゃん&エマちゃんのデュエットを初めて生で見て思ったのが、エマちゃんのエマも素敵で、エマちゃんがいてくれたから玲奈ちゃんもルーシーに全力投球できるんだというのがわかったこと。エマちゃんに感謝です。

エマちゃんに自分(玲奈ちゃん自身)のエマのことを意識しないように言ってるのは、自身がルーシーに集中するためでもあるんでしょうね。でも、今でも結構間違えられるのでエマちゃんのシーンはなるべく見ずにお手洗いで闇練だそうです(笑)。石丸さんからも「そういえばいないよね」って言われていました。

というのも、この日のトークパートで石丸さんがあいさつした後、玲奈ちゃんを向いて「エマ」という事案が発生して会場に笑いが(笑)。
苦笑いしつつ、玲奈ちゃん「エマじゃなくルーシーを演じる笹本です(笑)」とすかさずフォロー。
石丸さん「ごめんね」とお詫びされていました。

玲奈ちゃんはルーシーは念願の役ですが、最初はかなり不安だったそうです。そんな時、演出の山田さんと自身のルーシー像について話ができて、「偉大な先輩、マルシアさん、香寿さん、めぐさんのルーシーを追わなくていいんだ、と思えて気持ちが軽くなった」、と山田さんにお礼を言われていました。

この日の稽古場見学会、トークパートのほぼ半分は玲奈ちゃんが喋っていたというぐらいに口数が多くて(笑)、前は不安だと無口になるタイプでしたが、不安だからこそ喋るようになって、玲奈ちゃん変わったなぁと(爆)。

役どころというのもあるのかなと思ったのは、エマは歌詞にもありますが「待つ」役ですが、ルーシーは「求める」役じゃないですか。それプラス2012年からの経験値で、石丸さんを自然にフォローする立ち回りが身体に沁みついているように感じられて。

石丸さんを囲んで下手側に田代万里生氏、宮澤エマちゃん、中央に石丸さん、上手側に(笹本)玲奈ちゃん、山田さんという並びでしたが、キャストで言えば石丸さん以外全員が新キャストなのですが、新役の重圧も背負いながら、カンパニーのムードメーカー的なポジションも務められていた玲奈ちゃんがとても頼もしかったです。

ルーシーについて「娼婦の役なので誘惑するんですが、阿部さんを誘惑してるとパパを誘惑してるみたいで(阿部さんから「おいっ!」と即ツッコミ、会場中大爆笑)、自然にルーシーとして誘惑できるよう頑張ります」って中々なMC盛り上げスキル(笑)
「10代の頃から見ていただいている方が(現場に)多いので、皆さんの目が気になって(笑)」と。

エマちゃんが「あまり恋愛シーンのある役をやってこなかったので石丸さんとのシーンが恥ずかしい」と仰っていましたが、玲奈ちゃんも「私も石丸さんとのシーンは恥ずかしい」と仰っていてそうだよなぁと観客一同納得(笑)。

役替わりに付いては玲奈ちゃん曰く「前演じた方の残像がはっきりと残っていて、ルーシーだとめぐさんの印象が凄く強くて。『屋根(の上のヴァイオリン弾き)』でも最初はチャヴァで(その後やった役…あれ、名前が出てこない、ルーシーじゃなくて…(山田さんから耳打ち)…あ、ホーデルですね(笑))その時の知念里奈ちゃんのホーデルが自分の中にはっきりと残っているので、エマだった当時の記憶をどう抜けさせていくかが課題ですね」と。

それを受けて石丸さん、「続投の方でも出してくるカードが違ったりする。そんなところの違いも楽しんでもらえれば」と。

新キャストでは万里生くんも新キャストですが、お髭が新鮮。演じるジョンについて「玲奈ちゃんから教えてもらって知ったんですがジョンは唯一全員と関係する人物。だからプロローグとエピローグに出てくる、語りべ的な存在」と仰っていたんですがなるほどなと。

そんなトークコーナーを経て、最後は石丸さんからご挨拶があり、キャスト全員を呼び込んで解散。

短い時間ではありましたが、ジキハイの良さがどっさり詰まった、また新キャストの雰囲気もわかる素敵なイベントで、ホリプロさんに感謝です。拝見できるのが楽しみです。

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『Before After』(11)

2018.2.17(Sat.) 12:00~14:20
 法月・田宮ペア D列2桁番台(上手側)

2018.2.17(Sat.) 16:00~18:20
 多田・遠山ペア D列1桁番台(下手側)

中目黒キンケロシアター

半年ぶりの再演、中目黒『Before After』祭りに行って参りました。

作品初演は2014年11月で、私は2015年8月公演(吉祥寺)の内藤大希さんベン&岡村さやかさんエイミーで拝見して作品の魅力に触れ、それ以来ほぼ全ペアを見ていますので、この日も1日で両ペア見られるこの日を選択しました。

上演は今回9期目(吉祥寺5期、中目黒2期、北千住1期、日暮里1期)。
歴代のキャストはベンが17人、エイミーが14人、ペアは19ペア。
そのうちベン14人、エイミー12人、14ペア見ています。ずいぶん見てますね(苦笑)。

マチネのアフターライブでレジェンド(今回で4回目の出演で、今回の法月氏が3人目のベン)な田宮さんがいみじくも仰られていましたが、「上演が始まってわずか4年しかたっていない」のは確かに驚きです。

そう、この日は実は、後追いの発表でマチネ・ソワレともにアフターライブが追加され、とってもお得なマチソワになりました。

まずは、本編の感想から。

マチネで感じたのは、レジェンド田宮エイミーの、でも、いつもと違う佇まい。

田宮さん(たみー)はご自身のキャラクターからして、今までのエイミーでは姐御肌で演じられることが多かったですが、今回はその得意手を封印され、法月ベンを立てることに徹していて、とってもチャーミング。キャラクター的にはmyオリジナルエイミーな、岡村さやかエイミーに似ている感じを随所に感じました。

四角四面なエイミーが、ベンと出会うことで変わっていく様が、それ故にとってもわかりやすく見えて。

ベンも言っていますが、
エイミーってとっても「正しい」んですよね。
それに対して、ベンはとっても「自由」

ベンにとって、エイミーの正論は耳に痛いけれども、本能的にそのことを受け入れなきゃいけないことをわかっている。
エイミーにとって、ベンは自由すぎて、自身の規定概念からは飛び出した存在だけれども、本能的にそのことに対して憧れを持っている。

「正しくあるべき」という自らの考え故に、前に踏み出せないエイミーと、「自由にありたい」という自らの願望故に、安住の地を見つけられないベン

お互いがお互いを必要とする様がとても感じられるペアでした。

法月ベンはピュアでスマートな感じ。歴代ベンでは、内藤(大希)氏が一番近いイメージで、次いで田村(良太)氏が近いかも。

法月ベンと田宮エイミーの化学反応で一番印象に残ったのが、後半でエイミーがベンに投げつける「あなたはいつでも逃げてきた。あなたはいつでも切り捨ててきた」という言葉。
この言葉をエイミーから投げつけられた時のベンの反応が凄く哀しそうで。

両親もいない自分にとって、初めて守りたいと思った女性に、自分のことを分かってくれていなかったかのような言葉を投げつけられたことに、ベンがどれだけ傷ついたか、それが法月ベンからは強く感じられました。

エイミーは、ベンに対してこともなげに「あなた(ベン)は私とパパには勿体ないと思っているんでしょ」と言っていて、やはり「恵まれて生きてきた女性」なんですね。ベンを終始立てるように振る舞った今回のたみーのエイミーだったけれど、役柄上のコアな部分では、そういった上から目線の部分を持った女性。「同じ歩幅で歩こう」という約束に応えられていなかった自分、ベンへの心からのお詫びがあってこそ、再び次の一歩を歩きだせるということなのですね。

きっとベンにしてみれば、「望んで逃げてきたわけでもないし、ましてや望んで切り捨ててきたわけでもない」と言いたかったのでしょうが、それをあの時のエイミーに言っても詮無き事ということなのかと。

法月&田宮ペアで感じたのは、ベンとエイミーの関係性。

1幕最後、エイミーはベンに「離さないで」と願う。
2幕最後、ベンはエイミーに「離れないで」と願う。

エイミーはベンに自分の手を離さないように願い、
ベンはエイミーに自分の手から離れないように願う。

ベンとエイミーは自ら手を離さない限り、
2人の手は繋がったままになる。

ベンとエイミーの関係が永遠に続くことを感じられる素敵なラストでした。

・・・

ソワレは、『Before After』初登場ペア。

多田直人さんは演劇集団キャラメルボックスの団員さんで、今作が初ミュージカル。
遠山さやかさんは劇団四季出身の女優さん。14人いる歴代エイミーで、実に3人目の「さやかエイミー」になります(岡村さやかさん、綿引さやかさん、遠山さやかさん)。

キャストが発表されて、今回一番楽しみにしたのが多田さん。

キャラメルボックスに『無伴奏ソナタ』という作品があって、大好きな作品なのですが(今年再演されます)、その作品で主演していたのが彼。演技バランスが良くて、身体力がある素敵な俳優さんだと思っていました。

→その時の感想こちら

ミュージカル初出演とはいえ、キャラメルボックス出身の方は芝居にテンポがあるので、見ていてもとても心地良いです。

ベンとしてもとても軽やかに動き回り、客席までも味方にできそうな多田ベン。ベンのレジェンド、染谷洸太氏タイプ(3回出演で2ペア)に似たタイプ。寺元(健一郎)くんもこのタイプに似ている感じ。

その相手役、エイミーは遠山さやかさんは初見ですが、多田ベンとの芝居の空気感がぴったり。
初日を拝見した知人曰く、初日はど緊張されていたそうですが、この日はその片鱗もなく。
高音歌唱が素敵で、その歌唱からエイミーの四角四面さを感じさせつつ、ベンによって解きほぐされていく流れがとても良くて。エイミー曰く「どうしていつもこの手にひっかっちゃうんだろうなぁ」が説得力ありすぎなのが、多田ベン&遠山エイミーの化学反応。

彼女はタイプ的には松原凜子さんと似たような印象を受けて、というのも高音を得意とする方の場合、感情が伝わりくいように見えかねないわけですが、エイミーだと元々が「心を開けない」方なわけで、そこから氷が溶けていくかのように警戒心が解けていく様が自然で。とてもいい芝居勘をされていて、他の役でも拝見したい女優さんです。
(似ていると書いた凜子様にも同じようなことを感じていて、高音が得意なのにエポニーヌの感情が伝わるのは興味深いです。)

あ、そういえば、マチネのたみーエイミーは「いっぺん死ね」、ソワレの遠山エイミーは「時々いっぺん殺したくなるわ」でした。何となく本人希望での2択な気がしますね、これ(笑)。

エイミーの鋭い攻撃は、たみーの攻撃力はいつものことですが、遠山エイミーの怖さもまた違った怖さがありまして(笑)、「無視したらただじゃおかないわよオーラ」が凄かった(爆)。
エイミーの強い圧力をひょいっと避ける多田さんのベンというのもなかなか面白くて、ぜひまた拝見したいペアです。

ふと振り返ると、今までのエイミーって皆さんミュージカル女優さんだったので、それが見る側の意識として染み込んでいたところがあったのですが、四季さん出身とはいえ、ミュージカル女優ぽくない彼女のエイミーはとても新鮮で、また相手役の多田さんもミュージカルぽいわけではないので、そのバランスがとても興味深くて。
ミュージカルぽくない、多田ベンと遠山エイミーの「芝居が呼吸しあっている感じ」がとても良かったです。

・・・

それではアフターライブレポ。

アフターライブはマチネ・ソワレとも曲目は同じで、
1曲目はエイミー3人による「This Time」。
2曲目はベン2人・エイミー3人による「As Long As You're There」。

マチネは1曲目のエイミーが、田宮華苗さん、RiRiKAさん、稲田みづ紀さん。
当初は初演キャストの清水彩花さんの予定でしたが、彩花さんが体調不良のため、ソワレ出演予定の稲田みづ紀さんが、マチネも出演されました。

2曲目はベンが加わり、法月さんと上野聖太さん。

司会進行はプロデューサーの吉田英美さんで、最初は「レジェンド」田宮さんとのトークでしたが、田宮さんが本編終演後で精根尽き果てた感じもして、いつもの切れ味がなかった感じ。が、RiRiKAさん、みづ紀さんを呼び込んだら、RiRiKAさんがMCでぶっ飛ばし始めて、たみーはそこにツッコむモードになったんで、問題は無事解決しました(笑)。

何しろ、RiRiKAさん「久しぶりに拝見しましたが、ベンひっどいやつですねー」とぶっ込んで会場中の爆笑をさらい、英美さんに「これからお相手のベンが出てきますけど(笑)」とツッコまれ、その後、相手役の(上野)聖太さんが出てきても普通にやりとり(笑)。ま、役の上の話だってみんな分かってるわけですけどね(爆)。

ちなみに上野さんは自己紹介で「ベンの父親を演じました上野聖太です」で会場中の爆笑をさらい(笑)、このペア本当になんなんだ(褒め言葉)。

なお、アフターライブで本来のペアが揃ったのはRiRiKA&上野ペアが史上初だそうです。

聖太氏が珍しくMCが走っておらず、「調子悪いの?ねぇ調子悪いの?」とツッこんでるRiRiKAさんが面白すぎ(笑)

主にRiRiKAさんがもっと喋りたそうでしたが、後方から巻きが入ったことに旦那さん(聖太さん)ともども気づき、締めに入ろうとするもなかなか締まらなかった…ところ、みづ紀ちゃんが一言「歌いましょう。」とはっきり宣言され、綺麗にまとまりました。「みんな漢前だから」by聖太さん

そういえば、1人赤のど派手なドレスだったRiRiKAさん、ステージ上でもツッコまれてましたが、公演を拝見するために前方通路から後方席に向かう際、本来は下手の通路なのに上手の通路を上がっていって、「あ、間違えた」と「会場中かなり広範囲に聞こえるひとりごと」を仰ったうえで、下手の通路に向かっていかれ、その時点でかなりの方に気づかれていました(笑)

ソワレのアフターライブのメンバーは、
1曲目の3人エイミーが、遠山さやかさん、岡村さやかさん、稲田みづ紀さん。
岡村さん&稲田さんはTipTap『Second Of Life』のAチーム以来の共演ですね。
2曲目のベンが、多田さんと西川大貴さん。

エイミー&英美さんのトークで面白かったのは今回のエイミーの衣装の話。
実は今回、エイミーの衣装が変わっていて、更に今回のエイミーお2人でも違います。
インパクト凄いのが遠山エイミーの衣装で、まさかの「豹柄」(笑)。

英美さん「(遠山さん)見たときに目が点になっていましたよね
遠山さん「そうなんですよ、これ着れるのか(って心配でした)」
岡村さん「お衣装素敵でしたよ。」
みづ紀さん「自前ですか?」
英美さん&遠山さん「衣装さんが持ってこられました」

英美さん「エイミーって尊いですよね。特にこの曲(「This Time」)は女性のいいところだけを歌っているようなところがありますから。(エイミーって)素敵ですよね」
遠山さん「(エイミーは)素敵ですけど
岡村さん「(エイミーは)素敵です」(力強く)
バンドメンバー(小澤さん、成尾さん、石貝さん)「(なぜか爆笑)
岡村さん「なんかバンドメンバーが笑いすぎなんですけど(笑)」←おぉツッコんでる(笑)

…「エイミーが」素敵という話の流れの中、岡村さんが自身のことを「素敵」と力説されたように聞こえて、噴いたみたいです(爆)。ちなみに派手に笑ってたのは小澤先生(笑)

マチネもソワレも、同じ役の方が歌うのに、それぞれの色が色濃く出るのは楽曲の力ならでは。
エイミー曲で言えば、マチネは下手側にRiRiKAさん、中央に田宮さん、上手側にみづ紀さん。
比較的普通に歌われるみづ紀さん。本編の雰囲気引っ張る田宮さん、エンジンかけまくって「マイクスタンド握ってまで歌い上げる」RiRiKAさんという、三者三様が面白かったです。

歌い終わって…
英美さん「やっぱりRiRiKAさん泣いてますね」
RiRiKAさん「はい(笑)」

ソワレは下手側に岡村さやかさん、中央に遠山さやかさん、上手側にマチネと同じくみづ紀さん。
衣装では岡村さやかさんが青緑系で異色ということで、マチネ同様に下手側が衣装的にも目立つ(爆)。

3人一緒に歌っていると、遠山さんはやはり色々な意味でまっすぐで、みづ紀さんもかなり似通ったところにあるところに対して、岡村さやかさんはエイミーの準レジェンド(複数のベンと演じたことがあるのは、田宮さん以外は清水彩花ちゃんと岡村さやかさん)なだけあるのと、ご本人の歌唱の特性からして、「演じるように歌われる」様が3人歌いでさえ、はっきりと感じます。自分自身のオリジナルエイミーなので、優しく包み込むように存在するエイミーをまたこの日拝見できたことは僥倖でした。

・・・

今回が9回目(9期目)の公演になるそうな『Before After』。
次はとうとう10回目(10期目)の公演ということで、せっかくなので10シーズン目記念での記念キャストとかお願いしたいところ。レジェンド同士の染谷ベン&田宮エイミーとか、是非見てみたいところです。

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『リトルマーメイド・イン・コンサート』

2018.2.11(Sun.) 18:00~20:40
日本武道館 1階SEブロック F列1桁番台

ディズニーイベントD23 expo Japan 2018(2月10日から開幕)記念で開催されることになった「リトルマーメイド」フィルムコンサート。
東京はこの日2回と翌日1回、日本武道館。
大阪は今週水曜日(14日)、大阪城ホールでの開催となります。

日本武道館は「Starsコンサート」と「I Love musicals(新妻聖子さん出演)」そして今回と3回目ですが、どうにも個人的な印象としてキャパが大きすぎて手に余るというか苦手意識がありまして、ようやっと3回目で迷わず席まで行けました(笑)。恐らく席番号がユニーク(一意)じゃないのがその理由なのかと。アリーナと1階席、2階席までならまだしも、「南東(SE)」とかの方角まで含めないと場所が決まらないのが苦手な理由なのかと。たぶん国技館も苦手なタイプです私(爆)。

第1部の頭ではディズニーレジェンド、アランメンケン氏の弾き語り。今回のリトマだけでなく、『美女と野獣』『ノートルダムの鐘』といった作品の名曲を次々とメドレーで弾かれていき、MCでその後井上芳雄氏も仰っていましたが氏の美声もあいまって素晴らしかったです。

司会の方は氏の登場前に全員立ち上がってのお出迎えを促していて、客席から苦笑してしまいましたが、むしろ終わったら拍手しながらスタンディングしたいぐらい凄かった。本来はそういうものですよね。

このパートの後は、司会の方と、ジャングルポケット斉藤氏と井上芳雄氏の3人でのMC。
芳雄氏はここで相変わらずの芳雄節を発揮してまして。

プリンス20年やってきましたが最後のプリンスという気持ちで頑張ります」

(笑)。
実は映画にはエリック王子の歌はないそうですが、劇団四季版(ミュージカル版)の歌詞で2部で歌われていました。

そう、来て初めて認識したんですが、この日は元敷きは映画なので、劇団四季版(ミュージカル版)とは似て非なる進行なんですね。自分自身は映画は見たことなくて、劇団四季版(ミュージカル版)を東京で3回、福岡で2回(今年3月を含む)見ているだけに、むしろ映画版の進行はかなり新鮮でした。

このイベントに行くことにしたのは、アリエルの姉の長女・アクアータ役で綿引さやかさんが出演されることがかなり早い時期(芳雄さんより発表は早かった)から発表されたからですが、映画版は姉妹の登場シーンは凄い少ないんですよね。むしろ、事前収録のコーラスワークの方が多かったのかもしれません。

舞台版を見慣れているとアリエルシスターズはそれぞれ色でビジュアル分けされていて、アクアータは黄色ですが、今回の衣装デザイナーさんのインスタを拝見する限り、特に姉妹の色指定はなかったようです。高畑充希ちゃんが歌ったアリエルの水色とのバランスで選ばれたそうで、びびちゃんはソフトなピンクでした。

芳雄さんがMCで「劇団四季の方は出てきません」と仰っていて客席からどっかん反応をもらってましたが、唯一びびちゃんだけ、劇団四季版に出演経験があるんですよね。それもあってか、また長女ということもあってか、積極的に姉妹のまとめ役として動かれていた感じが頼もしかったです。

さて、それではセットリストです。

◆セットリスト
0.アラン・メンケンメドレー(弾き語り)

(●印は生歌パート)
 1.海の底で
 2.メイン・タイトル
 3.ファンファーレ
●4.トリトンの娘たち(アリエルシスターズ)
●5.パート・オブ・ユア・ワールド(高畑)
 6.花火
 7.ジグ
 8.嵐
●9.パート・オブ・ユア・ワールド(リプライズ)(高畑)
●10.アンダー・ザ・シー(KREVA)
 11.デストラクション・オブ・ザ・グロット
●12.海の上の世界(リプライズ)(岡)
 13.フラットサム&ジェットサム
 14.哀れな人々
●15.不幸せな魂(マルシア)
●16.あの声(井上)
●17.レ・ポワソン(斉藤)
 18.ベッドタイム
 19.ツアー・オブ・キングダム
●20.一歩ずつ(井上)
 21.キス・ザ・ガール(KREVA&アリエルシスターズ)
●22.もしも(高畑・井上・KREVA・岡)
 23.婚礼の告知
 24.エリックの救助
 25.ハッピー・エンディング(全員)

●26.パート・オブ・ユア・ワールド(ジョディ・ベンソン)

[アンコール]
●27.アンダー・ザ・シー
 (アラン・メンケン&ジョディ・ベンソン&オールキャスト)

キャスト別に感想を。

アリエル役は高畑充希ちゃん。朝ドラ主演もされて、一般的には女優さんのイメージが強くなったかと思いますが、元は舞台女優でピーターパンもされていました。ミュージカル女優さんの憧れの役の一つであるアリエル役の大きさをご存じで、かつご自身初の武道館ということもあり、強心臓の彼女にしては表情が驚くほど強張っていてびっくり。公演2回目ということで歌声はちゃんと出ていたのでそこは一安心。今回は四季さんが公式には関係していないのでこのポジションに選ばれるような知名度のある女優さんの中では充希ちゃんはベストな選択だったと思います。強運ですよね。

エリック役は井上芳雄さん。武道館は「Starsコンサート」以来ですかね。「ラストプリンスかも」と笑いを取りに行っていましたが(爆)、スマートな王子ぶりを見せていました。意識して少し若めに歌われていた感じもしました。充希ちゃんとはたしか初共演なんですよね。「もしも」のカルテット(4人曲)でのバランスがとても良かったです。

トリトン王役は岡幸二郎さん。ご自身コメントで「王子(おうじ)じゃなく親父(おやじ)で」と笑いを(笑)取られていましたが、王としての威厳を持ちつつ、娘たちに対する深い愛情も感じられる素敵なお父様でした。岡さんを最初に拝見したころはもっと独立独歩というか、周囲を寄せ付けにくいイメージがあったのですが(あくまでイメージです。岡さんの初見は2003レミのジャベールなのでなおさら)、いい意味でオープンになられた印象を受けます。

アースラ役はマルシアさん。もう笑っちゃう位イメージぴったり(笑)。容赦なく悪役に徹する辺りが流石プロ。色々感情こじらせた末の哀しみみたいな様が印象的。フィルム版で一番存在感があったのはアースラですかね。フィルム版、後半あそこまでとんでもない振る舞いしてると思ってなかったです。あれは確かに舞台じゃできない(爆)。

セバスチャン役はKREVAさん。キャスト聞いたとき「ぴったり!」と思った印象通りに弾けますが、ご自身のステージと少し違って、「自分を前面に出す」のを意識して抑えている感じが流石です。色々な点でステージ馴れされていて、出すぎずセバスチャン以上にも未満にもならないその絶妙な塩梅に拍手です。それでいて最後の盛り上げどころでは積極的に盛り上げ役を買って出るところがさすがのKREVA節。今回のメンバー意外に盛り上げ役がいなかったんですよね。

シェフ・ルイ役はジャングルポケットの斉藤さん。ミュージカル好きというのは存じ上げていますが生歌は今回初めて。キャラにもぴったりだったし、指揮のマイケル・コザリン氏(アラン・メンケン氏の右腕と紹介されていました)をネタとはいえ押しのけて指揮しまくる様が笑えました。

アクアータ役、そしてコーラスを担当された綿引さやかさん。アリエルシスターズのお姉さまとして、また唯一の四季版出演キャストとして出演という不思議な立ち位置。ディズニーファンとして、ミュージカル女優として夢が現実になったポジションではありつつも、この日は映画版メインということで正直出番は多いとは言えない部分があって。楽しそうな様を拝見してもちろん嬉しさは感じつつ、”一歩ずつ”でも更なる高みを目指してほしいと、強く強く感じずにはいられなかったのでした。

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Galaribbon「Another Door」

2018.2.11(Sun.) 13:00~15:55
SARAVAH東京(渋谷)

活動開始10周年、そして再開1周年のTMA(東宝ミュージカルアカデミー)1期生ユニットのGalaribbon。
池谷祐子さん、岡村さやかさん、本井亜弥さんのお3方。
再開ライブ以来の今回のライブは、第1部が劇構成(オムニバスストーリー)、第2部がミュージカルライブという、面白い試み。

第1部はそれぞれ1人ずつメインのストーリーということで、3作品。それぞれメンバーが演じたい作品を持ち込んで、ながたく氏(永野拓也氏)が演出。

ネタバレ行きますので明日ご覧になる方は回れ右でーーーー。





行きますよ?

今回のGalaribbon、
第1部は三者三様の病み方
第2部は三者三様の光り方
が印象的で(笑)

第1部のトップバッターは岡村さやかさん。お題は「うらむらさき」。樋口一葉さんの未完の作品だそうで、文体が完全に昔の言葉ということもあり、やんさん曰く「最初この本を岡村さんがやりたいと言ってきた時になんだか全然分からなかった(笑)」そうで。それでも稽古しているうちに、さやかさんが何を思ってこの作品を演じられたいと思ったのか分かってきたと仰っていました。

物語的には、物分かりの良い旦那様に従順でありそうに見せながら、その実その立場を利用して裏であんなことやこんなこともやっちゃう、大人しさの中にある二面性のようなものを表現した作品。
役柄的には直近の『しゃばけ弐』のお雛ちゃんが性格黒いとこの役になる感じ(爆)。

さやかさんの演じる役は(少なくとも私が観るようになってからは)優しい、内向的な役が多いように思いますが(『BIRDMAN』のドロシーのみ力強く除く)、ご自身のMCから拝聴するに、「自身の持つ黒い部分に対して、それが赦されるものなのか自問されている」ことに、この作品が琴線に触れた部分があったように感じます。

このドラマはそれぞれ1人3曲を劇中に入れて構成していますが、さやかさんパートの1曲にジキハイのルーシーのソロが。娼婦という立場なのにかかわらず、というかだからこそ、ルーシーのピュアさを表現したこの曲がこのストーリーに入ってきたのが、逆説的に興味深かったです。
なんだかんだで黒いさやかさん、実に楽しそうなんですよね(笑)。

2作品目は池谷祐子さんの「サロメ」。副題が「片思いが過ぎるサロメ」って時点で、やんさんワールドの発動が予感できるわけですが。某「ダンシング・ヒーロー(荻野目洋子さん)」で髪ぶんぶん振り回して踊りまくるやんさんに爆笑。
サロメは預言者ヨカナーンに片思いをして、ヨカナーンが欲しくてほしくて、最後はヨカナーンの生首を得るけれども、傍から見れば片思いが過ぎた結果、結局なにも得ていない。
「他人がどう思うより、自分がどう思う方が大事」というあたりが、やんさんがこの物語を選んだ部分に感じました。

3作品目は本井亜弥さんの「ロビンのおじいさま」。本井さんがおばあさん役で、2人(さやかさん、やんさん)が道に迷ってやってきた先が、そのおばあさまの家。物語の始まる前に本井さんがこの作品を選んだ理由を話されていたのですが、「普通に見える人にも実は歴史があって、ドラマがある。それを描いているこの作品がやりたかった」と。本井さんの演じるおばあさまが、何だか過去に縛られているかのような、「幸せになる権利は私にはない」と語っていらっしゃるように見えて胸を突かれます。2人の無邪気な、自分を求めてくれる姿に救われるような姿は、とりわけ今回の3作品の中でも一番、「この3人だからこそGalaribbon」という部分を表現されていたように思えました。

第1部のセットリストです。フォロワーさんご協力感謝です。

<さやかさんパート>
1.デンジャラス・ゲーム/ジキル&ハイド
2.Feeling Good/マイケル・ブーブレ
3.千の夜を越えて/Aqua Timez

<やんさんパート>
1.けもの道/Cocco
2.ダンシング・ヒーロー/荻野目洋子
3.カブトムシ/aiko

<亜弥さんパート>
1.Nessun Dorma/トゥーランドット
2.(主催者発表待ち)
3.懐かしい歌を/Once Upon A December

そんな、三者三様の病み方(爆)から打って変わって、第2部はいつものライブ進行。
会場内もちょっと安心した感じが(笑)

セットリストです。

●第2部 ※特記なき限り3人
1.Longest Time/movin' out
2.Super Trouper/マンマミーア
3.under the sea/リトルマーメイド
4.My Favorite Thing/サウンド・オブ・ミュージック
5.Shall We Dance?/王様と私
6.I got rhythm/クレージーフォーユー
7.墓場にて/オペラ座の怪人(岡村)
8.Dancing Through Life/Wicked(3人+大野)
9.Someone like you/ジキルとハイド(池谷)
10.Don't Rain On My Parade/ファニー・ガール(本井)
11.I will never love you/サイド・ショウ
12.I Love you,愛の果ては?
  /I Love you,愛の果ては?(3人+大野)

【アンコール】
13.I will follow him/天使にラブソングを(3人+大野)

今回の選曲で一番興味深かったのは3人のソロ。
ジキハイといえばさやかさんの定番でしたが、今回はやんさんに変わり、さやかさんはなんとクリスティーヌ。その上「Think of Me」で来ると思ったら「墓場にて」だったのが意外でした。父親に必死に助けを求めるさま、なるほど面白い選曲でした。

「2人で1人」な『サイド・ショウ』のラストナンバーも、編曲して「3人で1人」にした流れも絶品だし、ゲストの大野朋来さん(いい声!やんさんがほぼ1回だけ共演したきっかけという『だけ』でゲスト出演を依頼したそうです爆)入ってのM12(自分的にはなうちぇんじ(I Love you,you're perfect,now change)の言い方の方がしっくりですが)も楽しかったし、第1部と違った意味であっという間でした。

この後の出演予定のMCしていたとき、3月の『A CLASS ACT』が、さやかさんとやんさん、アカデミー卒業公演以来の共演という話をさやかさんがされたら、本井さんが「私いない(いじいじ)」とツッコみ。
かと思えば4月1日(銀座ボンボン)の『親の顔が見てみたい(シルベスター・リーヴァイ特集)』ではやんさんと本井さんが組むので、さやかさんがいない(笑)、という着地点がない(笑)MCが面白かったです。

今回の新趣向が今後どう展開していくのか興味津々ですが、3人でしか見られない世界、3人だからこそ見られる世界がこれからも続いていくことを願っています。

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『TENTH』(4)

2018.1.25(Thu.) 18:30~21:30
シアタークリエ 19列20番台(上手側)

2018.1.30(Tue.) 18:30~21:30
シアタークリエ 2列1桁番台(下手側)

シアタークリエ10周年記念公演『TENTH』3期です。

第1部は念願の『この森で、天使はバスを降りた』のショートバージョン。
日本初演は2009年、ヒロインのパーシーは大塚千弘さん、ちーちゃんが演じられていました。

今回のショートバージョンは第1期から第3期まで唯一、メインが初演キャストと異なっていて、つい少し前まで『ダディ・ロング・レッグス』でヒロインをされていた坂本真綾さん、まーやさんが演じられました。

作品として大がつくほど好きで、クリエの歴代作品を並べても確実に5本の指に入る好きな作品だけに、ちーちゃんじゃないことで少しくの残念な思いを抱えつつ、でもほぼ10年ぶりの再演を楽しみにしていて…結果、素晴らしかったです。

本編より短縮された70分バージョンですが、演出の小林香さんがエッセンスを巧みにまとめ上げ、作品の空気感をしっかり残しながら、ちーちゃんパーシーとまた違ったまーやさんパーシーが生き生きと存在していました。

主人公のパーシーはとある事情により服役。刑期が明けて向かおうとした先が、誰かが置いていった観光ガイドのとある写真、紅葉美しいギリアドの街。この森にバスで降り立ったパーシー、そこから物語は始まります。

パーシーの役作りはちーちゃんとまーやさんで大きく違って、はっきり違って感じるのはパーシーの他者へとの接し方の違い。

ちーちゃんパーシーは、『鋭利な刃物』ってイメージで、『触るもの皆傷つけた』ってイメージ。
まーやさんパーシーは、『重厚な鈍器』ってイメージで、『触るもの皆叩き壊した』ってイメージ。

ちーちゃんは可愛い子系の方向性なので、「あの娘がこんな言葉遣いで、こんな振る舞いで」というサプライズ感がありますが、まーやさんはどことなく影がある雰囲気を最初から出していて、訳ありな感じを見せている面、少しサプライズ感は薄かったかと。噂好きな田中利花さん(爆)じゃなくても何か気づくようなところがあって。

ちーちゃんは『やけっぱち』、まーやさんは『やさぐれ』ぐらいな違いはあります(笑)
他者と距離を置きながらも、実は他人との接点を欲している、という様はちーちゃんの方が強かったかな。まーやさんパーシーは、自らが他人から相手にされないことを自分の罪、と感じている様が強い感じ。

初演キャストに思い入れがあると、どうしても見る側からしても初見では冷静な目で見られないようなところはあるので、2回見てようやく、まーやさんパーシーの役どころを落ち着いて見られたかなと。その上、まーやさんも役を手の内に入れてきた感じがあって、カーテンコールで自ら両側のキャスト(土居さんと剣さん)に手を繋ぎに行っていたので、ご自身なりにも納得できた部分があったのではないかと思います(まさか、まーやさんがそうすると思わなくて、しばし気づかなかった土居さんと剣さんがあわあわしてる様も面白かったですが(笑))。

この物語を9年ぶり(初演は2009年)に拝見して思うのが、この物語に出てくる登場人物に共通するのが『不信』というところ。刑務所から出てきたばかりのパーシーは他人を信じられず、ギリアドに住む人々は自分を信じられない、『自信』を持っていないという対照的なさま。
そんな両者がお互い、自分の持つ良さに気づかないところから変わっていく様が何度見ても素敵。
パーシーのハートの温かさを最初から見抜いていたシェルビーだけでなく、町の皆(一名除く)がパーシーの前向きさに心奪われ、何もないと思っていた自分たちの街の素敵さに気づかされていく。

この物語で好きな歌詞に『なんにもないけどすべてがある』という歌詞がありますが、それはパーシーとギリアドに掛けているのかなと。身一つで塀の中から外に出され、たった一つの写真を頼りにギリアドにやってきたパーシーは、まさに『なんにもない』存在ながら、人が持つべき温かいハート『すべて』を持っている。ギリアドは住む人にとっては『なんにもない』存在だけれど、パーシーに言わせれば『すべて』を持っている場所。

パーシーはギリアドの森に触れて、ギリアドの人々に触れて、心が再生していき、ギリアドの人々もパーシーに触れて、自らの地の良さを認識して、失った自信を取り戻し、心が再生していく。

とりわけ、パーシーがハンナの息子であるイーライに語り掛ける様は強く印象に残って。
パーシーも罪人であり、イーライも罪人。

自らの罪ゆえにハンナの元に戻れないイーライに対して、パーシーは自分の過去を曝け出すかのように対する。パーシーはあけっぴろげな振りをしながらも、実際のところ好き好んで自分の過去を曝け出したいわけじゃないはずで。パーシーは自ら(本当は)触れたくない部分を明かして説得するからこそ、イーライの心も動く。罪人であれ、罪を償えば森が、光が、自然が赦してくれる、その空気感が変わらず素敵です。

パーシーが過去から逃げないからこそ、ハンナも過去から逃げないことを選べた。過去と向き合うからこそ未来が開けてくる。その様が短縮版でも余すことなく表現されていたことに拍手です。

・・・

第2部のガラコンサートは日替わり。

●1月25日ソワレ 2部セットリスト
1.Seasons Of Love/RENT
 (村井・藤岡・米倉・ソニン・宮本・田中・上木・Spi)
2.One Song Glory/RENT(藤岡)
3.Tango Maureen/RENT(村井・宮本)
4.Take Me Or Leave Me/RENT(ソニン・宮本)
5.I'll Cover You/RENT(米倉・田中)
6.I'll Cover You(Reprise)/RENT
 (村井・藤岡・米倉・ソニン・宮本・田中・上木・Spi)
7.What You Own/RENT(村井・藤岡)
8.Finale B/RENT
 (村井・藤岡・米倉・ソニン・宮本・田中・上木・Spi)
9.君に分かる?/ZANNA ザナ~a musical fairy tale~
 (渡部・高垣・上木・東山)
10.いつか来るかもしれない日
 /ZANNA ザナ~a musical fairy tale~
 (田中)
11.Extra Love/ZANNA ザナ~a musical fairy tale~
 (渡部・高垣・田中・上木・東山・Spi・岡田)
12.Love Heals(全員)

25日は「RENT」と「ZANNA」の混成で2作品のみで2部を構成。第1期、第2期はもっと多くの作品を組み合わせるパターンだったために新鮮です。「RENT」は正に作品の空気感そのものという感じで、作者のジョナサン・ラーソン氏がこの日が命日(NY時間なので日本時間ではずれるそうですが)ということもあり、作品のパワーが前面に漲っていました。

とりわけソニンちゃんの八面六臂の大活躍(ミミとモーリーンを役ごとにいったりきたり)で、特にM4「Take Me Or Leave Me」の宮本美季さんとのデュエット&絡みは最強すぎました。

作品後半は「ZANNA」からの曲。上演期間が短かった(1週間強)だったため、私も拝見していませんでしたが、このパートを担当された高垣(彩陽)さんの作品紹介MCが絶品で、本編も見たくなりました。作品紹介MCといえば第2期の新妻聖子さんの作品紹介MC(注:レミを除く)が絶品ですが、それに勝るとも劣らない滑らかさ、かつ作品への愛が感じられて素敵でした。お名前は存じ上げていたのですが声優さんの方なんですね。

この日の2部の構成は「愛」というテーマでトリビュート的につないだ構成で、いかにも小林香さん的な作り。第1期、第2期ではできなかったことなのかな、とふと思ったのでした。


●1月30日ソワレ セットリスト
1.幸せの秘密(Reprise)/ダディ・ロング・レッグス
 (井上・坂本)
2.世界で一番分からない人/ダディ・ロング・レッグス
 (坂本)
3.チャリティー/ダディ・ロング・レッグス
 (井上)
4.この世界を越えて/ハムレット(井上・昆)
5.Be Not Be/ハムレット(井上)
6.この世界を越えて2/ハムレット(昆)
7.海の見える広場/シェルブールの雨傘(井上・白羽)
8.Watch What Happens/シェルブールの雨傘(白羽)
9.もし君に告げたら/ウェディング・シンガー(井上・高橋)
10.一緒にトシとろうよ
 /ウェディング・シンガー(井上・高橋)
 ※芳雄氏ギター弾き語り
11.君の結婚式/ウェディング・シンガー
 (井上・昆・白羽・高橋)

30日は井上芳雄祭り(坂本真綾さんご命名(笑))ということで、今回の『TENTH』で芳雄氏に”どんな企画やりたいですか”という話があって、”今までご一緒した方(女性)とご一緒したい”とリクエストして、自称「ハーレム」状態に(爆)。

ということで曲順はまーやさんとのダディが前半3曲に。この日と31日のみ、ガラコンサートが前半で、作品が後半ですが、これはまーやさんの負担を考えてな気がします。「ここが終わったら『この森~』の準備に入りますのでもう出てきません」と仰っていたのでそうかなと。
棒読みの曲紹介なまーやさんに実に楽しそうにツッコむ芳雄さん。ビバ同級生ペア。

その次のパートは昆ちゃんとの『ハムレット』ペア。
『ハムレット』の思い出は、と昆ちゃんに振ったら「公演初日に芳雄さんが歌ってた歌詞が稽古とほとんど違ってた。意味は似てたのでプロって凄いなと思った」という巨大爆弾を落っことして芳雄さんがあわあわ(笑)。「それディスってるの?」とまで言った末に、「東宝の某先輩で作詞がお得意な方がいらして伝統を引き継いでいるんです(原文は実名)」とまで言わされました(笑)

芳雄さん「お昼のお客さんは拍手が控えめで」
昆ちゃん「夜のお客さんには拍手たくさんいただけて」
芳雄さん「じゃぁ昼夜両方ご覧になっている方はどうすれば」
昆ちゃん「拍手を先導していただければ」

・・・というやり取りに芳雄さん感嘆。

「昆ちゃん、MCの腕上げたよね」と言われてました(笑)。

その次のパートは白羽さんとのシェルブール(実際には日生でのペア。クリエでやった時は野々すみ花さん)。実は初見ペアだったのですが素敵な大人の雰囲気でした。
ちなみに、一昨年テレビドラマで共演された(TBS系『わたしを離さないで』)とき、他の共演の方に「実は共演したことあるんですよ」って話をしたら、主演の綾瀬はるかさんに「ここでやって見せてよ」って無茶ぶりされた挙句、「畳の上でできませんよー」って抵抗はしたものの、結局やってみせたそうです(爆)

WSのパートは高橋愛ちゃんと。愛ちゃんに「芳雄さんってMCも無茶苦茶お上手ですよね、どこに向かっているんですか?」って問われて「喋れちゃうんだよね」って返してたのも相変わらず(笑)。ギターは久しぶりということで自宅で弾いてみたら、思いっきり弦が切れたそうで、今回再調整してもらったとか。でも実は緊張してて、芳雄氏は緊張すると手に汗で出るそうで。愛ちゃんに「芳雄さんも緊張するんですね」って問われて「するよー」って答えてたのが面白かった。その距離感が。

1幕最後のWS「君の結婚式」は、まーやさん以外の女性3人(愛ちゃん、昆ちゃん、白羽さん)との共演で客席降りまでありのバージョン、女性陣のドレス可愛かった!
青の愛ちゃん、赤の昆ちゃん、大人っぽい白羽さんの組み合わせ。白羽さんのドレスはちょっとこの曲には大人っぽいかな?と思ったりもしましたが。

客席大盛り上がりで1幕をつつがなく終えて、2部『この森で、天使はバスを降りた』に入っていったのでした。

今回の『TENTH』、芳雄さんが真綾さんとのMCで語ったところによれば、全部で173曲あったとのこと。
TENTHバンドの皆さんにも拍手です。

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『野の花』

2018.1.28(Sun.) 16:30~19:00
ウッディシアター中目黒

以前から作品名だけは聞いたことがあったのですが、実のところこの日が初見。
中々都合がつかず、この回千穐楽にぎりぎり滑り込みました。
実際の到着もぎりぎりだった理由が、キンケロと勘違いしてたとは口が裂けても(以下略)…
キンケロのチケットもぎりのスタッフさん、ありがとうございます(←気づいてもらいました)

特段意識しているわけはなかったのですが、実はこの日は私、何十何回目(回数略)かの誕生日、ということでバースデー観劇というわけで、そのポジションに相応しい、心に残る観劇になりました。

この物語のメインは、リーザとルイーゼという二人の女の子。
ドイツ人のリーザと、ユダヤ人のルイーゼ、そして時はナチスドイツ直前からど真ん中の時期、となれば時代の波に翻弄される様が想像付くわけですが、それだけに、2人の心の強い強い結びつきが感動を誘います。

今回公演はWキャストですが、この回は星組。リーザは平川めぐみさん、ルイーゼは千田阿紗子さん。
生まれつき足が不自由で、学校でもいじめられているリーザのことを、ルイーゼはいつも気にかけて助けてくれる。なぜ自分を助けてくれるか分からないリーザは、ルイーゼになぜ助けてくれるのか聞くと、ルイーゼはこともなげに「他に助けたいと思う人がいないから」と宣う。もちろんルイーゼは興味半分でリーザを助けているわけではなくて、リーザのことを好きだからこそ助けてる。助けてほしいと言われていないけど、助けたいと思うから助ける。

一部前半、リーザの内気な様と、ルイーゼの勝気な様が上手くキャラクターとマッチング。はっきりしているのは千田さんのやりたい放題モード(爆)がルイーゼにぴったり。学校始まって以来の問題児っていうのは行動そのまんまですよね(笑)。この役はかつて岡村さやかさんと田宮華苗さんもされているとのことですが、たみーは想像付くんですが、さやかさんはずいぶん雰囲気違ったんでしょうね。でも親身になる感じはとっても想像付きます。

めぐみさんと千田さんとのバランスがとっても良くて、リーザはルイーゼがいてくれたから、少しずつ自信をもっていって、ルイーゼはリーザがいるから、学校の中でもぎりぎりはみ出さないでいられる。
そんな2人の様を時代が引き裂いていって、ユダヤ人であるルイーゼは、自らの居場所を名実ともになくしていくけれども、リーザはずっとルイーゼのために全力で動く。内気な様はどこへやら、ルイーゼのためならなんだってやる。

ルイーゼからリーザへの支えが決して打算でも憐みでもなかったと同じように、リーザがルイーゼのためにすべてを尽くした様も、これまた打算でも憐みでもない。大切な親友のために、できるすべてを尽くす。ユダヤ人にとってすべてを奪ったドイツ人であるのに、ルイーゼもリーザがいるから「全てを嫌いにはなれない」と話す。

内気な様から打って変わって自らの手で運命を切り開くリーザを平川めぐみさんが好演。「大切な人のためなら強くなれる」様は、役柄的に『アイのおはなし』のアイ役と被る部分もあったかも。

ルイーゼを演じた千田阿紗子さんはご自身のキャラクターであるサバサバチャキチャキという面を前面に出して1部で存分に笑いを取っていた反面、後者はいつもの役どころらしからぬ、憎しみに満ちた目で新鮮でした。その分、「らしくない」からこそ、めぐみさんのリーザの献身的な思いが、ルイーゼの凍った心を溶かす流れに説得力が増したように思えます。

リーザは本質的に賢くて、
ルイーゼは本能的に賢い。

リーザは本能的に優しくて、
ルイーゼは本質的に優しい。

2人のリーザとルイーゼを見て、そう思えて。

2人で1つ。かけがえのない親友。2人の奇跡のペアの様が伝わってきました。

この作品はミュージカル座の作品ですが、音楽は流れるものの、ラスト以外に歌はなく、かなり珍しい作品といえますが、実際のところ流れる音楽との呼吸は、やはりお2人がミュージカル女優であってこそ。

久田菜美さんが紡ぎ出した楽曲は、物語に流れ込んで溶け込んで、物語を前と進めていく。時にはゆっくり、時には激しく、時には間を置いて。その音楽の波(nami)に上手く乗れるのは、やはりお2人のスキルがあってこそと感じて。「音楽が物語を動かし、作品が心を動かす」という点で、やはりミュージカル座の作品なのだなと、感じさせられたのでした。

リーザが晩年に、孫であるイーダに言い聞かせた展開も素敵で、ルイーゼが生きた意味、リーザが生きてきた意味を両方とも感じさせる素敵なラスト。助けを拒んでいたルイーゼが最後の最後にリーザに頼みごとをできたのも感動的。ルイーゼがリーザを頼れたからこそ、2人は本当の親友になれたのだと思うし、リーザはルイーゼのためにも生き続けられることができたのだと信じられる素敵なストーリーでした。

お2人のことしか触れませんでしたが、他出演者も素敵な方ばかり。
とりわけこの作品のレジェンドであるリーザの父、森田浩平さんはとりわけ印象的。リーザの聡明さを導き出したと想像がつく知性、この時代の知識人としての苦悩、リーザへの信頼が深く感じられて。

2部制ということで中々ストレートプレイではない試みかと思いますが、作品の力と音楽の力と出演者の力で間延びを感じさせず、また拝見したい作品が1つ増えて嬉しかったです。

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『TENTH』(3)

2018.1.17(Wed.) 18:30~21:20
シアタークリエ 13列20番台(上手側)

『TENTH』2期、my楽です。
1部の『ニューブレイン』見られる時間に退勤できるか微妙でしたが、何とか済ませてクリエへ。

2期最初に見たときに、正直ピンとくるものが感じられなかった同作、もう一度見てみてどういう感想を持つかと思って1部から見たわけですが、元々全編に亘っての物語性が希薄なのか、それとも1時間に縮めたことで希薄になっているのか、その辺りがちょっとわからず。

時期的に石丸さんの四季卒業後第1作ということで、reborn(再生)的な要素を絡めたのかなというのを改めて感じはしますが、クリエ10thでの、はっきりとした色合いを出せた作品ではなかったように思えました。主人公が心を入れ替えたから奇跡が起きたのか、周囲の人たちの温かさ故に奇跡が起きたのか、それともそれらとは関係なく奇跡は起きるときは起きるのか、その辺が噛み合っていないように思えて、どうも作品の流れが腑に落ちないで終わった気がします。

出演者ではじゅりぴょん(樹里さん)のキャリアウーマンが新鮮。実のところ宝塚男役出身なんですよね。宝塚一のMC超人という印象しかないのですが(爆)、主人公を見つめ見守るいじらしい佇まいが素敵です。看護師役&店員さん役だった中村百花さんの飛び道具具合もツボ。空気読めずに突っ走る感じが面白すぎました。

それにしても2期で1部・2部通しの伊礼氏のポジションが面白すぎる。1幕で石丸さん演じる主人公に人の道を説き、2幕で新妻さん演じる姉にも人としての道を説きながらも、MCを境に、「愛する気持ちは止められない」と不倫を肯定する立場なのが(笑)

そんなトークが満載だったのがこの日2部の『GOLD』コーナー。
作品と役の説明は、私が初日に見たときは聖子さん主導でしたが、この日は石丸さん・伊礼さんを含めたクロストーク。

石丸さん「女性が手に職を付けられない時代、カミーユの才能は陽の目を見ることなかったんですよね」
聖子さん「でもロダンもそんな状況を利用しているようなところがありましたよね」
石丸さん「そうだね。それでカミーユを自分の元に置いておけるかのような。才能は認めていて自分以上だと思っていた部分も感じるし」
聖子さん「ロダンはそんな立場も利用してがっつり迫って愛してくれてましたしね(笑)」
石丸さん「そんな2人の関係を見て心配していたのがポールで」
伊礼さん「そうです」
聖子さん「カミーユはロダンの元を離れ、最後は家族にも見放されて精神病院でその命を閉じることになるですが、最後、精神病院に入れる許可のサインをしたのがこの…」
伊礼さん「そう私、弟のポールなんです」
聖子さん「サインしてくれちゃって(笑)」
伊礼さん「ポールも苦しんでるんですよ」
聖子さん「そうなんですよね。私(カミーユ)はもう発狂したように地べたはいずり回っていますからね。しょうがないですよね」
石丸さん「でも幼い頃は姉が弟に二人羽織みたいにじゃれてて」
伊礼さん「そうなんですよ。無邪気にじゃれあってきたりで」
聖子さん「そうそう」
伊礼さん「なのに大人になったらこんな人(※原語通り)のところに行って(笑)」
聖子さん「(パー子笑い)」
石丸さん「え、近親●●よりいいじゃない

…さすがクリエのソワレなトーク(笑)

そして伊礼さん絶賛の、聖子さんの曲紹介はこの日も健在。
『天使の園』から『GOLD』に至る、滑らか過ぎる曲紹介で、『GOLD』に至っては聖子さん、曲紹介中ほとんど息継ぎせずに紹介しきって客席から感嘆と拍手が上がっていました。

そしてその2曲の後のアンカレトークは伊礼氏の独壇場。
アンカレの不倫相手のお2人の女優さんのことのお1方は「子羊のよう」と喩えられ、もう1方のことを「暴れ馬」と喩えられておられました。大丈夫でしょうか(爆)

その先は『BLOOD BROTHERS』で、2期は弟が藤岡くん、兄が万里生くん。
1曲目の「長い長い日曜日」が終わった後のMCで、弟が兄に対しておやつをカツアゲする(藤岡くん談)のですが、この日万里生くんが差し出したのがまさかのコカ・コーラ500ml(爆笑)。

開けると当然吹き出してクリエの舞台上にコーラが吹きこぼれ、下手側に万里生くんがモップを借りに行くという、どんな事態(笑)
そしてそこから藤岡くんが一気飲みするという、会場圧巻のパフォーマンスが繰り広げられ、会場中から喝采を浴びておられましたが、さすがに飲み終わった後は逆流しそうになるそうな(爆)。

「仕返しされそうで怖い」と万里生くんは手遅れなコメントをしていました(笑)

その後1曲デュエットされた後は、藤岡くん退場で万里生くんが聖子さんを呼び込み、『トゥモローモーニング』パートへ。

万里生くん「そこ(センター0番)気を付けてくださいね、濡れてますから、というかべたついてますから(笑)」
聖子さん 「何があったんですか?楽屋のモニター小さくて何か飲んでるんだろうなって思ってたんですが」
万里生くん「藤岡くんがコーラの一気飲みをしてまして」
聖子さん 「あの人凄いですね」
万里生くん「藤岡くんも色々とおやつ食べてますが、この作品(『トゥモローモーニング』)では聖子さんも…」
聖子さん 「え、私もコーラ一気飲みするんですか?(会場内爆笑)」
万里生くん「いえいえ、まさか。」
聖子さん 「私、今それ言われて腹くくりましたよ
万里生くん「でもやれると思ったでしょ」
聖子さん 「いやまぁやれますけど(笑)」

…さすがにされませんでしたが(爆)

とひとしきり仲良しカップルなトークをされた後、この作品の役どころの話に。

万里生くん「この作品で聖子さんが演じられたキャットって役ですけど、それこそ猫っぽいですよね」
聖子さん 「うーん、猫っぽいかなぁ。おきゃんな感じだとは思いますが。え、おきゃんって死語ですか?
万里生くん「うん」
聖子さん 「やばいーーーーーーー!(客席へ呼びかけ)おきゃんって分かる方!(客席からそれなりに拍手)ほら!客席は私の味方!
万里生くん「7歳なんですいません」

(笑)

というなかなか面白いカップルトークを楽しみました(笑)
聖子さんとここまでフラットに会話される俳優さんって珍しいので貴重なMCでした。

聖子さんとフラットという意味では、2期2部カーテンコールで隣になる藤岡くんとも別のフラット感。

聖子さん「よくコーラ一気飲みできるよね」
藤岡くん「コツがあるんですよ」
聖子さん「簡略化して言える?」(←必殺の聖子無茶ぶり技)
藤岡くん「泡立てると量が多くなっちゃうので、流し込むように入れていくとできるんです。昔どこかのステージ上でやったことがあります」
聖子さん「(簡略じゃなかったので興味失った感)」←(笑)
藤岡くん「でも1.5リットルは勘弁してください(笑)」

でもなー、藤岡くんBBのMCでとんでもない暴走コメントしたからなー。21日どうなるだろうなー(爆)。

何はともあれ、聖子さん1日お休みを挟んで迎えたこの日、聖子さんファン大集合って感じで色々楽しかったです。21日は見られないので、行かれる方のレポを楽しみにしております。

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『TENTH』(2)

2018.1.14(Sun.) 17:30~20:25
シアタークリエ 18列10番台(センターブロック)

シアタークリエ開場10周年記念公演『TENTH』、第2期がこの日からスタートです。
既にマチネで観劇された知人やTL上のセットリスト報告を巧みに見過ごし(爆)、クリエ入りです。

第2期第1部は2009年に上演された石丸さん主演の『ニューブレイン』。本編で見たことがなくて今回初見です。
ミュージカル曲の作曲を夢見る主人公に来る仕事は、子供番組の曲作りばかりで、そんな自分にもやもやする日々。恋人志望の女性が寄り添うも、本人は実はゲイ。そんな彼は女性との食事中に異変を発し、病院に運び込まれ、そこで脳に問題があることを告げられる。
彼の未来は、そして取り巻く人々はどうするのか。

…といった導入部からの物語。「ブレイン」は「脳」ですから、つまり「新たな脳」がテーマですね。

今回、第1部の3作品中本編を見たことがあるのは第3期の『この森で、天使はバスを降りた』なので、今回の『ニューブレイン』で3作見終わったことになりますが、共通点としてのポイントは『再生』なのですね。人が苦しみに追い詰められたとき、窮地に立たされたときに、それでも前を向いて進んでいこうとする物語、という意味でこの3作は共通しているように思います。

前回も書きましたが、今回の3作品は『再演しにくいけれど再演したい作品』というスタンスで選択されたように思っていて。

第1期の『next to normal』は”本公演を実現したい”というパワーに圧倒されたことが印象的。演出をされた上田一豪さんが”人生で一番印象に残った作品”と言われるだけあって、氏の主宰されているtiptapの通称「LIFE三部作」にも強い影響を与えたであろうことがはっきり感じられる出来。

『Count Down My Life』の”30に近いのに代表作も作れずもがいている脚本家”は、『next to normal』の作品観に圧倒されたことから氏の無力感がシンクロしているように(勝手にですが)思えたし、『second of life』は夢も恋も両方を手に入れることは結局できないかのような、一種の諦めを感じたし、『play a Life』は”大切な人を失う”という点で一番『next to normal』とのシンクロ感を感じて。

『失ったことを認められなければ先には進めない』という思いが、『second of life』ではラストで”進めない現実”そのもので描いていたのに対して、『play A Life』では”失ったことを認めたからこそ、自分の中に溶けていく”ことが表現されていて、LIFE3部作で『next to normal』に対する上田さんなりの答えを提示されたのかなと思えて、それゆえ、”本公演を実現したい”という思いが説得力を帯びて伝わってきたように思えて。そして、それが出演者の方のオーラにも反映していたように思えたのです。

安蘭さんのダイアナしかり、海宝さんのゲイブしかり、村川さんのナタリーしかり。

…というのを見た後だっただけに、『ニューブレイン』はその”熱意”という意味で少し後塵を拝さざるを得なかったのかなと。まぁ、自分がLIFE3部作を見ていて『next to normal』にちょっとバイアスがかかっているという点は認めざるを得ませんけれども。

石丸さんはジキハイに代表されるように最近は役と役者さんがぴったりフィットしたように思いますが、『ニューブレイン』の頃はまだ、しっくりくるかどうかを模索していた段階の作品に思えて、その辺も自分の中にちょっとしっくりしない部分を感じてしまったのかもしれません。

・・・・

第2部のガラコンサートは、予測はしていましたが新妻聖子姫無双。

第1期でも第1部と第2部のメインは変えられていて、両部出られる方は2部のメインにはならない、ということで1期で両方出た海宝さんは2部のメインではなくてあっきーが2部を担当。

それからすれば、2期で両方出る石丸さんは2部のメインではないわけで、結論としてこのメンバーで2部のメインになるのは聖子さんしかいらっしゃらないわけですが。

第1期から比べると少なめな11曲(でも1期も1月9日は11曲、以外は12曲)のうち、聖子さんは何と5曲に登場して、カーテンコールに至ってはラスト曲を歌ってからの流れということもあり、普通にセンターにおられ(爆)、「新妻聖子さんと4人の男性たち」という驚くべき空間が出現しておりました(笑)。何しろ第1期は全部で10人(うち女性3人)で埋めていたあの空間を、5人(女性は聖子さんただ一人)で埋めていたわけですから、聖子さん流石です。

それでは第2期第2部セットリストです。恐らく聖子さんが出られる日はこのセットリストで固定と思われます。

●第2部セットリスト
1.翼を拡げて/GOLD(石丸)
2.腕の中の女/GOLD(新妻)
3.愛の学習/GOLD(石丸・新妻)
4.天使の園/GOLD(伊礼)
5.GOLD/GOLD(新妻)
6.We Were Dancing/アンナ・カレーニナ(伊礼)
7.長い長い日曜日/BLOOD BROTHRES(藤岡・田代)
8.言わない気持ち/BLOOD BROTHERS(田代)
9.あいつに/BLOOD BROTHERS(藤岡・田代)
10.SUDDENLY/トゥモロー・モーニング(新妻・田代)
11.Fly,Fly,Away/CATCH ME IF YOU CAN(新妻)

第1期第2部が『ジャージーボーイズ』推しだったのに比べると、第2期第2部は『GOLD~カミーユとロダン~』推し。聖子さんのコンサートでM5『GOLD』は何度か聞いていますが、5曲続けて聞くと、その作品の重さが懐かしく思い出されます。

MCはM3の後に伊礼さんも呼び込んでの、師弟ぺア(愛人ペア)と姉弟ペアでのMC。

石丸さん「カミーユとロダンは先生と生徒という」
伊礼さん「一番しちゃいけない過ちですよね」
聖子さん「ロダンは結婚はしていないんですよね」
石丸さん「事実婚なんですよね。マリア…」
聖子さん「ローズですよね、客席からツッコミ入ってますよ(笑)」
石丸さん「そうです(汗)」

伊礼さん「あんなに食べているのに日に日にやつれていったもんね」
聖子さん「(笑)。稽古場に窓がなかったので更に追い詰められていきまして」
伊礼さん「そうそう。石丸さんと聖子さん、それと演出の白井(晃)さんの3人で籠ったとき、中からすごい叫び声とか呻き声とか、なんか投げる音とか聞こえてきて。何やってたの?」
聖子さん「芝居です(笑)」
会場  「(笑)」

伊礼さん「聖子さん、ただの『王家の紋章』好きの女の子なのにね」
聖子さん「(笑)。そうなんです。『GOLD』の時は私が姉、伊礼さんが弟でしたが、去年上演した『王家の紋章』では伊礼さんがお兄さん、私が妹でした」

伊礼さん「それにしても聖子さん曲紹介お上手ですよね。
      私の曲(『天使の園』)もやっていただいていいですか(笑)」
聖子さん「えー(とちょっとだけ躊躇いつつも)、『これから伊礼さんに歌っていただく『天使の園』という曲は敬虔なクリスチャンであるポールが、不倫をしている姉に対して不道徳を説き、不倫を止めて自分の元に帰ってきてくれれば受け入れる、そう歌われている曲です。お聞きください』」

伊礼さん「ほらやっぱりお上手(拍手)」

聖子さん「(ちょっと照れ)、その後に私が歌う『GOLD』という曲ですが、カミーユが天に召された後、魂が戻ってきて…あ、そこでMCの巻きランプ(赤色)が点灯していますね(会場笑)…カミーユの人生は悲劇としか言いようがないと思いますけれども、それでもカミーユにとって『私は確かに私の『GOLD』、大切なものに触れたんだ』そう歌い上げる曲になります。それでは2曲続けてお聞きください」

会場  「(拍手)」

…石丸さんは2人のMCのテンポに圧倒されつつ、上手く相槌挟んでおられました。

ちなみにこのM4で伊礼氏が姉に不倫を指弾した後、M6のアンカレが不倫の歌というのが、誰ですかこのセトリ考えた人(笑)

MCの第2のパートは、聖子さん&まりおくんのパート。つまりトゥモモの枠です。
第2期で聖子さんが出ない日、まりおくん&石井カズさんとの組み合わせの日があるそうなのですが(『トゥモローモーニング』は離婚前日のカップル(石井カズさん&島田歌穂さんが演じられました)と結婚前夜のカップル(聖子さんと万里生くんが演じられました)のストーリー)、

万里生くん「石井カズさんと似たように見せないといけない日があって」
聖子さん 「スペイン行ってこないとダメかも(笑)」

…も笑いました。

曲として自分がこの日一番のヒットだったのはM11『Fly,Fly,Away』を久しぶりに聞けたことかな。

この曲は『Catch Me If You Can』の後半、愛する彼が結婚詐欺師だったことが発覚して自らの前から姿を消した後、自分の思いを再確認するかの如く、聖子さん演じるブレンダが思いを歌い上げる曲なのですが、自分がこの曲の聖子さんで好きなのは『歌い上げだけど歌い上げじゃない』ってところなんですよね。

昔の聖子さんなら朗々と歌い上げて終わったかもしれないこの曲を、”ブレンダの気持ちをぎりぎりで止める”ように意識してブレーキを掛ける、その歌の「技術とハートの相乗効果」に痺れるんです。これは『GOLD』にも同じ面を感じるのですが、歌えるからこそ、登場人物のハートを最大限表現するように力を絞って表現するさまが、流石と思わずにいられません。

カーテンコールは前述のとおり、まさかの聖子さん0番(どセンター)でそれが不自然なく嵌る空間。
女性プリンシパルでクリエ4作(『GOLD』『プライド』『トゥモロ―モーニング』『Catch Me If You Can』+ドラロマシリーズ)というのはかなり多い方ですよね。

聖子さん「麗しい男性の皆さまに囲んでいただいて嬉しいです」
藤岡くん「麗しいのは石丸さんはじめそちら(下手側)だけで」
聖子さん「何言ってるの赤いチェックのベスト素敵よ」
藤岡くん「いえいえ、7歳児でして」
聖子さん「いやいや、魂は7歳だったと思うよ!」

・・・・という、壮絶に綺麗な漫談(爆)で第2期初日は幕を閉じたのでした。

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